「ぐぬぬ……まさかななせちゃんまで負けちゃうなんて……」
「ごめんなさい遠子先輩……空凪くんがちょっと規格外でした」
「安心してななせちゃん。まだ
僕は一体いつからエースになったんだろうか? 実のところ、国語は苦手……って程じゃないけど別に得意でもない。
飛び道具無しっていうハンデを貰った所で勝てるかは正直怪しい。
「……って言うか先輩。ちょっといいですか?」
「あら? 何かしら?」
「これって元々は先輩と空凪くんの決闘ですよね? ハンデを貰って勝つってどうなんですか?」
「心葉くん、甘いわね。恋愛が関わる勝負に手段なんて選んでられないのよ!
瑞希ちゃんの為にも、私たちは負けられないのよ!!」
「……そうですか」
「そうよ! ほら、空凪くんが待ってるわ。行ってきなさい!」
僕はため息を吐きながらステージに上がる。
もはや原型を留めていないこの決闘騒ぎ、勝ち負けは置いておいてさっさと終わらせよう。
「ようやく来たか。貴様に恨みは無いが……勝たせてもらうぞ」
「はぁ……お手柔らかに頼むよ」
『長かった交流試合もこれで最後ですね。それでは御空さん、選手の解説お願いします!』
『聖条学園2年の井上心葉くんですね。
彼は文芸部の部員との事ですが……成績を見る限りだとどうやら理系っぽいですね』
『えっ? じゃあ何で文芸部に……』
『さぁ? それは本人に訊いてみないと何とも……
奇遇な事に僕も訊きたい。何で僕は文芸部に入らされたんだろうと。
『まぁ、別に理系が文学しちゃいけないって決まりがあるわけでもないですし。理系的な知識が必要な作文とかも普通にありますし』
『なるほど……でも、今回の試合だとちょっと不利ですね』
『そうですね。最後は国語なので。井上選手は比較的苦手科目で挑む事になります』
『さて、最後のフィールドはもう既に展開済みのようです。
選手の皆さん、最後の召喚をお願いします!』
「「
[フィールド:国語]
文月学園 空凪 剣 100点(古文)
聖条学園 井上心葉 285点(現代文)
「……比較的苦手な割に高いのな」
「琴吹さんの時も思ったけどこれでも結構高いんだね。僕ならAクラスに入れるかな?」
「十分過ぎるな。Fクラスの生徒としては転入は遠慮して欲しいが」
空凪くんが率直な意見を述べる。
奇抜過ぎる見た目のせいで関わり合いになるのは遠慮したかったけど意外と真っ当な人なのかもしれない。
姫路さんの手作りのお菓子を捨てるのだって実はちゃんとした理由があるような気がしてきた。
「ところで、貴様の武器。それは一体何だ?」
「え? これは……羽ペン?」
僕の召喚獣に視線を向けるととても武器には見えない羽ペンが握られていた。
ペンは剣より強しとでも言いたいんだろうか? 空凪剣くんに対して特殊な効果が……ある訳も無いか。
「ナイフを貸そうか? 複数本あるから1本くらい構わんが」
その言葉を聞いて、少し迷う。
真っ当な武器ではないのだから仕方ない。交換するというのも十分ありだ。
けど……何となく、僕はこのペンを手放す気にはなれなかった。
「……いや、これで大丈夫。多分、これは僕の為の武器だから」
「そうか? なら遠慮なく行かせてもらおう。行くぞ!!」
結果的には……羽ペンはただちょっと頑丈なだけの羽ペンだった。
もしかしたらちゃんと使えばペンっぽい機能……例えば魔法陣を描いて魔法を発動させるとか、相手の召喚獣のプログラムを書き換えて乗っ取るとか、そういう機能があったのかもしれないけどそんなものを説明も無しに使いこなせるはずもない。
空凪くんの召喚獣のナイフとぶつかり合っても壊れなかっただけ頑張ってくれた方だと思う。
多少の傷を与える事はできたけど……それだけだった。
[フィールド:国語]
文月学園 空凪 剣 100点 → 49点
聖条学園 井上心葉 285点 → Dead
「これで、終わりだ。お疲れ様」
「……お疲れさま」
『試合終了です! 選手の皆さんお疲れ様でした!』
『最後は3倍近くの点数差を覆しての空凪選手の勝利となりました。
やはり召喚獣の操作は慣れが要りますね。今後の研究次第では召喚獣を土木工事とかに利用しようみたいな話もあるみたいですけど……まだまだ道のりは遠そうです』
『えっ、そんな話あったの?』
『召喚獣がただの設備争奪ゲームの為だけのツールだったら文月学園のスポンサーはゼロになるでしょうね。
単純に力持ちだから色々と便利だし、狭い所にも入り込める上に毒ガスとかも効かないからレスキュー活動とかも使えそう。
素人がパッと考えただけでもこれなんだから、各分野の専門家はもっと色々思いつくでしょうね』
『なるほど~。まだまだ課題は多いみたいですけど、その辺は学園長に頑張って頂きましょう!
それでは本日のメインイベントである交流試合はこれにて終了となります。ご協力ありがとうございました!』
「いじょ、試合終了だ」
「最後まで戦闘はカットなのね」
「当たり前だ。うちの駄作者を誰だと思っている」
「…………」
「……さて、解説でもするか。
今回の原作を見てない人は驚くかもしれないが、心葉くんは試験の成績を見る限りでは理系だ。
本人が理数が得意と自己申告している上に現国の成績より化学の成績の方が高い。
まぁ、285点と325点なんで大差があるわけではないが」
「このヒト、数年前……中学生時代は現役の作家だったはずよね。しかも本1つで社会現象になったくらいの」
「社会現象にまでなってたっけか? まぁ、記憶が定かではないが新聞に載るレベルの大ヒットだったはずだ。
単純にブランクがあるという事と……単純に作家としての能力とテストの能力は別って事だろう」
「それでも十分過ぎるくらい高いし、理系に至ってはAクラス上位レベル……琴吹さんの時も思ったけど結構高いわよね。
心葉くんに優等生設定って多分無かったわよね?」
「単純に2つの学園の偏差値の差じゃないか? 明久みたいなのですら普通に入れる学園と普通の学園の違いだ」
「そういう言い方をすると文月学園がFランの底辺校になりそうなんだけど……」
「……うむ、確かに謎だな。
格差を付ける為にも幅広い学力の人材を募集したいはずで、しかも公式設定で学費も安かったはずだ。
……下手するととんでもない倍率になるんじゃないかこれ?」
「公立高校なら学費も無料だからそっちを優先した可能性もあるけど、他の私立と比べたら有利なのは確かね。実際他校から恨まれてるらしいし。
でもそうなるとやっぱり吉井くんが入れた理由が謎になるけど……」
「かと言ってFランであると仮定すると霧島……は雄二を追って入ってきただけだからまだしも木下姉や工藤が実は劣等生だったという事になりかねんぞ。勿論貴様も」
「……実はバカの集まりだったと考えればAクラスにも奇天烈な人が多い理由付けになる……?」
「う~む…………入試の際にクラス毎に合格枠が決められていて、平均点が200以上から50名、199~180から50名みたいな感じでやっていたとしておこうか。
200点の人が不合格で199点の人が合格とかいう理不尽な事態になるが……文月学園は調整中の試験校だからな!」
「……そういう事にしておきましょうか。
では、明日もお楽しみに!」