希望の象徴   作:英雄願望

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ようやく6話を、書けました。
感想とかあるとモチベーションあがりますね!
自分でも、今後の展開考えるのが楽しいです。



6.模擬戦

「おはよう〜」

 

「あ、心操君おはよう」

 

鞄から教科書やノートを取り出し机の下に入れていると、隣の席の心操が登校してきた。

 

出久が普通科に入学して1週間が経った。クラスでは浮くと思っていたが、案外そうでもなかった。それは、融斗達による所が大きかったみたいだ。彼らは容姿通り、クラスの女子の話題になる事が度々ある位のイケメンで、彼らに慕われる出久は女子からの鋭い眼差しを受けることはあるが、変に見られてはいないようだった。

 

「そういえば、緑谷。ヒーロー科行くって言ってたけど、具体的にはどうするんだ?」

 

「えっと、まずは、体育祭でいい成績を残すとかかな?」

 

「でも、ヒーロー科相手、ましてや、緑谷以外の参加者全員が個性使ってくるんだぞ?不利にも程があるぞ」

 

「大丈夫だよ。個性はともかく単純な身体能力なら、誰にも負けないよ。それに、遠距離型の個性なら懐に入れば対処できるし、中・近距離型の個性なら普通に勝てるよ」

 

「すごい自信だな。そんなこと言っといて、足元すくわれても知らないぞ?」

 

「そんなことって、それより僕のことより心操君の方が危ないんじゃない?」

 

「理由は?」

 

心操は少し、不満そうな顔でこちらを見ていた。

 

「心操君の個性は対人戦には強いけどタネが割れれば対策はいくらでも取れる。個性に頼ってるだけじゃ、予選突破も難しいんじゃない?」

 

「確かにな。言われてみればそうだが、体育祭って、来月だろ?あと1ヶ月で体を鍛えてもあんまり意味ないだろ?」

 

「そうだね。1ヶ月のトレーニングじゃ、効果はあんまり期待できないね。だけど、身体の使い方を理解することは出来るでしょ?」

 

「身体の使い方?」

 

「簡単に言えば、技を磨くんだよ、それに──」

 

「何の話をしてんだよ!俺達も混ぜてくれよ!」

 

業火君、融斗君、創太君、が来たようだ。

彼らもヒーロー科志望であり、出久の話にも興味津々のようだ。

 

「いいよ」

 

「それで?なんの話をしてたんだい?」

 

「ヒーロー科へ編入するなら、体育祭で結果を残そうと思ってね」

 

「体育祭か〜。確かにヒーロー科を差し置いて結果を残せば編入の可能性も上がるな」

 

「でしょ?」

 

「具体的にはどうするんだ?」

 

「創太君。その対策を話してたんだ!1つは、技を磨くんだよ」

 

「「「技?」」」

 

心操の時と同じでみんなの頭には?が浮かんでいた。

 

「ヒーロー科と言っても同じ1年。個性を使う機会はヒーロー科に入っても少ないはず。だから、今年だけは条件はほぼ一緒、成績を残すなら今年で決める。その為に技を身につけるんだよ」

 

「なぁ、緑谷。技って具体的には何をするんだ?」

 

「心操君。中学の時体育で柔道とかやったことない?」

 

「あぁ。あるけど、技ってそういうことなのか?」

 

「そう。技、つまり、投げ技と受け身これが出来れば不意打ちで簡単に勝てるよ。でも、個人戦限定だけど。」

 

「個人戦って、1人1人やってたら終わらないだろ」

 

「融斗君の言うことは尤もだよ。例年の体育祭を見る限り、最初は振るいにかけると思う。そして、そこから絞って個人戦になると思う。だから、2つ目、これは身体能力に依存するけど、身のこなし……つまり、動きを良くする。」

 

「どうやって?そんなの1ヶ月で身に付くのか?」

 

「業火君の言う通り、1ヶ月では厳しい。けど不可能じゃない。」

 

「方法は?」

 

「僕が教える」

 

「「「「!!?」」」」

 

心操の疑問からの回答に4人全員が驚く。

 

「体育祭じゃ、敵も味方もないぞ!敵に塩送るとか、自分の可能性を自ら無くすようなもんだぞ?」

 

「大丈夫。その程度で僕はやられるようなヤワな人間じゃないよ?無個性だ。って、甘く見てたら足元すくわれるよ?」

 

