バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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07 その名を掲げて

  フィールド:化学

 

Fクラス 吉井明久 42点

Fクラス 島田美波 66点

Fクラス 伝令の人 97点

 

Dクラス 清水美春 125点

 

 

 いくらDクラスと言えども流石に3人分の点数よりは低いみたいだね。

 ……うん、点数の合計なら勝ってるんだ。点数は。

 

「お姉様と美春の邪魔をするブタ野郎は許さない、ユルサナイ……」

 

 何か、気迫が凄い。気迫と言うか情念が凄い。

 本当に勝てるんだろうか……いやいや、気持ちで負けてちゃダメだ!

 

「消え去れぇ!!!」

「うおっと!? 危なっ!!」

 

 召喚獣が殴られたら僕も痛いっていうのにこのヒト一切の躊躇無く殺しにかかってたよ!

 何とか避けたけど……死ぬかと思った。

 

「せいっ! はぁっ!!」

「ほわっと!? ふひゃぁっ!!」

 

 続く追撃も何とか避けて……あれ? 意外と避けられるな。

 これがアレか。当たらなければどうという事は無い! っていうやつだね。

 

「お~、流石は隊長。生存能力すげぇな」

「生きのびられても攻撃を入れないと意味が……って、それはウチらがやればいいのか。

 覚悟しなさい! 美春!!」

「そんな! どうしてブタ野郎を抹殺するのを邪魔するのですか!?

 美春はこんなにもお姉様を愛しているというのに!!」

「だからよ!!」

 

 ……そ、そんな感じで島田さんと伝令の人による袋叩きに遭った清水さんはアッサリと戦死した。

 

 

Dクラス 清水美春 125点 → Dead

 

 

 それと同時にどこからか鉄人が現れて清水さんを肩にかついだ。

 

「戦死者か。たっぷりと補習してやるとしよう」

「くっ、お姉様! 美春は決して諦めませんからね!!

 この学校を無事に卒業できるとは思わない事ですね!!!!」

 

 そんな、恐ろしい叫びを残して補習室へと連行されていった。

 

「うぅぅ……あのコ怖い」

「島田さん……何て言うか、愛されてるね」

「あんな重い愛なんて要らないわよ。

 美春とは普通に友達で居たいのに」

 

 あんなのでも一応友達というカテゴリに入ってるらしい。

 器が大きいな。島田さん。

 

「おーい隊長たち。敵はさっきの同性愛者だけじゃないぞ~。

 仮にも指揮官なんだからもうちょい周りに気を配ってくれ~」

「おっとそうだった。さっきと同じ要領で確実に削っていくよ!」

「そうね。意外と何とかなる事が分かったから同じようにいけるはず!」

 

 

 

 

 

 そんな感じでしばらく経過した。

 流石に同じ手を何度も使ってると警戒されるので戦死させるほどのダメージを与える事はできないけど、一番の目的である『時間稼ぎ』は十分に果たせた。

 例えば……ほら。

 

「ほぅ、明久。お前にしては上出来だ。

 雄二の想定よりも消耗が少ない」

「つ、剣! やっと来てくれたんだね!」

 

 開幕からいきなり補充試験を受けてたらしい僕達の副代表がやって来るとか。

 

「……敵軍の消耗も想定よりやや少ないか?

 まぁそれならそれで構わんが……削っておくとするか。

 Fクラス副代表、空凪剣が試験召喚勝負を挑む。試獣召喚(サモン)!」

 

 お馴染みのコマンドと共に、剣の召喚獣が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 補充試験を終えた僕が前線に出向いた時、意外と拮抗していた。

 明久への脅しが効いたようだな。観察処分者の利点を正しく使えれば膠着状態を生み出す事はそこまで難しい事じゃない。

 

「さて、やるか」

 

 

  フィールド:化学

 

Fクラス 空凪 剣 100点

 

 

 化学はさきほどの補充試験で受けた科目なので丁度100点だ。

 Dクラスの平均よりは低いが、Fクラスの平均よりは高い数値だ。存分に暴れるとしよう。

 

 まず、僕のメインウェポンである投げナイフを適当に放り投げる。そして綺麗な放物線を描いて召喚獣へと命中した。

 

 

Dクラス 115点 → 55点

Dクラス 132点 → 86点

Dクラス 121点 → 72点

Fクラス  61点 → Dead

 

 

『な、何だ!? 点数が減った!?』

『今何か当たったような……』

『あれっ、俺っていつの間にか戦死してる!?』

「戦死者は補習!!」

『うぎゃぁぁぁぁぁ…………』

 

 観察処分者の利点その1。痛覚がある事。

 人間の痛覚ってのはなにも神様やご先祖さまの嫌がらせで存在するものじゃない。身体がダメージを受けた事を脳に伝えて対処させる為のものだ。

 逆に痛覚が無いとダメージを受けても何が起こったのか分からず対策が取れない。ナイフが脳天に命中しても平然としてるような有様だからな。尤も、点数差があるのでナイフ1本で即死とはいかないようだが。

 そして、利点その2は……

 

『さっきのはお前の仕業か! 喰らえっ!!』

「甘い!」

 

 紙一重で見切って回避……というのは流石に無理なのでやや大ぶりに避けながらナイフを投擲した。

 これこそが観察処分者の利点その2、雑用により積み重ねられた操作経験だ。

 召喚獣の操作に慣れていないと回避すら困難だが、慣れれば反撃しつつ回避なんて朝飯前だ。

 

 

Dクラス 86点 → Dead

 

 

「戦死者は補習だ!」

『い、嫌だ! オレには故郷に残してきた恋人が居るんだ!! まだ死にたくない!!』

 

 いや、大げさ過ぎるだろ。たかが補習だぞ?

