バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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01 本質を映すモノ

 試験召喚システムが明久に対して下した評価は置いておいて、この召喚獣について考えてみよう。

 

「頭が取れるのは不気味だけど……よく考えたら装備自体はけっこうしっかりしてるから意外と強いのかな?」

 

 という明久にしては割と真っ当なコメントが出てきた。

 しかし、この召喚獣はそれ以上に大きな弱点を抱えている。

 

「明久、その不気味に取れる頭も召喚獣の一部だ。その辺に転がして置いたら恰好の的だぞ?」

「た、確かに……じゃあ頭をホッチキスで止めておかないと!」

「せめてガムテにせい! ホッチキスだと痛い上に簡単に千切れるぞ!!

 いや、そうじゃなくてだな、ガムテなり他の方法でくっつけるなりしても万全とは行かん。何かの拍子にすっぽ抜けたらオシマイな上に召喚する度にくっつけなきゃならないんだぞ?」

「う~ん……なるほど……

 じゃあ結局どうすれば良いの?」

「召喚した直後に生身の肉体で頭部を回収すれば良いんじゃないか? いやでも頭って結構重いか?」

 

 物としての頭部の重さを実感できるのは医者か猟奇的殺人者くらいのものだと思うが、何かどっかで重いとか聞いたことがある。

 やたらと力持ちな召喚獣の頭部となると更に重くても不思議では……

 

「うぅぅん……運べない程じゃないけど地味に重いし、何か顔に変な感覚が……」

「手段の一つとしてはアリっぽいが、あんまりやりたくない感じか。

 となると、召喚獣自身に頭を押さえてもらうしか無いな」

 

 常に召喚獣の片手が塞がる事になる。かなりのハンデとなるな。

 ……いや、そんなハンデを抱えるくらいなら自分で頭部を抱えておく方がマシか。

 

 

 明久の召喚獣の論評をしていたらクラスの他のメンバーもやってきた。

 

『おうおうお前ら面白そうな事やってるじゃねぇか!』

『個性を反映だって? よしやってやるぜぇ!』

『俺のような素晴らしくてこう……素晴らしい人間である俺ならきっと天使とかが出るに違いない!』

 

 Fクラスの人型使い捨て装甲板の皆さんである。フラグにしか聞こえない。

 

『『『試獣召喚(サモン)!!』』』

 

ズズズズズ(ゾンビが這い出る音)

ズズズズズ(ゾンビが這い出る音)

ズズズズズ(ゾンビが這い出る音)

 

「……性根が腐ってるからか」

『ば、バカな! きっとバグに違いない!』

「あ、なるほど! それじゃあ僕の召喚獣もバグで……

『いやでも吉井の召喚獣は正常に頭が無いぞ?』

『くっ、どっちを信じれば良いんだ!!』

「いやいや、どう考えてもバグだよね!? 何でそこで悩むの!?」

「そんなどうでもいい事より、動かし具合はどうなんだ?

 ゾンビの如く這い回る事しかできないとなると厄介なんだが……」

『お、それもそうだな』

 

 僕のコメントを受けて皆が思い思いに召喚獣を動かす。

 う~む、特に問題は無さそうだ。

 スタイリッシュに蠢くゾンビ達は少々不気味だが、明久みたいに特に変な能力を持ち合わせている事は無さそうだ。

 

「いったい何の騒ぎじゃ?」

「…………」

 

 騒ぎを聞きつけた秀吉と康太もやってきたらしい。

 

「何か召喚獣が生徒の個性に合わせてオカルト風に変身してるらしい。

 せっかくだからお前らも呼び出してみたらどうだ?」

「なるほどのぅ……そうじゃ、せっかくじゃから呼ぶ前に予想してみぬか?」

「ほぅ? 面白そうじゃないか」

「そうじゃな、ワシと言えば演劇、演劇と言えばワシじゃからな。きっとオペラ座の怪人のようなお洒落な……」

「女に化けて人を食う妖怪はいくらでも居るからな。予想が絞り切れん……」

「……剣よ、ワシとて傷付く事はあるんじゃぞ?」

「え? ああ、スマン」

「うーん、でも秀吉の個性って言ったら性別『秀吉』だよね。その何とかの怪人よりは有り得るんじゃないの?」

「明久までもか……ええい! 呼んでみれば分かるわい! 試獣召喚(サモン)

