バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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09 協力者たち

 これは、数日前の話だ。

 

 

 

 

「勉強を教えてほしい?」

「ええ。次の戦争でアキ達に迷惑をかけないように鍛え直しておきたいの!

 でも、独学だと限界があるから……」

「……お前、バカか」

「なっ、何よ! 戦争で役に立って恩を売れって言ったのは伊織でしょ!?」

「いやまあそうなんだが、オレなんぞよりも教師役にもっと適した奴が居るだろ。姫路さんとか」

「うっ、瑞希に頼るのは……その……」

「合宿の一件のせいでそっちともギクシャクしてんのか? 奴も立場はテメェと大差無いだろうに。

 ちゃんと自分の考えを話して協力をお願いすれば快く引き受けてくれると思うぞ?」

「…………分かったわ。やってみる。ありがとう伊織。じゃあね!」

「ちょい待ち。焚きつけたオレが他人に丸投げってのもアレだ。少しは手を貸してやろう。

 ちなみにだが、何の科目を鍛える気だ?」

「え? えっと……点数が1桁しか無い古文とか……」

「……やっぱりバカだろお前」

「そんなの分かってるわよ! でも日本語が読めないんだから仕方がない……」

「そっちじゃない。代表たちの最終目標がAクラスである以上はそのゴミみたいな点数が10倍になった所で意味は無い。

 得意分野を伸ばす方向で行け。確か何か一部の科目はやたら強いって聞いたぞ?」

「数学の事? 確かにBクラスくらいの点数はあるけど……そんな簡単に伸ばせるかしら?」

「もっと高い点数を取ってる奴が居る以上は不可能じゃないはずだ。

 ……そうだ、ちょっとテストやってる所を見せてくれ。補充試験じゃなくて模擬テストで構わん」

「何の意味があるの? まあいいけど……」

 

 

  ……1時間後……

 

 

「…………185点、か」

「ど、どうしたのよ。そんなしかめっ面で」

「……やっぱりバカだなお前」

「また!? じゃあ伊織はこれより高い点数取れるの!?」

「いや、ダブルスコアで差が付いてる。

 そうじゃなくて……お前、手を止めてる時間が結構あったよな? 具体的には、長めの文章題とかで」

「だから、日本語があんまり読めないのよ。読むのに時間がかかるのも仕方ないじゃない」

「それで時間掛けて解いて、しかも半分以上間違ってるじゃないか」

「だから、仕方ないじゃないのよ」

「仕方ないで済ますなバカ。長文の問題は長文だって一目で分かるんだから飛ばせ!」

「でも、先生が空欄にするのは良くないって……」

「だったら適当に1とか√3とかπとか書いておけ! どうせ半分近く間違える問題に時間を費やすなんて無駄だ!」

「う~ん……分かったわ。やってみる」

 

 

 

 

 そして、今。

 

 

 [フィールド:数学1A]

 

Fクラス 島田美波 295点

 

 

「これがウチの特訓の成果よ!」

「頑張りましょう、美波ちゃん!」

 

 瑞希と伊織、2人が協力してくれたおかげでここまでの点数を取る事ができた。

 Bクラスなんて、蹴散らしてやるんだから!

 

「……これは、本格的にマズいかな。撤退させてもらうわよ」

「僕が許可するとでも?」

「キミの許可は求めてないから。じゃ」

 

 Bクラスの副代表、御空さんはあっさりと撤退していった。

 ……あの、空凪?

 

「どうした? そんな目で見て」

「いや、さっきカッコよく『ここで仕留める!』とか言ってなかった?」

「あんなのブラフだ。そんな事より目の前の敵に集中しろ」

「……言いたいことはあるけど、確かにそうね。覚悟しなさい!!」

 

 ウチの目の前に居るBクラス生から倒していくだけの簡単な仕事だ。

 だけど油断しちゃいけない。ここで失敗する訳にはいかないから。

 

「諸君、全軍突撃だ。但し、姫路と島田の攻撃に巻き込まれないように最大限注意しろ。

 姫路、島田の両名は味方を巻き込むくらいの勢いで暴れてやってくれ。巻き込まれた奴は自業自得だ」

「分かりました!」「ええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労、御空」

「ええ。ただいま」

 

 教室に戻った私を真っ先に出迎えたのは代表だった。そんなにヒマだったのかしらね。

 

「戦況は……聞くまでも無さそうだな」

「ええ。ほぼ完全に予想通りだし仕込みもバッチリ。想定外な出来事が無かったわけじゃないけど、誤差の範疇よ」

 

 島田さんと姫路さんの登場自体は実は予想通りだったりする。

 というのも最初の空凪くんが1人で防ぐとかいう頭おかしい事をしてた時点でフィールドは数学だった。いざという時にあの2人を動かす為だというのは簡単に想像できる。

 ……しかし島田さんの点数までは予想外だった。アレはちょっとヒヤッとしたわ。

 

「この後の予定は勿論分かってるでしょうね」

「当然だ」

 

 戦場が1ヶ所に限定されてしまっている以上、Fクラスの欠点である個々の戦力の低さはかなりカバーされる。

 そして、長所である一部の生徒の異常な点数が際立つ。このまま手をこまねいていたらジリジリと押し負ける事になるだろう。

 勿論、そんな事はしないわけだけど。

 

 坂本くん、貴方に見破れるかしら?

 底辺で胡坐をかいてる貴方に、私たちの策が。




「宮霧を褒めるべきか島田にツッコミを入れるべきか……」

「原作ではテストを受けている最中の描写なんてほぼ無かったと思うけど……アニメ版では島田さんが真っ先に受けてたっけ」

「ああ。文章題に頭を悩ませている描写があったんで律儀に解いてるという設定にしたんだが……」

「……妙に歯切れが悪いわね」

「……この文章を、2行前の僕の台詞を書いている最中に不安になって改めて確認してみたらちゃんと諦めて飛ばしているという描写もセットであった」

「おい」

「ツッコミを入れるべきなのは島田ではなく筆者だったようだ」

「いや、あの、修正しようとは考えなかったの?」

「考えたようだが……単純に面倒だったのと、面倒くさがりな宮霧がかなり輝けているので消してしまうのが勿体なかったようだ。
 あと、島田の成長の理由付けとしてもかなりしっくり来るし。
 本作の島田は原作……と言うかアニメ版よりも律儀な性格だったという事にしておこう」

「……そうね。アニメ版はまだしも原作は未知数だもんね。もしかしたらこの律儀さが原作通りだったという可能性もあるわね」

「そういう事にしておこう。うん」


「では、次回もお楽しみに!」
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