冗談で言ってるんじゃない。4人は出久の本性が垣間見えた気がした。そんな中チャイムがなり、仕方なく皆席に着いた。

それから、授業が終わる度に話し込み、昼休みでさえ、悠長にお弁当を食べる暇がなかった。そして、放課後、先生に許可を取り5人で自主練という建前で出久VS4人での模擬戦をやることになった。

 

 

 

 

 

 

〜放課後〜

 

 

「それじゃあ、約束通り僕が勝ったら夕食奢ってね」

 

「いいぜ!でも、俺達がかったら出久が俺達の晩飯奢りだからな!」

 

出久が勝てると豪語していたので賭けをすることになった。出久VS人使&融斗&業火&創太で勝負。もし、出久が勝てたら今夜の晩御飯をみんなが奢る。逆にみんなが勝てたら出久がみんなに晩御飯を奢るということ。制限時間は30分。それ迄に行動不能にしたら勝ち。勿論出久は全員を行動不能にしなければならない。持ち込みは自由。しかし、病院送りレベルの怪我はアウト。出久は勿論リストバンドを付けている。

 

 

そして、始まった!

 

「よし、業火!創太!個性を使って出久を足止め及び迎撃!」

 

「あぁ!」

 

「おう!」

 

 

無個性と甘く見ずに、4人は、作戦を立てた。まずは業火と創太で足止め、及び迎撃。2人が敗れそうになったら融斗が参戦。そして時間を稼ぎ、心操が緑谷に洗脳を使う。しかし、心操の洗脳は対策されやすい為、3人が時間を稼いでいる間に出久を洗脳させる案を考える。

 

そして、

 

2人の個性とは……

 

鬼島業火

“個性”鬼化操火(きかそうか)

自身の身体能力を超大幅に上昇させ火を操る。体は一回り大きくなり角が生える。しかし、長時間の維持が難しい。それに、火を操るが火を出すことは出来ない。あくまでも操るだけ。

 

滝川創太

“個性”変換操水(へんかんそうすい)

自身の周りの全てを水に変えて(調整可能)、操ることが出来る。水の量が増えると操作が難しくなり、水鉄砲程の速度しか出せない。しかし、量を絞れば凄まじい速度を出せる。一度水に変えたものは戻すことが出来ない。全てを水に変えるため、不純物がない綺麗な水になるので飲水可能。

 

そして、業火は鬼化して出久に殴り掛かる。

創太も両手にハンドボール程の水塊を作り出久にぶつける。

2対1出久が業火と戦っている中、正確な操作で確実に出久に当てていく、それに怯んだ所を業火が確実に攻めていく。さらにぶつけた水塊は距離を取り再び攻めてくる。個性の負担が無く、尚且つ持続的な攻撃が可能である。厄介だが、それ程個性の使い方が上手だということ。出久もやられっぱなしじゃ終われない。業火の攻撃を流し、間合いを詰めて殴る。

……が、予想以上に硬く、差ほどダメージも入っていないようだ。再び業火に殴られつつ、持ち堪えて次は投げ飛ばす。これなら殴るよりも確実にダメージを与えられる。

 

そして、業火を投げ飛ばして、創太と1対1にすれば水塊を見切り、距離を詰められる。創太の個性は遠・中距離型。懐に入れば弱い。と考え2つの水塊を見切り迫る。そして、顎を狙い、軽い、脳震盪させようとしたが、その前に出久の頬にとてつもない衝撃が走る。

その正体は拳大の水塊。2つだけで戦っていたのは2つ以上出せないと思わせるため。それに小さくなった分勢いが増したことにより先程よりも飛ばされる。その間に業火も復帰してまた2対1となった。

 

が……

 

開始15分業火の個性が切れたことにより一気に形勢逆転となる。個性が切れた業火は疲弊しており、今度は鳩尾を殴り、行動不能に出来た。そうして、2人の連携が崩れ創太が水を操る前に倒そうと考えたが再度邪魔が入る。今度は水塊ではなく融斗だ。自身の拳の温度を変え、放たれるのは高温のパンチ。流石に火傷で済む程度だがまともに受けるのは御免だ。出久は攻撃をやめ回避に入る。間一髪で融斗の攻撃が空振った。創太の水塊攻撃も始まったが、速度が落ちていた。流石に疲れたのだろう。出久は避けずにガードした。そして、その水塊は距離を取るどころか次はずっとくっついたままだ。それに先程の攻撃とは違いとてつもなく熱い。融斗との複合技だろう。出久はまず、創太を倒すことに集中する。次の水塊は速い。ということは常温の水だろう。出久は張り付いている熱水塊で相殺。それに動揺した創太の隙を突き、顎を目掛けて軽いパンチ。創太は貧血を起こしたかのようにその場に倒れた。

