バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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08 第2チェックポイント

 一つ目のチェックポイントを突破した事で教室内の雰囲気が気持ち明るくなったような気がする。

 このまま順調に進んでくれるといいな。オレが……と言うか2年が体育祭の準備をサボれるらしいから。

 

「このペースなら楽勝そうね。ウチが突入する必要も無さそう」

「このペースでずっと進むならなぁ……3年の連中はやたらと気合入ってるし、この程度で終わるとは到底思えない」

「伊織……何でそう悲観的なのよ」

「だってなぁ……向こうは明らかに勝つ気で仕掛けてきてるだろ?

 流石にテストプレイくらいはしてるだろうし、この程度で全滅する訳がないというのは分かり切ってる事だ」

「う~ん……こっちが想定以上に凄かった……とか」

「だったら良いんだけど……」

 

『きゃぁぁぁっっっっ!!!!!!』

 

 早速脱落者が出たみたいだ。ちょっとモニタ見てなかったから副代表の解説に期待するとしよう。

 

 

 

 

「今のは……視覚外からの攻撃?」

「恐らく、な」

 

 モニターには特に異常は無く、突然女子が悲鳴を上げた。

 Fクラスの斥候が通った時は何事も無かったというのに、相手を見て仕掛けてきやがったな。

 

「人の五感は味覚、嗅覚、視覚、聴覚、そして触覚。

 味や匂いで突然悲鳴を上げさせるのは厳しいし、視覚(モニタ)聴覚(マイク)も異常なしだった事を考えるとほぼ間違いなく触覚によるものだろ」

「触覚……まさかぶん殴ったりした訳じゃ無いわよね?」

「ああ。それだったら悲鳴じゃないだろうし、そもそも妖怪サイドによる物理攻撃はルールで禁止されてる。

 証拠が無いならセーフという意見もあるが……まぁ、無いだろう」

「ダメージを与える的な意味の攻撃がダメとなると……こんにゃくをぶつけるとか?」

「タワシとかも良いかもしれんな。こんにゃくより保存しやすいし」

「なるほど~」

 

 だが、それでもFクラスの連中には通じないだろう。

 仕掛けを温存される事はあってもマッピングは問題なくこなせる。手を変えて驚かせるのは素直に感心するが、その程度では僕たちを止めるには至らんな。

 

「先行してるFクラスの人がそろそろ最深部に着きそうね」

「お、ホントだ。広さ的にそろそろだな」

 

 地図作成は雄二と霧島がモニターの情報を基に黒板に書いている。分かりやすくて実に助かる。

 

『この教室も大体進んだかな。そろそろチェックポイントじゃないか?』

『前のチェックポイントでは辿り着いたにもかかわらず突破できなかったバカばっかりだったけど、俺たちは違うぜぇ!」

『ん? 何か広い空間に出たな。何か仕掛けが……』

 

 そこで突然スポットライトが点灯した。少し開けた空間の中央に佇むソレがモニターに映し出される。

 

 ……ゴスロリ姿の坊主先輩とかいう汚物が……

 

『『ぎやぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!』』

 

 まともな精神構造を持つ人間が耐えられるはずもないそのグロ画像には流石のFクラス生でも耐えられなかったようだ。

 しかし、これは肝試しとしてどうなんだろうか? 肝試しとは一体……

 

「な、何なのよアレ! 正気なの!?」

「3年の連中、本気で勝ちに来てるな……正気かどうかは分からんが」

 

 康太がすぐさまモニタの解像度を下げてくれたので再起不能になる者は居なかったようだが、それでも苦しそうに口元を押さえる生徒が大半だった。

 まさかモニターを通してダイレクトアタックを仕掛けてくるとは思いもよらなかった。

 

 

 

 

「3年の連中、発想が正気じゃないな……」

「うぅぅっ……もうダメ、今晩は寝られない。絶対夢に出てくる!!」

「大丈夫か島田さん、トイレ行くか?」

「……だい、じょうぶ」

 

 失格の条件は悲鳴を上げる事、正確には大きな声を上げる事だ。

 そう考えればああいう手段が有効なのは理解できる。できるけど……実際に行動に移してしまうのは狂気の沙汰だろう。

 

「あ、あんなのどうやって突破しろって言うのよ! 無理でしょ!!」

「そこの副代表とかなら素知らぬ顔で突破しそうな気もするけどな」

 

『とか言われてるけど? 言っておくけど私は悲鳴を上げない自信は無いわ!』

『じゃあ止めておこう。雄二が良い案を考えてくれるさ』

 

「……という事らしい。代表に期待しよう」

 

『くそっ、3年の連中め。いろんな意味で汚い真似をしやがって。

 こうなったら戦争だ! 奴を完膚なきまでに叩き潰してやる!!』

『そうだそうだ!』

『いいぞ坂本! やってやれ!!』

『丁度このチェックポイントの科目は保健体育だ!

