バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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19 もう一人の副代表

 数の暴力によりBクラス代表の根本を撃破した。

 

「こんなっ、こんなバカなっ!!」

「嘆くのは勝手だが戦後対談が終わってからにしてくれ。とりあえず移動するぞ」

「くそ、俺に近寄るな! この、ゴフッ」

 

 何かうるさいので鳩尾に一発ブチ込んで気絶させた。

 

「よし明久と……そこのお前、名前何だっけ?

 この負け犬をFクラスまで運んでくれ」

「りょーかい」「へいへい」

 

 これでBクラスは全員退場した。

 残っているのは侵入者である僕達Fクラスと、この教室の主であるCクラスの連中だけだ。

 その状況で口火を切ったのは雄二だった。

 

「さて、小山だったな?

 先ほどは中断されてしまったが、Fクラスと不可侵条約を結ぶ気はあるか?」

「あるわけが無いでしょう。Fクラスを倒せばBクラスの教室が手に入るってのに。

 それに、アレでも一応同盟相手だから。黙って見過ごすわけにはいかないわ。

 補充期間があるから今すぐ宣戦布告ってわけにもいかないけど……終わったら覚悟する事ね」

「そうか……残念だ。

 じゃあまた戦場で会おう。

 よしお前たち、撤収するぞ」

 

 雄二の号令で全員が帰還する。

 Cクラスとの戦闘は予定に無いはずだが、どうする気だろうか?

 今回のBクラス戦では奇跡的にスムーズに勝てたが、次もそうなるとは到底思えない。

 Bクラスよりは下とはいえCクラスはFクラスから見て格上のクラスだからな。まともにぶつかれば敗戦は必至だ。

 ……まぁ、僕が気にする事ではないな。今はBクラスとの戦後対談に集中するとしよう。

 

 

 

 

 

 で、Fクラスまで戻ってきた。

 

「おい起きろ根本」

「ガハッ! ハッ、ここは……」

「よう根本、起きたか。ようこそ俺たちのFクラス教室に」

「ここがFクラスだと!? 噂以上に酷い……」

 

 噂というものは誇張されるものだと思っていたのだが……意外とそうでもないようだ。

 誇張すらできないほど酷い環境という説が無きにしも非ずだが。

 

「んじゃ、戦後対談といこう。負け組代表さん?」

「くっ、あ、あんなのは無効だ!! 停戦期間中に戦闘だなんてバカげている!!」

「いや、戦闘を解禁したのは貴様の方からだったと記憶しているが」

「だ、黙れっ! とにかく俺はこんな結果は認めないっ! 何か……何か手が……」

 

「黙りなさいっ!」

 

 開け放たれた扉から、聞き覚えの無い鋭い声が響いた。

 そこから堂々と入ってきたのは見覚えの無い女子だ。

 

「初めまして、Fクラスの皆さん。

 私、Bクラス副代表の御空(みそら)(れい)と申します。

 うちの代表が五月蝿くて大変申し訳御座いません」

 

 何かやたら丁寧な奴が入ってきた。

 色々と姑息な手を使っていたBクラスにもまともな奴は居るようだな。

 

「み、御空! お前からも何か言ってやってくれ!!」

「黙りなさいと言ったはずよ? あなたの戦死は教師によって告げられ、もう確定している。

 今更これを覆すのはどう足掻いても不可能よ」

「ぐぬっ……」

 

 この副代表、なかなかやるな。

 あのうるさかった根本を黙らせたぞ。

 

「……さて、Fクラス代表さん、条件は何でしょうか?」

「条件だと?」

「はい。FクラスがDクラスを落としたにも関わらず教室を交換しなかった事は既に存じ上げています。

 恐らくは何かしらの密約でも交わしたのでしょう。

 そして、そこまで手の込んだ事をする人がBクラスの教室で満足するとは到底思えません。

 Aクラスに挑む為に、私たちに何をして欲しいのですか?」

 

 ……この副代表、マジで有能だな。

 戦争中は一体何をやってたんだ、コイツは。

 