 

これで半分。

 

開始20分でようやく2人を行動不能にした。しかし、出久も疲れを見せ始めている。

 

── 心操君はともかく厄介なのは融斗君だ。身のこなしだけなら先の2人よりも上だ。

 

心操は動かず、様子を窺っている。心操の個性は出久に既に対策済み。身体能力もさほど高くない。警戒すべきは融斗ただ1人。出久は融斗が仕掛ける前に距離を詰めた。融斗は敢えて距離を詰めさせたように思えたが、出久は背負い投げの様に腕を掴んだ。

 

 

その瞬間、融斗は出久の腕を掴んだ。そして、出久の体温を2℃あげた。先程までの体温が36.8℃。そして、現在38.8℃。出久はすぐに離れて距離を取ったが、体温は上がりっぱなし。持続性のようだ。

 

──思考が纏まらない……

 

──怠い

 

出久の思考速度が落ち、正しい判断が下せなくなる。そう、たった2℃体温をあげるだけで風邪の時の倦怠感に襲われる。

 

「おい。緑谷、30分経ったぞ」

 

「え?もうs…………」

 

──やってしまった…………

 

心操はここぞとばかり個性を発動させ、出久を再起不能にした。

 

決着が着いた。

 

開始、28分。業火と創太が時間を掛けて疲れさせ、融斗が思考を鈍らせて、心操が個性で再起不能にした。素晴らしい連携プレーだ。

 

10分後創太も意識を取り戻した。

 

「あ〜。負けた〜」

 

「勝った!……って言っても4対1だぜ?しかもギリギリなんて、あんま嬉しくねぇよ」

 

「そうだよ。業火の言う通り俺達はギリギリだ。寧ろ、個性も無いのにあそこまで張り合う出久が怖ぇよ」

 

融斗の意見は尤もだ。

 

「でも、重力負荷掛けてるとはいえ負けるとは思わなかったよ」

 

「「「「!!?」」」」

 

「重力負荷?つまりあれって、本気じゃないの?」

 

「え?そうだけど?」

 

聞いた融斗が1番驚いている。

 

「小さい頃から、鍛えてるからね。年季が違うよ」

 

そう、笑いながら出久は答えた。

 

「あ、約束の夕食は家でいい?」

 

「あ、あぁ。別にそれでも……って!そこじゃなくて!なんでそんな強いんだよ!出久って実は個性持ちだったりするだろ!」

 

「正真正銘の無個性だよ。毎年証視 明(あかみ あきら)先生の所へ通ってるけど相変わらず無個性だよ。」

 

証視 明とは、個性研究者の1人で、個性の発端。発動条件。種類、規則性。個性にまつわるありとあらゆる事を研究する人。その、証視明の“個性”判定。対象を判定する。彼は個性の判定ができるのだ。未発見であろうと一目見ると個性の能力を視ることが出来る。手続きをすれば自身の個性を診て貰えるのだ。

 

「なら、出久は、サ〇ヤ人だろ?絶対そうだって!」

 

「業火君それはないよ」

 

「いや、業火の言うことも一理あるな」

 

「確かに……」

 

「それなら納得だな」

 

融斗に続き、創太も心操も何故か納得してる。

出久は、出久だけは、納得してない。そのまま口論しながら出久の家に向かった。途中、スーパーへ買い物に行ったが、4人、それぞれにお菓子を奢らされたが今日ほど買い物が楽しいと思えたのは初めてだった。

 

〜自宅〜

「ただいま〜」

 

「お、お邪魔します。」

 

「お邪魔します!」

 

「お邪魔します。」

 

「お邪魔します〜」

 

「あ。そんな緊張しなくていいよ家誰もいないから」

 

「あぁ。出久の両親って、帰り遅いのか?」

 

「いいや、うちは2人とも小さい頃に亡くなってるんだ」

 

「あ。ごめん………嫌なこと聞いて」

 

「いいよ。もう昔の事だから」

 

出久のうちは2LDKのアパートだ。少し古いが広い部屋だ。出久は荷物を置いて料理を作り始めた。今日はみんなの意見を聞いてトンカツになった。30分がすぎた頃、きつね色になった衣を纏った豚肉5枚を食べやすいように5つに切り分け、キャベツと共に皿に乗せていく。最後にソースを掛けて出来上がり!幸い机を2つ合わせて5人で食べられるようになった。

 

「いただきます〜」

 

「「「「い、いただきます」」」」

 

みんな、1口食べていく。

 

「え?……美味しい!」

 

「美味っ!」

 

「美味しいな」

 

「こんな美味いトンカツ食べた事無いぞ……」

 

「大袈裟だよ」

 

出久は笑いながら言うが実際美味い。定食屋で出るトンカツよりも美味しい。

 

「出久ってさ、隠れスペック高い系男子か……」

 

「なに?隠れスペック高い系男子って」

 

確かに、出久は授業を見るからして頭がいい。雄英に受かってるから当然なんだが、身体能力も高く、一人暮らしで家事全般も出来る。嫁要らずの完璧男子だ!

