バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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16 ルート固定化

 剣と一緒に一旦教室に戻る事になった。

 迷路の組み換えっていう凄く厄介な仕掛けに対する対抗策を打つ為らしい。

 教室まで戻って準備する必要があるとか何とか。

 

「よし、ようやくマイクが使える。無いなら無いで不便だよな」

「マイクなんか何に使うの?」

「こう使う。

 もしもし、聞こえてるか? 2年Fクラスの空凪だ。え~、小暮先輩。ちょっと交渉したい事がある。

 ちょっと旧校舎裏まで来てくれ」

「通信機代わりに!? でもちょっと待って、このマイク3年にも筒抜けだけど2年生にもだよね……?」

「ああ。だからこうなるな」

 

『へへっ、副代表だけに危険な真似はさせらんねぇ。俺たちも旧校舎裏に行くぜ!』

『『『『『おおおおお!!!!!!』』』』』

 

 あの小暮先輩を呼び出したらこういう事になるのは目に見えている。

 僕にも分かるんだから剣にもそのくらいは分かるはずで……

 

「……よし、小暮先輩。すまないが訂正だ。

 なるべく早く2年生が拠点にしてる教室まで来てくれ。偽情報に踊らされたバカどもが気付く前に」

「……剣、そんなマイク使わなくてももっと何とかできたんじゃないの?」

「まぁ、別の方法もあったとは思うが……僕がこれからする『交渉』は3年全員に聞いてもらいたいんでな」

「う~ん……」

 

 何を企んでいるのか全く分からないけど……とりあえず剣に任せてみよう。

 

 

 

 

 

 数分後、小暮先輩はやってきた。着物姿で。

 制服に着替える暇が無かったのか、それともまた出るつもりだったのだろうか?

 

「空凪くん、こんな露出狂に何か御用でしょうか?」

「根に持ってるのか? まあいい、ちょっとした相談があってな。

 単刀直入に言うとだ、壁の張り替えを中止しろ」

「それはまた……そんな一方的な要求が通じるとお思いですか?

 それとも、私を満足させられるような何かがある……という事ですか?」

「突っぱねるならそれはそれで構わん。

 少し地震が起きただけで倒れそうな危ない壁は瞬間接着剤で片っ端から固めるだけだ。

 これはただの設備の補強だから『設備の破壊』には当たらんだろう」

「……なるほど。そういう事ですか」

「ああ。壁の張り替え、迷路の組み換えというアイディア自体はかなり面白いと思っている。

 それを台無しにするのは気が引けるし、何より面倒だ。

 だから、組み換えは無力化したという事にして進められればありがたい」

「……いいでしょう。但し、無力化にかかるであろう時間の分だけ制限時間を縮めて下さい」

「妥当だな。残り人数を考えるとタイムアップより先に全滅しそうだが……うん、凄く妥当だ。

 30分で良いか?」

「ええ。そんなものでしょう。それで構いませんよ」

「よし、合意が得られたようで何よりだ。

 2年生の諸君、しっかり聞いていたな? もし組み換えが見つかったら遠慮なく通報してくれ!

 3年生の先輩方、聞きましたね? 小暮先輩との合意が得られました。小暮先輩の顔に泥を塗りたいのであれば遠慮なく動かしてください!」

 

 

 

 交渉を終えた小暮先輩は帰っていった。これで厄介な組み換えを無力化できたみたいだね。

 ……でも剣、ちょっと気になる事があるんだよ。

 

「剣、今の交渉ってもっと早くやってたら大分楽になってたんじゃないの?」

「まぁ、もっと早くできた可能性は十分にあるが……組み換えが明確に『危険』になったのは僕が突入してからだ。

 なんたって僕の目の前で板が閉まってうっかり手を挟みそうになったからな」

「……それ、絶対うっかりじゃないでしょ……」

「……単なる組み換えならまだしも、ペアの分断にまで使ってしまうと普通に危険だ。学園長にまで話を持っていけば頭ごなしに禁止を命令されていた可能性も十分にあるし、最悪の場合は怪我人を出す前に肝試し中止とかも有り得なくもない。

 お互いにそんな大事にはしたくないから当事者同士で話を付けてしまうのが一番簡単だったという訳だ」

「ん~……とにかく、これで簡単に進めるようになったね。次はどうするの?」

「…………」

 

 剣は携帯を取り出して何か確認しているようだ。

 しばらくすると再び携帯をしまった。

 

「よし、突入だ。行くぞ」

「OK!」

 

 

 

 

 

 

 対常夏戦の作戦に関しては小暮先輩を呼びつける前に、マイクの無い場所で既に明久と相談済みだ。

 追加の打ち合わせは特に必要ない。地図を頼りにチェックポイントまで最短ルートで向かう。

 

「おうおう、やっと来やがったか」

「組み換えの無効化なんて小細工しなくてもテメェらなら喜んで招いてやったぜ? カメラの前で土下座するのが条件だったけどなぁ!」

 

 う~ん、ただ勝つだけならそれで十分だったな。

 ただ、普通の勝ちでは満足できないのでな。最大限の屈辱を与えた上で倒してやらないと。

 

「さて常夏コンビ、貴様らに選択肢をくれてやろう」

「はぁ? 選択肢だと?」

「ああ。頭を垂れて僕に慈悲を乞うのであれば閃光の如き一瞬の敗北を、

 乞わないのであれば延々と続く最大限の屈辱をくれてやろう。さぁ、どうする?」

「フザけた事を抜かしやがって。俺たちにボコられるのがお望みならギッタンギッタンにしてやるよぉ!!」

「くくっ、そうか。なら遠慮は要らないな」

 

 格の違いを見せつけるに当たって瞬殺するというのも乙なものだが……そういう態度であればより難易度の高い方に挑戦しようじゃないか。

 

「お互いに武器を持って戦って相手を倒す場合、単純に殺すよりも傷付けずに無力化する方が明らかに難易度が高い」

「何だと? まさか……」

「試験召喚システムで無傷で生け捕りってのは流石に厳しいが、なるべくダメージを受けないようにして相手を戦死ギリギリまで削っていく事は不可能じゃない。

 このくらいの疑似的な再現で手を打とうじゃないか」

「舐めやがって……後悔させてやんよぉ!!」

 

 とは言ったものの、こんな経験は今まで無いのでどこまで手加減できるかは少々不安だ。

 頼むからアッサリ戦死とかしてしまなわないでくれよ?

 それじゃ……始めようか。

 

「「「「試獣召喚(サモン)!!」」」」







「……常夏、死ななかったな。前の次回予告でドヤ顔で言ってたのに」

「言わないでっ! だって更に次の話にもつれ込むとか思ってなかったんだもん!!」

「筆者の予定でもサッサと常夏を倒すつもりだったみたいなんだが、折角だから小暮先輩の出番を追加してみたそうだ。
 あの組み換え迷宮、少人数だと理論上突破不可能とかになりかねないし」

「いつものキミみたいに蹴破れたら簡単なんでしょうけどね」

「そういう訳にもいかんしなぁ……」


「最後にお知らせです! 明日は2話投稿です!」

「理由は……まぁ、いつも通りだ」

「片方短かったのね……
 では、次回もお楽しみに!」
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