バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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10 人を憂う子の話

 Bクラス教室を後にした僕は適当な店……Dクラス教室に来ていた。

 確かここは『着ぐるみ喫茶』とかいう何か良く分からん企画をやっていたな。

 とりあえず扉を開けるとクマのキャラの着ぐるみを着た店員らしき生物が駆け寄ってきた。

 

『いらっしゃいませ~。クマのペーさんが案内するよ~』

 

 おい、怒られるぞ。大丈夫なのかこれ?

 ……まぁ、気にするのは僕の役目ではないか。

 

『って、アンタはっFクラスの副代表!? この私が居る店に乗り込んでくるとは良い度胸ね!!』

「……すまん、誰だ?」

『はぁっ!? あんな事をしておいてこの私の顔を忘れたっていうの!?』

「いや、その顔が分からないんだが」

 

 確かに声は聞き覚えがあるな。籠もってて分かり辛いが。

 

『……そ、そうだったわね。忘れてた』

「誰だか知らんがFクラスに来るといい。お前みたいなバカが沢山居る場所だから仲間が増えるぞ」

『その言い方は流石に傷つくから止めて!!』

「す、すまん。それで……貴様は一体誰なんだ?」

『しょうがないわね……また名乗ってあげるわ!』

 

 そう言って目の前の着ぐるみは決めポーズを取る。

 やっぱりFクラスが似合いそうだ。

 

『そう、私の名は優子!

 Dクラス副代表の小野寺優子とは私の事よ!!』

「……ああ、居たな。そんなの」

『反応薄っ! え、もうちょっと何か無いの!?』

「そう言われてもな。

 『ま、まさかあの一騎打ちという言葉に騙されてアッサリ負けた副代表!?』とか言えば良いのか?」

『完全に覚えてるじゃないの!!』

「いや、お前の事自体はちゃんと覚えてるさ。印象に残ったからな」

 

 目の前で『優子』と名乗られた時のあの衝撃はそうそう忘れられるものではない。

 そうかそうか。お前だったか。

 

「ま、一応知り合いだから丁度いいな。ちょっと雑談に付き合ってくれ」

『いや、何でそんな事しなきゃならないのよ。これでも忙しいんだけど?』

「付き合ってくれたらメニューのここからここまで全部注文してやろう」

『ありがたく付き合わせて頂きます!!』

 

 チョロいぜ。

 

 

 

 

 

「……というわけでクレーマーをちょっと撃退してな。モグモグ」

『気持ちは分からないでもないけど撃退方法が過激過ぎない!?』

「……ゴクン、そういう訳で悪評の影響がどこまで広がっているか把握したい。

 この店ではいかにも変態っぽい坊主とモヒカンの三年生は来たか?」

『変態っぽいっていうのは偏見じゃないの……?』

「いや、少なくとも片方は男に恋するようなホモだろう。僕の勘は良く当たるんだ」

『そ、そう……

 えっと、それっぽい2人組なら確かに何回か来たよ。案内を待つまでもなく勝手に真ん中近くの席に座って騒いでたわ』

「手慣れたクレーマーだな。その才能はもっと別の場所で発揮して欲しいものだ」

 

 他人のテリトリーのド真ん中に割って入って堂々と騒ぐなんてそこらの凡人にはできないだろう。

 ……いや、あるいは何らかの後ろ盾があるのかもな。どれだけ騒いでも揉み消せるような後ろ盾が。

 

「大体把握できた。邪魔したな」

『ちょっと、まだ沢山残ってるわよ?』

「ここの店員たちに配っておいてくれ。その代わり、うちのクラスの悪評を聞いたら適当に訂正してくれると助かる」

『おっけー! 任せなさい!!』

 

 さてと、もうちょっと見て回ってから戻るとするか。

 

 

 

 

 

  ……一方その頃……

 

「坂本くん、ちょっと訊きたい事があるんだけど」

「……何だ、空凪妹」

 

 私が詰問する口調で坂本くんに問いかけると嫌そうな顔で応じてきた。

 質問の内容にも、その答えにも心当たりがあるって事でしょうね。

 

「……妙だと思わない?」

「何がだ」

「たかが学園祭の模擬店に妙なクレーマーがやってきて、撃退したと思ったら悪評をバラ撒いている。

 今日と明日のたった2日間しか開かない店相手に随分と手が込んでると思わない?」

「あの常夏コンビが粘着質な奴だったってだけだろう」

 

 夏川と常村で常夏コンビか。確かに分かりやすいネーミングね。

 でも今は置いておこう。

 

「確かに、その可能性はある。

 けど……心当たりがあるんじゃないの?」

「いや、そんな物は「言っておくけど」

 

 坂本くんの台詞に被せて、告げる。

 

「もし、隠し事をして、そのせいでAクラスが不利益を被った場合、できる限り最大限の『対処』をさせてもらうわ」

「…………はぁ、分かった分かった。あいつの妹なら大丈夫だろう。

 ただ、確証のある話じゃないぞ」

「ええ。手がかりだけでも十分よ」

「そんじゃあ適当な場所……俺たちの教室に移動するぞ。あそこなら誰にも聞かれないだろう」

「Fクラス教室ね。分かったわ」

 

 さて、一体どんな話が聞けるのやら。






「というわけで小野寺優子の再登場だ」

「……一応訊いておきたいんだけど、わざわざDクラスを着ぐるみ喫茶とかいう変な企画にしたのって……」

「ああ。あいつに再び名乗らせる為だ!!」

「そんな事の為に妙な企画を通したのね……
 ……ところで素朴な疑問なんだけど、着ぐるみ姿で接客って可能なの?
 いや、接客と言うより配膳とかって可能なの?」

「手の部分が薄い着ぐるみとかならきっと大丈夫だろう。
 あと、全員が着ぐるみを来てるんじゃなくて一部は普通の人が居るという事にしておこう」

「……そういう事にしておきましょうか」


「後半は光と雄二の話だったな。
 学園長との契約まで吐くつもりらしい」

「……大丈夫なのかしらそれ」

「黙ってた方が明らかに問題が大きくなりそうなんでな。
 Aクラスのリーダー格である姉さんなら大丈夫だという判断だな」

「リーダーは霧島さん……はダメか。坂本くんだし」

「そういう事だな。
 あともう一つ、このイベントには極めて重要な意味があってな」

「?」

「光と雄二が席を外す。
 これはあるイベントフラグを成立させる為に非常に重要だ。
 このイベントを逃すと明久の女子攻略ルートが姫路か島田の2択にほぼ確定するからな」

「うわぁ、何か急にギャルゲーの攻略みたいな事言い出した」

「カップリングを一応宣言してる時点である意味縛りプレイみたいな状態だからな。
 まぁ、詳細についてはまた明日としておこう」


「それでは、次回もお楽しみに!」
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