「お疲れサン。よくあんなジャストタイミングで間に合ったな」
「そっちこそお疲れ様。実を言うともう少しくらい早く来れたわ。モニター見てタイミング測ってたから」
「ああ、通りで」
「勝つ気が無い事は坂本くんから聞いてたし、最後の方はかなり細かく刻んでたからやりやすかったわ。
にしてもえげつない真似をしてたわね……」
「僕を怒らせたあいつらが悪い」
「暴君の発言ね……
あの常夏コンビ、何か姫路さんをブチ切れさせたって話は聞いたけど、キミが他人の為に怒るっていうのは何となく似合わないわね」
「……勘違いするな。僕は自分に怒ってるんだ。常夏へのアレはただの八つ当たりだ」
「ふ~ん……それなら多少は納得かな。
ちなみに、その怒りの理由を聞いても?」
「大した事じゃないさ。ちょっと失敗してな。とっさにフォローしたんだが……それも上手くいかなくて。
その失敗の結果をまざまざと見せつけられてイラついただけだ」
「失敗ねぇ……その内容までは教えるつもりは無さそうね」
「ああ。
あ、そうだ。よく常夏に勝ってくれたな。よくあれ程の強敵(笑)を」
「その強敵は1点しか残ってなかったんですけど?
……ま、最後の最後で参加できたから満足ね。映像記録もあるらしいし」
「よし、これで貴様への貸りが1つ返せたな」
「……貸しって今いくつあったっけ? 清涼祭と、合宿の時の手伝いと、試召戦争の3つ?
じゃ、清涼祭の分と相殺にしておくわ」
「意外と多いな……気付いたらめちゃくちゃ溜まってそうだ」
「私はそれでも構わないわ。遠慮なく取り立てるだけだから」
「勘弁してくれ」
何はともあれ無事に肝試しは終わった。
色々あったけど、総合的には楽しめたかな。
さて、この後はどうするかな。
「……空凪くん」
「今日は疲れたし帰って寝るかな」
「……空凪くん、聞いてますか?」
「待てよ? 確かカップ麺切らしてたな。スーパーにでも寄って……」
「聞こえてますよね? 空凪くん」
「……電池も切らしてたな。コンビニに行こう」
「帰りにどこに寄るかは好きにして良いですけど、その前にお話しがあります。
屋上で待っています。学校に泊まりたくは無いので早めに来てくださいね?」
「…………」
「では、失礼します」
こっちが一切口を利かなかったというのに一方的に要件を告げて去っていきやがった。
まったく、失礼な奴だな。姫路という奴は。
あいつ……放置していたら本当に餓死するまで待っていそうだったな。
……はいはい、行けば良いんだろ行けば。
屋上への階段を上る。
姫路が明久に告白したあの日を思い出すな。
あの日、僕は失敗した。後悔はしていないな。反省はしたが。
とっさに軌道修正を試みたわけだが……どうも当初の目論み通りに行ってないっぽいんだよな。
……まぁ、いいさ。こうなってしまったものは気にしない。
さぁ、答え合わせの時間だ。奴が何に気付いたのか、何を思っているのか、聞いてみようじゃないか。
屋上への扉を開ける。既に彼女は待っていた。
そして彼女はいの一番にこう告げた。
「あなたは嘘を吐きましたね?」