 

 すると現れたのは……擬人化された猫っぽい召喚獣だった。

 

「な、何じゃこれは!!」

「猫……ああいや、しっぽが二又に別れてる。猫又だな」

「うぅむ……猫又なのは別に構わぬのじゃが……どうしてこうソーシャルゲームのキャラクターのように擬人化されておるのじゃ?」

「秀吉は可愛いからね!」

「……ワシは、システムからもそんな扱いを受けておるのじゃな……」

 

 たかがシステムがどうやって人の評価をしてるんだろうな? 学校にいる間ずっと見張られてるとか考えるとちょっと不気味だ。

 

 

 秀吉が決して浅くない傷を負ったが、お構いなしに次に進むとしよう。

 

「…………次は俺が行こう」

「ムッツリーニの個性か……う~ん……」

「エロ方面に行く気もするが、積極的にセクハラしたりする訳でも無いしな。

 盗撮カメラのイメージで何かこう目玉っぽい妖怪になったりしてな」

「目玉の妖怪……どこかで聞いたことがあるような……」

「…………呼び出してみればわかる。試獣召喚(サモン)

 

 そして現れたのは……どうにも顔色が悪い黒ずくめの召喚獣だった。

 

「おいおい、ちゃんとメシ食ってるのか?」

「…………そんな事を訊かれても困る」

「にしても顔色悪いね。貧血気味?」

「黒っぽい恰好で貧血……もしやドラキュラ伯爵かの?」

「血に飢えている、何気に女好き……結構当てはまってるな」

「…………全然当てはまっていない」

 

 

 康太の否認は誰からも同意を得られなかったので次に進むとする。

 

「流れ的には僕だが……あえて雄二に呼び出してもらおう」

「何でわざわざ流れに逆らうんだよ。別に良いけどな。

 鉄人、もうフィールドを張らない理由は無いだろう? 白銀の腕輪を使うのは点数が勿体ないから出してくれ」

「ううむ、仕方あるまい。坂本、フィールドを解除しろ」

「あいよ」

 

 雄二が腕輪を抜き取りフィールドが消滅する。

 その直後に鉄人から新しいフィールドが張られた。

 

「雄二の召喚獣か……どんな奴だろうな?」

「雄二と言うと策謀を巡らせるイメージがあるからどこかの大悪魔とかになるかもしれんのぅ」

「…………確かに、有り得そうだ」

 

 策謀家か。なるほど確かに。

 有り得なくは無いが、もっと雄二っぽいのが居そうな気するな。

 

「ふっふっふっ、みんな分かってないなぁ」

「何だ明久。俺の召喚獣が分かるのか?」

「雄二と言ったらアレしか無いでしょう? 人を裏切り幼馴染を騙すっていうあの妖怪」

 

 いやに具体的な妖怪だな。しかし皆目見当も付かん。

 一体何の妖怪……

 

「そう! 『坂本雄二』っていう妖怪が……」

「くたばれ」

「くぴゃっ! ちょっと雄二! いきなり何するのさ!!」

「おっかしいな。うちの古いテレビはこうやったら直ったんだが」

「いや、今明らかに『くたばれ』って言ってたよね!?」

「何だ明久知らないのか? あえて酷い言葉を投げつける事で逆に奮起させるという治療法を。

 俺はお前の為に心を鬼にして『くたばれ』と言ったんだ」

「そ、そんな方法があったなんて! わざわざありがとう雄二!」

 

 ……本当に『妖怪坂本雄二』でも良い気がしてきた。

 まあいい。実際に呼べば分かる事だ。

 

「雄二、見せてくれ」

「そうだな。試獣召喚(サモン)!」

 

 そうして現れたのは……上半身裸の坂本雄二だった。

 

「んなっ!?」

「ほら! やっぱり妖怪坂本雄二だったじゃん!」

「いや待て、召喚獣はそもそも自分の姿に似るもんだ! だから俺の姿なのは正常な仕様だ!!」

「あ、確かにそうだったね。う~ん……じゃあ一体何だろう?」

 

 改めてよく眺めてみるが……やはり上半身裸という事以外に特徴は無さそうだ。

 ふむ……もしかして、アレか?