 

と、融斗を含め、出久以外の全員が納得した。

そうして、晩御飯を食べ終えて出久が皿を洗っている。

 

「いや〜美味かった!また食べたいわ出久のごはん」

 

「そうだね、また勝てたらご馳走するよ」

 

「絶対だからな!」

 

「うん」

 

業火と約束をした。それからトレーニングの話になった。

 

「1ヶ月でどれだけ出久に近づけるかだな」

 

「あぁ、それならみんな戦い方に改良の余地あったよ」

 

「え?マジで!」

 

「うん。業火君はさ、全身を鬼化するけど、腕とか、足とか部分的に出来ないかな?」

 

「え?……出来るけど全身にさせるより弱いぞ?」

 

「それは、攻撃する時に全身を使ってるからで、多分能力は変わらないと思うよ。それに片腕だけに集中させたらもしかしたらさっきよりも腕だけ強くなるかもしれないよ?」

 

そう言うと、業火は腕に力を入れ個性を発動させた。すると、少し、黒みがかって、戦った時よりも一回り更に大きくなった。

 

「おぉ!さっきの時より大きくなった」

 

「多分威力も上がってると思うよ」

 

「それじゃあ俺は?」

 

次に聞いてきたのは創太だ。

 

「創太君はさ、扱う水が少なければ速度も精度も上がるんでしょ?」

 

「あぁ、そうだな」

 

「なら、水1滴だけ操るんだよ」

 

「は?そんなことしても範囲なんか針程度だろ?」

 

「けど、水って、水流圧によっては、ダイアモンド切れる程の威力があるし、創太君の操作なら急所を外す事も出来るでしょ?」

 

先の戦闘での操作を見れば一目瞭然だ。

 

「成程……次試してみるよ」

 

「うん」

 

……あれ?、これってかなり危険なんじゃ……

 

出久はそんな気がしたがそれはそれでその時の自分に任せようと思った。

 

「それじゃあ俺は?俺の個性なら朝言ったみたいに対策されるぞ?」

 

「あぁ、心操君の個性に掛かった時、体が言うこと聞かないだけで意識はあった。なら、個性に掛かったって、気づかれる前に決めるんだよ。その為に身体の使い方を理解しないとね」

 

「俺の場合は個性より、身体の方か」

 

「うん。身体の使い方を知れば必然的に個性との相性が良くなって強くなれるよ」

 

「それじゃあ、最後に俺は?」

 

「融斗君は、温度を変えられる。さっきやったみたいに体温をあげるのはいいと思うよ。逆に相手を冷やしてみたらどう?」

 

「冷やしてもせいぜい寒がらせるだけだろ?」

 

「体を冷やしたら運動機能が低下するからそれでも倒せると思うよ」

 

「成程……。それいいかもしれないね」

 

それからしばらく体育祭に向けてのトレーニングの話をしてすっかり、暗くなった。

 

「9時か、そろそろ帰らないと」

 

「もう、そんな時間か」

 

「今日は有意義な時間を過ごせた。ありがとう出久」

 

「また、遊びに来ていいか?」

 

「勿論だよ!普段1人だからね楽しかっよ!」

 

「また、話聞かせてくれよ?」

 

「うん。僕が知ってることなら何でも教えるよ!

あ、でも、機会は譲らないよ?僕もヒーロー志望。みんなと違って可能性も低いからね」

 

「いいよ。機会(チャンス)位は自分で掴むよ」

 

「それじゃあ、駅まで送るよ」

 

そうして、出久とって、久しぶりに楽しい1日を過ごすことが出来た。




今回は、史上最長でしたね。
次回はUSJ編です。普通科なのにどんどんヒーロー科イベントに巻き込んでいきたいと思います!
次回もお楽しみに!

USJ編普通科生徒誰を連れていく?

  • 出久だけ
  • 出久と心操だけ
  • 出久と1人(ランダム)
  • 作者に任せる
  • 騰理、滝川、鬼島、出久、心操を連れていく
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