バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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素直な気持ちを

「……負けちまったな」

「……負けちゃったわね」

「……あんだけ頑張ってたのにな」

「……ええ」

 

 戦争が終わって、大して点数の減ってなかったオレは屋上でふて寝していた。

 同じような理由で島田さんもやってきたらしい。2人で屋上の出入り口の屋根の上でぼんやりと寝そべっている。

 

「……ごめんなさい。伊織にも協力してもらったのに」

「今回勝てなかったのは主に代表のせいだろう? あんたが謝る事じゃないさ。

 それに、目的は勝つ事じゃなくて活躍して恩を売る事……あ、そうだ」

「どうしたの?」

「……ちょっと親にメール。ふて寝してるから遅くなる。夕食は要るから食い尽くさずにちゃんととっといてくれって」

「どれだけここに居る気なのよ……」

「さぁな。気が晴れるまでだな」

 

 えっと、文面は……こんな感じでいいか。これで送信っと。

 メールを送った事に気づかれないと困るので電話して携帯を鳴らして……3回ほど音が鳴った辺りで繋がった。

 

『もしもし、一体何の用……』

「メール送った。じゃ」ブツッ

 

 これで確実に届いたな。

 

「さてと、何の話だっけか?」

「えっと……負けちゃった話?」

「ああ、そうだった。あんたは頑張ったんだから十分だろ?」

「そうかもしれないけど……アキ達は許してくれるかな」

「そんなの分からんけど、反省の意を目に分かる方法で示したのが大事って事だよ。

 これでダメならもうダメだ」

「そんなぁ……」

「…………」

 

 

 

プルルルル プルルルル

 

 

「おっと、オレか」

 

 突然鳴り出した携帯を開き、表示された名前を確認したら切断ボタンを押した。

 お~、意外と早かったな。

 

「どうしたの切っちゃって」

「非通知。怪しいから取らない」

「非通知? 珍しいわね」

「え~、で、話の続きだ。

 頑張って成績を高める事で恩を売る事で合宿の件を謝罪する取っ掛かりを作るというのが今回の作戦だったわけだが……実はもっと簡単かつ単純な方法がある」

「えっ、そんな方法があるの!?」

「あんたも知ってる方法だぞ? 小細工せずに直接謝るってだけだ」

「それができなかったから悩んでるんでしょ!?」

「勿論分かってるよ。でもな、今回の小細工が成功していようがいまいが最終的に謝らなきゃならん事に変わりは無いんだぞ?

 あくまでもハードルを下げてるだけだ」

「それは……そうなんだけど……」

「ほれ、謝る練習! オレを吉井だと思って謝ってみろ」

「ええええっ!? な、何でそんな事をウチが……」

「練習ですら謝れない奴に本番成功するわけが無いだろう。ほれ、やってみろ!」

「ええ……う、ウチが……その…………さい」

「聞こえない! もっと大きな声で!」

「う、ウチが悪かったです! ごめんなさい!!」

「おーけーおーけー。じゃあ吉井の名前を前に付けてもう1回!」

「ぐっ……あ、アキ! ごめんなさい! ウチが悪かったです!!」

「なんだ、ちゃんと言えるじゃんか」

「……ええ。ちゃんと勇気を出せば言えるのね。ありがとう、伊織」

「よし、じゃあすぐ下に居る本人に向かってもう1回」

「うん! …………えっ?」

 

 オレの放った台詞のある部分に強く反応した島田さんは顔を青ざめさせながら今居る場所の下の方、屋上の出入り口を見下ろした。

 そこに居るのは5人の人影。

 

「み、美波……その……何て言えば良いのかな。こういう時」

「アキィィィィィィィイイイイイ!?!?」

 

 そう、オレが先ほどメールで呼んだ代表とその愉快な手下たちである。

 屋上に辿り着いた時点で電話を鳴らしてほしいとも書いておいたので少し前から居た事も述べておこう。

 

「島田よ、お主どれだけ不器用なのじゃ……」

「…………今更な話だ。あれくらいの事は気にしていない」

「島田の数学の点数がかなり延びてた理由、察しは着いてたがようやく確信が持てた。努力は認めるけど伝わらんと意味が無いだろ」

「雄二の言う通りだな。Fクラス所属なんだからバカ正直に正面突破するくらいで丁度良いだろうに」

 

 概ね肯定的に捉えられているようだな。良かった良かった。

 

「い、伊織っ!! どどどういう事なのよ!!」

「ちょ、ま、す、ストップ!」

 

 胸ぐらを掴んで頭をガクガク揺さぶられる。ちょっと、辛いから止めて。

 そんな願いが通じたのか、単に疲れたのか、揺さぶりはしばらくしたら止まった。

 

