バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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06 第二試合

『それでは2回戦を始めます! 文月学園側の中堅と聖条学園側の先鋒はステージに上がってください!』

 

 姉上と同じ名前の実況の声が響く。ようやくワシの出番のようじゃな。

 

「うちの中堅こと秀吉、頼んだぞ」

「うむ。ところで剣よ。ワシが選ばれた理由は伊織が選ばれた理由と同じなのかのぅ?」

「ああ。バランス重視だ」

「う~む……それで勝てるのかのぅ……? 今更じゃがメンバーを入れ替えた方が良いのではないか?」

「まぁ……不安になる気持ちは分かるが気にするな。

 もうメンバー表は提出済みだから今更変えられんし。

 それに、別に勝てなくても問題ない。こんなのただの学園のPRだしな」

 

 剣の言う事は決して間違ってはおらぬのじゃが……初めから勝つ気が無さそうなのはどうなのかのぅ……

 ……うむ、やれるだけやってみるとするかのぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 文月学園側でそんな会話をしていた少し前、僕たち聖条学園側の控室はそれなりに賑わっていた。

 

「どうよ心葉くん! この私にかかればこんなもんよ!

 このまま3連勝とかしちゃえるかもしれないわ!」

「……そーですね」

 

 果たして、そう上手く行くんだろうか?

 今回使用する科目は一般的に五教科と言われる国社数理英の5種類だ。

 社会に関してはさっき見たように問題はない。国語は文芸部部長として言わずもがなだし、英語……と言うか語学全般も完璧だ。

 理科は……どうだったかな。ちょっと分からない。

 

『それでは2回戦を始めます! 文月学園側の中堅と聖条学園側の先鋒はステージに上がってください!』

 

 アナウンスが響いた。そろそろ次の試合が始まるみたいだ。

 

「それじゃ、行ってくるわ」

「遠子先輩、頑張ってください!」

「勿論! ななせちゃんの出番が回ってこないくらい頑張るわ!」

 

 遠子先輩は意気揚々とステージに上がって行った。

 対する文月学園からは……何故か男子制服を来た女子がやってきた。

 

『はい、選手が揃いましたね。解説の御空さん。新しい選手について解説をお願いします!』

『2年Fクラス所属、木下秀吉くんですね。得意科目は強いて言うなら文系、苦手科目も……強いて言うなら理系という感じです』

『バランスタイプって事ですか。さっきの宮霧くんもそんな感じでしたね』

『そもそもFクラスに五教科でどれかに特化してる人ってあんまり居ない気がしますけどね。一部の生徒は極端に苦手な科目があるみたいですけど』

『なるほど。それでは始めてもらいましょう。フィールドの展開をお願いします!』

 

 遠子先輩は殆どの科目で優秀だ。

 しかし、もし数学が選ばれた場合……

 

「「試獣召喚(サモン)!!」」

 

 

 [フィールド:数学]

 

文月学園 木下秀吉  86点(数学1A)

聖条学園 天野遠子  2点(数学1A)

 

 

 あっ。

 

「そ、そんなっ、数学なの!?」

 

 さっきの試合では立派な槍を構えていた先輩の召喚獣は今は得意げな顔で先割れスプーンを構えている。それは武器じゃないと突っ込んだ方が良いのだろうか。

 

「うぅむ……少々申し訳ない気持ちになるのじゃが……これも戦いじゃ、悪く思わんで欲しいのじゃ」

 

 ただでさえ操作に慣れていない遠子先輩は5秒と保たずに散って行った。

 

『え~……試合終了です。解説お願いします』

『聖条学園の天野選手は数学に関しては信じられないくらい点数が低いみたいです。

 それ以外は理科がAクラス並み、国語と英語に至っては教師を超えるくらいの点数なので運が良ければ3連勝も有り得たと思いますが……』

『な、なるほど。また極端な……

 と、ところで一つ疑問があります。召喚獣の装備についてです!』

『ああ、アレですね。

 え~、召喚獣の装備というものは基本的には振り分け試験の際に決定し、1年間変わる事はありません。

 どれだけ悲惨な点数を取ろうとも最初に良い点を取っていれば立派な鎧に立派な武器を持った状態になります。

 しかし今回、聖条学園の皆さんの召喚獣は特別仕様になっています。具体的には点数に応じて武器が変化する仕様ですね』

 

 あれ? さっきの遠子先輩の武器が武器と呼べない代物になったのは普通の事じゃないのか。

 でも、それが僕たちだけに適用されてるってどうなのかな? 何だか不平等な気が……

 

『これは生徒には搭載しにくいシステムを学園長が試したかった……という面もあります。300人……いえ、2年と3年合わせて600人の武器を召喚する度にいちいちリセットしてたらシステムの負荷が膨大になってしまいますから。

 しかし、 一番の目的は公平を期すためです。

 例えば、今の天野選手の召喚獣が立派な槍を持っていたらどうなっていたでしょう?』

『う~ん……600点くらいあってもすこし槍に振り回されてたくらいだから持つ事すらできない……いや、下手すると重さで潰れ死ぬかも……』

『そういう事です。召喚獣の装備は点数に応じて多少軽量化したりしますがそれでも限度があります。

 文月学園の生徒であれば低得点での戦いもある程度慣れていますから問題ないですが……聖条学園の皆さんには良くも悪くも身の丈に合った武器を使って頂いております』

 

 そっか。そういう面もあるのか。

 それに良く考えたら弱くなるパターンがあるって事は強くなるパターンだってある。全然不平等じゃなかった。

 

「あの、遠子先輩……大丈夫ですか?」

「うぅぅ……に、人間の価値はサインとかコサインとかじゃないんだから……」

「あ、安心して下さい! 次はあたしが勝ちます!」

「ななせちゃん……お願い。後は頼んだわ」

 

 遠子先輩が一方的に負けた為、完全にイーブンの状態に戻ってしまった。

 琴吹さんの学校の成績が特別良いって噂は聞かないけど極端に悪いわけでもなかったはず。

 実際に点数を見るまでは何とも言えないけど……のんびり構えさせてもらおうかな。






「という訳で2回戦(笑)が終了だ」

「ホント極端な人ね。遠子さん」

「原作では数学込みで2科目しか出てないんで遠子さんの実力は未知数だが……語学が極めて高いのは容易く推測できる。
 歴史関係もかなり高い気がする。本が執筆された時代背景とか凄く詳しそうだし。
 理科は少々迷ったが……知識関係では結構な点数が出せるはずだ。計算問題を全捨てしてもAクラス並みの点数は取れるだろう。
 ……で、数学だ」

「2点っていうのは公式設定なのよね。でもこれだと吉井くん未満の数学能力って事になるけど……」

「四則演算とかの基礎は流石に遠子さんの方が上だと信じたい。あくまでも算数ではなく数学の問題が解けなかっただけだと解釈しておこう」

「……そうね」

「後は……ああそうそう。召喚獣の装備が変わるのも原作通りだったりする。
 尤も、何度も言っているように今回の話の原作を書いたのはバカテスの井上先生ではなく文学少女の野村先生だ。
 単純な凡ミスの可能性もあり得るな」

「どうなのかしらね。意図的に設定を変えた可能性も十分あり得ると思うけど……」

「理由は不明だがそうやって設定の齟齬が発生している事は事実だ。
 本作では聖条学園向けの特別仕様という事にしておく」


「それでは、明日もお楽しみに!
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