希望の象徴 作:英雄願望
お母さんが亡くなって1週間。祖母と二人暮しが長かったおかげで、何とか、心を壊していない。それでも、悲しみは出久にまとわりついた。そして、脳裏に映るのはお父さんの最後言葉。最後の約束を守れなかった。だから、ヒーローになって、僕と同じ目に遭わないように同じ思いをしないために強くなる。
「まずは、体力と筋力をあげる。そのためには筋トレ。……でも、専用の器具とかないしどうしよう。」
器具を使う本格的な筋トレは知識的にも体力的にも子供じゃ不可能だ。ならばどうするか?……決まっている。器具を使わないトレーニングをする。まずは腕立て、腹筋、スクワット、この3つを先ずマスターする。
「えっと……うでたて?は、まず四つん這いになる。そして、足を伸ばしてお尻をあげる……そして、ポンプように肘を曲げる。い〜ちっ!…うわぁ……難しいな。」
「なら、ふっきん……えっと、膝を曲げて仰向けに寝て足を固定する。そして、上半身だけ起き上がる。……いっっち! 」
「最後にすくわっとだ。立って、しゃがむ。でも、背筋は伸ばす。よし!出来そうな気がする!」
案の定無理でした。
1回目の挑戦では、満足に出来ない。それなのに翌日は筋肉痛になる。筋肉痛に耐えながらやる筋トレは更に苦痛だった。それでも、1ヶ月後には、回数は少ないが綺麗なフォームでできるようになった。筋力は漸くこれでなんとかなる。次に体力。この答えは極めて単純、走ることだ。毎日毎日走って行った。それも筋トレと並行させながら。1日経つ事に、距離や回数を伸ばしていった。しかし個性がないハンデを背負っている出久にとっては強くしたところで必ず限界が来る。ならばどうするか、答えは簡単。知恵を身につける。爪も牙もない人間がなぜ、生態系のトップに君臨出来たか、それは知識を身に付けたからである。ハンデがある分、他のことで補わなければ意味が無い。出久にとっての知恵とは、あらゆるヒーローの戦い方、体の使い方を徹底的に調べる。個性を使うヒーローの戦い方なんて、役に立つの?と思うかもしれない。しかし個性だけで、ヒーローになれるほど甘くない。それに増強系の個性は肉弾戦が基本。盗める技術が多い。そして、3年の月日が流れた。出久も10歳。毎日毎日、回数を増やしながら、ずっと鍛えてきた。漸く身体が夢へ追いつき始めた。
「行ってきます!」
「暗くなる前には戻るんだよ」
「うん!」
この日は土曜日。学校が休みで体を鍛えようと海浜公園にでトレーニング。ここは海流によって漂着物が多く、それにつけ込み不法投棄も多い。ゴミ溜めに好き好んで近づく人もいない。器具を持たない出久にとっては最高のトレーニング場だ。
「ゴミの大きさは様々。普段使わない筋肉を鍛えられる!」
まずは近くに落ちてた電子レンジ。それを手に取り廃棄された軽トラまで走って持っていった。それを繰り返すこと2時間、出久は突然足を止めた。出久の目線の先にはリストバンドが6つまとめて廃棄されていた。このリストバンドには見覚えがあった。
「……アース」
口から零れたのは1人のヒーロー。自分の体をありとあらゆる鉱石へと変えるヒーロー。あらゆる鉱石を複合させる事で。オールマイトの一撃を耐えたという逸話があるくらいの防御力を兼ね備えている。しかし、その強さと引き換えに敏捷は驚くほど失われている。そんな、岩石ヒーローアースはひとつのサポートアイテムを作って貰っていた。リストバンドだった。伸縮性抜群。衝撃にも耐えられ、洗濯可能と、サポート会社が笑いながら言っていたのをテレビで見ていた。そのリストバンドは特殊な技術で自身の肉体にかかる重力を軽減させるものだった。それが出久が見つけたリストバンドに酷似していた。出久は興奮しながら、汚れたリストバンドを腕に通した。偽物だと思ったが、違った。身体が軽くなるのではなく、重くなった。立てない程に。襲ったのは重力。恐らくこれは、サポートアイテムの試作品……失敗作である。倒れながらも、リストバンドを腕から外した。このリストバンドは負荷重力を設定できる。このアイテムが出久のヒーローへと大きく突き進ませた。
あの日から、出久はリストバンドを付けるようになり、少しずつ重力負荷を重ねていった。そして、祖母の死を乗り越え中学3年。重力負荷は12.5倍。日常生活なら難なくこなせる程になった。
「おばあちゃん、行ってきます。」
出久は親戚から逃げ、新しいアパートへ引っ越した。未成年では賃貸の契約は無理なので祖母の名前を使わせてもらった。そして、新生活を楽しむことをする暇もなく出久は学校へ足を動かした。余談だが、途中ヒーローにも会えて上機嫌だった。
〜学校〜
「よーし、お前ら席に着け〜HR始めるぞ〜」
先生の声が教室に響き渡りみんなが席に着いた。
「お前らも3年生。そろそろ進路を考える時期だ。進路希望のプリントを配るが皆んな!」
………………
「だいたい、ヒーロー志望だよね〜」
クラスの、大半が返事をするように個性を使った。ある者はものを浮かし、ある者は風を操り、ある者は自身の腕を岩に変えていた。
