2組目のカップル……本当にカップルだったのかは不明だが……が脱落した後も何組かが侵入を試みる。
しかし、その殆どが最初の曲がり角で脱落するという体たらく。突破した者もすぐに別の攻撃で脱落となった。
「勝敗は気にしないと言っても、このままだとちょっとアレだな。そろそろ仕掛けるべきか」
「どうする気?」
「テキトーに送り込むのではなく適任を送り込む。それだけだ」
「つまり、私の事ね!」
「……まぁ、僕たちが行くというのもそれはそれで選択肢には入るな。
だが、切り札というのはもっと温存しておくものだろう?」
「なるほど確かに。で、どうするの?」
「大富豪と同じだ。最弱の札を切って様子見だ」
そう言い切ったのと同じタイミングで僕と同じ考えに至ったのであろう雄二が立ち上がって号令をかけた。
「3年生の連中もなかなかやるじゃないか。
突入準備してる奴はちょっとだけ待ってくれ。ここで捨てご……Fクラス生を投入する!」
『へっ、やっと俺たちの出番って訳か』
『おいおい良いのかよ。俺たちが動くとあっという間にクリアしちまうぜ?』
「ああ。別に倒してしまっても構わないぞ」
『よっしゃぁ! やってやるぜぇ!!』
『ヒャッハー!!』
そう、最弱のFクラス生の投入。これが最善手だろう。
「……空凪くん、解説」
「連中の学力は最低だが胆力はずば抜けている。幽霊だの妖怪だの如きに悲鳴を上げるのは連中の告白が成功する事並みに有り得ない。
万が一、いや、無量大数が一に悲鳴を上げて失格になる愚か者が居たとしても学力が最低だから痛手にはならない。
斥候役の捨て駒としては最適なんだよ」
「……捨て駒て、一応キミのクラスだよね?」
「雄二だって捨て駒って言いかけてたし、大した問題じゃないだろ」
「代表に問題発言があったとしても副代表がそれを言って良い理由にはならないのでは?」
「かもな」
カメラがある以上、試行回数を重ねていけば情報も増えていく。
だから本気で勝ちに行くなら最初から捨て駒をどんどん投入すべきなんだよな。
チェックポイントは4箇所あるから最初から全力投入すると後半に息切れするかもしれないのである程度の加減は必要だがな。
『ここが何かメチャクチャ脱落してる角だな』
『何が出るかな~。お、口裂け女じゃん』
『見ろよこの生首、結構可愛いぞ』
『いーや、こっちの口裂け女さんの方が可愛いね』
『まぁ待てよ。こっちの生首は血だらけだからそう思うんだ。洗ってやればきっと可愛い』
『だったらこっちもメイクすればもっと可愛く……あ、逃げた!』
Fクラス生の精神力は物の怪の方が恐れをなすレベルのようだ。いやまぁ、正確には物の怪を召喚している生徒が逃げただけだと思うが。
『ちぇっ、先進むか』
『そだな。もっと可愛い子が居るかもしれないし』
「……肝試しって何だっけ?」
「お化けの肝臓を抉り出して綺麗さを競う感じの祭りじゃないか?」
「何よその猟奇的な祭りは」
「……それはさておき、チェックポイントまで辿り着いたようだぞ」
「斥候としては本当に優秀だったわね」
お化け屋敷のマッピングも映った範囲だけは完了している。次以降の突入がかなり楽になりそうだ。
とりあえずFクラス生の投入は中止だな。次以降のチェックポイントで捨て駒になってもらおう。
「チェックポイントは召喚獣バトルに勝ったら突破成功よね?」
「ああ。ちなみに最初の科目は化学だ」
「ランダムとかじゃないのね。挑みやすくて助かるわ」
「元々突破して楽しむ方向性でルールを決めてるからな。挑戦者側が割と有利な仕様になっている。
波状攻撃を仕掛ければ数の暴力で轢殺できるな」
さて、数の暴力で蹂躙されるであろう哀れな生け贄の様子を見るとしようか。
[フィールド:化学]
3-A 326点
3-A 263点
両方ともAクラスか。
さっきも言ったように最初のチェックポイントの番人なんて生け贄でしかない。番人に強い奴を投入するのは当たり前だが最強の奴を宛がうのは非常に勿体ない。そんな場所だ。
それでもAクラスが出てくるという事は……単純にAクラス生徒が8人以上居るんだろうな。3年は夏期講習ではなく塾とかで勉強してる生徒も多いらしいから人数不足の可能性も少しだけ期待していたが……残念ながらそんな事は無かったようだ。
それに対して我がFクラスペアは……
2-F 39点
2------
……点数が表示される間も無く一瞬で蒸発したようだ。
「……あくまでも斥候ね」
「斥候が大将の首を取るのはゲームの中だけって話だな」
その後、それなりに点数の高いペアが波状攻撃を仕掛ける事で第一のチェックポイントの突破に成功した。
損耗率は1割程度。この程度であれば4箇所のチェックポイントは余裕で突破できそうだが……連中はどう出てくるか。
「ちょっと短いが第1のチェックポイント編完了だ」
「妙な所でFクラス生が輝くわね……」
「勉強ができない事とバカである事を除けば有能な連中だからな」
「試召戦争では致命的な弱点ね……」
「肝試し自体は試召戦争じゃないからな」
「学園長の要望で戦争要素、と言うか戦闘要素を入れてるけど、本当に申し訳程度でしか無いのよね。
Fクラスが輝くのもある意味当たり前か」
「かもな」
「では、次回もお楽しみに!」