バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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16 切り捨てる者、救う者

「丁度いいタイミングだな。貴様が臨時の指揮官か?」

 

 指示を出したら都合良く副代表がやってきた。

 よかった。これでこのヒトに全責任を押しつけられる。

 

「ああ。オレが臨時指揮官だ。バトンタッチしていいか? 副代表」

「報告が済んだらな。

 で、何で副隊長をやってたハズのあのバカはあんな所で捕まってるんだ?」

「何か突然どっか行った事は把握してるが、詳しくは知らん。本人から聞いてくれ」

「それもそうだな。おいBクラス、そこの人質と話がしたい。構わんな?」

『フン、好きにしろ! あっ、これ以上近づくなよ!!』

 

 さて、どうする気だろう? やっぱり普通に切り捨てるんだろうか?

 まぁ、副代表のお手並み拝見といこうか。

 

「おい島田、質問に答えてくれ。

 貴様には副隊長を任せていたはずだが……どうして部隊をほっぽって1人でとっ捕まってるんだ?」

「うっ、それは……その……」

『ハッ、俺が代わりに答えてやるよ!

 この女、吉井が保健室に担ぎ込まれたって嘘を信じて飛び出してったんだよ!』

 

 親切なBクラス生が代わりに答えてくれた。優しい……わけでないのは分かっているが、優しいな。

 

「……ふむ、なるほど」

「な、何よ……」

「そんなに明久に止めを刺したかったのか。気持ちは分かるんだが少しは自重を……」

「違うわよっ!! 吉井が心配だったからに決まってるでしょ!!」

 

 このヒト、確か自己紹介の時に隊長を殴るのが趣味とか言ってたよな……

 オレも本気で受け取ったわけではないが……アレは照れ隠しだったんだろうか?

 

「あ~はいはい。しかし、そんなのをアッサリと信じたのか?

 あの無駄に頑丈なバカが保健室送りになった……なんて」

「だ、だって仕方ないでしょう!? 瑞希のパンツを見て鼻血が止まらなくなった……なんて聞かされたら!!」

 

 いや、オレみたいに隊長をよく知らない人間からすれば逆に信憑性が落ちるぞ。

 吉井明久ってのは一体何者なんだ? 知り合いにここまで思われるなんて相当だぞ……

 

「……分かった。質問は以上だ。

 最後に言い残す事はあるか?」

「えっ、さ、最後って……?」

「いや、そんなアホな理由で部隊を放置した愚か者をわざわざ助けるわけが無いだろうが。

 一応理由を問いかけてみたが……時間の無駄だったな」

「そ、そんなっ!」

『お、オイっ!? この女がどうなってもいいのか!?』

「別に構わん。試獣召喚(サモン)

 

 サッサと切り捨てるのが副代表の判断か。そりゃそうだな。オレでもそうする。

 ただ……さっきも言ったように副隊長が死なないに越した事は無い。

 上手く行くのか分からんけど、うちの副代表は異様に勘が鋭いから何とかなるだろ。

 副代表の正面に立って啖呵を切る。

 

「オイオイ副代表! それでいいのか!?」

「……? 何だ貴様は」

「いや、さっきまで臨時指揮官だった男だよ!」

「……そんな事はどうだっていい。貴様は僕の決断にケチ付ける気か?」

「ああ、当然だ! 綺麗事かもしれねぇが、女の子を見捨ててまで得る勝利に何の価値があるってんだ!!」

「ほぅ? 理想論だな。非常に感動的だ」

「だったら……」

「だが……無意味だ!!」

「ぐわっ!!」

 

 そんな台詞とともに思いっきり蹴り飛ばされた。

 ……はぁ、オレとしてはちょっとしたサポートのつもりだったってのにな。助けたいなら自分でも働けと、そう仰いますか。

 ハイハイ、分かったよ。

 

「それが副代表の答えってわけか……分かったよ。

 ならオレが全力で止めてやる、試獣召喚(サモン)!!」

「そこまでやる気か? やれやれだな。

 ……ところで、貴様の利き手はどっちだ?」

「あ? 右手だけど、それがどうかしたか?」

「そうか……なら、そっちの手から切り刻んでやろう!」

 