 ムッツリーニと工藤のペアを投入する! 奴の息の根を止めてやれ!!』

『…………愚問だ。俺のモニターを凶器扱いした事を後悔させてやる……!』

『もちろんボクもオーケーだよ。でもちょっと準備させて』

『構わん! 人手が居るなら元気そうな奴は協力してやってくれ!

 俺たち全員で必ず、奴をこの世から消し去ってやるぞ!』

『『『おおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!』』』

 

 代表の微妙に芝居がかった演説により皆の士気が上がっている。

 でも土屋、普段は無口なあんたが燃えてるのは結構だがそのモニターは決してお前のものじゃないからな? 学校の予算で買った学校の備品だからな?

 

「さてと、時間は有限だ。オレも何か手伝ってくるかな」

「えっ、行っちゃうの?」

「? そのつもりだけど」

「そ、そう……うん、頑張ってね。ウチはまだ休ませてもらうわ」

「ああ」

 

 準備か……工藤さん何するつもりだろうな。

 

 

 

 

 

  ……そして数分後……

 

 無事に準備が完了したので2組のペアを見送る。

 

「それじゃあ行ってくるヨ」

「…………奴を地獄に送ってくる。

 

 片方は勿論、保健体育ペア。

 

「ククッ、結局行く事になったな」

「この作戦なら……何とかなるかしらね。サポートは任せなさい!」

 

 もう片方は副代表のペアである。

 工藤さん発案の作戦の予行演習を空き教室内でやってみたのだが2人だけだと単純に人手が足りなかった為もう1ペア投入する運びとなった。

 

「さて、あの汚物が同じ場所で待ち構えているとも限らない。先頭は僕に任せてくれ。最適なタイミングで合図を出してやろう」

「…………心得た」

 

 この2ペアであれば失敗は無いだろう。安心して見守らせてもらおう。

 

 

 

 

 

 2つのモニターを固唾をのんで見守る。

 途中に妨害はあったみたいだけど、特に引っ掛かる事無く例の場所まで進んだ。

 

『……居るな。準備はできているか? 僕はできている』

『バッチリよ。いつでもどんと来い!』

『…………』コクリ

『それじゃあ合図はお願いネ』

 

 モニターからの映像だけでも汚物の輪郭がぼんやりと見える。

 できるだけ至近距離で見せようという算段なんだろう。まだスポットライトは点かない。

 ……まだ点かない。

 …………まだ……いや、点いた!

 その瞬間、モニターの映像が板で……鏡の裏側で遮られた。鏡の向こう側からは何かを吐き出したような音が聞こえた気がする。

 

『ゲホゲホッ、か、鏡だなんて卑怯だぞ!! と言うかどうやって持って来やがった!!』

『大きな1枚の鏡にしたかったんだけど流石にバレちゃって威力が半減しちゃうだろうからネ。布で隠せる程度の鏡を4枚持ってきて組み合わせてみたヨ』

『私たちからのサプライズプレゼントよ。工藤さんに感謝しなさい』

『こんなもんを見せられて誰が感謝なんかするかよ!! って言うか予想以上にヒデェな!!』

 

 鏡がどけられて再び汚物の姿が映し出される。しかしダウンしているせいか先ほどまでの得体のしれない恐怖は感じなかった。

 

『ちょ、待て! 何写真を取ってやがる! 脅す気か!?』

『…………そんな事はしない。海外のモノホンのサイトにアップするだけ』

『ふざけんな! もっとヤバイだろうが!!』

『あっはっはっ、オモシロイ先輩だね。来世でなら顔見知りくらいにはなってあげてもいいカナ』

『今世を全否定してねぇか!? って言うか生まれ変わってもその程度なのかよ!!』

『煩いからサッサとどいてくれない? 半径30m以内に近寄るのも生理的に嫌なんですけど。セクハラで訴えるわよ?』

『ち、ちくしょう! 覚えてやがれよ!!』

 

 こうして汚物先輩は撃退された。あの姿のまま。

 って事は3年の連中にもダメージを与えられそうだな。汚物先輩には是非とも頑張ってもらおう。

 

『残りはチェックポイントだけだな。後は任せたぞ』

『おっけ~。任せといて!』

 

 保健体育フィールドであのペアが後れを取るはずもなく、第二のチェックポイントも無事に突破できた。

 残りは2つか。あの汚物並みのものがそうそうあるとは思えないけど……まだ半分って考えると油断は禁物だな。







「以上、第二チェックポイント終了だ」

「メチャクチャ楽しそうな雰囲気ね。当事者はそれどころじゃなかったのかもしれないけどさ」

「実際まぁ盛り上がってるのは確かだな。汚物先輩を撃退した時なんかは大歓声が上がってたっぽいし」

「……突入してるはずのキミまで把握してるって事はよっぽど大きな歓声だったのね」

「ああ。そういう事だ」


「では、次回もお楽しみに!」
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