バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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07 次の勉強会に向けて

 明久の家で玲さんと話した翌日の事である。

 

「タスケテクダサイ」

「……あれ、今日は昨日だっただろうか?」

「ちっがうよ! また問題が起こったんだよ!!」

「ふむ……まぁ言ってみろ」

「うん」

 

 明久は土下座を解除して椅子に座る。

 C教室ならではの行動だな。F教室だと椅子すら無いから畳に正座とかになってた。

 

「えっと……今朝起きたら姉さんが居たんだよ」

「? お前の姉が居るのは当然の事だろう?」

「いやいや、目を開けたら目の前に、ほんの数センチ先に居たんだよ」

「何だと?」

 

 まさか明久がセンチという単位を知っていたとはな。

 ……いや、こんな所でボケてもしょうがないか。目の前の数センチ先に居たという事は軽く地震が起こるだけで顔面がぶつかる……あるいはキスする距離だったという事だな。

 

「危うく唇を奪われそうになったけど、何とか突き飛ばしたんだよ」

「そ、そうか。無事なら良かった」

「確かに僕の貞操は守られた。けどヒドいんだよ!

 突き飛ばしたら突き飛ばしたで『姉さんは傷つきました。減点200です』とか言うんだよ!!」

「そう来たか……なるほど」

 

 明久が減点を喰らう事自体は実は予想通りだったりする。

 その名目まではちょっと予測できてなかったけど。

 

「で、一応訊いておくが僕は何をすれば良いんだ?」

「こうなったらもう全力で勉強して何とか姉さんを追い出すしか無い。

 だから勉強を手伝って!」

「手伝うねぇ……じゃ、また昨日みたいに勉強会を開くか」

 

 昨日は明久の作ったパエリアを皆で美味しく頂いた後で勉強会も一応やった。

 ただ、姫路みたいに安定して全科目高い優等生が居ないと効率が落ちる事を強く実感する羽目になった。

 雄二が教師役を務めてくれたんで多少はマシだったが……学力強化合宿の環境って結構恵まれてたんだな。

 

「姫路も呼ぶとなると貴様の家では都合が悪い。適当な会場を見繕っておかねばな」

「姫路さんを呼ぶの?」

「教師役が要るだろ?」

「……Aクラスの人とか呼んじゃダメかな?」

「女子を呼ぶならどうせ貴様の家では無理だ。

 それに、試召戦争も近いからあんまりAクラスと仲良く勉強したくないんだよな」

「あ、そっか。そろそろ解禁だっけ」

「貴様が勉強を教えてくれた恩人相手に容赦なく木刀を振るえるというなら選択肢に入るが……どうする?」

「それは……ちょっと嫌だね」

「だろ?」

 

 とにかく、どう転んでも会場の選定は必須だ。昼休みに雄二と相談するとしよう。

 

 

 

 

 ……と、思っていたのだが……

 

 

 

 

「おい雄二、ちょっと相談が……」

「……雄二」

「うわっ、何だ翔子、突然現れるな!」

 

 声を掛けた段階で霧島に割り込まれた。わざわざ教室まで来るのは非常に珍しいな。

 

「……今日の昼休み、2年のクラス代表は学園長室に集合。

 ……私はCクラスとEクラスに伝えてくるから雄二はBクラスとDクラスに伝えて」

「何だ? 学園長が呼んでるのか? 一体何の用だ?」

「……詳しくは分からない。とにかく連れてきて」

「しゃーない。代表が、学園長室だな? 分かった」

 

 そんな感じで雄二は出かけてしまった。

 学園長の用事……何だろうな。

 まぁ、場所はどこであれ勉強会を開く事自体は確定で良いだろう。今のうちにいつものメンバーに話しておくとしよう。

 特に女子たちは昨日の話も聞きたいだろうし。

 ……まずはそっちからだな。姫路と島田を呼ぼう。

 

「お~い、姫っち、島っち~」

「えっ? もしかして、私の事でしょうか……?」

「何よその呼び方、まあいいけど」

 

 どうやら適当過ぎる呼び方は不評だったようだ。仕方ないので次から普通に呼ぼう。

 

「……さて、姫路に島田。昨日の件について説明してやる。

 明久の姉の件について」

「やっとですか。待ってましたよ!」

 

 

 2人に昨日あった事や会話の一部を説明する。

 ついでに、康太がこっそり撮っていたらしい玲さんの写真も見せておく。

 

 

「これは……綺麗な人ですね」

「う、ウチより胸が大きい……圧倒的に……」

 

 『全人類の半数くらいは貴様よりも大きいだろう』とツッコミを入れようかと思ったが、僕は明久のようなバカではないので黙っておく。

 島田の暴力は照れ隠しの面が強いから僕が同じことを言っても同じ結果になるとは思えんが……わざわざ傷つける事もあるまい。

 

「にしても吉井くんの料理ですか……少し羨ましいです」

「そうね。ウチも食べてみたかったわ」

「姉を追い出す為に勉強会やりたいって明久が言ってるから機会があれば食べさせてもらえるかもな。

 ……いや待て、勉強に専念するから料理なんてしてるヒマは無いか?」

「期末テストが終わってから……ですかね」

「だな」

 

 さて、それじゃあいつもの男子メンバーも呼んで勉強会の段取りを詰めるとしよう。

 そう思って立ち上がった所で丁度雄二が帰ってきた。

 

「あ、お帰り雄二」

「ああ。用事があるならちょっと待ってくれ。クラスに伝えなきゃならん事がある」

 

 教室に入った雄二は真っ直ぐに教壇に向かう。

 教室内を見回した後、パンパンと手を打って注目を集める。

 

「諸君、そのままで良いから聞いてくれ。大事な連絡がある。

 俺たちは停戦期間が終わったら打倒Aクラスに向けて動く気だったが……無しになった」

 

 ……どうやら、かなり重大なニュースのようだ。心して聞くとしよう。






「吉井くんが観念して勉強会を求める話と、置いてけぼりだった女子陣への説明回かしらね」

「説明回ってほど説明してないけどな。
 そもそも減点システムとかは昨日の段階で説明してるんで新しく説明したのは本当に昨日の事だけだ」

「玲さんの写真とかあったのね。いつの間に」

「康太なら朝飯前だろう。録音とかも可能で、それを聞かせるという案もあったらしいが……まぁ、そこまでする必要は無かろうと没になった」


「では、次回もお楽しみに!」
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