バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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04 実況と解説と

『会場の皆様。大変お待たせしました!

 只今より、文月学園と聖条学園の召喚獣交流試合を始めたいと思います!』

 

 お、始まったか。しかしこの声どこかで聞いたことがあるような……

 

『さてまずは選手紹介……の前に実況と解説を紹介させていただきまーす!

 今回のイベントは結構急だったせいでプロを呼ぶ時間がアイタッ』

 

 何かの打撃音と共に実況の痛みを訴える声が響いた。

 選手控室からだと実況と解説の席が見えないな。面白い奴がやってる事だけは伝わるが。

 

『……え~、我が校は生徒の自主性を大事にするので、生徒の中から希望者を募って軽く面接を受けてから抽選で決まりました。

 それでは自己紹介させて頂きます。今回実況を務めさせていただくのはこの私、文月学園2年Dクラス。小野寺優子です!』

 

「お前だったのかよ!」

 

 思わず叫んでしまった僕はきっと悪くない。

 やたらと自己主張の強い奴だがこんな所まで出張ってくるとは。

 

『そしてそして、解説は……』

『2年Bクラス所属、御空零と申します。本日は宜しくお願い致します』

 

 ……そっちは貴様だったか。しかし随分と大人し気な挨拶だな。

 

『オウオウ、さっき私をハリセンでぶん殴った人とは思えない挨拶だね』

『私は与えられた仕事は真面目にこなすタイプなのよ。

 まぁ、正直言うと選手の方になりたかったんだけどね。残念ながら基準に合わないって事で学園側から止められちゃったわ』

『へ~。その基準って?』

『今回の文月学園側からは全員Fクラスからの参戦って決めたらしいわ』

『Fクラスと言えば最低ランクのクラスだけど、どうしてそこから選ぶんだろう?』

『……元々、今日初めて召喚獣に触れる……つまり召喚獣の操作に慣れていない聖条学園の皆さんは不利なんです。

 ある程度フェアにしたいのであれば低い点数という事を選考の基準にするのは理に適っています。

 それに、戦争に積極的な2年Fクラスほど召喚獣の操作に慣れているクラスはそう居ません。

 低い点数であっても観客を魅せる素晴らしい試合を演じてくれるでしょう』

『なるほど~。今回のイベントもいつもみたいに学園の宣でアイタッ!』

『実況が余計な事を言う前に始めましょう。それでは、お互いの先鋒の選手はステージに上がってください!』

『ちょっと! それ私の台詞!!』

 

 そう言えば御空は真面目な性格だったか。最初に僕と話したときも敬語だったし。

 ……解説ではなく実況だったらいつものノリで話してたんだろうか? きっとそうだな。

 

「さて、それじゃあ先鋒。頼んだぞ」

「……副代表、今更だけど1つだけ言わせてくれ」

「良かろう」

「……どうしてオレが選手に選ばれたんだよ!?」

「ホント今更だな。理由は単純。貴様の点数のバランスが良いからだ」

「それだけの理由でオレは休日を潰されたのか……」

 

 うちの先鋒は元副代表こと宮霧伊織だ。

 本人はこう言っているが、こちらが勝てば報酬として学食のタダ券が学園長から支給される事になっている。程々に頑張って戦ってくれる事だろう。

 

「でも点数のバランスって言うならうちの代表とか、そこに居る姫路さんとかの方が良かったんじゃないか? 別にオレじゃなくても」

「元々私が蒔いた種なので私も出たかったんですけど……」

「先ほど解説の御空が言っていた理由により却下された。こんなクラス詐欺な点数出せるかって。雄二が出ないのも同様の理由だ」

 

 責任を感じてここに来ている姫路と違って雄二は会場にすら来ていない。

 余談だが霧島も会場に来てないっぽい。休日なんだし2人でどこかで遊んでいる可能性が無きにしも非ず。

 

「……クラス詐欺ってんなら副代表も参加できないのでは?」

「向こうさんが僕をご指名だ。ただ、貴様の言う事も尤もなので全科目100点に抑える特別処置が行われている。

 Fクラスにしては若干高いが……まぁ、そんなもんだろ」

「わざわざそんな事までしてんのか」

「それより、早く行ってこい。不戦敗になるぞ」

「そうだった。行ってくるよ」

 

 さて、向こうの先鋒は誰になるかな。

 こき使われている感じがした心葉くんとやらか、あるいは図書委員と書かれた腕章を付けた女子か。

 流石にいきなり部長が出てくるという事は……

 

「ようやく召喚獣を使えるのね。楽しみにしてたわ!」

 

 ……いきなり部長が出てきた。

 先鋒に強そうな人を出すとかマナー違反だろ。どんだけ召喚獣を使いたかったんだよ。

 

「うへぇ、いきなり大将かよ。お手柔らかに頼みます」

「瑞希ちゃんの為にも負けるわけにはいかない。全力で行かせてもらうわよ!」

「……手を抜いてくれたら楽できたんだけどな。しゃーない。やるぞ!」

 

『両選手とも気合十分のようです。フィールドの展開をお願いします!』

『今回のルール上、フィールドの科目は5教科の中からランダムで選ばれる仕様となっております。

 さて、こちらに両選手の試験データがあります』

『えっ、見せて見せて』

『残念だけど、これは個人情報の塊だから見せられないわ。あくまでも解説の為の特例処置よ。

 コホン、これを見る限りでは文月学園の宮霧選手はバランスは取れてますね。それに対して聖条学園の天野選手は……まぁ、その時に解説するとしましょう』

『気になる言い方ですね。では両選手は召喚獣を召喚して下さい。

 起動ワードは試獣召喚(サモン)です!』

 

「「試獣召喚(サモン)!!」」

 

 実況の小野寺の指示に従って2人の選手が召喚獣を呼び出した。

 さて、聖条学園の生徒の実力はいかほどだろうか?






「これが筆者が貴様を強引にねじ込んだ結果である」

「小野寺さんとセットになるとは思ってなかったわ」

「筆者は文月学園側の選手選定にかなり悩んだそうだ。
 例えば、とにかく勝ちたいのであれば貴様と霧島の出場が確定となる」

「……どうなのかなそれ。
 いや、出番が欲しい私が呈する疑問じゃないかもしれないけど」

「文月学園の意向としては宣伝及び実験。強キャラで一瞬で終わらせるのは意味が無い。
 だからこそFクラスから選ぶという事にした訳だが……それをどう説明しようか悩んだらしい。
 僕がモノローグで解説しても良かったが……折角だから実況と解説を、と」

「何がどう折角なのかしら……いやまぁ、出番を貰えた私が言う事じゃないけど」

「久しぶりに敬語な貴様が描けて楽しかったとは筆者の弁だ。
 必要な場面ではかなり堅苦しい敬語も使えるんだよな。僕と違って」

「まぁ、ねぇ。元々は木下さんなんか目じゃないくらい本性を隠せるキャラとして設計されてるし。このくらいは楽勝よ」

「……せやな」


「では、明日もお楽しみに!」
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