 

「妖怪、露出狂か」

「テメェも直してやろうか?」

「ククッ、冗談だ。服が要らないという事は、例えば巨大化して破れるとかじゃないか?

 気合を入れたら何か反応無いか?」

「…………特に無さそうだな」

「じゃあ条件付きで巨大化……いや、少し枠を広げて変身とかもアリか?

 メジャーな化け物でそれっぽいのは……例えば狼男とか?」

「仮にそうだったとして、どうやって判断する気だ?」

「もし狼男なら条件は簡単だ。満月を見せれば良い」

「今はそんなもん出てないし、夜まで待ったとしても今日は三日月だった気がするぞ?」

「これだから雄二は。無いなら作れば良い」

「テメェは一体いつから神様にでもなったんだ」

「……コンパスを使って……これで完成だ!」

「ただの円じゃねぇか! それを満月と言い張るのは流石に無理が……

 

『ウォォォォン!!』

 

「……マジで反応しやがった。書いた僕が一番びっくりしてるよ」

「おいおい……試召戦争システムってこんな曖昧な代物だったのかよ」

「と、とにかく雄二の召喚獣は狼男で決まりみたいだね」

「個性は……『野性的』とか、そんな感じかのぅ?」

 

 

 最後に、満を持して僕の召喚獣のチェックだ。

 

「剣は……そうじゃのぅ、異様に勘が鋭いから(サトリ)とかかのぅ?」

「いや、もっと攻撃的な感じの奴だろう」

「何かこう黒い炎とか似合いそうだよね!」

「お前らなぁ……ま、呼んでみるとしようか。試獣召喚(サモン)

 

 そして現れたのは……いたって普通な僕の姿だった。

 

「……僕が妖怪扱いされた事に怒るべき場面だろうか?」

「いやいや、何かあるはずじゃろう。例えばドッペルゲンガーとか……」

「剣っぽくねぇな。ドッペルゲンガー以外でも真似する類の奴なら秀吉の方が似合うだろ」

「それもそうじゃのぅ……あんな召喚獣よりもこっちの方がずっと欲しかったのじゃよ……」

「しかし何だコレは一体?」

 

 つぶさに観察してみるがそれっぽい特徴が見当たらない。

 ……いや、よく見たら武器が変わってるな。懐に隠してある投げナイフとは別に背中に立派な剣を背負っているようだ。

 

「……この剣、抜けないな。一体何だこれ?」

「抜けないのかよ!? ただの張りぼてか?」

「ん~……気合入れれば何となく抜ける気がするんだが……何か嫌な感じがするんだよな」

「あれ? この剣どこかで見たことあるような……」

「何だと? 明久、貴様は一体いつから刀剣鑑定士になったんだ?」

「そんな職業に就いた事は無いけど……うん、やっぱり見たことある。ゲームで」

「……一応、聞いておこうか」

「うん。これはファイナルクエストIIIに出てきた『魔剣ダーインスレイヴ』に違いないよ!」

 

 明久らしいバカな発言……と思うかもしれないが、あながち間違いとも言い切れないのかもしれない。

 システムが表現したい物が魔剣だとして、本物の形をした代物……本物と言えるものがこの世界に存在したのかは知らんが……を出しても僕たちに伝わる事は無いだろう。

 だからこそ身近なフィクションを参考に作り出した。そう考えれば荒唐無稽とは言い難い。

 

「明久のいう通りの魔剣だったとして、一体どういう意味なのかのぅ?」

「……簡単な事だよ。

 神話のダーインスレイヴは一度解き放たれたら敵味方を問わずに甚大な被害が発生するまでその鞘に収まる事は無い。

 自身の損害を度外視して敵を倒すまで戦う僕に相応しいだろう」

「むぅ……」

「……ところで、召喚獣じゃなくて剣が本体なんだね。剣らしいと言えばらしいけど」

「確かにな」







「以上でFクラス生の大半のオカルト召喚獣のお披露目完了ね」

「原作勢は原作と変えてないけどな。今のところは」

「残りの連中は果たして描写されるのかしらね……」

「さぁなぁ……島田は出しても貧乳いじりにしか使えないし、姫路に至ってはそもそも出せる機会が無いと思う。
 伊織は……分からんな」


「では、次回もお楽しみに!」
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