バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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10 確率

「はは、はははは……ああ、ポチ、疲れたよ。何だかとても眠いんだ」

「死亡フラグ建ててる暇があったら1問でも多く問題をこなすぞ」

「アキ、微分積分は特殊な形を除けばルール通りにやるだけよ。ルールさえ覚えてれば簡単よ!」

「これが終わったら次は確率だ。サッサと解け」

「す、少しくらい休憩を……」

「「却下」」

 

 数学の勉強って事で今僕は雄二と美波から地獄を見せられている。

 ムッツリーニと秀吉は宮霧くんと一緒に勉強してるみたいだ。

 姫路さんと剣は……どこ行ったんだろう。姿が見えない。

 

「やはり明久はバカだな。勉強を教えるのがこうも苦労するとは」

「何か良い方法でも無いかしらね? 1問答える毎にご褒美があるとか」

「じゃあ、1問間違える毎に姫路が焼いたクッキーを……」

「殺す気なの!? 今でも十分地獄なのに本当にあの世に行っちゃうよ!?」

「冗談だ。元手も手間もかからない褒美を考えていたらふと思いついた。

 島田が焼いたクッキーなら褒美になるか?」

「ウチ、お菓子作りはそんなに上手くないんだけど……」

「そうだよ雄二。美波にお菓子作りなんてするイメージ無いよ。

 男勝りで暴力的で胸も小さ右腕がネジ切れるように痛いぃぃぃぃい!!!」

「アキィ? アンタの腕を微分してやろうかしら!?」

 

 意味は良く分からないけど何だか凄く怖そうだ。

 なるほど。微分っていうのは相手に恐怖を与える行為だったのか!

 Xの右上の指数を脅してカツアゲして自身は成長する……これが、微分!

 

「島田、そろそろ放してやれ。明久が文字を書けなくなると面倒だ」

「アキは左利きだから多少は大丈夫じゃない?」

「右腕が残ってないと左腕を攻撃する時に面倒だろ」

「なるほど。それもそうね」

 

 良く分からないけど美波が右腕を解放してくれた。

 今なら解ける気がする。微分積分!

 

「はっはっはっ、明久、そんな勢いよく書いても答えが間違ってたら……合っている……だと!?」

「え、嘘っ!? さっきまで全然だったのに!!」

「……今後も詰まったら島田が関節技を掛ける。アリかもしれんな」

「どういう理屈よ!?」

 

 よし、これでOK!

 次は確率の問題か。どう解けば良いかなぁ……

 

「えっと……

 

 『目の前に3つの扉があります。そのうちの1つは当たりです。

  さて、扉を1つだけ選んだ時に当たりを選べる確率は?』

 

 う~ん……1/2くらいかな」

「何でそうなったのよ!? 普通は1/3でしょう!!」

「扉をじっくり観察すれば当たりっぽい扉が分かるかなって」

「そんな余計な事考えなくて良いのよ!」

「もぅ、美波は我儘だなぁ。じゃあ1/3っと」

 

 答えを確認すると本当に1/3らしい。

 僕くらいになればもっと確率上げられそうなものだけど……問題製作者も美波と同様に運任せにしか選べないみたいだ。

 低レベルな人の事も考えないといけないなんて、テストはやっぱり難しいな。

 

「さっきの続きっと。

 

 『1つの扉を選んだ後、その扉を開ける前に別の人が来ました。

  その人は当たりの扉を知っていますが、あえて外れの扉を1つ選んで開きました。

  さて、この時あなたは開ける扉を変えるべきでしょうか?』

 

 ……どういう事?」

「あ~、この問題か。島田はどう思う?」

「ウチが選ぶの? う~ん……別に変えても変えなくても1/2で変わらないんじゃない?」

「そうかそうか。明久はどう思う?」

「美波は間違ってるね。どっちも1/3だよ!

 あ、でも結局変わらないっていうのは同じか」

「アキ、確率は1/3のままじゃないでしょ。1つ選択肢が潰れてるんだから当たりの確率は1/2でしょ」

「フッ、美波は分かってないなぁ。最初に選んでから中身を確認もしてないのに確率が変わる訳が無いじゃないか!」

「埒が明かないわね。坂本、どっちが正しいの?」

「そうだな……島田の方が近いと言えなくもないし明久の方が近いと言えなくもない。

 結論を言うとどっちも不正解だ」

「「ええっ!?」」

 

 そ、そんなバカな。美波はまだしもこの僕まで間違っているだって!?

