バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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第4章 盗撮騒動と観劇者
学力強化合宿編 プロローグ


 2年生に進級してからおよそ2ヶ月程が経過した。

 そんな中途半端なこの時期、教室からは浮ついた雰囲気が漂っている。

 何故かというと……来週の週明けから『学力強化合宿』が始まるからだ。

 何だかいかつい雰囲気が漂う名前だが、実際には四泊五日の修学旅行みたいなもんだ。

 勿論その名の通りに勉強もさせられるが、自由時間も……個人差はあるもののタップリあると聞いている。

 さて、何を持っていこうかな。流石にゲーム機の類は没収されてしまうだろうが、トランプとかは問題ない。

 4デッキは持っていくとしよう。それなら組み替えてカード麻雀にもできるし。

 

 ……丁度、そんな事を考えていた時だった。

 

『最悪じゃあーーーーっっ!!』

 

 こんな声が開け放たれた窓から聞こえてきたのは……

 

 

 

 

 

「どうした明久。顔が土気色に染まってるが」

「は、ハハハハハ……何でもないよ。ハハハハハ……」

 

 そう言われると暴きたくなるのが心情だが……流石に手がかりが少なすぎるな。

 もう少し様子を見るとしよう。

 

「アキ? さっき何か変な声が聞こえたけど……どうしたの?」

「い、いや、ちょっとふと叫びたくなってね。気にしないで……」

 

 まぁ、そういう事もあるか。だからどうしたという話だが。

 

「そう言えば明久よ。お主、下駄箱から何か取り出しておらんかったか?」

「えっ? は、ハハッ、なななナンノコトかな!?」

「……アキ、まさかラブレターを貰ったとか言わないでしょうね」

「美波、言動に気をつけるんだ。ラブレターという言葉に反応して皆がカッターを構えてる」

 

 う~む……流石にこの人数を鎮圧するのは骨だな。できないわけではないが。

 だが、問題ないだろう。本当にそんな物を貰っていたらあんな表情はしてない。

 とは言え、放置しておいたら収拾が付かなくなりかねん。推理ごっこは中止するか。

 

「落ち着け貴様ら。仮に明久がそんな物を手に入れていたら狂喜乱舞して学校中を走り周り、ついでに鉄人に捕まって補習を受けるだけだろう。

 だから明久がラブレターなんて受け取っているわけがない」

「た、確かにそうね……」

「それもそうじゃな。確かに」

「あのカッターをしまってくれたのは有難いんだけどさ、そんなアッサリ納得するのはどうなの?

 僕にだってラブレターを隠す知恵くらい……あ、無いです。ゴメンナサイ」

 

 明久の妄言に反応して再びカッターを取り出すアホが多数居たが、すぐに明久が訂正して事なきを得た。

 僕だって流石にそのくらいの知恵はあると思っているが、終わりかけてた話をわざわざ蒸し返すんじゃない。

 

「でも、ラブレターじゃないなら一体何なの?

 ……まさか、ラブレターを通り越して婚姻届でも……」

「畳返しっ!!」

 

 明久が足元の畳をはね上げた直後に無数のカッターが突き刺さった。

 おかしいな。どうやったらカッターをこんな真っ直ぐ投げられるんだ? 投擲に向いている形状じゃないと思うんだが。

 

「明久。サッサと白状した方が良さそうだぞ。

 身の安全の為にも」

「そ、そうだね……黙ってて今死んだら意味が無いよ。

 えっと……その……下駄箱に入ってたのは脅迫状だったんだよ」

「脅迫状? 何だ、良かった~」

「いや島田、決して良くは無いだろう。明久が誰かに弱味を握られてるって事だぞ?」

「そ、そうね……ごめんなさい」

 

 僕の予想通り、決して良いものでは無かったな。

 しっかし、脅迫状ねぇ……

 

「明久よ。その脅迫状には何と書いてあったのじゃ?」

「えっと……『あなたの傍に居る異性にこれ以上近づかない事』だってさ」

「傍……と言うと同級生の事か? もっと具体的に言ってほしいんだがな……」

 

 具体的には姫路と島田。あと秀吉も含めておくか。

 僕は秀吉が男だと信じているが、脅迫状の主までそうだとは限らん。

 

「となると、お主の身近に居る異性に対して強い感情を抱いているという事かのぅ?

