バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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05 それぞれのペア分け

 教室でのんびり待っていると他の連中もボチボチやってきた。

 

「さぁ秀吉くん、せいぜい足を引っ張らないようにね」

「むぅ……あんまり自信が無いのじゃが……勝ちにこだわらずとも普通に楽しむだけではダメかのぅ?」

「勝利が全てとまで言う気は無いけど、勝負なんだから勝ちに行きましょうよ!」

「……そうじゃな。やれるだけやってみるのじゃ」

 

 こんな感じで早々にペアを決定してる連中も居れば……

 

『隊長! 女子とペアを組もうとしている異端者を発見しました!』

『ふむ、では紐無しバンジーの刑を……』

『ちょっと待ってくれ! 今回の肝試しは女子と組むのが推奨されている!

 俺を処刑なんてしているヒマは無いぞ!』

『……言いたいことはそれだけかね?』

『な、なんだと?』

『女子を誘うなど……既にやったに決まってるだろう!』

『でもそれだったらこんな処刑なんて……はっ、まさか!』

『全部断られたんだよチクショウ!!!!』

 

 こんな感じでペアの獲得に困ってる連中も居るようだ。

 夏期講習を受けている奴の男女比までは把握していないが……男子率が極めて高いFクラスが丸々強制参加だったという事を考えると男子の方が多そうである。

 組めなかった奴は男子同士のペアになるな。まぁ、男女ペアはあくまで『推奨』だし。

 

「美波お姉さま! 美春とペアを組みましょう!!」

「美春!? アンタ夏期講習に参加してたの!?」

「学園長に聞いたら飛び入り参加も大歓迎との事でした。ですからこうして馳せ参じました!

 お姉さまをどこの馬の骨とも知れぬブタ野郎と組ませるわけにはいきませんからね!!」

 

 ……あくまでも『推奨』なので女子同士のペアを阻む厳密なルールも存在しない。

 ただ、空気読んで欲しいというのが本音だ。

 

「小野寺。貴様のクラスの奴が何か暴走してるぞ。止められないのか?」

「御空さんもそうだけどただの副代表にキミ達は一体何を期待してるのよ」

「……確かにな。と言うか代表の平賀でも無理そうだな」

「……それもそうね。役職以前の問題だわ」

「まあいいや。ちょっと行ってくる」

 

 仕方ないからちょっとちょっかい出すとするか。島田もあのペアは嫌だろうし。

 

「……美春? 『馬の骨とも知れぬブタ野郎』と組ませられないなら美春が知ってる男子なら良いのよね?」

「そんな存在はこの宇宙のどこにも存在しませんわ!!」

「存在を抹消した!? ま、待ちなさい美春、そう、ウチはアキと組むんだから!!」

「アキ……秋、つまり春の逆。表裏一体という言葉に従えば秋=春! つまり美春と組むという事ですね!」

「ちっがうわよ!! もういい加減にしなさい!!」

 

 簡単な説得で諦めてくれる様子は無さそうだな。

 だが問題ない。要は他の奴でペアを埋めてしまえば良いんだろ?

 

「島田。手を貸してくれ」

「え、空凪? ちょっと今それどころじゃなくて……」

「ペアの候補が居ないんだ。お前を指名させてくれ」

「っ!」

「ちょっと待ちなさいブタ野郎! お姉さまは今美春と話をして……」

「ええ宜しくお願いするわ! そういう訳だから美春、あなたとは組めないわ」

「そ、そんなっ! お姉さまは美春ではなくそんなブタ野郎を選ぶのですか!?

