順位が決定した所でお待ちかねの清算タイムである。
まずは発端である霧島と雄二からだ。
「……それじゃあ雄二。覚悟を決めてもらう」
「俺に何をさせる気だ?」
「……何もさせる気は無い」
「何だと? どういう意味だ」
「……前に私は雄二に勝って付き合って欲しいと言った」
「ああ。そうだな」
「……私からの命令はただ1つ。あの時の命令を無かった事にして欲しい」
「っ!? 何だと!? どういう意味だ!!」
「……そしてこれは私からのお願い。
……雄二、私と付き合って欲しい」
「何だってそんな意味のない事を……俺と付き合いたいならそのままにしときゃ良いものを」
「……今の私は雄二と付き合いたい訳じゃない。雄二を私と付き合わせたい。それだけ」
「…………」
「……返事は今すぐには要らない。期末テストが終わる頃までには答えを出して」
何を命令するのかと思っていたが、こういう事らしい。
ククッ、今までは雄二は『命令だから仕方なく霧島と付き合う』という事になっていたが、今後は同じ言い訳は通じない。
今まで通りに付き合いたいのであれば雄二が霧島への好意を認める必要があるという訳だな。
霧島の奴、なかなかやるようになったじゃないか。
「んじゃ、残りの清算だな。まずは1位の康太から」
「…………期末が終わったら、写真を撮らせてほしい」
「なるほど康太らしい。誰の写真を撮りたいんだ?」
「…………ほぼ全員。1位なのだからこれくらいの権利はあるはずだ」
「なるほど確かに。異論がある者は居るか?」
「写真くらい構わない……って言いたい所だけど内容によるわ。一体どんな写真を撮る気?」
「…………ただの写真だ。肖像権以外の法律に触れるようなものは撮らない」
「ホントでしょうね……? 剣くん、検閲を頼める?」
「良かろう。他に異論は……無さそうだな。じゃあOKという事で。
「次はボクだね! さぁ~って、一体ナニをして貰おっかな~」
「エロ関係に走るのは止めなさいよ? 1位の土屋くんだってそれなりに自重してるみたいなんだから」
「もぅ、光は心配性だなぁ。
それじゃあ……決めたよ。ボクより低かった10人……代表たちを除いた8人には駅前のアレを奢ってもらおうカナ~」
「『アレ』……? ま、まさか愛子、アレを頼もうと言うの!?」
「うんアレ。一度食べてみたかったんだよネ~。
駅前で売ってる『トロピカルスーパージャンボパフェデラックススペシャル改エクストラバージョンダブルプラス』を!」
「うっそでしょ!? あの冗談で作ったみたいな商品を食べる気!?」
……何か凄い長い名前だが要するに凄いパフェの事っぽい。
8人で強力して1つ注文するわけだから……4000円だと仮定しても500円の出費で済むな。
「これもムッツリーニくんと同じく期末の後で良いよ。時間がある時に皆で行こうネ~」
「次は姫路だな」
「私ですか……命令、命令……参加しておいてどうかと思いますけど特に思いつかないですね……」
「そうか。パスするか?」
「う~ん……あ、そうだ。1つだけ思いつきましたよ。吉井くんへの命令です!」
「え、僕? 一体何をさせられるんだろう……」
「簡単な事ですよ。今回の……と言うより最近の勉強会は主に吉井くんの為に開いているものです。
勿論私たちもこの機会に勉強させてもらってますけど……1番の目的は吉井くんの為です。
それを無駄にしないように、ちゃんと良い結果を出して下さいね」
「う~ん……ある意味一番難しいような……分かった。精一杯頑張ってみるよ」
「次は光」
「そうねぇ……姫路さんのパクリっぽくなっちゃうけど……秀吉くんに」
「ワシか? 何じゃ?」
「次の振り分け試験でAクラスに入る事。以上」
「……明久以上にキツイものが出てきたのぅ……できる気がせぬのじゃが……」
「何のために私が居ると思ってるのよ」
「成績向上の為だというのは初耳じゃな……」
「次は僕だな。命令は……じゃあ今度ラーメンでも奢ってもらおうか」
「ボクと同じく自分以下の人全員への命令カナ?」
「そういう事だ」
面白そうだから参加したが命令自体に興味は無い。
最初に挙げた例であるラーメン奢りくらいで丁度いいだろう。
「次はアタシか……じゃあ同じくラーメンで」
「考えるのが面倒だったのか?」
「まぁ、そうね。剣くんがラーメンにした以上はそれより下のアタシが凄い命令をする訳にもいかないし。
それに、剣くんのラーメンにしたってお金だけ渡して行ってらっしゃいって訳にもいかないだろうから結局皆で一緒に行く事になるんでしょ?
一緒に済ませられれば分かりやすいわ」
「そうなって来るとオレもラーメンで良いか。面倒だし」
「僕は最初からカロリー……じゃなくてラーメンだよ!」
「……この際だからウチもラーメンにしようかしら。瑞希も応援するだけだったし」
僕以下は全員ラーメンに決まったらしい。
ちょっと待て。結局だれがどれだけ払う事になるんだ?
「んっと?
僕のラーメン代を5人で分ける。
木下姉のラーメン代を4人で分ける。
島田のラーメン代を3人で分ける。
明久のラーメン代を2人で分ける。
伊織のラーメン代を1人で分ける。
秀吉は奢り分だけで1+1/2+1/3+1/4+1/5=274/120
伊織は1/2+1/3+1/4+1/5=154/120
明久は1/3+1/4+1/5=94/120
島田は1/4+1/5=54/120
木下姉は1/5=24/120
ラーメンが600円とするとそれぞれ……
1370、770、470、270、120
秀吉が自分の分も注文すれば1970円か。
……簡単に済ませようとしたら逆に面倒になったな」
「しかも実際には全員同じのを注文するとは思えないし、もっと細かい値段の可能性も十分あり得るわよね……?」
「……この数値を目安にそれっぽく出し合うとするか」
「何だか楽しそうですね。私も一緒に行きたいです」
「構わんぞ。自腹だが」
「自腹も何も一切払わなくていいのは剣くんだけじゃないの」
「いやいや、ラーメンでは無いが僕も工藤に払う分がある。同じ日に行くかは分からんけどな」
「確かに……単純な話のはずなのに何故か微妙にややこしいわね……」
こんな感じで、一応清算は完了した。
「清算回終了だ。
下位の連中をどうするか迷ったようだが……途中から面倒になって結局こうなった」
「面倒だったからなのね……」
「シンプルにしようとしたら逆に面倒な事になっていたな。
多分だが皆で行く事になると思うんで計算は霧島に押し付けるとしよう」
「では、次回もお楽しみに!」