バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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18 停戦と終結と

 僕達はCクラスへと歩みを進める。

 目的は勿論、Cクラスとの不可侵条約を結ぶ為だ。

 タダで結んでくれるとは思えないが……まぁ、何かしらの対価を差し出せばどうとでもなるだろう。

 例えば、Dクラスとの不可侵条約も付いてくる……とかな。

 CクラスがB教室を狙っているのなら、その直後にDクラスに攻め込まれてもおかしくは無い。

 試召戦争を連続でやるとか、結構疲れるからな。可能ならやりたくはないだろう。

 

 ……ここまでが建前だ。ぶっちゃけ不可侵条約を結ぶ気も無いしそもそも成功するわけが無いという確信がある。

 だがそれでも行く理由は……進めながらのんびり解説するとしよう。

 

 

 Cクラスの教室に辿り着いた。扉を蹴破ってやろうかと思ったが、その前に雄二が普通に扉を開けた。チッ。

 

「Fクラス代表の坂本だ。Cクラスの代表は居るか!」

 

 こんな時間だというのにやたらと人が残っている教室から1人の女子が歩み出てきた。

 

「私が代表の小山(こやま)だけど、何か用かしら?」

「ああ。Fクラスの代表としてクラス間交渉に来た。時間はあるか?」

「クラス間交渉? ふぅん……?」

 

 小山とやらは何か企んでいるようないやらしい笑みを浮かべている。

 ああ良かった。これで本当に何の企みも無かったら僕達がバッシングを受けるハメになってたからな。

 

「ああ。不可侵条約だ。

 今ならオマケでDクラスも……」

「不可侵条約ねぇ……どうしようかしら、根本クン?」

 

 小山が人ごみの方に振り返り、Bクラス代表である根本の名を呼ぶ。すると、堂々と出てきた。

 それに続いて十数人ほど生徒が現れる。恐らくはBクラスの生徒だろう。

 

「当然却下さ。だって、必要無いだろう?」

「なっ、根本くん!? どうしてここに!?」

 

 一緒に連れてきた明久がそれに反応した。

 こいつにはネタばらしはしてなかったから完全に素の反応だな。ありがたい。

 

「酷いじゃあないか。Fクラスの皆さん。確か協定では試召戦争に関わる一切の行為を禁止したはずだよなぁ?」

「んなっ!? ちょっと待ってよ!! これはあくまでもFクラスとCクラスの……」

「無駄だ明久。あの条文のどこを探しても『FクラスとBクラスのやりとり』に対する制限だとはどこにも書いていない。

 確かに根本の言う通りに立派な条約違反だ」

「剣っ!? そんなっ!!」

 

 そして、そんな事は百も承知で僕達はここに立っている。

 

「そっちの眼帯は物分かりが良いじゃないか。

 それじゃ、条約を破ったのはそっちが先だからな。まさか文句なんて言わないだろうな?

 先生! 召喚許可を!!」

「承認します!」

『それじゃあ、Fクラスの代表に勝負を……』

「まぁ焦るな。副代表の空凪剣が全員まとめて相手をしてやろう。試獣召喚(サモン)

 

 ちょっと話は変わるが、試召戦争には3秒ルールというものが存在する。

 勝負を挑まれた者が召喚を行わなかった場合で、なおかつ誰も代わりの者が受けなかった場合、3秒ほどで召喚獣が勝手に召喚される。

 これはアレだな。ひたすら黙ってる事で戦死を回避するとかいう姑息な手段を防ぐ為と、あとは不意打ちを仕掛けた時に考える時間を与えずよりリアルな戦闘にする為だろう。

 

 そういうわけで、放っといたら雄二の召喚獣が勝手に召喚されてヤバくなるので、時間稼ぎの為に僕が受けておいた。

 ……で、済まない。コレ自体は重要じゃないんだ。僕がわざわざ勝負を受けた事に対する説明だ。

 

