僕は結局、昨日の出来事が頭から離れず一睡も出来なかった。
翌朝。
ガッツリと眠気が残る体を引きずり、1階に降りる。
「奏真、おはよ~。今朝ごはん作ってるから、座って待ってて~」
「うす。リサ姉」
「奏真、昨日何かあった?疲れた顔してるよ?」
リビングに居たのは、従姉のリサ姉だった。
両親が仕事で長く家を開けていて、僕は一切料理が出来ない。
なので近くに住んでいる従姉のリサ姉が毎朝と毎晩料理を作りに来てくれる。
正直リサ姉の料理は店に出してもいいレベルだ。
最高に美味しい。
「女の子から告白でもされた?」
「べ、別に、ささされて無いけど?だって僕リサ姉みたいにモテるわけじゃあないし」
「そーかなぁ?奏真も結構カッコいいと思うけど~」
無い無い。
僕がカッコよかったらこれまでにも数回告白されてるって。
リサ姉に相談しようかな、昨日のこと。
結構慣れてそうだし。
「それで、リサ姉。相談なんだけどさ、さっきリサ姉が言ってたことが実際にあって僕はどうすればいいのかな?」
「その女の子の事は、どう思ってるの?」
「どうなのかな。なんとも思ってないってことは無いんだけど、なんというか、モヤモヤしてるんだ」
「今その女の子の事を考えてみて?」
僕は燐子のことを考えてみてみた。
僕にとって燐子は………。
中等部の頃からなぜか毎年同じクラスで、2年生の頃辺りから自然と目で追うようになっていた。
そして、話していると心臓がドキドキしっぱなしだ。
あれ、顔が熱くなってきた。
「その反応は、完全に墜ちてるね」
「え?」
「もう返事は決まったも同然だね!」
ああ。
僕の返事はもう決まった。
僕は燐子のことが好きだ。
そうこうしてると、もうそろそろ学校に行く時間だ。
僕達は家を出ると、学校の方向が違うのでそれぞれ逆方向に向かった。
「リサ姉、また夕方」
「奏真!夕飯楽しみにしててね~」
「楽しみにしてまーす!」
遅刻しない程度の時間に学校に到着し、校門をくぐる。
「あら、四条君。夜更かしは体に毒ですよ」
「どうして夜更かししたって分かったんだ?氷川」
「あとで鏡をみた方が良いですよ。目の下のクマが凄いことになっていますから」
「そうなんだ。あとで見てくるよ」
僕は教室に着くと、自分の席に伏せて眠った。
「奏真君、おはよう」
耳元で囁かれた。
この声は、燐子か。
「ぅ、おはよ~、燐子」
改めて意識してみると、死ぬほど可愛いな。
昨日の私服も、最高だった。
制服姿の燐子も破壊力抜群だ。
僕の携帯にチャットが来た。
燐子からだ。
『奏真君、昨日眠れなかったの?』
『ああ。全然眠れなかった』
『今日放課後委員会だけど休んでもいいんだよ?奏真君の体が一番大切だし』
『心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。たまに一晩中NFOする事あるし、慣れてるから』
燐子は優しいな。
ヤバい、さらに惚れてしまいそうだ。
数分後、チャイムが鳴りホームルームが始まる。
今日は隣の席の丸山さんは休みか。
そういえばアイドルやってるんだった。
あれ、なんかウトウトしてきた。
そして、僕の意識は途切れた。
約三十分後。
「……君!四条君!」
体を揺さぶられる。
「大丈夫ですか?授業中急に倒れるように寝ましたけど」
「ぅん?氷川か。どれくらい寝てた?」
「授業が始まってすぐですから……、大体三十分位でしょうか?」
「結構寝てたな~。悪いんだけどさ、ノート見せてくれる?」
「しょうがないですね。今回だけですよ」
「ありがとうね。氷川がいて助かったよ」
あっぶね~、助かった。
氷川がいなかったら終わってた。
すると、なにやら鋭い視線を感じる。
昼休みになり、いつも通りの場所で弁当を食べようと屋上へ向かう。
屋上に着くと、普段座っているベンチに燐子が座っていた。
「あ、奏真君。奏真君の分のお弁当も作って来たよ」
「それはありがたいな」
僕は燐子が作った弁当を食べ始める。
彩り豊かな見ていて綺麗な弁当だ。
すごく美味しい。
「そのお弁当、変じゃ、ないかな?」
「燐子、すごく美味しいよ」
「よかった~。たくさん愛を込めて作ったんだ~」
「そうなんだ、ありがとう。燐子、一つ話があるんだ
僕は真剣な表情で、まっすぐ燐子の目を見る。
「昨日の返事なんだけどさ、僕は燐子のことが好きだ!」
燐子は大きく目を見開いて口をパクパクさせている。
「中等部の頃から、気付いたら燐子の事を目で追ってたんだ。授業中とか、気付いたらずっと燐子の事を見てた」
「昨日一晩中、燐子の事を考えてた。それで、悩んで悩んで出した結果なんだ。燐子、僕と付き合ってくれないか?」
すると、燐子は瞳に涙を浮かべながら大きく頷いた。
「こんな私でよければ」
この燐子の笑顔を、僕は一生忘れることは無いだろう。
ただ、僕達は忘れていた。
今が昼休みだということを。
僕達は予鈴にも気づかず、話していたらしい。
さっき鳴ったのは、授業開始のチャイムだった。
「燐子、まずいって。授業始まっちゃった!」
「え……」
「「しまった~!」」
そして、遅刻した僕達は放課後教室の掃除をさせられることになった。