GAMERA/シンフォギアの守護者~The Guardian of Symphogear~第二楽章-LUNAFALL   作:フォレス・ノースウッド

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やっと第二部始動です。
ここまで待たせてすみません。
これを書き終えるのはいつ頃になるやら。

ちなみに、冒頭の朱音のモノローグはTwitterのフォロワーさんの一人でこちらでは『アウス・ハーメン』なで通ってるアウスさんの二次小説『戦姫と勇者の二重奏』の世界(シンフォギアと結城友奈は勇者であるシリーズのクロス)にコラボで異世界転移していた時のことです。

あと先に出したプロローグ読めば分かりますが、本作はG辺りの時系列なのにGXの要素も盛り込まれてます。
『Gで語り切れなかった諸々にケリをつける』のがGXのコンセプトならもう一緒に入れてしまえ!!
自分からハードルを上げていくスタイル(^-^;


#1 - 新たな不穏 ◆

 特異災害対策機動二課の長い一日こと《ルナアタック》から数か月後、季節は夏から秋、そして冬へと少しずつ移ろいゆく十一月の始めの朝。

 神奈川県横浜市鶴見区にある一〇階建てのマンションのロビーから、日本有数のマンモス学校リディアン音楽院高等科の制服を着た少女が外に出てくる。

 

【挿絵表示】

 

 一七〇センチと高身長かつ八頭身で、日本の女子高生離れしたスタイルと大人びた美貌、カシスベリーがかった長い黒髪、そして宝石と見まごう翡翠色の瞳。

 少女の名は―――草凪朱音(くさなぎ・あやね)。

 リディアン高等科一回生の女子高生にして、人知れず特異災害――ノイズから人々を守る戦士《シンフォギア装者》の一人である。

 

 

 

 

 

 私は歩を進めたまま、静かに慎ましく昇って地上を照らす太陽光を浴び深呼吸をした。

 数日前(ほんのちょっとまえ)に、日本どころか世界全体も、そして私たち装者と弦さんたち二課の方々にとっても震撼ものな〝大事件〟があったのと裏腹に、今朝も静かかつ穏やかに大地を包んでいく朝焼け。

 季節の変わり目特有の澄んだ、尚且つ朝ならではのしとやかさが絶妙に混ざり合った空気をのびのびと伸ばす全身で取り込むと、芯から活力が漲っていく。

 腕を伸ばしてふと、今日も付けてきた腕輪(ブレスレット)が目に入った。

 私の瞳の色を同じ、本物の翡翠があしらわれたもの。

 実を言うと、思い出せないのだ………いつ、誰にこれをプレゼントされたか。多分、夏真っ盛りな八月の両親の命日にお墓参りに行った辺りの筈なんだけど、あの時期私は一種の〝神隠し〟に遭ったらしく、記憶がおぼろげだ。

 創作物で言う異世界転移の様な、大分壮大で長~い〝冒険〟をしていたような感覚が身に染みているんだけど、具体的になにがあったのか思い出すことはまだできてない。

 でも今は、まだそれでいいとも思って、そっと翡翠の宝玉を撫でる。

 少なくとも、このブレスレットは絶対に手放してはならない〝たいせつなもの〟だぞと、身体が、心(むねのうた)が主張しているのは確かなのだから。

 今は思い出せないだけで、いつか思い出せる、焦ることはないんだと、再び青空を見上げた。

 上空は雲一つない〝小春日和〟と表するに相応しい快晴具合で、通学時間と言う制約が無ければ何時間でも見上げたまま歩き続けられそうだね~~と、秋天を眺めていると、ま~た我が心(むねのうた)が〝歌いたいッ!〟と主張してくる。

 

「ふ~む……」

 

 一応周囲の通行人密度を確認するが……どうせ声量を抑えようが、鼻歌か口笛で留めようが、一度歌い出したら周りを憚らずに歌い上げちゃって恥ずかしい気分になってしまうのが私の癖なので―――もう開き直ることにした。

 脳内のプレイリストから選曲し、足先でトントンとリズムを整えて。

 

〝~~~♪〟

 

 その足でステップとセットで前奏を口笛で鳴らし。

 

『自分を~世界さえも~変えてしまえそうな~~瞬間はいつもすぐそばに~~♪』

 

 歌い出して、リディアン高等科二代目校舎へと駆け出していった。

 

 

 

 

 さて、先述した〝大事件〟のことだけど、どこから話したものかな?