 重要なのは……代表を倒すには召喚獣による勝負がほぼ必須である事。

 そして、戦闘が既に始まっている事。

 最後に……こうやって戦闘になる事は既に読めていた、という事だ。

 

「よしお前ら、どうやら根本は条約無視の報復に戦闘を選んだらしい。

 全軍、突撃だ!!」

 

 雄二の号令によりCクラスの外で待機していた30名近いFクラス生が一斉になだれ込んだ。

 今回の出撃時には既に何名か下校してしまっていたが……このくらいなら残っていてくれた。

 

「な、何だと!? どういう事だ!?」

「どういう事も何も、Bクラスの連中がここに居るのは分かり切っていた。

 だから倒せるように戦力を用意した。それだけだ」

「バカなっ! 条約違反が読めていたなら何故ノコノコとやってきた!?」

「そりゃ勿論、条約を破る為だ」

 

 前回も述べたが、『戦闘禁止』『補充試験禁止』とかの条約ならそもそも破れない。先生から止められるからな。

 だからこそ、今回の条約も破った時のペナルティは特に設けなかったんだろう。

 だが、今回は……簡単に破る事ができた。

 しつこいようだが、代表を倒すには召喚獣による勝負がほぼ必須だ。条約破棄のペナルティがBクラスからの不意打ちになる事は分かりきっていた事だ。

 この戦場に、代表の根本が居てくれれば万々歳。そうでなくても弁の立つ有能な奴を落とせれば十分だ。

 

「さすがのBクラス代表サマもこの人数を相手するのは流石に無理だろう?

 Fクラス代表として、お前に引導を渡してやるよ」

「チクショォォォォォォオオオ!!!!」

 

 

 

 

 ……こうして、Fクラス対Bクラス戦はFクラスの勝利で幕を閉じた。







「原作には敵前逃亡のルールがあるが……敵前での睨み合いはどうなるのかちょっと謎だったんで3秒ルールなるものを追加してみた」

「原作では『召喚獣を呼ばなかったら敵前逃亡と見なし戦死』ってなってるみたいね」

「だからといって、ちょっとボーッとしてただけで即死ってのは理不尽過ぎるだろう。
 だから、明確にフィールドから逃げ出した場合は即戦死、そうじゃない場合は自動召喚としてみた。
 このルールの一番の利点は『不意打ち』を実行できる事だ。
 いちいち相手が呼ぶのを待ってたら、考える時間を与えたら不意打ちにならないからな」

「確かに、そうねぇ」

「よし、んじゃ次。
 原作でもあったFクラスとBクラスの協定だが、結構妙な所も多い。
 協定違反をした所で特にペナルティも無く、いきなり襲撃されただけだ。
 だからこそリメイク前では『協定違反した場合は即敗北』みたいな条文を追加したりしたわけだな」

「人数が少ない時にいきなり襲撃されたらそれはそれで詰みに近いけどね」

「だったら完全に詰ませるべきだったな。さり気なく扉を塞ぐくらいできただろうに。
 ……まぁ、いい。今回のリメイク版ではそもそもペナルティが無かった理由にも触れつつ堂々と条約違反をしてみたわけだ。
 条約の事を無視すれば、完全に孤立した敵代表とその他十数名が立て篭もっているだけの教室なんて襲撃しないわけが無いからな」

「しかしまぁ、うちの代表は完全に墓穴を掘ってるわね。
 いや、キミ達のカウンターが完全に決まったと言うべきかしら?」

「戦闘行為を解禁したのは根本の判断だからなぁ……
 外のFクラスに気付ければ安全に撤退できていただろうに。
 策士策に溺れるとはこの事だな」

「全くねぇ。
 ……ところで、うちの代表が倒されたって事は……私の出番よね?」

「ああ。次回は存分に活躍してくれ。Bクラス副代表」

「ええ勿論! それじゃ、次回もお楽しみに!」
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