 鉄人先生って肉体派に見えて頭も凄く良いんだから存分に勉強してくりゃいいさ。

 

『そ、そんな! 山田が逝ってしまった!!』

『チクショウFクラスめ! 許さないぞ!!』

『山田の仇を皆で討つんだ! やるぞ!!』

 

 ……何か敵の士気がメッチャ上がってる。

 あ~……まあいいか。そんだけ凄い奴を倒せたと思えば。

 

「さぁ、来るが良い。戦死したい奴からかかってこい!!」

 

 これでアッサリ蹂躙されたらただのアホだが、上手く攻撃をいなして最低限の損害で最大限のダメージを与えるよう立ち回る。

 これによりDクラスは萎縮し、Fクラスは逆に勢い付く。

 雰囲気の力ってのは侮れないからな。特にこういう集団戦は。

 だが、それは相手も直感的に理解しているようだ。この流れを断ち切ろうとする者はすぐに現れた。

 

「そこまでよFクラス副代表!

 この私が相手になるわ!」

「ほぅ? 威勢が良いじゃないか。

 僕を止めたければ止めるといい。できるものならな!!」

「そっちこそ随分と強気ね。この私の名を聞いてもそれが保てるかしら?」

「何だと? そこまで言うなら名乗ってみろ。この戦争が終わるまでくらいは覚えておいてやる」

「良いでしょう。

 私の名は……優子(ゆうこ)!」

「何だと!?」

 

 その名前の人物は僕の脳内辞書にしっかりと記載されている。

 

  木下(きのした)優子(ゆうこ)

 うちのクラスの秀吉の双子の姉。

 学校では優等生の皮をかぶっており、その成績は優秀。

 学年順位は一桁をキープしている。姫路と同格のAクラスレベルの秀才だ。

 

 だがしかし、そんな人物がDクラスに居るわけがない。

 姫路のように途中退席したならFクラスだし、真面目に受けてよっぽど調子が悪くてもBクラスくらいには入れるだろう。

 一体どういう……

 

「そう、Dクラス副代表の小野寺(おのでら)優子とは私の事よ!!」

「誰だよ!!!」

 

 どうやら下の名前が同じなだけの別人だったらしい。

 と言うか、顔が違う時点で別人だった。

 

「まあいい。御託は要らない。かかってこい!!」

「当然っ! 試獣召喚(サモン)!!」

 

 

  フィールド:化学

 

Fクラス 空凪 剣  85点

 

Dクラス 小野寺優子 131点

 

 

「ほぅ、流石は副代表だな。なかなかの点数だ」

「ふふ~ん、まあそれほどでも……あるよ♪」

「ククク、いいだろう。それじゃあ正々堂々と一騎打ちといこうか」

 

 僕のメインウェポンのナイフは普通の武器と比べたら当然短いが、召喚獣に慣れていない相手なら鍔迫り合いに持ち込む事はそう難しい事ではない。

 一騎打ちで鍔迫り合いなんかしてたら点数の差でそのうち押し負けてしまうが……それも大した問題ではない。

 何故なら……

 

「よし、明久殺れ!!」

「OK!!」

「えっ、ちょっ!?」

 

 小野寺とやらに明久の不意打ちは綺麗に突き刺さり、点数を大幅に削った。

 そのタイミングで一度距離を置き、ナイフによる追撃を与え、一瞬で召喚獣を昇天させた。

 

 

Dクラス 小野寺 優子 131点 → Dead

 

 

「戦死者は補習!」

「ちょっとっ!? 今のは卑怯じゃないの!?」

「ハッ、貴様は分かってないな。明久、教えてやれ」

「そうだね。えっと……小野寺さんだったね。良い事を教えてあげるよ」

「な、何……?」

「卑怯汚いは敗者の戯言だよ」

「き、汚い!! 汚いよ!!」

 

 こうして、Dクラス副代表は補習室へと連行されていった。

 よし、この調子で頑張るとしようか。







「リメイク前と比べて色々と加筆されてるわね」

「明久の戦いとか全カットだったからな。
 いやまぁ、そもそも明久は戦ってなかったが」

「吉井くん視点が全カットだったもんね」

「まぁそういう事だな。
 僕視点の話の方も流れ自体は変わってないが色々と加筆されている。
 ナイフを投げてFクラスに流れ弾が当たるとかな」

「本当にさり気なく昇天した上にその後全く触れられてなかったわね……
 大丈夫だったのアレ?」

「僕が出した損害よりもDクラスに与えた損害の方が大きかったからな。
 全く問題ない」

「理屈で正しいのは分かるけど、分かるけどさ……」

「あと、小野寺優子も加筆部分だな。原作キャラの皮を被ったオリキャラだ。
 リメイク前では前書きの1パートにしか出てこないレアキャラだったが、本作では副代表に出世している。
 多分今後もちょくちょく出てくるだろう」

「『私の事ね!』が決め台詞だっけ。
 今回は『私の事よ!』だったわね」


「今回はこんな所か」

「では、次回もお楽しみに!」
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