僕には妻がいる。
まぁ、ゲームの中でなんだけど。
僕の生活の半分を費やしているのが、「ネオファンタジーオンライン」通称NFOである。
そのゲームで最近追加されたシステムがある。
それが、結婚システムである。
このシステムが追加され、数日。
僕は同時期に始めて偶然出会ってから、毎日一緒にプレイしているパーティメンバーに、結婚を申し込まれた。
僕はそれを受けて、そのパーティメンバーと夫婦になった。
『今度の日曜日、このパーティでオフ会しない?』
『いいね~、やろうよ!どこでやるの?』
『駅前のカフェはどうかな?』
僕の妻であるRinRinがオフ会をやろうと言い出した。
以前からの会話で3人とも近くに住んでいることは分かっているので、オフ会自体はそんなに難しくない。
ただ、僕の妻がどんなおっさんでも、仲良くはするつもりだ。
それなりに長い付き合いだしな。
そして、オフ会当日。
少し憂鬱な気分で家を出た僕は、のんびりと歩きだした。
「おーい、そーにぃ!どこ行くの?」
「ちょっと知り合いと待ち合わせで駅前のカフェにな」
「実はね~、あこも駅前のカフェに行くんだ!」
後ろから声を掛けてきたのは隣に住む女の子の、宇田川あこだ。
相変わらず元気だな、と思いながらもあこと一緒にカフェに向かう。
「そーにぃ聞いて!あこね、今からゲームでの仲間とのオフ会なんだ!」
「そうなのか、奇遇だな。僕もそうなんだ。ゲームって、何ていうゲームなんだ?」
「NFOっていうゲームだよ!」
「プレイヤーネームを教えて貰えるかな?」
「聖堕天使あこ姫だよ!」
「実は僕のプレイヤーネームは、ソーって名前なんだ」
まさか、うちのパーティメンバーのあこ姫さんじゃあないだろうな。
いや、このプレイヤーネームは一人しかいない。
「そーにぃがソーだったんだ。そんなことならもっと早くいってよ~」
「まさかあこがあのあこ姫だったなんて思いもしないだろ」
「それもそーだよね~」
お互い驚きながら、少し話しているとカフェに到着した。
カフェのドアを開けると、同じクラスで、僕と同じ図書委員である白金燐子がいた。
偶然クラスメイトがいた事に少し驚いたが、良くあることだろう、と納得して僕とあこは席に着いた。
RinRinが集合時間になっても来ない。
すると、RinRinからチャットが来た。
『もうカフェに来てる?』
『ああ、もう着いてるよ。服装は赤色のパーカーを着てる。そしてツインテールの女の子と一緒にいるから』
『わかったよ。今から席行くね』
すると、白金さんがこっちに近づいてきた。
え、嘘だろ?
まさか、な。
そして、肩を叩かれる。
「ソー君?、であってますか?四条さん」
「そっちこそ、RinRinであってる?」
「はい。ということは、あなたは、あこちゃん?」
「そうだよ!りんりん!」
まさか皆知り合いだったとは。
変な心配して損した。
「じゃあ、改めて。僕がソー、こと四条奏真です!皆、改めてよろしく」
「白金燐子です。改めてよろしくね、皆」
「宇田川あこだよ!よろしくね!」
それから、少し3人でカフェで寛いだ。
そして、あこがあることを提案した。
「ねぇねぇ、ネカフェ行かない?」
「そうだね」
「じゃあ、そうしようか」
結局、オフ会で集まったもののすぐにNFOを始めてしまう僕達だった。
5時間ほど狩りをして、少しレベルが上がったところで、日が落ちてきて、お開きの時間となった。
「じゃーね!りんりん、そーにぃ!」
「バイバイ、あこちゃん」
「バイバイ、あこ」
あこは家の中に入っていった。
流石にもう遅い時間なので、白金さんを送っていこう。
「もう遅いし、送ってくよ」
「ありがとう、ソー君。いくつか話があるの。いいかな?」
「ああ、いいよ」
話?
なんのことだろう。
「私のことは燐子って呼んでくれないかな」
「いいけど。どうしてなんだ?」
「せっかく、今日仲良くなったんだし。それと、夫婦だから、かな」
「なるほど、わかった。燐子、僕の事も奏真でいいよ」
白金さん、もとい燐子が頬を赤らめながら言った。
燐子って、前から思ってたけどめちゃくちゃ美人だな。
ただ、その燐子の仕草に、僕は心を奪われた。
「奏真君、大好き」
歩いていると、燐子が僕の腕に抱きついて、そう言った。
さっきからドキドキさせられっぱなしだ。
「どうしたんだ、いきなり」
「私達って夫婦でしょ?」
「そ、そうだな。NFOの中ではだけど」
「今はそうだけどね。でも、そうじゃないようにしたいの。奏真君がいいなら、私と付き合ってくれませんか?」
待ってくれ。
状況が一切整理出来てない。
とりあえず少し待って貰おう。
「待ってくれ、燐子。僕は今この状況が飲み込めてないんだ。僕に時間をくれないか?」
「いいよ。奏真君が、返事をくれるまでいつまでも」
「絶対に、返事はするから」
とりあえず、少し頭を冷やそう。
ちょうど燐子の家に着いたようで、燐子は僕に手を振って家に入っていった。
僕は、家に帰ってから、今日の出来事を考え続けてしまい、今晩は一睡も出来なかった。
感想いただけると更新頻度が爆上がりします。