 ……ああ、そうか。雄二が間違ってるんだな。それなら納得だ。

 

「この問題の答えは『扉を変えた方が2倍有利になる』だ」

「変えた方が良いの!? どうして……」

「まずは今からいう事を飲み込んでくれ。

 『最初に選択した扉が当たりだった場合、扉を変えたら外れになる』

 『最初に選択した扉が外れだった場合、扉を変えたら当たりになる』

 納得できるか?」

「当たりを変えたら外れ。外れを変えたら……そっか、外れはもう無いから当たりになるわね」

「では質問だ。最初の時点、どっかの誰かが別の扉を開ける前の時点で『外れている確率』は?」

「2/3ね」

「そういう事だ」

「なるほど……確かに2倍有利ね。

 変えなければ1/3、変えれば2/3で当たりだもの」

「明久が言った1/3ってのもある意味間違いではなかったな。変える前の確率は確かにそっちだ」

 

 よく分からないけど……とにかく変えた方が良いらしい。

 雄二が間違っていたならこれほど滑らかに解説はできないはずだ。

 くっ、ケアレスミスか……

 

「それじゃあ次の問題っと。

 

 『1つの扉を選んだ後、その扉を開ける前に別の人が来ました。

  その人は適当に扉を開きましたが、その扉は外れでした。

  さて、この時あなたは開ける扉を変えるべきでしょうか?

  理由も合わせて回答して下さい』

 

 ……書いた人が間違えたのかな。当然変えるべきだよね」

「そうよね。完全にさっきの問題と同じに見えるわ。変えるべきね」

「2人とも不正解だ。この場合は変えても変えなくても1/2なんでどっちでも良い」

「ええええっ!? どうして!?」

「さっきの問題は正解を避けて選んでいたのに対して今回は適当に選んでたまたま外れだっただけだ。

 これが当たりだったらどうする気だ?」

「いや、当たりじゃなかったんだから考えなくて良いんじゃないの?」

「そういう事だ。考えなくていい……と言うより考えてはいけない。当たりだった場合というのは確率の母数から除外しなくちゃならん。

 この問題における当たりの位置やそれぞれの行動を完全ランダムで行うと3×3×2の18通りのパターンが考えられるが、その中で後から来た奴が当たりを引くものは6パターンだ。

 残り12パターンのうち最初に選んだ扉が当たりのパターンは6パターン、外れも6パターン。

 どっちも6/12だから1/2って訳だ」

「3・3・2……当たりの位置が3パターン、最初の選択が3パターン、後から来た人の2択……って事は……えっと……」

「よりシンプルにしたいなら当たりの位置も固定で良い。どうせ似たようなパターンが3倍に増えるだけだ」

「あ、そっか。って事は……確かに1/2ね」

 

 よく分からないけど1/2らしい。

 

「でも結局変わらないならとりあえず変えておいた方が無難って事だね」

「……まぁ、そうだな。基本的にこの手の問題で変えた方が確率が下がるって事はまず無いはずだ。

 日常生活ではとりあえず変えるってので問題ない。

 だが、テストの回答してはアウトだな」

「う~ん……この問題は飛ばして次に行こう!」

「その方が良さそうだ」

 

 気を取り直して次に行こう!

 そう思ったところで、玄関の方から扉が開く音が聞こえた。

 

『あれ、お客さん? 随分多いわね……』

 

 剣の妹の光さんが帰ってきたみたいだ。

 家にお邪魔させてもらってるわけだし、挨拶しておかないとね。






「腕を微分って一体……?」

「微分には次元を下げるという意味も一応あるから『腕を二次元に(ぺしゃんこに)してやろうか』というような意味で使ったようだ。
 微分ではなく積分を使って『アンタの腕を積分してやろうかしら!?』にするか悩んだが……微分の方がそれっぽいかなと」

「そっちもどういう意味かちょっと分かり辛いわね」

「バラバラにして積み重ねてやろうかって意味だろう」

「なるほど」

「後半は確率問題だったな。
 せっかくだから有名なモンティホール問題を引っ張ってきてみた」

「3つの扉の問題ね。ややこしいけど面白いわよね」

「これは制作秘話だが、最初2問目の所で3問目の問を書いていたそうだ。
 その上で解説は2問目と同じ事を言っていた」

「……? 答えが違うから解説変わらないとマズイのでは?」

「ああ。その通り。書いてて違和感を覚えた筆者は30分くらい悩んで自分が間違えた事に気付いたそうだ。
 やってる事の見た目は殆ど変わってないはずなのに確率は全然違うっていうな。
 ホントややこしい」

※今回の確率の問題はネット等で答えの確認はしてません。
 もし雄二の……と言うか筆者の回答がおかしかったらご指摘頂けると助かります。

「そういう訳で、筆者の失敗を元に3問目を書いて、キリが良い感じになったから今日はここまでとなった」


「では、次回もお楽しみに!」
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