 そう、あの日はこんな晴れ晴れとした今朝とは正反対に、季節外れの台風とでも揶揄したくなる大雨模様だった。

 

 

 

 

 

 時は遡って、先週の土曜日、私はリディアンに通う級友兼、ともに特異災害含めた災厄に立ち向かう戦友でもある同じシンフォギア装者の身である立花響と雪音クリスとともに列車に乗って揺られていた。 

 外は仮にも昼なのに濃い暗雲のせいで薄暗く、激しい雨と雷鳴が絶えず降り注ぐ悪天候。

 列車内にいる私たちは各々の格好こそ休日の外出用の私服ではあるが、生憎とプライベートのお出かけとは程遠い、学業の傍らで全うしている装者としての職務の一環。

 車両も私たちが乗っている区画だけでも窓は無く、内壁は無機質なグレーの色合いで防弾対策完備、人間一人が携行できる重火器の弾丸どころか、戦車の砲撃にもミサイルの直撃にもある程度耐えられるだけの防御力を持つだけでなく、自動迎撃用砲台にミサイル発射機能と言った武装を備えた特殊仕様で、乗車している人間の大半も在日米軍兵といった具合。

 そんな列車に乗車している自分たちシンフォギア装者の今回の任務(しごと)を端的に述べるなら、永い悠久の時を経ても尚劣化も破損も免れ、当時と寸分違わぬ姿と性能(スペック)のまま現代にまで生き続けてきた〝完全聖遺物〟輸送の護衛。

 向かいの座席にいるのは友里さんと、もう一人。

 身に纏う白衣以上に白い銀髪と眼鏡と、長身痩躯な研究者(ドクター)の膝の上のジェラルミンケース。

 その中に入っている護衛対象な聖遺物のコードネームは《サクリストS》

 正式名称――《ソロモンの杖》。

 次元の狭間のどこかに存在する《バビロニアの宝物庫》からノイズを召喚し、かの特異災害を創造主の意図通りに〝人が人を殺す為〟の生体兵器として自在に使役、制御することを可能とする、先史文明の置き土産の一つ。

 

「〝友よ、水になれ〟だよ、クリス」

 

 私は隣に座るクリスを見やり、身体が過度に緊張の糸が走って固くなり、思い詰めているのが明白に読み取れる表情(かおつき)なクリスに、自分も我が祖父(グランパ)もリスペクトするかの二〇世紀の映画史に残るアクションスターにして武道家が生前に残した名言の一つを引用して忠告を投げた。

 

「おう……でも〝アレ〟を起こしたのはアタシだってのは、変わりねえし」

 

 俯むクリスの眉間に差し込む影が深まり、膝の上に置かれる両手を握る力が強まる。

 何しろ《ソロモンの杖》を休眠状態から覚醒させたのは他ならぬ、クリスの歌声だ。

〝戦争(あらそい)〟を心から憎んでいながら、世界にまたその悲劇を招きかねない火種を理由や経緯や境遇はどうあれ目覚めさせてしまった現実を前に、彼女の心には蠢き疼く〝罪悪感〟がへばり付いて離れずにいる。

 私は震えるクリスの握り拳にそっと触れようとしたが、その前に――。

 

「お、おい……」

 

 響の両手がクリスのを包み込み、勢いよく互いの首元の高さにまで振り上げる。

 その状態のまま、数秒の沈黙、他人からの厚意を受け慣れていないクリスの頬が赤くなっていく。

 

「いや~~勢いまかせだったから上手く言えないんだけど」

 

 口と表情では困った様子を表しながらも、響の両手はクリスのを話さずに握ってあげたまま。

 

「でも、クリスちゃんと、了子さん――フィーネさんの為にも、悪用は絶対させないから」

 

