バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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11 弾丸

 剣の家に光さんが帰ってきた。

 

「兄さんは居ないみたいみたいね。ここに居る人達は不法侵入かしら? 110番しないと」

「待て待て。剣ならその辺に居るはずだ」

「アハハ、冗談よ。もし兄さんが居なくても秀吉くんが居るなら問題無いし」

「ワシ? どうしてじゃ?」

「彼氏の突然の訪問を歓迎しない彼女は居ないって事よ。秀吉くん♪」

「むぅ……そういうものかのぅ?」

 

 あれ? 何だか聞き捨てならない事を言っていたような気が……

 

「え~っと……光さんって呼んでいいか?」

「構わないわよ。あなたは……」

「オレは伊織、宮霧伊織だ。

 何か凄く自然に言ってたけど、秀吉って光さんと付き合ってるのか?」

「ええ。そうよ」

 

 なるほど。さっきの違和感はそれか。

 秀吉が光さんと付き合って……えっ?

 

「えええええええっっっ!? 秀吉と光さんが!?

 秀吉っ! やっぱり同性愛の趣味が……」

「ワシは男だと言っておるじゃろう!?」

「私も普通に男の人が好きだから。秀吉くんみたいな」

「何言ってるの光さん。秀吉は秀吉じゃないか!」

「女子と付き合ったという事になってもワシは男扱いされぬのじゃな……」

 

 何を当たり前の事を。

 秀吉が秀吉だという事はこの世に刻まれた絶対なる真理。ちょっとした事で変わる訳が……

 

「……吉井くん?」

「え、何光さヒィッ!?」

 

 振り向くと目が全く笑ってない光さんと喉元に突き付けられた貫手が目に入った。

 ははは……勉強し過ぎで疲れてるのかな。

 

「秀吉くんは、男。いいわね?」

「は、はいっ! 分かりました!!」

 

 この世に刻まれた絶対なる真理はアッサリと砕け散った。

 はは、流石はあの剣の妹だ。怖い。

 

「微妙に仲が良さそうだとは前から思ってたが、そうか、付き合ってたのか」

「坂本は気付いてたの? ウチは全然気づいてなかったわ。

 一人だけ抜け駆けとは良い度胸じゃないの秀吉」

「抜け駆けとは……島田よ、やっぱりワシを女扱いしておらぬか?」

「そんなつもりは無いけど……」

「それはそうと、兄さんはどこに居るの? 姫路さんの姿も見えないけど? 靴はそれっぽいのがあったのに」

「そう言えばどこに居るんだあいつら」

 

 あの二人はしばらく前から姿が見えない。

 ま、まさか姫路さんをどこかの部屋に連れ込んでとんでもない事を……って、あの剣に限って無いか。

 まあいいや。携帯を使って呼んで……

 

バキッ

 

「諸君、少々早いがメシだ」

 

 呼ぼうとしたら扉が突然開かれた。

 あの、何か破壊音が聞こえた気がしたんだけど……気のせいじゃないよね?

 

「ん? 帰っていたのか。光」

「ええ。あら? その料理は……」

 

 剣は料理が乗った大量の皿を器用に抱えている。

 これだとドアノブを捻るのも困難だろう。扉を破壊するのも納得……できるわけが無い。

 

「空凪くん。早く進んで下さい。ちょっと重いです」

「おっと、スマン」

 

 剣の後ろから現れたのは姫路さん。剣ほどじゃないけどそれなりの量の料理を抱えているみたいだ。

 二人が料理を机に並べていく。えっと……9人分か。よく二人だけで運べたものだ。

 ……ちょっと待って? 姫路さんが料理を持ってきた? まさか……

 

「え~、1つ言っておく事がある。

 これらの料理には姫路が作成したものが混ざっている」

「はぁぁぁあああっっ!?!? オイテメェ何を考えてやがる!!」

「おいおいおいおい副代表!? 姫路さんの料理ってアレだよな!? Fクラス全員が昏倒して工藤さんも一時的に記憶喪失になったヤツ!!

 勉強会やってる最中だってのに何を考えてやがるんだ!?!?」

 

 僕も雄二や宮霧くんと同じ意見だ。

 勉強会に来たはずなのに何で勉強以外で地獄を見せられなければならないのか。

 

「……あの、私、泣いて良いですよね……?」

「今までの所業を考えると自業自得ではあるが……泣くのは食ったやつの感想を聞いてからでも遅くはあるまい」

「……それもそうですね。さぁ皆さん、食べて下さい!」

「……1つ、予言してみよう。

 これは僕の勘だが、最後に食う奴が一番地獄を見るぞ?」

 

 剣はいつも通りに邪悪な笑みを浮かべている。

 気楽そうで羨ましいよ。どうせいつもの直感で姫路さんの料理がどれか判別できているに違いない!

 

「……兄さん、これって……」

「のーこめんと」

「それで十分察しは付くわ。

 じゃあ私はこの皿を頂くわね」

 

 真っ先に動いたのは光さん。

 適当な皿の上の料理……シュウマイみたいな料理を頬張った。

 

「……うん、美味しい」

 

 セーフだったみたいだ。これで当たってくれてれば後は気楽だったんだけど……何とか雄二辺りが処理してくれないかな?

