戦後対談を行ったDクラスからAクラスへと向かう。
……と、仰々しく表現してみたがDクラスもAクラスも新校舎にあり、階も同じなので1分もかからずに到着した。
扉を蹴破るのは……止めておくか。宣戦布告の時でいいな。
普通に引き戸を開けて中へ入る。
「ちぃーっす。失礼しまーす」
堂々と侵入した事で注目を浴びるが、特に気にすることなく目的の人物の下へと歩みを進める。
僕の家族である
「よぅ。新しいクラスになって孤立してないか?」
「あ~、誰かと思ったらいきなり戦争で大暴れしてたアホじゃないの。
一応敵クラスだってのに、よくもまぁ堂々と顔を出せたものね」
「いやいや、同じ学舎で志を共にする同級生じゃないか」
「Fクラスは旧校舎だから同じ学舎という表現は微妙にズレてるわね」
「ナイスツッコミ! 拾ってくれなかったらどうしようかと思ったよ」
「はいはい。で、何のよう?」
「そりゃ勿論偵さ……いや~、お前の事が心配でなぁ。
お前みたいな天災がボッチになってたら可哀想だろ?
尤も、杞憂だったようだが」
「……あえて建前の方にコメントしておくわ。そんなの分かりきっていた事でしょうに」
現在は下校時刻を少々過ぎている。それでも光が教室に残っていたのは……学友と談笑していたからのようだ。
光を除く3人のうち2人は顔見知りだが……1名ほど初対面の相手が居るようだ。
「へぇ~。このヒトが例の弟くんなんだネ」
「……
「キサマって……聞いてた通り随分と個性的なヒトだね。
いや、見た目でじゅーぶん個性的だけど。
え~っと。それじゃあ自己紹介から。
ボクの名前は
趣味は水泳と音楽鑑賞で、スリーサイズは上から78ー56ー79、
特技はパンチラで好きな食べ物はシュークリームだよ♪」
「ふむ、身長と体重は?」
「うわっ、その返しは初めて聞いたよ。
う~ん……ごめん。後でちょっと正確な値を測ってくるよ」
「ついでに血液型とRh型も調べておくといい」
「何のために!?」
「う~ん……輸血の為じゃないか?」
「何でわざわざ輸血を気をつけなきゃならないのさ!
あと自分の血液型くらいは流石に分かるよ!? A型のRh+だよ!」
「なるほど、良い事を聞いた」
「何する気!? 怖いよ!!」
何、怖がる事は無いさ。意味など無いからな。
「相っ変わらず規格外ね。あの愛子が完全に手玉に取られてるって」
今しがた僕に話しかけてきた人物に関しては脳内辞書にしっかりと刻まれている。
さっきのDクラス副代表と違って本物の優子だ。いやまぁ、単に同じ名前の人物だからどっちも本物だが。
優等生を装っているが、本質は……いや、僕の口から告げるのは止しておこう。
1年の頃から光と同じクラス(僕とは別クラス)であり、仲の良い親友同士のようだ
「相手の本質を見極めるのに実際に刃を交わすのは最も手っ取り早い方法だ。
そうは思わんか? 木下姉よ」
「思わなくは……いや、やっぱり思わないわ」
「……そうか。
だがしかし! 先に僕をおちょくろうとしてきたのは工藤の方だ。これは正当防衛だ!」
「剣くん、過剰防衛って言葉知ってるかしら?」
「知らん」
「アンタが知らないわけが無いでしょうが!!」
ナンノコトカナー。
「しかしまぁ、個性的な自己紹介じゃないか。
工藤愛子だったな。気に入ったぞ」
「そ、そう。アハハ……」
「愛子……とんでもないのに目を付けられたわね」
「う、うん。宜しく、弟くん」
……さて、そろそろ解説しておこう。先ほどから工藤に『弟くん』と呼ばれている件について。
これは光が見栄を張って僕の事を弟と紹介した……というわけではない。
「工藤、一つ訂正させてくれ。
僕は戸籍上では光の『兄』だ。決して弟ではない」
「えっ? でも、光は自分の事をお姉さんだって言ってたけど」
「それも間違いではない。戸籍上は妹になっているが……その点に目を瞑れば光は間違いなく姉だ」
「……どういう事?」
「詳しい話は僕も知らないんだが……どうやら僕達は産まれる時は競い合うようにして出てきたらしくてな。
ほぼ同時に産まれてしまったんでどちらが上の子か産んだ本人すら分からないらしい」
出産なんていうのはただでさえ辛い……らしいが、それを2人同時に行ったとなるとその痛みは想像を絶するだろう。
うちの母は尊敬に値する人だ。
「そ、そんな事が有り得るの……?」