 クリスの瞳と真正面から合わせて、響は自分の決意(きもち)をひた向きに表明した。

 

「このばか正直のバカ響っ……」

 

 対するクリスは響の直球(まなざし)が眩し過ぎて頬の赤味具合が増し、けれどまんざらでもなさそうに応じ。

 

「お二人さん、そういうのは家に帰ってからにしれくれるかな?」

「だ、だだだだから家なら良いってのかよッ!!」

「公衆の面前よりはまだ慎ましいでしょ」

 

 私はと言えば口元を綻ばせてちょっとした冗談を投げつけ、ますます気恥ずかしさで赤くなるあわあわとしたクリスからキレのあるツッコミを頂戴された直後、向かいの《ソロモンの杖》が入ったケースを(貴重な起動状態の完全聖遺物だから当然ではあるけど)後生大事に持って座る白衣の男は、景気よく笑顔を私たちに向けて拍手を鳴らしてきた。

 

「ドクター・ウェル?」

 

 私は内心適度な緊張感を維持したまま、その男の敬称(ニックネーム)を呼ぶ。

 

「さすが言うべきでしょうか~?《ルナアタック》から世界を守り抜いた〝英雄〟の皆さんだとお思いましてね」

 

 本名――ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。

 アメリカ合衆国の聖遺物研究機関《F.I.S》所属の研究員でもある生化学専門の科学者(ドクター)だ。

 

「特にミス朱音、君はご友人を気遣える余裕を崩さずに自身も口にした〝水〟の如き精神でいついかなる事態にも対処できる様、備えてもいる、私も見習いたいものです」

「それはどうも、ノイズの様な荒事を相手するには、水の精神(こころ)でいるのが一番ですから」

 

 水の様に――要約すれば〝どんな事態が起きても悠然と柔軟に対処できる様〟に努めている旨を、表向きフラットかそこそこ友好的な態度でドクター・ウェルに返す。

 実を言うと、私は数時間前に会ったばかりのこの科学者から、違和感(きなくささ)と言う第一印象を抱いていた。

 引っかかる理由は幾つかあるけど、その内の一つを上げるなら……本名。

《フランス最初の英雄》と称される偉人と同じ苗字はまだしも、彼の両親は何を思って《アメリカの英雄》の異名を持つハリウッドスターの芸名(ステージネーム)をそのまま拝借して授けたのやら―――。

 

「っ……」

 

 ―――我が勾玉(シンフォギア)に熱が灯り、震え出す。

 同時に、勾玉を通じて私の脳髄(かんかく)に雑音が聞こえてきて、その場を立った。

 

「朱音ちゃん?」

「二人ともギアを構えろ、友里さんはドクターと杖を可能な限り先頭車両へ! 」

「分かったわ」

 

 私の意図を察した友里さんは、護身用の拳銃(リボルバー)を取り出して動作を確認し、博士を伴ってその場を後にする。

 

「ノイズが来るッ!」

「マジか!?おい朱音!」

 

 少しでも速く、奴らの襲撃に応戦する為、私は走り出す。

 私と勾玉の察知から少し遅れる形で、武装列車のセンサーもノイズの出現を突き止め、車両内にアラートが響きだした。

 

 

 

 

 

 

 朱音の勾玉(ギア)には、地球そのもにも、この星に住む全ての生命にも絶えず存在する生命エネルギー――《マナ》を読み取れる特性がある。

ノイズが次元の狭間から三次元に現出する時、空間そのものが陽炎の如く歪む現象が生じるのだが、朱音は己が感覚と勾玉(ギア)性質を活用し、位相差空間の発生をマナを通じて感知できるようこの数か月鍛錬に励んできた。

 その努力の甲斐あって今回の様に、誰よりも先にノイズ出現を感じ取った朱音は車両のオートドアを開けると、外から暴風と大雨が彼女の全身に押し寄せた。

 淡いグレーのデニムダウンシャツと朱音のほどよく引き締まった魅惑的な脚線美を魅せるショートパンツと言う動きやすさ重視の衣服と身体が濡れるのも構わず、列車間の通路にもなっている連結器を踏み込んで跳躍、屋根の淵に手を接触した瞬間跳び越えて車両の上に降り立ち、間髪入れず走り出す。