 

「光が物怖じせずに挑んだのに、ワシが縮こまっているわけにも行かぬな。

 では、コレじゃ。どう思う剣よ」

「いいんじゃないか? どれでも」

「……では頂くのじゃ」

 

 料理を食べた秀吉の反応は……こっちもセーフだったみたいだ。

 しかしなるほど。剣の反応を見れば多少は分かるのか。よし、僕も実践してみよう。

 

「剣~、どれが姫路さんの作った料理なの?」

「さぁ?」

「これ?」

「さぁ?」

「じゃあこれ?」

「さぁ?」

 

 全然分からないよ!! やっぱり秀吉の真似は無理か……

 

「何だどうした? もう挑む奴は居ないのか? じゃあ僕はこれを……」

「待った! オレはその皿を貰う!!」

「……本当に良いのか?」

「うっ……ああ!」

「ククッ、良かろう。ほれ」

「…………頂きます」

 

 宮霧くんの様子を固唾を飲んで見守る。

 

「……美味い」

「良かったな。

 じゃ、改めて僕はこの皿を……」

「待て。今度は俺がその皿を貰う!

 テメェの事だ。宮霧が動いた時点で後に続く奴が居る事くらい想定済みだろう。

 そしてそれを俺が想定する事もテメェは読んでいるはずだ。

 だからその皿は毒と見せかけて無毒。どうだ!」

「なら試すと良い。自身の身体でな」

「ああ!」

 

 雄二が挑む。頼む、当たって!

 

「……普通に美味いな」

「そうか。

 次挑む奴は居るか?」

 

 残っているのは僕と美波とムッツリーニ。後は剣本人と姫路さんか。

 誰も動く気配は無い。と想ったら姫路さんが動いた。

 

「あ、でしたら私が頂きます。この皿を……」

 

 チャンス! 姫路さんなら剣みたいに策謀を巡らせる事は無い!

 つまりアレは安全な皿!

 

「その皿は僕が……」

「瑞希! その皿はウチに頂戴!!」

「ちょ、美波!? 僕が狙ってたのに!!」

「早い者勝ちよ、アキ!」

「ぐっ……ならせめてじゃんけんとか……」

「ほら、アレよ。さっきまで勉強教えてあげてたんだから譲りなさい!」

「命を捧げる程の恩じゃないよ!」

 

「……いじわるな事を言う二人にはこの皿はあげません。

 せっかくだから土屋くんにあげます」

「…………良いのか? 助かる」

「はい、どうぞ」

「ああ! 待って瑞希!」

 

 美波の制止も気に留めず、皿はムッツリーニに手渡された。

 当然、セーフ。

 姫路さんも新しく適当な皿を取って食べる。こちらもセーフ。

 

「くっ、空凪と一騎打ちなんてゴメンよ! ウチはこの皿を選ぶわ!」

「置いてかないでよ美波! 僕はこの皿を選ぶよ!!」

 

 余った皿から勘だけで選び、美波と同じタイミングで料理を口に入れる。

 もぐもぐもぐもぐ……

 ……良かった。美味しい。

 

「よし、これで残った皿は1枚だけ!

 剣! 年貢の納め時だよ! こんな妙な事をした報いを受けるんだね!!」

「ふむ……僕の予言は外れたか。んじゃ、頂きます」

 

 剣は手を合わせると料理を口にする。

 そして平然とした顔で飲み込み……アレ?

 

「……剣? 姫路さんの料理が混ざってるんじゃなかったの?」

「ん? ああ。勿論だ。各皿のシュウマイもどきは全て姫路が作成したものだ」

「…………はい?」

 

 シュウマイもどきってさっき僕が食べた奴だよね?

 これを全部姫路さんが……? え?

 

「「「「えええええええ!?!?」」」」






「光さん回と姫路さんのロシアンルーレット回だったわね」

「ようやく秀吉と光の関係を既成事実化できた」

「偽装とはいえ付き合い始めてからそれなりに経過してるはずよね」

「元々、休日編の次の閑話で日常会話にさり気なく割り込ませて既成事実化する予定だったんだ。
 しかし筆者が公式コラボなどという要らん事を思いついてしまったせいでそんな余裕が無くなりここまで伸びてしまった」

「決して要らん事ではないと思うけど……」

「……まぁ、そうだな。結果的には光と秀吉が揃った状態で宣言できたし良しとしておこう」
 
※ いつものメンバーの間で秀吉と光が付き合ってる事が既成事実化したのでタグに『秀吉×オリ』を追加しておきます。


「で、次は姫路さんのロシアンルーレットね」

「9連装の銃に弾が9発装填されている代物だな。
 なお、弾丸はBB弾以下の殺傷能力だ」

「……本当に姫路さんが作ったのよね?」

「……一応な。僕と姫路が裏側で一体何をしていたのかは次の話で語られる」

「そう。じゃあ明日を待つとしましょうか。
 では次回もお楽しみに!」
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