バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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08 クレーマー撃退劇 その2

 というわけでFクラス首脳陣によるクレーマー撃退作戦が始まったわ。

 ……吉井くんが『首脳』って呼べるのかは分からないけど……代表と副代表が連れてるんだから多分大丈夫でしょう。多分。

 

「……おー、似合ってるな明久」

「ハッハッハッ、雄二にもきっと似合うよ。着てみたらどうかな」

「バカ言え。サイズが合わないだろう」

 

 言葉遣いは穏やかだけど吉井くんの目は笑ってない。

 そして坂本くん。問題はそこじゃない。確かにそこも問題だけど。

 

「お前たち、遊んでないでサッサととりかかるぞ。

 最悪、クレーマー達が次来た時を狙うつもりだったが奇跡的にまだ残ってくれてるからな」

 

 木下くんが超速攻でメイクを終わらせてくれたので例のクレーマーたちはまだ残ってくれている。

 いや、居なくなった方が店としては助かるんだけど。

 

「それじゃあ行ってらっしゃい。私の制服はできれば汚さないでね」

「えっ、これって御空さんの制服だったの!?」

「……吉井くん、何で私がブレザーとネクタイとスカート外してジャージに着替えてると思ってるの?」

「えっと……本人の趣味?」

「…………Fクラスの代表は苦労してそうね」

「分かってくれるか、御空」

 

 そんなやりとりをしてから吉井くんがクレーマー達の下へと向かった。

 

『お、お客様、少々宜しいでしょうか?』

『んぁ? 何だこんなカワイイ娘も居たのか。

 何の用だい?』

『そこをお掃除をしますので、ちょっと宜しいでしょうか?』

 

 掃除とはまた上手い事言うわね。

 文字通り、クレーマーをお掃除してもらいましょうか。

 

『ああ。サッサと済ませてくれよ』

『はい、それでは……』

『ん? 何だ突然抱きついて、まさか俺に惚れ……』

『くたばれやぁぁぁぁあああ!!!!』

『ぐぼぁっっ!!!』

 

 女子制服姿の吉井くんが流れるような動作でバックドロップを決めた。

 おかしいわね……軽く当たるだけってさっき言ってた気がするんだけど。

 

「(今だ、助けを呼べ!)」

「……あの、空凪くん? 何のサインを送ってるの?」

 

 そう言えばさっきまでも何か送ってたわね。バックドロップまでやったのは彼の指示だったのかもしれない。

 

『こっ、この人今私の胸を触りました!!』

 

 まぁ、間違ってはいないわね。接触した事だけは。

 

『ちょ、ちょっと待て! 胸を当ててバックドロップを決めたのはお前のげぷぁっっ!!』

 

 いつの間にか飛び出していた坂本くんによってクレーマーはぶっ飛ばされた。

 どうやら弁明させない作戦みたいね。

 

『公衆の面前で痴漢行為をするような奴が居るとはなぁ。とんだゲス野郎だぜ!』

『全くだな。貴様等のような犯罪者が同じ学校に通っていると思うだけで虫唾が走る』

『な、何だと!? いやいや、ちゃんと見てたのか!? 明らかにウェイトレスの方からぐぼぁっ!!』

『黙れこの変態が!! たった今このウェイトレスの胸を揉みしだいていただろう!

 俺の目は節穴ではないぞ!!』

 

 ……何でだろう? 急に節穴に見えてきた。

 目が節穴のハニワみたいな坂本くんを想像してみたら微妙に可愛い気がしてきたけど口には出さないでおく。

 Aクラス代表と事を構えるつもりはない。今は。

 

 ……さて、このまま放っといたらただの殴り合いになる。

 このクラスの副代表として、お墨付きを与えてあげましょうか。

 

「まさかうちの店で痴漢するようなバカが出てくるとはね……

 Bクラス副代表として許可します! そいつらを追い出してください!!」

「「おう!!」」

「いや、ちょっと待て! だから冤罪だとぷげぁっ!!」

「く、くそっ! 逃げるぞ!」

「あ、ああ!!」

「逃すか!! 剣、追うぞ!」

「当然だ!! 女子に痴漢した3年で坊主の夏川とモヒカンの常村、待ちやがれ!!!!」

 

 坂本くんと空凪くんは逃げ出したクレーマー達を追いかけて行った。

 大声であんな事を叫びながら追いかけてれば奴らの悪評はすぐに広まるはずだ。これで懲りてくれれば良いんだけどね。

 

「ふぅ、とりあえず2人が戻ってくるのを待ちましょうか。

 よし……アキちゃん大丈夫?」

「御空さん!? 何その名前!」

「いや、その姿だと本名では呼ばれたくないかなと思って」

「……た、確かに! ありがとう」

 

 Fクラスの代表たちが呼んでいる下の名前の『あきひさ』からとってアキちゃん。捻りは無いけどギリギリ本人には伝わる名前としては上出来だろう。

 

「それじゃ、サッサと着替えてあの2人を待ちましょう。

 しばらくその格好で居たいなら話は別だけど」

「滅相もないよ! 早く行こう!」

 

 

 

 

 そして数分後、2人が戻ってきた。

 

「その様子だと捕縛は失敗したみたいね」

「一般客が居なかったらいくらでも武器が使えたんだがな……」

「待って空凪くん。うちの生徒相手でも武器はアウトだからね!?」

 

 代表や副代表は割とまともな方ではあるけどやっぱりFクラス生なのか思想が少々過激だ。

 

「だが悪評はバッチリ広まったはずだ。これで派手な動きは取れんだろう。

 少なくともここに来る事はあるまい」

「それは間違い無いでしょうね。万が一来たとしても即座に叩き出す口実はあるし」

「それもそうか。

 ……雄二、僕はちょっと用事が残ってるんで明久と先に戻っててくれ」

「用事だと? まあいいか。

 明久は……」

「とっくにAクラスに戻ったわ。

 あと、ここで待つ気なら注文くらいしていきなさい。ほら、メニュー」

「ふむ、それもそうだな。

 じゃあ、ゴールドエクセラ風コーヒー1つとオリジナルブレンドティー1つで」

「は~い、ただいまお持ちしま~す」






「これでクレーマー撃退完了っと。
 悪評を流した報いとして悪評を受けるっていうのは一応妥当なのかしらね」

「この悪評設定が生かされる事はほぼ無いだろうな。

 ……さて、解説に移るか。
 今回は貴様の視点で話が進んだな。せっかくだからと筆者が出番を増やしてみたらしい」

「へぇ、やるじゃない」

「貸し出された制服が貴様のものだったというのもリメイク版の追加点だな。
 これもせっかくだからとやってみたらしい。
 ちなみに貸したのはブレザーと赤いネクタイ、あと赤いスカートだな。
 ……書き終わったあとでブレザーは実は男女兼用なんじゃないかと思い至ったようだが、見えない所で違いがあるかもしれないからとそのまま残したらしい」

「違いが見えない所にあるなら意味が無い気もするんだけどね……」

「まぁ、どうせスカート脱いだ状態で出歩くわけにもいかんから全身ジャージになってもらった。ブレザーの有無なんざ関係ないな!」


「では、次回もお楽しみに!」
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