「話が早くて助かる。

 それじゃ明日、Aクラスまで行って戦争の準備が整っていると伝えてきてくれ。

 あ、宣戦布告はするなよ? そこまで言ったら本当に戦争になるからな」

「それだけで良いんですか?」

「ああ。今言った事をコレを着た根本がやってくれたら教室の入れ替えは免除するとしよう」

 

 雄二がどこからか取り出したのは文月学園の女子制服だった。

 おい雄二、それは一体どこから調達してきたんだ? 僕や秀吉なら家族が持っているから盗み出すのは難しくは無いが、当然僕は協力してないし秀吉が協力したとも思えない。

 と言うか、一体何の意味が……

 

「ふ、ふざけるな!! そんな事ができる訳が……」

『それは乗らない手は無いな!!』

『Bクラス全員で実行させよう!!』

『よっし、皆を呼んでくるぜ!!』

「決まりみたいね」

「な、何だと!?」

 

 肯定的な反応を返したのは御空と共にやってきたBクラスの連中だ。

 根本くん、君は新年度に入ってから僅か3日間で何をやらかしたんだい?

 いや、去年からの悪評もあるだろうけど。

 

「しかし雄二、何故わざわざ女装を?」

「まぁ理由はいくつかあるが……一番の理由はAクラスの連中に汚物を見せる事で士気を削ぐ事だ」

「「なるほど、それは盲点だった(わ)」」

「御空まで同意するんじゃない!!

 ちょ、ちょっと待て、正気か!? くっ、寄るなこの変たゴハッ」

 

 ……こうして、Bクラスとの戦後対談も無事に終了した。

 約1名ほど納得していない生徒が居た気がしないでもないが……まぁ、気のせいだろう。

 

「……ところで、宣戦布告もどきをしてほしいと雄二が指定した日時は明日なんだが。

 今女装しても意味が無いんじゃないか?」

「……ま、まあ予行演習みたいなものよ。

 決して皆がノリノリだから止めるのが遅れたとか、そんなんじゃないんだからねっ!

 勘違いしないでよねっ!」

「面白い奴だな、お前。

 さっきまであんな堅っ苦しい口調だったのに」

「そりゃ、クラスの皆の今後がかかってる交渉に軽い口調で望むわけにはいかないでしょ。

 私は公私はキッチリ分けるタイプなの」

「ほ~。なるほどな。軽い口調がお前さんの素ってわけか」

「そゆこと。

 それじゃ、また明日ね」

 

 そう告げて御空は帰って行った。

 

 ……何故だろうな。奴とは長い付き合いになるだろう。

 ふと、そんな気がした。







「祝! 私登場っ!!」

「御空零の初登場だな。
 ……後書きで散々出ているとかつっこんではいけない」

「こんなフザケた後書きと本編とじゃ重みが全然違うからね!」

「……さて、リメイク前では語られなかった外見の情報でもまとめておくか」

「そう言えば、私すら語られてなかったわね……殆ど」

「うちの駄作者が外見をいかに軽視してるかがよく分かるな。
 え~っと、再定義した情報によれば、身長は高くもなく低くもない。体重は知らん。
 血液型は以前言ったようにAB型、Rh-。
 髪型は肩にかかるかかからないかくらいのセミロング、髪色は薄い水色のイメージらしい」

「へ~、私本人ですら初耳だよ」

「あと、胸はDカップ」

「ちょっとぉっ!? リメイク前では無駄にボカしてたのに! 何でドストレートに言っちゃってるの!?」

「筆者曰く、霧島が自称Cカップで、玲さんが自称Eカップ。
 何か歯抜けなのも収まりが悪いんでじゃあ零さんでいいやとなったらしい」

「私ですら知らない製作秘話が……って言うかセクハラだよねこれ……」

「ハッ、その程度の事を気にするような器のちっぽけな奴じゃないだろう?」

「いや、気にはするからね? 無駄に怒らないだけで気にはするからね?」

「……それじゃ、締めるとしようか」

「はぁ、はいはい。
 では、次回もお楽しみに!」

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