兎の姫と翼のない人間   作:604技術開発隊

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「お前はわかっていない」バンッ

いつの間にか教卓を思いきり叩いていた
静まりかえる教室内に普段通りのやる気のなさそうな声が響く

「お、おいおい千冬~?何故にそんな怒ってんの~?」

こ、この男は……またっ

「ははは、青春してる女子なんてこんなもんさね……てか千冬もこんなんだったぜい?」

そうヘラヘラ笑う彼に内心怒り、そして悲しみの感情が湧いて出てくる

「それにね、弱いやつの言う戯言なんて放っておけばOK。こんなのより出来の悪いヒーロー漫画の悪役の方が数千倍良いって……千冬だけに」ケラケラケラ

弱いやつら……本当に実力のあるこいつだからこそ言える言葉だ
成績優秀(まだ数週間でしかもこいつはしばらく学園を離れていたが…)、運動神経は……簡単に言えば奇襲してきたこの学園の生徒会長を片腕三本指で、もう片腕で高速ジェンガしながら10秒で圧勝する位だろうかな。
これを運動神経で済ませて良いのかはわからないが……あらゆる分野で誰も勝てない。
確か一夏はあいつに家事を教わったんじゃなかったか…

「本当に、もう他人なんてどうでもいいしさ、時間の無駄ね無駄無駄無駄無駄ね……授業再開させてプリーズ、このままじゃ織斑弟と篠ノ之妹の成績下がる……まぁその時は特別補習するけどねん」

どうやらこいつは…
今日で道化になりきるようだ……


番外編&9.坂本と呼ばれる男【後編】

「正直ここまで上手くいくとは思わなんだ」

 

「え?坂本さん、どうゆうことですか?」

 

「どうもこうもさ、俺TUEEEEEEってやつ?ほら、偉い人はそうゆうの振り回したいものなのだよ」

 

「え?で、でも……何かそうは見え「そうなんです」はい…」

 

「山田先生、今のこいつにその話題を振っても無駄だ「無駄無駄無駄無駄ね」……はぁ」

 

「ぬふふふ、これでキミの弟は美化されて~伴侶になった兎の妹も美化される~うぇ~い美しきカップル誕生!!!フーーーー!!!Fooooo!」

 

「これも若干本心が混ざってるが本心ではな「本心なんですよ~ん?」……い」

 

「ふぇ?」

 

「何か気付いたことはないかな?山田先生」

 

「えっと………え~と……あ、あれ?う~んと、ん~?……凄い勢いでクラスが団結してます?」

 

「……そうだな、正解だ。クラスが結束してきている。内容は最悪だがな」

 

「好き放題している坂本さんをクラス全員が……ってことですか?」

 

「否、そうでないのが数名いる。一夏や篠ノ之なんかもそうだな」

 

「そ、そうですか……え?つまりじゃあ坂本さんは自分を人柱に?」

 

「本人曰く『道化になる』だそうだ……最も、成功したのは今回だけだがな」

 

「二脚なんて飾りです。時代はタテコマなのです偉い人にはそれがわからんのです……てなわけでカモンタテコマ~」

『キュルキュルキュル』

 

「何だあれは……」

 

「えっと……坂本さん、どんな状況でも平常運行?」

 

「………はぁ」

 

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「んじゃ、明後日の早朝には戻ってくるから」

 

「……わかった」

 

早朝、坂本は仕事をしに学園から出て行った……週二で仕事をしているらしい

仕事(仮面ライダーウィングの撮影……わ、私は見てないぞ!?)ついでにお隣さんの悩み相談を毎回しているそうだ。

まったく変なところで優しいやつ……

だからこそ今の状況に納得できない自分がいる。

だがこれは坂本が望んだことで、私はその嫁(仮)なので付き添うことしかできない。

 

「ダメだな私は……」

 

あいつがいなくても授業はある……準備をしておかねば……

 

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仮面ライダーウィング

子供向けのヒーロードラマなのかと疑う程の喧嘩シーンから始まり、尚且つ集団をフルボッコにしているのが主人公(坂本)であったその番組は、番組開始の暫しの間抗議の電話が鳴り響いていた………が

 

「それじゃぁ、お前は正義の味方にはなれねぇな…」

 

このおっさん何者?とゆう疑問はこの際捨てておいて

冒頭の喧嘩が集団に絡まれていた少年を助けるためだった事や、この謎のおっさんによる発言により、色々と抗議の電話は消滅した。

 

さて次のおっさんと主人公の問答により、主人公は仮面ライダーに変身することになる。

 

「すぐそこに悪が迫ってきているが…どうする?」

 

「俺は俺のやりたいように悪を掃除するさ」

 

これにより主人公はおっさんからベルトを渡され、主人公は変身する……と、まぁこんなので話は進み、そこそこの視聴率が獲得できているこの番組

ここから更に視聴率が上がることになる

 

「悪だってさ、モノによっちゃ善なんだ。嘘も方便って言うだろ?」バサッ

 

そう、イカロス第三の翼である。

 

「本当の悪ってやつを教えてやる……ま、お前達にとってのだがな!!!」

 

と、新フォームで悪役を纏めて撃破したシーンはネットでも公開されている。

 

そしてそこから更に視聴者が震撼する展開が始まるのである。

 

「面倒……もうお前達消えちゃいなよ」バサッ

 

第四の翼……妙に歪んだ性格になり、極端になるその人格は、視聴者の印象に強く残った。

 

「悪は……面倒だから倒すよ?」

 

この台詞が一時期流行ったのだが、それはまた別の話。

 

朝八時から半まで視聴率ほぼ独占状態の化物番組は1日半で撮影されるのだから更に化物だと追記しておく。

 

========================

 

私が教室前に立つと教室から声が聞こえてきた

 

『何かイカサマしたんじゃないの?』

『本当にね』

『『『  』』』ワイワイ

 

…………馬鹿共が

やつの優しさにも気づいていないのか……本当に……これで良いのか?