「有り得たらしいな。
で、とりあえずコイントスの結果僕が兄、光が妹となったが……公的な場面を除いては『兄と姉』という扱いにするようにしたというわけだ」
「いえ違うわ。『姉と兄』よ!」
「ついにボケたか姉さん。『兄と姉』だ!」
「いや、私がボケたなら同い年のアンタもでしょうが。『姉と兄』よ!!」
「知らないのか? ボケとは年齢よりも生活習慣が密接に関わっている事を……『兄と姉』だ!!」
「あわわわ……だ、大丈夫なのコレ?」
「愛子、気にしなくて良いわ。
アタシの時も同じようなやりとりしてたから。
風物詩みたいなもんよ」
「そ、そうなの……? でも、流石に止めた方が良いんじゃ……」
「……2人とも、その辺でストップ」
「……まぁ、今日はこんなもんにしてやるか」
「代表からの命令じゃあ仕方ないわね」
「代表? まぁ、そりゃそうか」
今しがたようやく台詞を発した無口系美少女も僕の脳内辞書にキッチリと刻まれている。
うちの学年における不動の1位をものにしている少女。
当然のように振り分け試験でも1位を取っており、Aクラスの代表を努めているようだ。
光や木下姉と同じく去年から同じクラスだった。その縁で僕とも面識がある。
あと……うちの代表である雄二の幼馴染みらしい。詳しくは知らんが。
「……剣、雄二の目標はAクラスなの?」
「さぁな~」
「……じゃあ、雄二に伝えておいて。待ってるからって」
「……気が向いたらな」
流石にバレているか。一応敵将なんで誤魔化してみたが無意味だったらしい。
まぁ、別にバレて困る事ではないんだけどな。
「そう言えばサ」
「どうした?」
「優子も代表もキミの事を下の名前で呼んでるんだネ」
「ああ。『空凪』だと光と混同するからな」
「確かに。じゃあボクも下の名前で呼んで良いカナ? 剣くん」
「もう既に呼んでるじゃないか。別に構わんぞ愛子」
「ちょっと!? ボクの下の名前は許可してないよ!? 兄弟も居ないし!!」
「はっはっはっ、冗談だ。宜しくな工藤」
「うぅぅ……何か苦手だ」
最初の自己紹介の時点でペースを握れる事が殆どだろうからな。
一度奪われた会話の主導権を奪い返すのはやや苦手なんだろう。きっと。
「で、結局の所アンタの目的は偵察って事でいいのよね」
「いや~、何の事だかちょっとよく分からないな~」
「はいはい。んじゃ用事が終わったならサッサと帰んなさい」
「それもそうだな。んじゃ諸君、また会おう」
それじゃ、帰るとするか。
今日は少し疲れた。ゆっくりと休むとしよう。
「今回の執筆に当たって工藤の身長体重をググってみたようだが……少なくともウィキペディアには存在しないようだ」
「原作でプロフィールが分かる場面も無いもんね。
ファンブックとかの設定資料集を出してたりとか、原作者さん本人がブログやSNSで公表してないと『設定無し』って事になるわね」
「アニメの絵等から計測しようかとも考えたようだが……基準もハッキリせずもの凄く面倒な事になるんで断念したようだ」
「そりゃそうでしょうね」
「血液型は本人が知らないとは思えないから適当に捏造したようだ。
A+は日本人に一番多い血液型だな」
「……私たちのこの辺の細かい設定って決まってるのかしら?」
「とりあえず、僕達兄姉の血液型は今回考えたようだ。
僕がABのRh-
光がOのRh+」
「完全に真逆なのね……って言うかABのマイナスって激レアよね」
「ボンベイタイプよりマシだろ」
「そこまでレアだとバカテス世界では冗談抜きで命に関わるわね……
いや、現実世界でもちょっとした事故が命取りになるけど。」
「自己血を取り置いておいて輸血する事になりそうだな。足りるかは知らんが」
「血液の保存期間とかもあるからそう簡単にはいかないでしょうね」
「そうだな。
ちなみにお前もAB型のRh-だ」
「何故!?」
「いや、最初はA型の+みたいな感じで普通っぽい感じにしようと思ったようだが……
貴様ではなく
「零さん……まぁ、確かに。
言ってることはムチャクチャのはずなのに何故か納得できるわ」
「零だからな……骨髄移植してでも血液型を変えかねん」
※
零さんは没キャラのヤンデレヒロイン。
剣くんの血を取り込んで恍惚としてるとか普通に有り得そうな感じのキャラ。
「……そ、それじゃあ次回もお楽しみに!」