バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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01 慎重な人たちの朝の会話

 というわけで脅迫の犯人を突き止めるべく行動を開始する。

 まずは……専門家に相談だ。

 

「という訳で康太。手を貸してくれ」

「…………報酬次第」

「それじゃあ、僕の秘蔵の本1冊でどうだい?」

「…………交渉成立」

 

 康太は盗聴・盗撮のプロだ。

 蛇の道は蛇、と言った所だな。

 

「…………まずはその脅迫状を見せてくれ。あと写真も」

「えっ……み、見せなきゃダメかな?」

「…………写真1枚からでも分かる事は多い。本気で捕まえたいなら、必要」

「うぅ……分かった。絶対に他の人には見せないでね!!」

「…………安心しろ。顧客情報は守る。

 調査が終わったら連絡する。しばらくは大人しくしておいてくれ」

「うん、宜しくね!」

「僕に手伝える事があればいつでも言ってくれ。じゃあな」

 

 

 

 ひとまず調査は専門家に任せる。

 こういう事は素人が首を突っ込むとロクな事にならんからな。

 

 そんな事を考えていたらこのクラスの担任である鉄人こと西村先生が教室に入ってきた。

 ……あれ? いつの間に担任になったんだっけか? まあいいか。

 

「諸君、待たせたな。全員席に着いてくれ。

 これより、明日から行われる学力強化合宿のしおりを配布する」

「鉄人先生。ギリギリ過ぎないですか?」

「すまないな。竹原教頭が辞職された影響で色々とゴタついていてな。

 あと空凪、鉄人と呼ぶな」

 

 ああ、そう言えばそんな事もあったか。学園の裏切り者であっても仕事自体はそこそこ普通にこなしてたはずだもんな。そうじゃないと普通にクビになるから。

 仮にも組織の№2なわけだし、突然抜ける影響は結構デカいか。

 

 

「よし、全員に行き渡ったな?

 詳細は全てそのしおりに書いてある通りだ。よく確認して準備するように。

 まぁ、準備と言っても遊びに行くわけではない。最低限の筆記用具と着替えがあれば十分だがな」

 

 これが観光目的の旅行であればルートを計画したりするんだろうが、やることはそこそこ広い部屋でカンヅメするだけだからな。工夫の余地など無い。

 

「あと、集合場所はくれぐれも間違えないように。

 しおりにも書いてあるが、各クラスで異なる。他のクラスと間違えないようにな」

 

 こんな所でも格差を出してるのか。

 普通こういうのは学校がバスを手配するものだと思うが……それを基準に考えるとAクラスならリムジンで優雅に移動、Fクラスは満員電車……いや、列車の荷台とかかもしれんな。

 教室の設備がこの惨状だからな……どれだけヒドい扱いでも驚くまい。

 

「いいか? 我々Fクラスは……現地集合だからな」

「「「案内すら無いのかよ!?」」」

 

 ……ごめん、嘘吐いた。流石に驚いた。

 

 

 

 

 

 

 という訳で翌日。

 幸いな事に目的地である卯月高原はアクセスが充実しており、電車でもバスでも簡単に辿り着けるようになっていた。

 乗り換えが不要な直通の電車もあったのでそれを選ぶ事にした。出発時刻が少々早いんでその分早めに家を出る必要があるが……まぁ、仕方あるまい。

 

 そして、同じような思考に至った奴は結構居たようだった。

 

「あ、空凪くん、おはようございます」

「おはよう姫路。貴様もこの電車に目を付けたか」

「はい。ちょっと眠いですけど、のんびり行きたかったので」

 

 例えば、うちのクラス1の優等生こと姫路瑞希とか。

 旅行の計画とかはミッチリやるタイプだろうからな。

 それに加えて、自信家でも楽天家でもない。出発時刻よりも更に早めに駅に到着して他の連中を待つ事になるわけだ。

 

「電車が来るまではもうしばらくかかるな。

 ……そう言えば貴様と2人きりというのは初めてだったな」

「確かにそうですね。空凪くんとはあんまり話した覚えが無いです」

「じゃあこの機会に全力で会話するとしよう。ヒマだし」

「確かに暇ですけど……一体何を話すんですか」

「そうだなぁ……」

 

 姫路と僕の関係はせいぜい『友達の友達』程度だったりする。

 接点と言ってもせいぜいクラスメイトというだけであり、共通の話題も……いや、それくらいはあるか。

 なんたって、姫路は『友達の友達』だからな。

 

「お前、明久の事をどう思ってる?」

「はいっ!? な、ななな何ですかいきなり!?」

「いや、お前との共通の話題と言ったら明久の話かなと」

「そ、それは確かにそうですけども! 理屈では一応分かりますけども! だからってそれはどうなんですか!?」

「別にいいだろ。貴様が明久に懸想してるのは見りゃ分かる事だし」

「そ、そそそそそんな事ありません!!」

「はいはい、そういう事にしておいてやろう」

「いや、絶対分かってませんよね!?」

 

 わざわざ振り分け再試験でFクラスに残ったり、明久に嫉妬っぽい行動を取っている時点であからさまなんだが……本人は誤魔化していくスタンスのようだ。

 であれば僕から口出しできる事は無いか。勝手に嫉妬して明久に暴力を振るうような自分勝手なヤンデレを応援する気にはなれない。

 ハッキリと好きだと自己主張するなら筋は通るんだがな。

 

「……まぁ、いいさ。

 じゃあ他の話題を……ん?」

 

 別の話題を振ろうとした所で、どっかで見たことあるような奴がやってきた。

 う~む……名前が思い出せない。まぁいいか。

 

「おはよう」

「おはよう、副代表と姫路さん」

「お、おはようございます!」

「……? どったの姫路さん、何か顔赤いけど」

「な、何でもないです!」

「……ならいいけど。

 来てるのは2人だけ? 他の連中はどうしたんだ?」

「さぁな。待ち合わせしてるわけでもないし」

 

 雄二と秀吉、康太、あと島田も多分もうしばらくしたら来ると思う。

 明久は……ちょっと分からんな。電話してみるか。

 

「…………ダメだ繋がらない。どうやら電話中らしい」

「誰に掛けたんだ?」

「明久。あいつだけはちょっと心配だからな。

 ……誰と話してるんだ?」

「代表が気を利かせて……」

「雄二が? ハッ、無いな」

「じゃあ、木下とか」

「……まぁ、その辺が妥当か。何にせよ起きているのは確かだ。もうじき来るだろう」

「そうですか。楽しみですね」

「ああ。そうだな。折角の合宿だ。楽しまなきゃ損だな」

 

 

 

 その後、しばらくしていつものメンバーが揃って、そして電車は出発した。

 なお、他のFクラスの連中の姿は見えなかったが……遅刻しない事を祈ってやるとしよう。






「ようやく出発ね」

「いきなり電車に乗らずに駅での会話を追加してみたようだ。
 おかげでFクラスのモブ達が一緒の列車に居ない理由付けができた。
 なお、原作では乗り換えが普通にあるみたいだが……細かい事は気にするな」

「姫路さんと宮霧くんの出番も増やせたわね。って言うか宮霧くんも早く到着するグループなのね」

「あいつはかなり慎重は性格だからな。早め早めの行動は当然の事だ」

「……そんな真面目な人がどうしてFクラスに……」

「……地頭のせいだろう。才能とは残酷なものだ」

「決してキミや私が言える台詞じゃないけどねそれ……
 まあいいわ。では次回もお楽しみに!」
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