バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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05 特定

 『犯人が分かった』

 

 謎のルームメイトこと宮霧伊織が発した一言は僕達を驚愕させるには十分だった。

 

「えええっ!? だ、誰なの!?」

「吉井、お前も会ったことあるはず……と言うかあるぞ。

 女子でありながらうちのクラスの島田に熱烈な愛を向けていた同性愛者に」

「……………………?」

「いや、ここまで言ってるんだからピンと来いよ!!

 Dクラスの……名前は忘れたけど、ツインテで縦ロールのあいつだよ」

「……………………あああっ!! 清水さんか!!!」

「そう。多分そいつ!」

 

 シミズ? 清水……何か聞き覚えある気がするが、よく分からんな。

 まぁ、僕が熟知している必要は無い。女子の名前が分かったのなら後は知ってる奴に丸投げだ。

 

「康太、そいつの情報は? あ、スリーサイズとかのプロフィールは言わなくて良いぞ」

「…………清水美春、2年Dクラス所属。去年から島田に性別を越えた愛を向けている」

「女性同士だとむしろ越えてないような気が……あ、いや何でもない」

「…………奴に盗撮のスキルがあるかは不明だが、動機という点では十分過ぎるだろう。

 …………当然、2年生の女子という点も満たしている」

「じゃあ清水さんで決まりだね! さぁ、どうしてくれようか……」

「おいおい、落ち着け明久」

「フムギュッ!!」

 

 今にもどこかに突っ走っていきそうだった明久を雄二が物理的に止めた。

 そうだな。2重の意味で気が早い。

 

「どうして止めるのさ雄二!」

「今分かったのは、あくまでもその清水とやらが脅迫犯の最有力候補ってだけだ。

 『女子に恋する女子』だなんていう特徴を満たす奴は確かに珍しいが他に居る可能性はゼロじゃない」

「そうかなぁ……?」

「それに、どこに行く気だ? この合宿所にはまだ俺たちしか来ていない。他のクラスの連中がやってくるまであと1時間はかかるぞ」

「……あっ、そうだった……」

 

 僕達は乗り換えが無い代わりに早めの電車で来ている。一般的な待遇のDクラスの生徒がバスか何かでやってくるにはまだ時間がかかるだろう。

 

「…………ひとまずは追加で調査をしておく。最有力候補の名前が分かっただけでも大分やりやすくなる」

「分かった。ありがとうムッツリーニ、頼んだよ」

「…………」コクリ

 

 とりあえず現状でできる事はこんなもんか。

 康太の調査報告を待って、犯人である事が確定してからは僕の出番も出てくるだろう。

 もし犯人じゃなかったら……その時考えればいいか。

 差し当たっては……

 

「よし、トランプやろうぜトランプ!!」

「どんだけやりたいんだよ!!!」

 

 だってヒマなんだもん。

 

 

 

 

 

 

 

 というわけでトランプで遊び倒した。

 最初は大富豪をやっていたのだが……

 

「僕のターン! 手札から4枚の同一のカード、3を捨てる事により速攻魔法、革命発動!!

 全ての強さを逆転させる!!

 更にチェーン発動! 2を4枚捨てて革命返し発動!

 更に、ハートのAを通常召喚! ターンエンド!!」

「1ターンキルしてんじゃねぇよ!? って言うか何で遊戯王風なんだ!!

 絶対イカサマしてただろうが!!」

「存在自体がイカサマとか言われたら何とも言えないが、少なくともカードを直接操作するようなイカサマはしてない」

「…………マジ?」

「マジ」

 

 ……という感じの事が割と頻繁に発生するので別のゲームをする事にした。

 続いてインディアンポーカーをやってみた。

 

 知らない人の為にルールを説明しておく。

 各プレイヤーはカードを1枚引き、自分に見えないように、それでいて相手に見えるように額の上にカードを掲げる。

 自分のカードは見えず、相手のカードのみが見えるという状況で勝負に出るか、もしくは降りるかを選択。

 勝負に出るならチップを賭け、勝った者……数字の一番大きい者が総取りとなる。

 

 大雑把に言うとこんな感じ。相手の表情を見て、あるいは言葉を交わして、自分の強さがどの程度なのかを判断するゲームだ。

 そういうゲーム……なのだが……

 

「イヤー、ミンナツヨイナー。ボクマケチャウヨー」

「「「「「降り(じゃ)」」」」」

「ちょっ、何で!? どうして!?」

「吉井……反応が分かりやす過ぎる。

 誰一人強い奴が居ないから勝負したいって態度が見え見え」

「付け加えるなら、自分以外のプレイヤーのカードは見えてるんだ。貴様が嘘を言っているのは丸分かりだ」

「今回はかなり露骨じゃったが、そうでない場合でも明久の態度で大体分かってしまうからのぅ……」

「明久の方を見ないっていう明久縛りを行えばマシにはなるかもしれんが……それはゲームとしてどうなんだ?」

「…………」ヤレヤレ

「うがぁあああ!!!」

 

 というわけで4~5回ほどやったら没になった。

 

 その後提案した完全神経衰弱は神経が衰弱するという真っ当な理由で没に。

 まぁ、ネタで言っただけで僕もやりたくなかったんで助かったよ。

 ん? ルール? 簡単に言うと2デッキ使ってマークも揃える神経衰弱だ。

 更に細かい追加ルールもあるんだが……微妙にややこしいんで各自ググってくれ。

 