 ……いいでしょう。お姉さまが認めた事です。私も認めましょう。

 しかし、もしそのブタが急に死ぼ……やんごとなき理由で早退した場合は……」

「その時は、ウチはお腹が痛くなる予定だから♪」

「お姉さまの薄情者!!!!」

 

 真っ当な力技ではどう足掻いても島田とは組めない事を察した清水は涙を流しながら走り去って行った。

 悪いな。貴様の事は決して嫌いじゃないんだが、僕としてはクラスメイト優先だ。

 

「あ、ありがと空凪。助かったわ」

「気にするな。ペアを組むのは僕じゃないしな」

「え?」

「『誰の』ペアの候補が居ないとは一言も言っていない。

 教室の隅っこで呑気に寝ている伊織に押し付けるつもりだ」

「……確かに誰とも組んで無さそうね」

 

 もし誰かペアが居るなら……その時に考えるとしよう。

 

「あ、でもペア組むならどうせならアキが……」

「奴はまだ来ていないようだが……多分既にペアが埋まってる」

「えっ、そうなの? 瑞希ったら手が早いわね」

「いや、姫路ではない。木下優子だ」

「…………え? ど、どうして木下さんが?」

「さぁ? 後で本人に訊いてみろ」

 

 僕も是非とも聞いてみたいものだ。あの2人の間に何があったのか。

 ……まぁ、今はいいさ。あいつから聞き出す事はいつでもできる。

 

「さて、伊織~!」

「……Zzz……」

「呑気に寝てやがるな。よし、ここはアンモニアを嗅がせて……」

「どっからそんなものを持ってきたのよ……」

「化学室に行けば保管されてるらしいぞ」

「らしいって……持ってきたわけじゃないのね」

「当たり前じゃないか。薬品庫には鍵がかかってるんだから。

 アンモニアだけじゃなくて塩酸とか水酸化ナトリウムとかの劇薬が保管されているからな」

「そ、そうよね。いくらなんでも劇薬が簡単に盗めたら大問題……」

「……おい副代表、人が寝てる側でツッコミどころの多い会話するのは止めてくれないか?」

「あ、起きてた。アンモニアを調達する手間が省けたな」

「伊織ったら、起きてたなら言ってくれれば良かったのに」

「オレに文句を言う前に薬品で起こそうとする事に疑問を呈して欲しかったんだけどな……

 で、何の用? まだ開始時間じゃないっぽいけど?」

「では単刀直入に。島田とペア組んでくれ」

「いいよ。お休み」

「えっ、それだけ? もっとこう理由を聞くとか……」

「何かよく分からんけど事情があるんだろ? オレもペア居ないから丁度良い。以上。始まるまで寝かせて」

「う~ん……なんだかなぁ……とにかく、宜しくね伊織!」

 

 これにて解決だな。康太は多分工藤と組むし、顔見知りの連中は大体オッケーだ。

 ……大体、な。

 元の席に戻るとするか。パートナーが待っている。

 

「お疲れ様。勤勉な副代表は大変ね」

「そう思うなら少しは手伝ってくれDクラス副代表」

「嫌よ。私は苦労人ポジションになるのはごめんだわ」

「……そうか、僕の立場は苦労人ポジションだったのか……」

「少なくとも自分勝手な暴君じゃない事は確かでしょう? そうじゃなかったら島田さんを助けに行ってないし」

「……かもな」

 

 マイペースだの狂人だのと言われる事はよくあるが、苦労人と言われる事は珍しいな。

 関係性が遠いからこそ、見えるものもあるのかもしれない。

 尤も、人間の本質なんて自分でもわからないものだけどな。

 

「……開始時刻までもう少しあるな。何か雑談のネタは無いか?」

「そうねぇ。どうすれば私がより目立てるかっていうのは?」

「面白い。時間いっぱい話すとしよう」







「次回からようやく肝試しが始まりそうだな」

「判明してるペアは……吉井くんと島田さんを除いて原作通りかしらね」

「リメイク前では島田は僕と組んでいたが……今回は伊織に任せた。
 暇そうにしてたし、貴様のように夏期講習に参加してないという事も無いしな」

「はぁ、早く参加したい。出番をよこせ!」

「う~む……肝試し中はほぼ無理だなぁ……」

「じゃ、さっさと終わらせちゃいましょう。
 次回もお楽しみに!」
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