バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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そういえば前回の話で丁度100話だったみたいです。自分では全く気付いていなかったけどある読者さんが教えてくれました。
皆様の応援に感謝します。これからも頑張っていきたいです!




24 お仕置き

「ふぅ……予定よりも大分時間がかかったな」

「そうじゃのぅ……かなり心臓に悪かったのじゃ」

 

 小山を蹴散らした僕達はのんびりと雄二たちの居る部屋へと向かって居た。

 もう演技の必要は無いが、女装はまだ解いていない。端から見ればかなり奇妙な光景だ。

 

「そんなに怯えていたのか。それで良く演技ができたな」

「むしろ役に入ってしまえば大丈夫なのじゃが……一言も話せなかったからのぅ……」

「それが木下姉が付けた協力条件だったからな。前にCクラスでやらかした事を考えれば妥当ではあるが」

「むぅ……」

 

 そんな雑談をしながら歩いていたら目的地へと到着した。

 そして扉を開けると同時にこんな声が耳に飛び込んできた。

 

「皆さん、本っ当にすいませんでした!!!」

「ちょ、姫路さん!? 落ち着いて! まずは顔を上げて!!」

 

 土下座しながら大声で謝っている、姫路。

 それに対して狼狽えている明久。

 そして無言で見守る康太。

 面倒くさそうにしている宮霧

 なかなか愉快な光景だな。

 

「おいお前たち」

「あ、空凪さん! どうしたんだい? 今ちょっと立て込んでるんだけど……」

「…………あらごめんなさい。坂本くんは居るかしら?」

 

 僕の事を光だと誤認しているようだ。面白そうなので乗っかってみるとしよう。

 ……秀吉、何か言いたげな目だな。文句があるなら言いたまえ。

 

「雄二? 戦後の話をする為に小山さんの所に向かったよ」

「あら? すれ違ったかな……まいっか。

 にしても随分と愉快な光景ね。吉井くんって、人に土下座させる趣味でもあるの」

「違うよ!?」

「吉井くんを悪く言わないで下さい! 私が謝ってるだけなんです!!」

「謝る?」

「はい! 私、その、皆さんの事を盗撮犯だと思い込んで、酷い事を、いっぱい、いっぱい、うわぁぁん!!」

「姫路さん泣かないで! 大丈夫、大丈夫だから!!」

 

 実に感動的な光景だな。事件が早々に解決していたら絶対に見れなかった光景だろう。

 このまま眺めているのも良いが、それだと話が進まなそうだ。手を貸してやるとするか。

 

「吉井くんは大丈夫だって言ってるみたいだけど、他の2人はどう思う?」

「…………もう過ぎた事だ。

 …………そもそも俺は姫路から直接の被害を受けていない」

「正直言うと姫路さんが最初からこっち側に居てくれれば小山もバカな事はしなかったんじゃないかとは思うけど……そんな事言ったってしょうがないしな。

 土屋が言ったようにオレも直接の被害は受けてない。一番被害を被ったのはさっきから大丈夫を連呼してる吉井くらいだ。気にすんな」

「み、皆さん……ありがとうございます!」

「あ、でも秀吉はともかく代表は何て言うかなぁ……あとあの副代表も読めん。

 何かしらの対価を要求されるかもしれんけど、まぁ頑張ってくれ」

「ぅぅぅ……一体何をやらされるんでしょう……でも仕方の無い事ですね。それが罪滅しになるなら精一杯頑張ります!」

 

 宮霧が僕の名前を出して妙な事を言い出した件について。

 全く、僕がいちいち対価を求めるようなケチな人間に見えると言うのか? 事実だけどさ。

 

「へぇ、贖罪の為なら何でもするって?」

「は、はい……何でもやります!」

「全く、軽々しく何でもとか言うんじゃない。

 今回の戦争の逆転のきっかけを作った。それだけで僕も雄二も満足だよ」

「はい……えっ?」

「どうした? 僕の顔に何か付いてるか?」

「いや、あの……あれ? ま、まさか……空凪くん……ですか?」

「やっと気付いたか。まだまだ修行が足らんな」

 

「「「えええええええっっっっ!?」」」

 

 姫路だけでなく、明久と宮霧の声までもが反響した。

 康太? 康太は普段から無口だからな。

 

「ちなみに、ワシも居る」

「ひ、秀吉くんですか……? 木下さんソックリですね」

「うむ。こういう時は役に立つのぅ。

 それはそうと姫路よ、ワシも皆と同じ意見じゃ。

 確かに嫌な思いもしたものじゃが、最後にはこうして助けに来てくれたのじゃろう? それで十分じゃよ」

「うぅぅっ、皆さん……本当に、本当にありがとうございます!」

 

 これにて、一件落着、だな。

 

 

 

 ……と、思っていたがまだ終わりではなかった。

 

「うぃーっす、戻ったぞ。

 お、姫路も居るのか。ちょうど良かった」

「な、何でしょう……? ま、まさか濡れ衣を着せた事のお詫びに何か命令を……」

「ん? ああ……じゃあそういう事にしておこう」

「ちょっと雄二! 姫路さんに何を言う気!? 霧島さんが泣くよ!?」

「テメェは一体何を想像してやがるんだ。

 安心しろ。大した事じゃない。ちょっと作ってほしいもんがあるだけだ」

「作る……ですか?」

「ああ。お前にしか作れないものだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

  ……そして、数分後……

 