 副代表の召喚獣から複数の投げナイフが、オレから見て右側に放たれる。

 それと同時にオレは……左後ろに飛び、そこに居た敵に向かって刃を振るった。

 

 

  [フィールド:数学1A]

 

Fクラス 空凪 剣 100点

Fクラス 伝令の人(オレ) 85点

 

Bクラス 32点 → Dead

Bクラス 18点 → Dead

 

 

『なっ、何だと!?』

「戦死者は補習!!」

『ちょ、ちょっと待ってくれ! うわぁぁぁぁ…………』

 

 こうして、副隊長を人質に取っていた2名は無事に補習室へと連行されていった。

 ふぅぅぅぅ……上手く行って良かった。

 

「え、あの……えっと……何が起こったの?」

「島田……お前、こいつに感謝しておけよ?」

「え、えっと……ええぇ?」

「えっと、そこの貴様、名前何だっけか?

 まあいいや。凄く助かったぞ。お疲れさま。しばらく教室で休んでていいから島田に解説してやってくれ」

「へいへい。人使いが荒いなぁ」

「何を行っている。休養を与えてやれる素晴らしい副代表じゃないか」

「それ自分で言うか?

 ……まあいいや。え~っと、島田さんだったな? 行くぞ」

「う、うん……」

 

 状況が読めていない副隊長こと島田さんの手を取ってFクラスへと向かう。

 特に誰かと遭遇する事もなく教室まで辿り着いた。中ではうちの代表が相変わらず偉そうにしているようだ。

 

「ちぃーっす」

「島田と……誰だったか。どうした? 敵前逃亡はチョキでしばくぞ」

「違う違う。副代表サマからきっちりと帰還許可貰ってるって。

 かなり頑張ったんでちょっと休んでこいって」

「そうか……分かった。のんびりしててくれ。

 と言っても、今日はもう1時間もしない内に停戦になるからお前たちの今日の戦闘は終わりだろうがな」

「……停戦?」

「ああ。さっきBクラスと協定を結んできた。

 午後4時までに決着が着かなかった場合、翌日午前9時まで停戦とし、その間は試召戦争に関わる行為は一切禁止するってな」

「ふ~ん」

 

 試召戦争はルール上は午後6時くらいまで一応可能だったはずだ。

 ただ、下校時刻が延びると生徒から不満も出るので適当な時刻で区切るのはそこまで不自然な事ではない。

 

「んじゃ、のんびりさせてもらうわ。1時間未満だと補充試験もできないしな」

「ああ。そうしてくれ」

 

 教室の隅っこの方の適当な卓袱台まで移動する。

 島田さんを向かい合わせに座らせてから、先ほどの解説を行うとしよう。







「島田アンチが掲げられている二次創作ではバッサリと切り捨てられる場面だな」

「改めて原作での描写を確認してみたけど……『島田さんが副官だった事』と『いつの間にか須川くんが指揮を取っている』までは描写されてるみたいね。
 島田さんが須川くんにちゃんと指揮を託していたのか、それとも何も言わず勝手に行ったのかは不明みたいね」

「う~む、あの島田がそんなに気が利くとは思えないから勝手に行ったんだとは思うがな」

「憶測の域を出ないわね……」

「確実な事は、あんな嘘にアッサリ騙された島田はアホだという事だな」

「……それが結論ってのはどうなのかしら……?
 って言うか登場する生徒は工藤さんを除いて全員アホなのは元からだし」

「ヒドい言い様だな。だがモブを除けば本当にその通りだからなぁ……」

「……バカテスの業は深いわね。
 しっかしまぁ、絶妙な所で切るのね」

「最初は解説まで通しでやる予定だったが、ここで切った方が面白そうだと判断したようだ。
 のんびり解釈を膨らませてから翌日の解説を読むといいさ」

「なるほどねぇ。
 ……それじゃ、次回もお楽しみに!」
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