 

『《SG-N00》――何をしている!?』

 

 豪雨、強風に晒される中で走行する列車の屋根を己が身体能力とパルクール技術で車両後方へ疾駆し、連結部を軽々と跳び越える朱音の耳に予め付けておいた小型通信機からシンフォギアシステムの開発者櫻井博士自ら設定したギアの識別名(けいしきばんごう)で彼女の行動を咎めるのは、武装列車の管制担当する在日米軍の将校の怒号。

 

 

『〝まだ承認は降りていない〟か? そんな猶予はないッ!』

 

〝Valdura~airluoues~giaea~~♪〟

 

 将校と同じく英語で応じた朱音は《聖詠》の詩――〝我、ガイアの力を纏いて、悪しき魂と戦わん〟――を奏で、列車最後部に現着。

 暁色に輝く勾玉から同色のエネルギーフィールドが放出されて朱音の全身を球体で包み込み、その一部が流水状に宙を唸って彼女の右腕を覆うと。

 

《激突貫――ラッシングクロー》

 

 ギアアーマーに固形化されたと同時に突き出した右手の刺突が、先陣を切っていた鳥型生物に酷似した飛行型ノイズの突進と真っ向から衝突、一瞬で相手(ノイズ)は灰化し散華。

 続いてエネルギーは朱音の左脚にアーマーとなり。

 

《邪撃脚――カーフクロー》

 

 遠心力を乗せた蹴爪(ニールキック)で二体目を蹴り飛ばし。

 

《参連熱爪――ドライフォトンクロー》

 

 握り拳にした両手の手甲から伸ばした三本の鈎爪で、突撃し続ける飛行型たちを次々と両断する朱音の全身に紅緋色のギアアーマーが装着し変身完了。

 

『今の内に車両前方に避難するんだッ!』

 

 後方部の車両内にいる在日米兵に朱音は避難を呼びかけ、息を深く吸い込み。

 

『障害を~穿つ槍と相成れ~~我が歌声よ~~♪』

 

《超振動熱波――ヴァリアブルレリース》

 

『Release―――~~~!!』

 

 発した歌声(シャウト)は超振動派となって、翡翠の瞳が見据える先の上空にいる鳥型飛行ノイズの群体の多くを爆散させた。

 

 

「So Just leg it Now(さあはやく逃げろ)ッ!」

『了解した、退避~ッ!』

 

 先陣の群れを撃破した朱音からの警告を聞き入れた米兵たちが、車両前方へと避難する喧噪と列車内を打ち鳴らす物音で把握したと同時に。

 

〝Balwisyall~nescell~gungnir~tron~~♪(喪失までのカウントダウン)〟

 

〝Killiter~Ichaival~tron~~♪(銃爪にかけた指で、夢をなぞる)〟

 

 響のガングニールとクリスのイチイバルの聖詠が響き渡り、車体を突き破って二人も己がギアを纏いて現着した。

 

「抜け駆けはズルいぞ」

「すまない、だが奴さんはまだ大漁だ」

 

 暗雲から、装者たちの視界一杯に大量の飛行型ノイズが続々と姿を現す。

 

「確かにうじゃうじゃ湧いてくるな群雀(むれすずめ)どもがッ!!」

 

 クリスの腕部(アーマー)はクロスボウに変形し、朱音の掌のプラズマエネルギー噴射口から放たれた炎はライフルとなり。

 

《烈火球――プラズマ火球》

 

 同時に上空へ構えた二人の銃(アームドギア)から、火球と光の矢が連続発射し、曇天にノイズの断末魔できた花火が幾つも迸る。

 

「アタシの背中と列車は預けたからな!」

「ああ!」

「任せて!」

 

 腰部と両足裏のスラスターが点火し――。

 

「Let’s Dancing Go(さあ、踊るとしよう)~~♪」

 