「うんうん。みんないい個性だ。でも、校内での個性発動は原則禁止な!」
みんなの声を先生は肯定しながら話を進めようとしたが
「せんせ〜。みんなとか一緒くたにすんなよ」
「俺はこんな“没個性”共と仲良く底辺なんざ、行かねぇよ!」
彼は爆豪勝己。出久とは、幼馴染で、腐れ縁。彼もヒーロー志望。先程までの空気が壊れ、周りが爆豪勝己に反論した。
「そりゃねぇーだろカツキ!!」
鳴り止まぬブーイングの中、勝己は嘲笑うように
「モブがモブらしくうっせー!」
さらにブーイングが激しくなる中、先生は勝己の志望校を見つけた。
「えっと……爆豪は、雄英か」
その発言にブーイングがやんだ。そして、クラス中がざわめき出した。
「え、雄英ってあの!?」
「国立の!?偏差値今年79だぞ!?」
「倍率も毎年やべぇーんだろ!??」
勝己は周りの反応を見て笑みを深めた。そして、机に乗った。
「そのざわざわが、モブたる所以だ!」
「模試ではA判定。俺は
聞いてもないのに、自分の事を語り出した。オールマイトを超える?馬鹿じゃないの?と思うが爆豪勝己には、それを成し得る“個性”と実力をもってる。
「あ、緑谷も雄英志望だったな。」
場が凍った。ピキッと鳴りもしない音が聞こえる。
出久は「はぁ〜」と、面倒くさそうに頭を抱えた。
「雄英?無理っしょw」
「頭いいだけじやヒーロー科入れないぞw」
周りからは笑われバカにされている
「…………」
が、勿論無視して、受験勉強に励む。
しかし、邪魔された。爆豪勝己に
「こら、デク!!!」
「うわぁ!」
いきなりの爆発で驚きながら避ける。
「“没個性”どころか、“無個性”のお前がなんで、同じ土俵に立てるんだァ!」
「僕の進路にかっちゃんは関係ないだろ?かっちゃんの為に自分の進路変更したくないし、同じ土俵とか言うなら、ほか行けば?」
その発言に勝己は、手のひらから、爆竹のような音を出しこちらを睨みつけている。
「んだァとゴラァ!」
「無個性のてめぇがヒーロー?笑わせんな!」BOOMU!
再び出久へ向けての個性使用。勿論避ける。本来これは法律的にOUTなことで、発覚したら、勝己の進路にも響く。が、今はそれどころじゃない。
「少なくとも、模試ではかっちゃんより上だし、戦闘でも、負けるつもりはないよ」
確かに模試ではA判定。出久は全国模試1位に君臨し続けている。それは、紛れもない事実。誰もが認める秀才である。が、ヒーローとなれば別。
「よし、じゃあ、表出ろ!」
勝己は殺る気満々だ。出久は面倒くさそうに嫌がっている。
「こら、まだHRだぞ?それに、個性使うなって」
先生が止めに入ったおかげで戦うことはなくなった。
勝己はイライラしながら席に着いた。
そんなこんなで放課後になった。
「もう放課後。早く帰ってトレーニングしよう。」
出久は机の中にある教科書、ノートを鞄に突っ込み帰ろうとした。が、止められる爆豪勝己に
「おい、デク話は終わってねぇぞ!」
「僕の中では終わったことだから。バイバイ」
「一線級のトップヒーローは学生時から、逸話を残している。俺はこの平凡な中学から初めての!唯一の!「雄英進学者」っつー泊を付けてぇーわけなのよ。まぁ。完璧主義なわけ」
そんな話を聞き流しながら帰ろうとするが……
「まぁ、待てよ、雄英受けるなよナード君」
出久の肩に手を置き煙を出して、止められた。
「嫌だよ」
「道端の石ころの分際でぇ。ヒーローになりてぇなら、来世は“個性”が宿ると信じて屋上からワンチャンダイブ」
「はぁ?」
「何よ?」BOMB
突然の発言で驚きつつも勝己の方へ振り向くと手からパチパチと火花を散らせている。呆れた。冗談で言ってない。これ以上口答えしても面倒だ。逃げる方法はひとつの窓から飛び降りることだ。ここは3階。しっかり受け身を取れば大丈夫。そして、靴を履き替えて家へ帰る。
「……った」
「あん?」
「わかったよ。かっちゃん。飛び降りる」
「は?」
勝己が疑問を浮かべてから、一瞬窓から外に出た。
「はぁぁ!」
勝己は焦り窓の外見たすると、出久の姿はなく。一瞬だけ、黄色の鞄が下駄箱に向かっているのが見えた。
「あの、くそナードが!」
勝己は苛立ちながら帰路へ向かった。
第2話書かせてもらいました。ということでやっと原作突入ですね。次回から原作改変はじまります!
ヒロイン誰にする?
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麗日お茶子
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オリキャラ
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作者に任せる
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その他(希望があればコメ欄にて)
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ヒロイン?要らねぇよ!