 僕達の目の前には、地獄のような光景が広がっていた。

 ある者は虚ろな目で仰向けに倒れて虚空を眺め、

 ある者は痙攣しながら口から泡を吹き、

 またある者は魘されながら前世の罪を懺悔していた。

 死屍累々。まさにそんな状況だった。

 

「よっし。今回の戦争で傍観してたバカ供へのお仕置きとしては十分だな」

「……私の料理、ここまで酷いですか? いや、酷いからこうなってるんですよね……」

 

 姫路に適当に料理を作ってもらった後、僕の危機感知に反応するものだけを厳選した上でFクラスの男子達に食わせてやった。

 あいつらも女子の手料理が食べられて喜んでるだろう。きっと。

 

「失礼しま……って、何事!?」

「ん? ああ、工藤か。どうしたそんな大声出して」

 

 この地獄と化した部屋に入ってきたのはAクラスの工藤だった。

 騒々しい奴だな。何だ一体。

 

「どうしたもこうしたも無いよ!? 一体何事!?」

「…………女子の手料理を食べられて感激のあまり気絶しているだけだ。気にするな」

「いやいやいやいや、なんか凄い苦しそうに呻いてるけど!?」

「おい工藤、僕の言う事が信じられないと言うのか?」

「信じられないに決まってるよ!!」

 

 ははっ、こやつめ。良い度胸じゃないか。

 ……さて、ふざけるのはこんなもんにしておこう。

 

「さて、状況説明だったな。

 戦争に参加しなかったバカ供への制裁の為、姫路の必殺料理を食わせてやった。以上だ」

「……剣くん。そろそろ冗談は止めてヨ。本当に何があったのか気になるから」

「事実なんだがな……

 あ、そうだ。ここに姫っちの料理の余りがある」

 

 僕の感覚でやや危険度が低いと判断された代物だ。一撃で昇天するような事は無い……はずだ。

 

「姫路さんの料理? 普通に美味しそうだネ」

「で、これを2つの皿に取り分ける」

「うん」

「で、どっちか選んでくれ。選らんだ方はお前が食うが、余った方は明久が食べる」

「ちょっと剣!? どうして僕が食べるの!?」

「……じゃあ、姫路が食べる」

「わ、私ですか……うぅ……色んな意味で断れる立場じゃないのは分かってますけど……ちょっと……」

「……おい副代表、ここは普通はアンタが食べるべき場面だろ。話が進まないからサッサとしてくれ」

「チッ、いいだろう。じゃあ僕が食べる。工藤、選んでくれ」

「わざわざ平等になるように2つに取り分ける時点でとんでもない物なんだろうなっていう予想は付くケド……じゃあ、こっちを貰うヨ。ちょっとだけ食べてみる」

 

 僕が取り分けた皿のうち片方を手に取り、恐る恐る口へと運んだ。

 それが口に入った瞬間、普段は天真爛漫な工藤が完全な無表情となり、そして……

 

「……あれ? ここはどこ? 私は誰……?」

「工藤!?」

 

 

 

  ……10分後……

 

「あ、危なかった……危うく記憶喪失になる所だったヨ。

 剣くん! 何てものを食べさせてくれるの!?」

「僕も同じのを齧ったんだから勘弁してくれ。記憶喪失にはならなかったけど」

 

 適当に揺さぶってみたりとにかく何かこう頑張ってみたら何とか回復してくれた。良かった良かった。

 

「コレを、姫路さんが作ったの?」

「…………はい」

「……そりゃあこうなるって話だネ……」

 

 ようやく工藤も納得してくれたようだ。良かった良かった。

 

「で、工藤、何の用だ?」

「あ、うん。Cクラスとの戦後交渉とかが終わったのならまた一緒に勉強しようって誘いに来たんだヨ。

 特に代表とか首を長くして待ってるよ」

「翔子か。そういや途中だったな。

 ……できれば再開したくないんだが……」

「拒否しようとしても追いかけっこが追加されるだけだと思うよ。代表だって楽しみにしてるんだから行ってあげなよ」

「ぐっ……分かった。行くか」






「制裁が……えげつない……」

「劣化したものでさえ記憶が飛ぶレベルってどんだけだよ、姫っち」

「原作でも記憶が飛んだ人は……居なかったはずだけど、あの姫路さんの料理なら有り得るのが怖いわね」

「全くだな。あの姫路の料理だからなぁ……」

「元々は完璧ヒロインだった姫路さんに欠点を追加してみたってだけの設定だっけこれ?
 元々は恐ろしく不味い程度だったはずなのに巻を重ねる毎に毒性がどんどんインフレしていったのよね……」

「……完璧ヒロインの欠点、か。
 そう言えば御空、貴様は料理はできるのか?」

「え? う~ん……得意ではないかな。一応レシピを調べれば大抵のものは作れると思うけど……」

「レシピを自作して大失敗するよりはよっぽど良い。真っ当に普通程度の腕前のようだな」

「……褒められてるのかなぁ? 姫路さんと比較してる時点で褒めてないような気も……
 まいっか。次回もお楽しみに!」
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