やあ皆。僕だよ僕。
前回は不幸な事故で満足に名乗りを上げられなかったから今度こそキメさせてもらうよ。
前回のDクラス戦にて殆ど傷を受けず無双してDクラスを蹴散らした勝利の立役者。
そう、僕の名は……
「おい隊長、変な事やってないでサッサと指揮を取ってくれ」
「また名乗れなかったチクショウっ!」
僕に指摘してきたのは昨日もお世話になった伝令の人だ。
そう言えば名前は何だっけな? 後で覚えておこう。
さてと、今回僕は前線部隊の隊長を任されている。秀吉は副隊長って感じだね。
どうやら早くも目の前では戦闘が始まってるみたいだ。どれどれ……
[フィールド:数学1A]
Bクラス 172点
Bクラス 181点
Fクラス 62点
Fクラス 71点
うわぁ、流石はBクラスだ。Dクラスの時も点数では負けてたけど、更に差がヒドい事になってるね。
上手いことフォローしないとあっという間に押しきられてしまうだろう。
でも……前回と違うのは相手だけじゃない。
「す、すいませんっ、遅れましたっ!
姫路瑞希、召喚します!
Fクラス 姫路瑞希 412点
Dクラス戦では姫路さんによる奇襲が肝だったから温存しておく必要があったけど、今回は違う。
最初っから、思う存分戦えるわけだ。
『姫路が来たぞ!!』
『うわっ、マジかよ!? いきなりかよ!!』
高い点数というのは単純に強いだけでなく相手を威圧する効果もある。
取り囲んで袋叩きにすればいくら姫路さんでも割と簡単に戦死に追い込まれるけど、それでも何名かを道連れにできる。
実践するには特攻命令すら押し通せる超優秀な指揮官が必要だ。
そういう人が居ない場合……相手は必要以上にもたついて、その間に被害はどんどん膨れ上がっていく。
……って、全部雄二の受け売りなんだけどね。
「ってあれ? 姫路さん。何か召喚獣がアクセサリー着けてるね」
「ああ、はい。数学は結構解けたので」
「? どゆこと?」
「あれ、吉井くんはご存知無いんですか?
それじゃあ、お見せします」
そう言って姫路さんの召喚獣がアクセサリー(腕輪)を着けている左腕を敵の方に向けた。
そして……
キュボッ
という、間の抜けた音と共に敵の召喚獣が4体ほどまとめて消し飛んだ。
Fクラス 姫路瑞希 412点 → 312点
Bクラス Dead
Bクラス Dead
Bクラス Dead
Bクラス Dead
『ちょっ!? 何アレ!?』
『勝てるわけ無いだろあんなの!!!』
そ、そうだ! 思い出した! 確か凄い点数を取ると凄い特殊能力が使えるようになるんだった。
確か……400点以上の召喚獣は特殊能力を使える腕輪を装備した状態で呼び出される。そしてその腕輪は個人によって決まってる。姫路さんの場合は『熱線』とでも呼ぶべき能力だね。
腕輪を使うと点数を結構消耗するみたいだけど、それでもその威力は凄まじい。十分過ぎるくらいお釣りが来る。
……今気付いたけど、召喚獣の点数ってHPと攻撃力だけじゃなくMPにもなってるんだね。いくらなんでもシンプル過ぎないかな? RPGとしては逆に面倒くさいんだけど……
「よし、もう一回っ!」
再び姫路さんが熱線を放つ。
Fクラス 姫路瑞希 312点 → 212点
Bクラス Dead
Bクラス Dead
Bクラス Dead
Fクラス Dead
「……あっ」
「戦死者は補習!!」
『ちょっ、またいつの間にか死んでる!? 味方の誤射で2連続戦死とか勘弁してくれよ!!』
「それは……不幸だったな。だが補習だ」
『ちくしょぉぉぉぉ!!!!』
何か、BクラスだけじゃなくてFクラスも巻き込まれた。
そりゃそうだよね。相手にだけ当たるとかいう都合の良い事は起こらないよね。
って言うか、僕がアレに当たったら一体どうなってしまうんだろう……?
「うぅぅ……失敗しちゃいました……」
「だ、大丈夫だよ姫路さん。
Bクラスを3人も巻き込んだんだから、彼もきっと喜んでるよ!」
「そ、そうでしょうか……?」
「うん! 間違い無いよ!!」
「なら良かったです! でも、巻き込んじゃったのは事実なので後で謝っておきます……」
「そ、そうだね。そうするといいよ」
姫路さんがアッサリ騙された。彼女はFクラスでやっていけるのだろうか?
「それより、点数を結構消費したんじゃない?
それでもまだ他のFクラスの皆よりは多いけど、そろそろ下がった方が……」
「そうですね。では……」
キュボッ
Fクラス 姫路瑞希 212点 → 112点
Bクラス Dead
Bクラス Dead
「こんなものですね。後は頼みましたよ」
「うん! よし皆、姫路さんの頑張りを無駄にするな!!」
「「「「おおおお!!!!」」」」
姫路さん凄いな。1分も経たないうちに9人も倒したよ。
そしてかなり消耗したけどそれでもFクラスより多いね。
「明久よ、ちょっと良いかのぅ?」
「え? どうしたの秀吉」
「一旦教室に戻ろうと思うのじゃが……」
「え? どうして?」
「相手の代表があの根本らしいのじゃ。
何かされてもおかしくは無いと思ってのぅ」
「な、なるほど……じゃあ一緒に様子を見に行こう。
島田さん! ここの指揮、お願いできる?」
「ええ、気をつけてね」
「なるべく早く戻ってこいよ~」
島田さんと伝令の人に見送られて僕達はFクラス教室に向かった。
さて、指揮って言われても瑞希が大体倒したから細かい指示は要らないのよね。
吉井が帰ってくるまで程々に頑張りましょうか。
そう考えていたら、こんな言葉が聞こえてきた。
『た、大変だ! Fクラスの吉井が保健室に担ぎ込まれたってよ!!』
『な、何だって!? あのFクラスの吉井が!?』
吉井が、保健室に?
あの頑丈さだけが取り柄の吉井が簡単に保健室送りになるわけが……
『ああ。何でも姫路のパンツを見てしまって鼻血が止まらなくなったとか……』
『な、何だって!? なんてうらやま……じゃなくて、けしからんヤツだ!!』
『あの出血量じゃ、保ってあと30分って所だな……』
『そうか、天罰は下ったのか。ならいいや』
って、十分有り得る!! あの吉井なら、十分に有り得るっ!
こうしちゃいられない、何とかしないと!!
「待ってなさいよ吉井ぃぃぃ!!!!」
ウチは脇目も振らず、保健室へと駆け出した。
「っておい! 副隊長!? どこ行く気だ!?
ああもう、勝手な事を……面倒だな。ったく」
「また吉井くん視点ね」
「ここもリメイク版加筆パートだな。前回は明久視点なんて皆無だったからな」
「徹頭徹尾、キミの物語だったものね。
いや、最後の方は吉井くん視点は結構多かったけど」
「まぁ、そういうコトだな」
「それでは、次回もお楽しみに!」