 朱音は大雨吹き荒れる暗雲へ飛翔、脹脛のアンカージャッキで響も高々と空中へ飛び上がる。

 列車上部に留まるクリスはクロスボウを二挺に増やし、光矢を乱れ撃つ。

 彼女の狙撃技術の高さで一発も漏らさずに矢は飛行型を撃ち抜くが、群雀の一部はクリスの射角からは死角となる背後に狙いを定めて螺旋状の突撃形態となって迫るも、朱音の射撃(かきゅう)と響の徒手空拳がそれを阻んだ。

《ルナアタック》から今日までの日々の特訓と実戦で、彼女らの連携の精度は格段に上がっている。

 

「土砂降りブッ放すっぞ!!」

 

 クリスのクロスボウが変形、大型化、長い実体矢が二振りずつ引き絞られ、朱音と響が一度列車上の降りたタイミングで射出。

 

《GIGA ZEPPELIN》

 

 大型実体矢は飛行型よりも高度の上空まで上昇すると分裂、無数のクラスター弾となってクリスの宣言通りに子爆弾の驟雨(どしゃぶり)を浴びた飛行型の大半が炸裂の火を上げ、薄暗い曇天を華々しく照らした。

 

「あいつが親玉か!」

 

 しかし彼女の技の直撃を受けていながら健在の個体が一体。

 二課からは翼獣型、通称《フライトノイズ》と呼ばれる中型サイズのノイズが列車へと降下。

 

《MEGA DEATH PARTY》

 

 クリスの腰部から展開された誘導ミサイルが一斉掃射するが、翼獣型は自身よりも小型の鳥型を凌駕する機動力で掻い潜り、自らを鋭利な突起状にした突撃形態となって降下速度を速める。

 

《BILLION MAIDEN》

 

 両手のクロスボウをガトリングガンに変えたクリスの乱射どころか、朱音の火球の直撃すらも耐え。

 

「とりゃぁぁぁぁーーー!!」

 

 響の渾身の拳打すら、軌道を変えるだけで手一杯の防御力を見せつける。

 おまけに翼獣型に注意を向き過ぎれば残った鳥型が隙を突こうとしてくるので、装者たちは列車と輸送中《ソロモンの杖》を防衛する枷も相まって攻めあぐねる状態に陥った。

 

「二人とも伏せろッ!」

「「えっ?」」

 

 翼獣型の応戦から列車上へ急降下した朱音は二人を抱きかかえて先程響が開けた風穴から車内に飛び込む。

 

「わりぃ……助かった」

「ありがと朱音ちゃん」

 

 間一髪、列車がトンネルに入ろうとしていたからである。

 朱音が機転を利かせていなければ、二人とも今頃外壁と正面衝突し、アーマーの防護力で無事でも列車から置き去りをくらっていただろう。

 

「翼獣ヤローは?」

「奴もトンネルに入ってる」

 

 トンネルの幅よりも巨体な翼獣型は、されどノイズ共通の能力《位相差双璧》ですり抜け、列車に迫って徐々に距離を詰めてくる。

 迎撃しようにも、あの堅牢な体躯を撃破できるだけの火力をこの閉鎖空間で叩き込めば、爆発で大惨事になる為、依然として攻めあぐねる状況下――。

 

 

「そうだ!」

 

 ――を打ち破る妙案が浮かんだ様子で、響は自分の掌をこんと叩いた。

 

「こういう時は列車の一部を切り離してぶつけるんだよ!」

「おい待て……それのネタ元は司令(おっさん)大好きな面白映画からだろ?そんなんでどうにかできんのか? 大体ぶつけたってあいつらすり抜けてくんだぞ……」

「ぶつけるのはそれだけじゃないさ」

 

 朱音も響のアイデアから突破口を見出したらしく。

 

「まずはこの車両を切り離すぞ、クリスは《音響弾》の準備を!」

「分かった」

 

 三人は最後部から前の車両の飛び移り、朱音は甲羅(シールド)を生成しながら連結部を破壊、クリスも指示通り後部車両の壁面に弾丸を打ち込んだ。

 この《音響弾》は、それ自体がスピーカーとなっており、そこから装者の歌声をワイヤレスで響かせる上に〝効力〟を増幅させる特性を有する。

 

