バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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08 第四試合

「お疲れ秀吉」

「うむ……やはり明久のようにはいかんのぅ」

「相手の点数を自分の点数の約1.7倍削ったんだから十分だと思うが」

「その通りですよ。お疲れ様です木下くん」

 

 負けて帰ってきた秀吉を控室の全員で労う。

 残るは僕一人となってしまったな。

 

「空凪くん、大丈夫ですか? もし負けてしまったら……何だか良く分からないけど面倒な事になりますよね……?」

「ん? ああ、安心しろ。賭けについては大した問題じゃない」

「賭け? 副代表、食券以外に何かやってたのか?」

 

 遠子さんとの賭けについては個人的な事なので話す必要は無いが……隠す必要も無いか。話しておくとしよう。

 

「何か、あっちが勝ったら僕と明久は別れろってさ」

「わか……うん? え、まさかあんたたちってそういう……」

「んな訳無いだろ。向こうが勝手に勘違いしてるだけだ」

「そ、そっか。少し安心した。でも付き合ってもいないのに別れろってどうするんだ?」

「どうもしないさ。付き合ってないんだから」

「相手が納得するのかそれ?」

「納得しなかったら別れた上でまた付き合いましたって言えば良い」

「詭弁だな」

「詭弁ですね」

「アホな勘違いをした向こうが悪い。

 まぁでも、挑まれた勝負に負けるつもりはサラサラない。全員蹴散らしてやるさ」

 

 

『それでは4回戦を始めます! 出場選手はステージに上がってください!』

 

 

「丁度いいタイミングだ。行ってくる」

「私が言えた事じゃないかもしれませんけど……頑張ってください」

「無論だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『さ~て、文月学園側は後が無くなりました。

 そんな彼らの最後の選手はFクラス副代表の空凪剣くんです!』

『彼の成績は……なんと言うかクラス詐欺な点数なので今回の試合ではFクラス並みくらいの点数に調整されているそうです。

 しかし、彼の操作技術は他の生徒とは一線を画しています。彼ならば2連勝も夢物語ではないでしょう』

 

 実況と解説の言葉を聞き流しながらステージに立つ。

 向こうの女子生徒もやる気は十分のようだ。

 

「……始めに、少し謝らせてもらおう」

「どういう意味?」

「本来これは貴様らの先輩である天野遠子と僕との個人的な勝負のはずだった。

 奴に喧嘩を売られた段階ではここまで大事になるとは想像すらしてなかった。巻き込んでしまった責任の一端は僕にもあるだろう」

「……別に、構わないわ。アタシはただ遠子先輩に頼まれて参加してるだけだし。誰のせいとかじゃない」

「そうか? でもテストとか大変……と言うより面倒だったろ。いくら同じ部活の部長とはいえ無理に従う必要は……」

「同じ部活? アタシは部活入ってないけど」

「……えっ、そうなのか? じゃあお前何でこんな事を……」

「だから、遠子先輩に頼まれたからだって言ってるでしょ!

 べ、別に休みの日に井上と会えるからとかじゃないんだからね!!」

「…………そうか」

 

 目の前の女子がつい数分前に伊織に会いに来た某ポニテのスレンダーな女子と被って見えた気がした。

 しかしながら他校性の恋愛事情にまで関わる気は無いのでスルーしておく。

 

 

『それではフィールドの展開をお願いします』

『残りは国語と理科の2つですね。どちらになるでしょうか』

 

 

「「試獣召喚(サモン)!!」」

 

 

 [フィールド:理科]

 

文月学園 空凪 剣  100点(物理)

聖条学園 琴吹ななせ 183点 → 88点(化学)

 

 

 対戦相手の点数がいきなり減少したが、これはこの試合の特殊ルールによるものだ。

 前回の試合で秀吉が削った影響で僕の点数を下回ったようだな。

 遠子さんの時は元の点数が低すぎたせいで影響を受けていなかったし、ソレと戦った秀吉もノーダメージだった。

 いきなり点数が削れるなんて初めて見る光景で、そしてできれば最後にしたい光景だ。こういう風に表記されるんだな。

 

「点数上は僅差ではあるが勝ち、か。勝ったな」

「ぐっ、まだ分からないわよ。アタシだってさっきの戦いで少しは操作に慣れたんだから!」

「クククッ、威勢が良いのは嫌いではない。気持ちで負けていたら話にならんからな。

 だが……こちらも大人しく負けてやる気は無い。

 貴様には次元の違う操作技術というものを見せてやるとしよう。行くぞ!」

 

 

 

 

 ……という訳で、距離を取りながらナイフを投げつけるという姑息……極めて堅実な戦術を用いて一方的に撃破した。

 

 

 [フィールド:理科]

 

文月学園 空凪 剣  100点

聖条学園 琴吹ななせ  88点 → Dead

 

 

「そ、そんな……1点も削れないなんて……」

「相性の問題もあったな。飛び道具の使い手にとって操作慣れしてない孤立した相手なんて絶好のカモだ。

 この戦法なら4倍くらい点数が開いてても何とか勝てそうだ」

「嘘……それじゃあ井上も……」

「実際にやってみないと分からんけどな」

 

 召喚獣の操作は独特の感覚を必要とするが、物理的に操作できないみたいな問題がある訳ではない。

 だから、召喚獣の操作にやたら特化した才能を持っていれば普通に負けると思うが……そんな奴が居るとはそうそう思えない。

 どうしたもんかなぁ……

 そんな事を考えていたら解説からメッセージが飛んできた。

 

『ピンポンパンポーン。文月学園の空凪くん、聞こえてますか? 聞こえてますね。

 先ほど学園長から指示が入りました。次の試合では飛び道具使用禁止だそうです。

 後が無い状態だったから堅実な作戦を取ったのは理解できますが、最終戦まであんな一方的に片づけられたら試合として成立してないとの事です。

 接近戦でも普通に強いでしょ? 最後くらいは真っ当に戦って下さい。

 以上です!』

 

「……と、いう事らしい。良かったな。貴様の戦いは点数こそ削れなかったが無駄ではなかったようだぞ」

「あ、ありがと……意外と優しいのね」

「……事実を言ったまでだ。それよりサッサと交代してくれ。休憩など要らん」

「分かったわ。井上を連れてくる」

 

 ルール上5戦目を前に終わる可能性もあったわけだ、無事に最終戦まで辿り着けたようだ。

 後は勝つだけ。残った科目は国語だけだから間違いなくそれになる。

 相手は文芸部……なんだよな。さっきの琴吹さんは違うらしいが。

 文芸部相手に国語……勝てるかな……






「と言う訳で安定の戦闘描写カットの決着だ」

「本編でキミが言ってたように4倍の点数があっても勝てないでしょうからね……」

「最終戦までそれは小説的にはちょっとアレなんで飛び道具禁止の制限を付けてみた。
 それでも大した描写はされずに終わりそうな気がするが」

「……ところで気になったんだけど、キミの投げナイフの本数は一体どうなってるの?
 弾数をか全く気にしてないように見えるけど」

「あ~……うん。筆者としては無限弾丸なイメージで考えてたらしいが……それだとそこそこのチートなんでちょっと制限を設けておくか。
 同時射出できるのは10本まで。但し、場外に落ちたものは自動回収される。
 こんな感じかな」

「……実質ほぼ無限な気がするわね」

「……かもな」


「では、明日もお楽しみに!」
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