バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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05 第一試合

「「試獣召喚(サモン)!!」」

 

 オレとその対戦相手、天野さんの声が響き渡る。

 召喚獣が呼び出されるまで科目は分からない。少しでも都合の良い……相手の苦手科目が出る事を祈る。オレの場合は全科目大差ないからな。

 

 

 [フィールド:社会]

 

文月学園 宮霧伊織 99点(日本史)

 

 

 いちたりない……いや、400点ならまだしも100点取っても何のボーナスも無いけど。

 さて、向こうは?

 

 

聖条学園 天野遠子 627点(世界史)

 

 

 ……あかんこれ。教師並みじゃないか? 何者だよこのヒト。

 

『おおっと、聖条学園の天野選手、とんでもない点数です!!』

『うちの学園の教師を超えるレベルですね。

 いくらFクラスでも6倍の点数というのはかなり厳しいでしょうね』

『って言うか、勝ち目あるんですかこれ?』

『そうですね……』

 

 こんなんどうやっても無理だと言いたいところだけどなぁ……

 特殊ルールの関係上、オレが善戦するだけでも後続に繋げる事ができる。

 それに……絶対に勝てないというわけでもない。

 

「さぁ、覚悟しなさい! えいっ!」

 

 天野さんの召喚獣が武器を……槍を振るう。

 姫路さんの召喚獣が持ってる大剣と同じくらいの大きさだ。破壊力も同等だろう。3桁届かないオレの点数だと当たれば1撃で昇天する。

 ……当たれば、だけどな。

 

「えいっ、このっ、ちょっと! 避けないでよ!」

「嫌だよ」

 

 その大きな武器による大ぶりな攻撃をオレは的確に躱していく。

 相手は今日初めて召喚獣を使うんだ。その独特な操作感に初見で対処できる奴はそうそう居ない。

 

『え~、どういう事でしょう。解説の御空さん?』

『見たまんまですね。攻撃は当たらなければ意味が無いという事です。

 召喚獣の点数はゲーム風に言うならHPと攻撃力、腕輪の使用まで考えるのであればMPに該当します。

 命中率や回避率はどれだけ点数が増えても据え置きです』

 

 外部の人向けの解説だろうか? まあそういう事だ。

 オレも観察処分者の吉井程ではないがそれなりに召喚獣を扱える。ド素人相手なら吉井と似たような立ち回りが可能だ。

 

 それじゃ……ちょっと巻きで進めるとしよう。相手の攻撃を躱してチクチクと削っていくだけの地味な単純作業だ。

 

 

 

  ……そして、数分後……

 

 [フィールド:社会]

 

文月学園 宮霧伊織  99点 →  Dead(日本史)

聖条学園 天野遠子 627点 → 466点(世界史)

 

 

 ……うん、流石に倒すのは無理だった。回避率が多めに見積もって99%あったとしても100回も繰り返せば……えっと……うん、大体死ぬ。

 相手も召喚獣の扱いにどんどん慣れていくわけだし。倒すのは無理だった。

 

「ぜぇ、はぁ……よ、ようやく勝った! やったわよ心葉くん!!」

「おめでとうございます。大丈夫ですか?」

「勿論よ! 瑞希ちゃんも見てるんだから!」

 

 瑞希? はて、今日オレが見たのは『遠子さんが迷惑かけてごめんなさい!』と謝っている彼女の姿だったのだが……

 まあいいか。天野さんの思惑がどうであれこの場は文月学園の宣伝と実験の場であり、オレは食券目当てに戦っただけの一般生徒だ。オレが気にする事ではない。

 

『いや~、白熱した戦い……とは言い難かったですが、手に汗握る戦いではありましたね!』

『そうですね。普段の試召戦争は集団戦になるので、あんな風な1対1になる事はまずありません。

 乱戦になればなるほど回避行動も難しくなっていきます。今のような『即死するか削り切るか』という戦いはこういった試合ならではのものでしょう』

『なるほどなるほど~。言われてみれば確かにそうですね。

 それでは次の試合を……する前に少し休憩です。今の内に水分補給とか済ませておいて下さい。連戦になる天野選手は特に!』

 

 ……さて、戻ろうか。

 負けたオレにできるのはチームメイトの勝利を願う事だけだ。

 

 

 

 

 

 

 控室に戻るとさっきまで居なかった人物が混ざっていた。

 

「あ、お帰り~」

「島田さん……何でここに居るんだ?」

「何? ウチが居たら何かまずいの?」

「単純な疑問だよ。今日の選手でもないのに」

 

 今日の出場選手はオレともう一人と副代表の3人だ。島田さんは入っていない。

 もう一人って誰かって? 後のお楽しみだ。

 

「どうせ大した用事も無かったから観戦に来てみたのよ。

 伊織、負けちゃったわね。残念だったわね」

「アレは仕方ないだろ。相手が悪すぎる」

「へぇ~。負けて落ち込んだりしてるかと思ったけどそうでもないのね」

「できない事はできないからな~。サッサと諦めた方が気楽だ」

 

 なお、その諦めた結果がこのFクラス(掃き溜め)である。来年はもうちょい頑張ろう。

 

「……島田さん、もしかしてこんな所までわざわざ励ましに来たのか?」

「えっ、な、何言ってるのよ! そんな訳ないでしょう!

 その……あんたの凹んだ姿を笑ってやろうとしただけよ!」

「そ、そうか。そりゃ残念だったな」

「全くその通りよ! それじゃ、ウチはもう行くから!」

 

 そう言い捨ててサッサと去って行ってしまった。

 オレにツンデレしてどうするよ。島田さん。






「第一試合終了だな」

「相変わらずバトル描写はとことん手抜きね……」

「回避したと言ってくれたまえ。
 大体、アニメや漫画じゃないんだからバトル過程の描写なんて要らんだろ。
 大事なのは結果とそれに対する納得ができる理由の2つだけだ」

「そうかもしれないけどねぇ……」

「過程の描写が必要な場面も存在するが……今回はそうでも無かったしな」


「では、明日もお楽しみに!」
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