 そして恐らくはお主に嫉妬しておる、と」

 

 いや、ここであえて発想を逆転させて『異性に明久を近付けない』ではなく『明久に異性を近付けない』事が目的の可能性もある。

 つまりは変則的なラブレターの可能性もあるな。

 ……まぁ、そんな事を口に出したらどうなるかは分かりきっているので黙っておこう。可能性としては低めだし。

 

「異性に強い感情? 要するに、姫路さんか秀吉に強い好意を寄せてる人が犯人って事?」

「明久よ、金属バットを探しに行った島田が帰ってこないうちに逃げるのじゃ」

「え、アレ?」

「……まぁいい。犯人の要求は一応分かったが、脅迫のネタは一体何なんだ?」

「あ、そう言えばまだ確認してないや。

 えっと……『この忠告を聞き入れない場合、同封されている写真を公開します』だって」

 

 人の弱味が写っている写真か。あんまり見たいものではないな。

 

「とりあえず、1人でじっくりと見ると良い。今後の事はその後考えりゃいいさ」

「そうだね。どれどれ……?」

 

 明久がまず1枚目の写真を見る。

 一瞬表情が引き攣ったが、2~3回ほど深呼吸して持ち直す。

 

 続いて2枚目の写真を見る。

 驚愕の表情を浮かべた後、腕をプルプルと震わせながら瞑目して荒い呼吸を何度か繰り返す。

 

 最後に3枚目の写真を見る。

 物理的な衝撃を受けたかのように大きく仰け反り、ついでに足を卓袱台にぶつけて痛がっている。

 

「うぐぁっっ!! 小指がぁ! 足の小指がぁ!!

 って違う!! 何なのこの写真!! うぁああああ!!!!」

「お、落ち着け明久。目立ってる。目立ってるから」

「ぜぇ、はぁ…………お、恐ろしい威力だった……

 これが出回ったら……僕はお終いだ!!」

「そこまでの代物だったか……」

 

 少なくとも脅迫の材料として十分なのは把握できた。

 とりあえず『踏み倒す』という選択肢は無さそうだな。

 

「明久がたった3枚の写真でこれほど取り乱すとはのぅ……一体何が写って……いや、訊いてはならぬ事じゃな」

「ハハハハ……アハハハハ……」

「んで明久、どうする気だ?」

「ふぇ?」

「貴様の反応から察するに踏み倒すのは論外のようだが……それでも選択肢はある。

 大人しく従うか、それとも犯人をとっ捕まえるかだ」

「あ、そっか。犯人を捕まえれば良いのか!!」

「無論、リスクはある。相手にバレたら単に踏み倒すよりもエグいダメージを受ける事になるだろうな」

「う~ん……それでも捕まえるよ。大人しく従ってもまた別の要求が来るかもしれないし、それに従った所で公開されない保証は無いからね!」

「まぁその通りなんだが……貴様にしては頭の回転が早いな」

「だって……僕が脅迫犯の立場だったら間違いなくそうするから!!」

「「なるほど」」

 

 そういう事なら全力で手伝うとするか。

 脅迫犯の撃退、面白そうじゃないか。






「合宿編スタートね!」

「原作同様に明久の脅迫状からスタートだ。
 ……ただ、写真の内容は実は筆者も把握していないらしい」

「……えっ? どゆこと?」

「原作では『メイド服姿の明久』『メイド服姿の明久(Withパンチラ)』『ブラを持って立ち尽くす着替え中の明久』の3つの写真が脅迫のネタだった」

「うんうん……うん?」

「これらの写真はほぼ間違いなく変態先輩を撃退する際の着替えを撮影されたものだ。
 しかし本作では制服喫茶とかいう手抜き企画に紛れて撃退を行った」

「いや、確かに手抜きだけどさ。企画の副責任者の前でそれ言う?」

「結局明久が使ったのは貴様のスカートとブレザーとネクタイのみ。
 パンチラバージョン(トランクス)まではギリギリ撮影できるが、パンツやブラ等の下着までは使ってなかったはずだ」

「……そう、ね。少なくとも私には、渡した記憶は無いわ」

「そして代替になる写真も思いつかない。貴様の着替えを撮影しておいて明久の写真とセットで公開すればダメージは増えるかも? といった程度だ」

「待って、それは私へのダメージが半端無い事になるんだけど!?」

「ある意味明久への脅迫になるかもな。知り合いの女子の不幸を黙って見過ごすような奴じゃないし」

「男子の不幸はどうする気なの」

「見捨てるに決まってるだろ。
 まぁ、そんな発想を脅迫者ができるかも微妙なんで整合性なんて放り投げて進めたようだ。
 よって、筆者も写真の内容を把握していないという訳だな」

「ご都合主義ね……」

「……だな」


「では、次回もお楽しみに!」
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