バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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02 突き進む少女の物語 プロローグ

 時間はかなり飛ぶが、デート当日になった。

 結局集まったのは僕と工藤に加えてFクラスからは康太と秀吉、Aクラスからは光だけだった。

 明久はどうしたって? 一応真っ先に誘ったんだが……

 

 

「もしもし明久、今度の日曜って時間あるか?」

『え? 今度の日曜? う~ん……僕は大丈夫だけど……遠慮しておくよ』

「遠慮? 何言ってるんだ?」

『ハハッ、すぐに分かるよ!』

 

 

 とかいう良く分からないやりとりがあって断られた。

 まぁ、来れないものは仕方ない。

 

 ……え? 姫路と島田はどうしたって?

 うん、まぁ、そっちも誘うつもりだったんだが携帯の発信ボタンを押す直前に猛烈な悪寒がしてな。

 何か良くない事が起こると判断して今回は見送った。別に居なくても問題ないしな。

 

 …………何? 宮霧? 誰だそれ。

 

 

「もしもし工藤、全員配置に着いてるか?」

『うん、バッチリだよ! そっちこそ大丈夫?』

「フッ、愚問だな。

 む? 電話が来たようだ。ちょっと一旦切る。

 ……非通知? まあいいか。もしもし?」

『…………………………キサマヲコロス』

「やれるもんならやってみろ。

 もしもし工藤、待たせたな。いやなに、ちょっと脅迫電話が来てな。

 え? 聞こえなかった? だから脅迫電話が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝目覚めたら、鍵がかかってるはずの俺の部屋に翔子が居た。

 寝ぼけ眼で携帯を掴み、110番したが相手にされなかった。

 慌てて飛び起きてお袋を問い詰めたら翔子を部屋に入れたとアッサリ白状しやがった。

 

 ……まぁ、ここまでは良い。俺が朝っぱらから精神的なダメージを受けただけだ。いや、やっぱり良く無いな。

 

 問題は、翔子がアレを持っていた事だ。

 『如月ハイランドプレミアムペアチケット』を。

 剣の奴が企業と交渉するとか何とか言ってたんでババァが言っていた例の噂は無効になってる……かもしれない。

 しかし、如月ハイランドがカップル向けの戦略を進めているのは間違い無い事実であり、そういう施設に2人で行くという事でどういう噂をされるかは明白だ。

 そこまでを自分の中で確認した所で、まず俺は電話をかける事にした。

 

『もしもし?』

「…………………………キサマヲコロス」

『やれるもんならやってみろ』ブツッ

 

 あの野郎、即答で返してきやがった!

 ……とりあえず剣は置いておこう。今の問題は翔子だ。

 試召戦争で負けて付き合う事にさせられた俺は原則として翔子からの誘いを断る事はできない。

 しかし、ここで諦めたら人生終了だ。要は翔子の方が気を変えてくれりゃあ良い。例えば……

 

「翔子、今日はちょっと用事があってな。また今度じゃダメか?」

 

 とか言っておいて延々と引っ張るとか……

 

「ダメ」

「な、何故だ!」

「……このプレオープンチケットは使える日付まで指定されてる。多分混雑を避ける為。

 だから今日じゃないとダメ」

「ぐぬぬ……」

 

 仕方あるまい。ならば路線変更だ!

 如月ハイランド以外の場所ならそこまで問題にならない。だからそちらに誘導を……

 

「翔子、如月ハイランドにはあえて行かずに別の場所に行かないか?」

「? どこの式場に連れて行ってくれるの?」

「何故式場に限定する!?」

「……だって、行かなかったら即挙式って誓ってくれた」

「そんな事を言った覚えは一度も無いんだが!?」

「……パンフレットも用意してある。選んで」

「手回しが良すぎないか!?」

 

 

 ……その後、何故かお袋までノリノリで式場を選び始めたので俺に選択肢など無かった。

 だが俺は諦めない! 如月ハイランドはそこそこ遠い場所にある。それまでに逃げ出せれば……!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……俺は、無力だ」

 

 電車やらバスやらを乗り継いで2時間ほど要したが、その間の逃走の隙はゼロだった。

 俺が翔子から視線を外して辺りの様子を伺おうとする度に首を強制的に翔子の方に向けられてしまい全く行動できなかった。

 翔子が明らかに外の景色を眺めている時でも即座に感知された。どういう理屈なのかは謎だ。

 

「……やっと着いた」

「ふぅ、そうだな。よし、翔子」

「……何?」

「今日は楽しかったぜ。さぁ、遅くならないうちに帰ろう」

「……」

 

 爽やかな笑顔でそんな言葉を告げた俺に対して翔子が起こしたアクションとは『腕を組む』というものだった。

 それだけだったら可愛いで済む話だが、何かさっきから関節がミシミシと悲鳴を上げている。ぶっちゃけメッチャ痛い。

 ただ、騒いでも解決にはならない事は学習済みだ。騒がなくても解決にはならないがな!!

 

「…………」

「……ん? どうした翔子、行くんじゃないのか?」

 

 このまま俺の腕を人質もとい腕質にして入るつもりかと思ったが、翔子は立ち止まったままだ。

 俺としては助かるが……そう思いつつ翔子と同じように視線を前方に向ける。

 するとそこに……凄く見覚えのある白髪眼帯の中二病患者が立っていた。

 

「お、時間ピッタリだったようだな。乗り換えの回数が多くても最短になるルートを通ってくるとは。流石は霧島だな」

「……ん」

「さて、チケットは当然持ってきているな? ああ、安心しろ。忘れててもコネで入れてやる」

「……剣はどうしてここに居るの?」

「ちょっとしたバイトだ。気にするな」

「……分かった。雄二、行こう」

「ちょっと待てやぁぁぁあああ!!!!

 バイトの一言で済ますんじゃねぇよ!! 明らかに怪しいだろうが!!

 と言うかテメェ! よくも俺の前に面出せたな!!!」

「…………あ、雄二じゃないか。こんな所で奇遇だな」

「何が奇遇だ! テメェが仕組んだんだろうが!!」

「まぁ、安心しろ。悪いようにはしない。多分な」

「多分って何だよ! 何を企んでやがる!!」

「……それじゃあ今は一言だけ。それを改められないようであれば、後悔する事になるぞ」

「何だと?」

「……僕個人としては出来れば穏便に終わってほしいと思っている。じゃあな」

「あ、おい! 待ちやがれ!」

 

 やたらと不穏な言葉だけを残してあのバカは去って行った。

 追いかけて問い質したい所だが、翔子に腕を極められている以上はどうしようもない。

 かなり不安だが……今の俺に選択肢は無いか。気を引き締めて、進むとしよう。






「というわけで如月ハイランド雄二編の開始だな」

「わー。何が待ち受けてるんだろー」

「穏便に済ませたいというのは正直な気持ちなんだがな。
 あの感じだと多分無理だろうなぁ……」

「一応アレは本音だったのね。少々信じがたいけど」

「おいおい、僕を何だと思ってるんだ」

「狂人」

「…………」


「では、次回もお楽しみに!」
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