《電磁気弾――エレクトロアトモス》

 

 さらに朱音は電磁(プラズマ)で圧縮した大気の弾丸を発し、切り離した後部車両を翼獣型めがけ押し出すと、響とともに線路上に降り立った。

 

「最速~最短で~♪」

「真っすぐに~~一直線に~~♪」

 

 

 位相差障壁で列車をすり抜けようとした翼獣は《音響弾》の強化(ブースト)もかかった朱音と響の二重奏で位相操作がおぼつかなくなり、そこに朱音が投擲・遠隔操作された甲羅がノイズの先端に付着、回転しながら渦巻き状に放出されたエネルギーフィールドで進行も阻まれる中。

 

「「このう~た~ごえを~~~―――」」

 

 腕部プロテクターを推進器付きに大型ハンマーパーツに変えた響の右腕と。

 

《爆熱拳――バニシングフィスト》

 

 炎を前世の自分(ガメラ)の腕に形作って纏わせた朱音の左腕。

 

「「―――叩きッ~~込めぇぇぇぇ~~~――――!!」」

 

《爆熱烈火槍――バニシンググングニル》

 

 構える二人は、プラズマジェット噴射とアンカージョッキで同時に飛び上がり、翼獣を拘束していた甲羅がフィールドを解き、二点同時加重攻撃が翼獣の体躯に命中、その強固な巨体は衝撃で大きなクレーターができるほどのダメージを受け。

 

『下がれッ!締めはアタシがッ!』

 

 通信でクリスの声を聴いた二人が飛び退いたところへ。

 

《RED HOT BLAZE》

 

 車両の扉からアームドギアをスナイパーライフルに変形させて照準を合わせていたクリスは引き金を絞り、発射された弾丸は見事クレーターの中心に着弾、貫通。

 今のクリスの狙撃がトドメとなって、翼獣型の体躯は灰化、体組織が崩壊して四散した。

 トンネル内部はノイズの灰(にくへん)こそ飛び散ったものの、二次災害は最小限に抑えた上で、この度出現したノイズは全て駆逐されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな装者たちの奮闘を遠くから傍観する者がいた。

 

「社長(マスター)、私(ガリィ)の視覚情報はちゃんと届いてるかしら~?」

 

 メイド服を思わせる青いドレスを身に着け、バレリーナ顔負けのしなやかなポーズを取るその少女は、顔立ちこそ人形の様に端正で可愛らしさがあったが、表情は嗜虐的な笑みで、口内は鮫の如き歯並び、見た者から〝性根が腐っている〟と印象付けられそうな雰囲気を露わにしていた。

 

『問題ない……お前の余計な実況解説が雑音(ノイズ)だったのを除けばな……』

 

 その少女の脳裏に響く女性の声。 

 

「そんな~~ゲームのプレイ動画でも、単に垂れ流しするより実況があった方が盛り上がるんですよ~~そんなことも知らないんですか~~?」

『どこでそんな趣味を身に着けた? とにかく戻れ』

「りょーかいで~す♪」

 

 自らを〝ガリィ〟と称した少女は懐から両端が円錐状の宝玉を取り出し、地面に落として割ると、そこから魔方陣と形容できる光の円陣が出現し、少女の姿はその場から消失していった。

 

 

つづく。

 




かのブルース・リーの名言を引用したうちの朱音(ガメラ)ですが、実際G2でガメラを演じた大橋明さんはリー師匠のファイティングポーズオマージュしてたと言う裏話もあります。
言われてみれば確かに。

自分がシンフォギア本家で心残りだと思ってるのは『クリスちゃんが響を名前で呼ぶ』ことです(断言
ただね~~無印からGまでの間に名前呼び除けば大分仲深まってる二人だから、GX以降の時系列で丁度ビッキーの『名前を呼んで』な展開設けるのも難しくもあり、朱音の影響(あとおし)もあって『バカ響』と呼べるくらいになってるこっちのクリスちゃんです。

しかしほんとウェル博士の本名ってツッコミどころしかない(オイ


⊡使用楽曲
COLORS/FLOW:コードギアス反逆のルルーシュOP主題歌
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