「うっぷ……良かったじゃないか。ちゃんと謝罪の意志を伝えられたぞ」

「そうかもしれないけど! そうなんだけど!!」

「なら良いじゃないか」

「うぅぅぅぅぅぅ……」

「あとやるべき事は1つ。全員に、ちゃんと謝る事」

「……それ、やんなきゃダメ?」

「ダメに決まってるだろ。さぁ、逃げ道は塞いでやった。腹を括れ」

「………………分かったわ……」

 

 梯子を使って屋上の屋根の上から屋上へと降りる。

 そのまま代表たちの前まで歩みを進めて、頭を下げた。

 

「アキ、坂本、空凪、木下、土屋……合宿の時は本当にごめんなさい。

 許してほしい……っていうのはウチから言える事じゃないよね。

 これからは気をつける。ごめんなさい」

 

 練習の時以上にちゃんと言えたじゃないか。後は代表たちの反応だけど……さっきの様子だと問題ないだろ。

 

「……美波」

「アキ……」

「僕は……いや、僕達はもう怒ってないよ。

 そりゃまぁ、最初に捕まった時は何でこんな事をするんだって思ったし、信じてくれなくて悲しかったよ。

 でも、美波はこうやって謝ってくれた。心の底から謝ってくれた。だから僕はまた美波を信じられる。

 それにさ、よく分からないけど挽回しようとして勉強も頑張ったんだよね? えっと……雄二?」

「ああ。島田の数学1Aの点数は100点以上延びてやがる。それがどれだけ大変な事かは説明するまでも無い事だな」

「そういうコト。だからこの話はもうお終い! 明日からはいつも通り。それでいいよね!」

 

 吉井が振り返って皆に向かって呼びかける。

 代表は少し微笑んだような表情で頷き、

 副代表は眠たそうに頷き、

 木下は笑顔で頷き、

 土屋は無言で頷いた。

 

「アキ……皆……ありがとう!」

 

 これにて、一件落着だな。

 ああ、慣れない事するもんじゃないな。すっげー疲れた。

 本当に帰るのが遅れるくらいふて寝してやろうかな。

 

 

 

 

 

「……ところで1つ気になったんだが……」

 

 ん? 何か副代表が何か言い出した。

 

「……この件、姫路も協力してたって聞いたんだが……あいつは呼ばなくてよかったのか?」

「…………あ」

 

 

 

 

 

 後に、ここでの出来事を聞いた姫路さんが嬉しそうにしながらもどこか膨れっ面だったとかそうでなかったとか……




「以上! 『2人の策士編』終了!!
 ……ところで、この2人って誰の事なの?」

「ん~……リメイク前は確か貴様と僕の事だったと思うんだが……
 今回の話では貴様と宮霧の事だろうな。今回の主役だったし」

「まぁ、確かに。そうかんがえてみるとピッタリなタイトルね」

「ああ。本章の執筆開始時は貴様たち2人の視点で回そうと試みていたくらいだからな。
 ……それだとFクラス側の描写が圧倒的に不足するんで不可能だったが」

「結局うちの代表の視点もキミの代表の視点もあったもんね。いつもよりも視点が多かった気がするわ」

「かもな。
 さて、次の話でもするか」

「次の章って何だっけ?」

「僕の義姉になるかもしれない人の話だ」

「…………そんな人居たっけ……?
 ……あ、優子さんの事か」

「いや、小野寺ではないぞ」

「んな事は分かってるわよ!! 木下さんの事よ!!」

「はっはっはっ。だがどっちの優子でも無いぞ」

「えっ、違うの? ほかに該当者って居たっけ?」

「ああ。うちの姉と秀吉が結婚した上で木下優子と明久が結婚すればな」

「…………ああ、吉井くんのお姉さんの話ね」

「そういうコトだ。まぁ、気が向いたら短編を挟んだりするかもしれんが……あんまり期待しないでくれ」

「プール編とか、そろそろやらないとタイミングを逃しそうね。やらなきゃならない義務があるわけじゃないけど」

「3.5巻に限らず原作の小数点の巻の話も上手くやれば挟めるかもしれないし挟めないかもしれない。
 オリジナルの話を作る事も不可能ではない……はず。
 リメイク前は実際そうだったし」

「……リメイク前、どんなの話だっけ?」

「僕と木下優子が語らう話と木下優子が明久に告白する話だ。
 本作の場合、ぶっちゃけやる必要が無い」

「……ああ、なるほど」

「代わりに何かするかもしれないし、そうじゃないかもしれない」

「とにかく、筆者さん次第って事ね」

「そうだな」


「それでは、また次回お会いしましょう!」
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