 

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「うぇ~い、誕生日おめでとう千冬~ってうおっ!?」

 

ISが世に出回り、ISを軍事利用することが禁じられ、競技として利用されるようになってから初めての誕生日

その日もひょっこり現れたあいつに勝負を挑んで負けた。

 

「おいおい……オット…そんなことより誕生日プレゼントがあるんだが……ウワットト」

 

そうして渡されたのが私の初の専用機である。

 

「ほら、千冬IS適性が凄いからIS学園行くんだろ?………俺はそっち行けねぇし?しばらくそいつで腕研いときな」

 

それからよくは覚えていないが…

あいつのISがある、あいつが一緒に戦っている……そう考えるだけで私は無敵だった。

事実、試合は無敗。

モンドグロッソで優勝し、妙な二つ名で呼ばれるようになった。

それでもあいつは私を呼び捨てにし、軽くあしらってくる。

 

「ハァ?ん?ひるで?何それ美味しい………何か不味そうだな」

 

そう言ってケラケラ笑うあいつにつられて私も笑う………これが楽しかった。

 

「私の親友は凄いんだぞ~」

 

私はいつしか皆に名前は出さずともあいつのことを自慢するようになっていた。

 

「私の親友二人は凄いんだ」

 

束も入れておかないと不自然だからな…そう言ったこともあったよ

 

「親友二人って……束さんと鐸楼さん?……具体的にどこが凄いんだ?千冬姉」

 

「束はISの設計、坂本はISの開発担当………あ」

 

うっかり口を滑らせ、どこで嗅ぎ付けられたのかマスコミに報道されてしまった。

この後少しあいつに怒られたが、原因が束であることを一夏から聞いたあいつはすぐにどこかに行ってしまった。

多分束のところなのだろうが、あいつはどうやってそこまで行くのだろうか………

 

「千冬、まぁ頑張れや」

 

私二回目のモンドグロッソ……残念だがあいつは用事で応援にこれないらしい。

一夏が来るらしいので、可愛い弟、それで妥協することにした。

 

「なぁに、お前に勝てるやつなんざいねぇさ……あ、俺がいるなこりゃ失敬ってうおっ!?」

 

本当に……あいつには勝てそうにない……

 

「一夏が拐われた!?」

 

モンドグロッソ最終試合少し前、突然一夏が誘拐された……そう知らせが舞い込んできた。

震えが止まらないその手で、電話を操作し、電話を掛ける

 

『ん?どしたよ千冬……あ!不安だから最強な俺に「一夏が……拐われた。どうしたらいい!?助けてくれ!!!グスグス」……わかったよく聞け、お前は試合に出て勝て、俺がなんとかしてやる』

 

「無理だ………できない」グスグス

 

「おいこら弱音吐くなし」

 

「ヒャッ!?」

 

さっきまで国際電話で話していた筈の坂本が隣に立っていた。

 

「お前な……俺が何とかしてやるって言ってんだろ?黙って試合出て勝ってこいや~」

 

そう言って坂本は私を控え室に押し込んで、どこかに行ってしまった。

 

結果から言うと私は勝ち、一夏も無事に戻ってきた。

変わったこと……と言えば

一夏がよくレンジでチンッ!とノリノリで言うようになった事くらいか。

 

==一夏side================

 

単刀直入に言うと鐸楼さんは凄い

俺と同年代とは思えない言動が主にそうだ。

 

「俺って最強だから頼ってカモン!」

 

最強ってのは確かに鐸楼さんの為にある言葉なんじゃないかって位鐸楼さんは凄い。

俺は鐸楼さんを尊敬しているし、鐸楼さんの座右の銘【悪だろうが善だろうが知り合いを傷つけたら容赦しない】を、目標にしている。

だからこの状況、このクラスの生徒達にイライラしている。

鐸楼さんに鍛えてもらったんだ、このクラス程度なら軽く捌ける。

でもそれをすると鐸楼さんがやったことが無駄になる……あ、鐸楼さん的には無駄無駄無駄?

 

 

「ん?織斑弟か?………何でこんなとこにいるし?」

 

「た、鐸楼さんこそなんで!?」

 

千冬姉を応援しに出て間抜けにも誘拐されてしまった俺の周りには大量の死体……これは俺も末だなと、諦めた俺の目の前に突然現れた鐸楼さん

ん?誘拐したやつらはどうなったんだ?

 

「俺を…誘拐したやつらは?」

 

「ああ、あいつらは足と手が痺れて動けてないだろ……我が子なんかもあったし……こんな可愛い娘に何させんだよ……まったくよ」

 

鐸楼さんの手にあったのはISコア(以前一度見せて貰った事がある)

 

「あ、まただ……さ、帰っておいで………」

 

待機中のISを発見した鐸楼さんがISに向かって何かに手を差し伸ばす様に出すと、ISはコアになり、鐸楼さんの手に戻っていった。

 

「た、鐸楼さん今のは?」

 

「コアは皆俺の最愛の娘達だ……いずれ思春期に入って『父さんの服と一緒に洗濯しないで!』とか言われるだろうが、今はどんな状況でもコアは俺の元に帰ってくる……所謂強制解除ってやつだ」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「ああ、そうなんだなこれが……さて、出口だ」

 

建物から出て少し歩くと、突然鐸楼さんが

 

「レンジでチンッ!てやつ?」

 

と言うと、上空から降ってきた光が建物を包み、消し去ってしまった。

この綺麗な光が今も忘れられない。

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