バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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13 早朝の対話

  ……翌日 朝……

 

「……お願いします」

「………………はい、完了です」

「ありがとうございました」

 

 いつものように朝早く登校してきた僕はいつものように補充試験を受けていた。

 今回の科目は英語だ。理由は簡単。英語の遠藤先生が職員室の入り口から見て一番近くに居たから。

 いつものように400点を取り、今日の補充は終了だ。

 

「うぃ~っす」

「お、雄二。おはよう」

「おはよう。今日もお前だけか」

「こんな無駄に朝早く来る奴は僕とお前くらいだろ」

「無駄だって自覚はあったのか。じゃあ何でわざわざ無駄な事してるんだ?」

「特に理由など無い。それより貴様の方はどうなんだ?」

「俺か? 俺はな……家に居るとちょっと襲われる可能性があるからな。

 早めに登校して教室で二度寝してた方が安全だ」

「……お前はどこのスラムに住んでいるんだ?」

「フツーの家だよ。家はな」

 

 何か雄二が遠い目をしている。深くはつっこまないでおこう。

 

「さて、それじゃあ話を戻そう。試召戦争についてだ」

「戻すも何も始めてすらいなかったけどな」

「細かい事は気にするな。

 まずは……昨日ダウンした連中は参加できるのか?」

「ああ。康太は勿論、姫路も何とか復帰できそうだ。

 早めに吐かせたのが効いたのかもな」

「それならいいが……しかしあの弁当には一体何が入ってたんだ?」

「それは分からんが……一つ納得できた事がある。

 姫路の家庭科の点数の低さだ」

「? 低かったのか?」

「ああ。コレを見てくれ」

 

 雄二が見せてきたのは姫路の振り分け試験時の点数だ。実技科目の試験は振り分け試験とは別の日に行われていたので普通に参加していたんだろうな。

 普通はこんなものを生徒が持っているわけが無いのだが、試召戦争における自軍の戦力の把握する為に各クラスの代表はこういったものが配られているらしいな。

 

 

 さて、ここでちょっと実技科目について説明しておこう。

 うちの学園には、と言うか日本の高校には以下の4つの実技科目がある。

 

 ・保健体育

 ・家庭科

 ・芸術(音楽、美術など)

 ・情報

 

 文月学園ではこれらの科目も試召戦争に使用可能だ。但し、芸術はいずれか1科目を選択するので芸術フィールドでは選択した科目の点数が反映される。

 例えば、音楽で挑んでみたら相手が美術を出してくる、とかな。

 

 あともう一つ、重要な点がある。

 それは、『実技科目は総合科目の点数には反映されない』という事だ。うちの学園はセンター試験を重視しているからな。

 そして、総合科目の成績も振り分け試験の成績も同様の計算で成り立っている。

 つまり、上位クラスだからと言って実技科目までそのクラスに見合う点数とは限らないわけだ。良くも悪くも。

 ……まぁ、国語や理科ができる奴なら実技科目でも大抵はそこそこの点数を出せるし、逆もまた然りだけどな。

 実際の『実技』を評価されるなら結構影響が出てきそうだが……所詮はペーパーテストでできる範囲、知識等を問う問題が主だから結局は程々にクラスの格に合った点数になる。(一部の異端者を除く)

 

 

 さて、話を戻そう。点数表を確認してみると確かに、姫路の家庭科の点数は低いようだ。

 料理関係のものでは普通に失点して点数を落としているようだな。

 

「姫路の弱点は家庭科……と。一応覚えておこう」

「実技科目は苦手って奴も結構多いからそこまで気を遣う必要は無いけどな」

「それもそうか。

 それじゃあ次、Bクラスについての情報は集まってるのか?」

「情報っつってもな。大した事は何も。

 せいぜいBクラス代表があの根本(ねもと)恭二(きょうじ)だっつう事くらいだ」

「根本……根本か」

 

 僕の脳内辞書にきっちり記されてあるようだ。

 

  根本恭二

 とにかく卑怯な人物として有名。

 ・試験でのカンニング

 ・喧嘩にナイフはデフォルト装備

 ・喧嘩前に相手に一服盛った

 ……等など。

 ただ、あからさまに怪しい人物のカンニングを鉄人先生が許すとは思えないし、喧嘩にナイフを持ち出してたら殺傷沙汰になって噂では済まない。

 毒を盛るのも内容次第では立派な戦術だろう。姫路の料理みたいなのを盛るのはやりすぎだが……下剤程度なら場合によっては僕でもやる。

 所詮は噂だな。ただ、火の無い所に煙は立たないので何らかの行為に尾ひれがついたというのが真相だろう。多分。

 そもそも『卑怯』ってのと『戦術』の境界線っていうのは曖昧だ。雄二だってエアコンの室外機をぶっ壊すとかいうグレーに近いアウトな行為をやってるし。

 

「根本なら何か妙な事を仕掛けてきてもおかしくは無い。

 お前も気をつけておいてくれ」

「りょーかい」

 

 

 

 ……その後、Bクラスに宣戦布告に行ったり、

 姫路が康太に土下座して謝ったり、

 今度こそ平和な昼食を過ごしたり……

 そして昼休みの終了と同時にBクラス戦が始まった。

 

 ……何? 端折りすぎだと? だって大したドラマも無かったんだ。別に省略して構わんだろう。

 それじゃ……殲滅するとしようか。







「試召戦争周りのルールがシレッと説明されてたわね。
 しかも原作と明らかに食い違ってる設定が」

「この学校が『センター試験』を強く意識している事を考えると保健体育等の実技科目が総合科目に加算されているのは非常に不自然だと感じたようだ。
 原作では『康太の総合科目の点数の殆どが保健体育』などの描写があり、しっかりと総合科目に影響している事が伺えるが……別に影響してなくても物語に影響はほぼ無いし、実技まで含めると総合科目の解釈が煩雑になるのでバッサリと切り捨てたようだ」

「まぁ、確かにそういう設定の方が土屋くんは『落ちこぼれクラス』らしいわね。
 実技科目がどれだけ凄くても、結局評価されないっていう意味で」

「あと、この設定を使うと康太以外にも何かの実技科目のスペシャリストを仕込む事は可能だ。
 可能であるだけで今のところは予定が無いがな」


「では、次回もお楽しみに!」
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