僕達は、委員会の仕事を早めに終わらせて羽沢珈琲店に向かっている。
なにやら、先ほどから商店街の昔からよく知る人が微笑ましそうに僕達の方をちらちら見ている。
さらには友達と歩いているらしい沙綾と一瞬目が合った。
あ、これ次店行った時弄られる奴だ。
でも、学校からずっと腕に抱きついている燐子が可愛すぎるので少し弄られる位問題ない。
少し歩いていると、目的の羽沢珈琲店が見えてきた。
僕が店のドアを開けると聞き慣れたカランカランという音がなる。
すると店員のバイトの女の子が、元気な声で挨拶してくれた。
そして席に案内されて、席に着く。
「燐子、何頼む?」
「私は、これがいい、かな」
「オーケー。僕はこれにしようかな」
僕達はそれぞれ選んだ品を注文し、それから主にNFOの事を話していると、注文した品がやって来た。
「燐子、ホットミルク好きなの?」
「うん。奏真君は、紅茶好きなの?」
「ああ。家では大体紅茶かな」
燐子、ホットミルクが好きなのか。
僕の知らない燐子の一面を知ることが出来て、少し嬉しい。
「奏真君、ほっぺにクリーム付いてるよ」
「え!?」
僕が気づいた頃には、燐子は僕の頬についているクリームをとってペロリと舐めた。
その仕草が少し色っぽくてドキッとしてしまった。
「どうしたの?奏真君、ぼうっとして」
「い、いや。別に」
「奏真君、ちょっと相談があるんだけど、いいかな」
「うん、いいよ」
どうやら燐子から、相談があるみたいだ。
どんなことだろう。
「私ね、バンドに入ろうか迷ってるんだ」
「バンド、か。そういえば僕の従姉の友達も今バンドメンバー集めてたな」
「でも、私が入ってもいいのかなって思って」
「いいと思うよ、僕は。だって燐子の腕前なら何の問題もないしね。それと、迷ってるのはやりたいっていう思いが燐子の中で強いからなんだ。そういう時はやった方がいいよ。一度きりの人生、やりたいことやらずに何するの?って話」
「ありがとう、奏真君。私、やってみようかな」
「うんうん、その意気その意気だよ、燐子」
「やっぱり奏真君に相談して正解だった。もう迷いなんて、どこにもないもん」
「僕もそう言ってもらえて嬉しいよ。燐子の力になれてよかった」
それから、少しゆったりと喫茶店で寛いだ。
「奏真君、今から本屋さん寄っても良いかな?」
「いいよ。僕もまだ全然暇だし」
さっきリサ姉から今日はバイトあるから遅くなるって送られてきたから今日は結構時間がある。
よって僕達は今から本屋に向かう事になった。
そういえば今日新刊の発売日か。
あと音楽雑誌の今月号も今日だっけか。
「奏真君ってよく読書してるよね。どんな本読んでるの?」
「そうだなぁ、色々なジャンルの本を読むけど従姉の影響で恋愛小説はよく読むかな」
「そうなんだ。私も、よく読むんだ。奏真君の従姉ってどんな人なの?」
「僕の従姉は、従姉というよりは姉に近いかな。うち、両親がよく家を開けるから夕飯はいつも作って貰ってるし。それと、僕の考えてることが大体筒抜けだし」
「いい人だね」
少し歩くと、目的の本屋が見えてきた。
この本屋は、規模はあまり大きくないものの、雰囲気が心地よく隣にカフェがあるため結構人気のお店だ。
「新刊売ってるかな~」
「売ってると、いいな」
僕達は本屋の中をぐるぐると回り、欲しい本を色々と手に取った。
その中には、僕が楽しみにしていた新刊や、本日発売の音楽雑誌もあった。
「思ったより多く買ったな」
「でも、目当ての本があってよかったぁ」
「それと、これが買えたのは相当嬉しいな」
僕が買ったのは、色々な猫の写真集だ。
これ一冊で僕のすべての疲労はどこかへ吹き飛ぶ。
「猫、好きなの?」
「ああ、大好き」
「じゃあ、家で飼ったりもしてるの?」
「うん。子猫を一匹だけど。写真もあるけど、見る?」
「うん。見てみたい、かな」
僕達は公園のベンチに座って、ショコラの写真を見始めた。
「すごい、仰向けに寝てる……」
「子猫にたまにあるみたいなんだ」
「そうなんだ、初めて知った。他に写真、無いの?」
「もちろんあるとも」
次に僕が見せたのは、美味しそうにエサを食べる様子のワンショット。
ショコラの目が輝いていて、本当に美味しそうに食べているのがよくわかる。
「可愛い……」
「でしょ?しかも帰ってきたら足元に走ってくるんだ」
「確かに、これなら疲れなんてどこか行っちゃうね」
燐子もショコラのかわいさの犠牲者になってしまったようだ。
ショコラのかわいさは世界最強だからね。
仕方ない。
すっかり暗くなった空の下、僕達は燐子の家に向かっている。
二人で話しながらだと、時間がとても短く感じる。
「奏真君、また一緒にどこか行こうね」
「ああ。僕も行きたいよ、燐子。それじゃあ、また明日」
「また明日」
僕は、燐子を家に送ったあと自宅に帰った。
足元に走ってくるショコラを抱き抱えながらリビングに向かうと、リサ姉がキッチンで夕飯を作っていた。
「あ、お帰り!奏真」
「ただいま、リサ姉」
「デートどうだった?」
「楽しかったよ。それよりも、食べようよ」
「そうだね」
それから、いつも通り夕飯を食べた。