 最後に提案したブラックジャックは結構盛り上がった。

 

「ディーラーは僕で固定か。まぁ仕方ないか。

 僕がプレイヤーやったら毎回ブラックジャックとかになってディーラー涙目だし」

「……副代表、あんたベガスでも行けば一生遊んで暮らせるんじゃないか?」

「そうもいかない理由があってなぁ……まぁ、始めるとしよう。

 全員チップは行き渡ったな?」

「うん、バッチリ!」

 

 なお、カジノ風のチップなんて物は誰も持ってきていないので雄二が持ってきたUNOで代用している。

 数字カードが1枚1点、その他役カードが1枚10点というシンプル極まりない設定だ。

 

「よし、全員に行き渡ったな。時計回りに聞いていくぞ。まず雄二」

「ヒット」

「ほいっ」

「19か……スタンド」

「はいよっと。次、秀吉」

 

 これもルール説明しておくか。

 ブラックジャックとは、引いたカードの合計数値が21になるように目指すゲームだ。

 各プレイヤーは初めに2枚のカードが配られ、その後何回でもドローができる。

 なお、ドローしたい時は『ヒット』と宣言、止める時は『スタンド』と宣言する。

 引いた数字の合計が21以下であれば数字が大きい方が強い。しかし、22以上になるとバスト。無条件で負け、あるいは引き分けになる。

 注意点がいくつかあり、このゲームにおいて10以上のカードは全て『10』として扱われる。11でも、12でも、13でも、ゲーム上では全て10だ。

 また、Aは『1』か『11』のいずれか任意の数として扱う事が可能だ。

 基本ルールはこんな感じ。他にもいくつかルールがあるが……

 

「ワシはAと11。ブラックジャック成立じゃ」

「ほぅ、やるな。次は明久」

 

 Aと10の2枚が揃った場合、合計値は21となる。

 この場合、単純に強いだけでなく『ブラックジャック』という役が成立する。これで勝てれば掛け金の倍の配当が得られる。(通常は等倍)

 また、ただの21よりも強い。ブラックジャックと引き分けるには同じブラックジャックが必要だ。

 

「えっと……11だから……ダブルダウン!」

「おーけー。ほいっ」

「い、1っ!? ……あの、これってもう引けないんだよね……」

「ああ」

 

 手札が初期の状態、2枚の時のみ『ダブルダウン』を宣言する事ができる。

 これは、あと1枚しか引けない代わりに掛金を2倍にするというコマンドだ。あと1枚だけ引ければ勝てる気がする時に使うものだな。

 先ほど述べたように、このゲームでは10以上のカードは全て10として扱われる。よって必然的に10の枚数は多くなり、当然ながら引く確率も大きくなる。

 だからこそ、今回のように手札が11の場合はダブルダウンを行うのがセオリーとなる。

 ……まぁ、こういう事もあるけどな。

 

「次は宮霧、貴様だ」

「ヒット」

「ほれ」

「…………ヒット」

「ほいっ」

「あ、くそっ、バストだ」

 

 宮霧の手札の合計は25。ほぼ負け確定だな。

 

「最後、康太」

「…………」トントン

「ヒットだな。ほれ」

 

 本来のブラックジャックは騒音の多いカジノで行われる為か、特定のジェスチャーでも通じる。

 テーブル……と言うか床をトントン叩くのがヒット、手のひらを下に向けて水平に振るのがスタンドだ。

 

「…………」ササッ

「スタンドね。よし、じゃあ僕の番だ」

 

 ここまではプレイヤーの行動について説明したが、ディーラーの場合は少々異なる。

 簡単に言うと、ヒットとスタンドを機械的に行う事しかできない。

 自分の手札が17以上であればスタンド、それ未満であればヒットを繰り返す。

 さて、自分の手札はどうなっているのか。

 ディーラーの初期手札2枚もプレイヤーと同じタイミングで配られているが、1枚目だけオープンの状態であり2枚目は裏向きに置かれている。

 表向きの1枚目は5。2枚目は……10のようだ。

 合計は15なのでヒットを行う。出てきたのはA。

 すると合計は16なので再びヒット。出てきたのは8。

 合計24でバスト。

 

「ちっ、やられたか。持ってけ泥棒!」

「ブラックジャックならどうにか戦えるか。よし、剣から根こそぎ搾り取ってやるぞ!」

 

 他にも説明しきれなかった細かいルールがある。スプリットとか、インシュランスとかな。

 その辺まで説明するとややこしくなるんで興味を持った方は各自で調べてほしい。

 






「以上なんだけど……何このトランプゲームのステマ」

「気付いたらかなりの分量を書いていたらしい。
 消してしまうのも勿体ないんでそのまま残してみたようだ」

「これでほぼ1話とか、読者さんに怒られるんじゃないの……?」

「何を言っている。だからこそ今日は2話投稿なんだ」

「……ああ、そういうね」

「次の展開は一旦区切って次の話で書きたかったらしい。
 しかし、前半部分だけだと短すぎるんで適当に時間を潰す描写を入れたらこんな事になったようだ」

「次の展開って言うと……あの辺なのかしらねぇ……」

「そうだなぁ……必要なイベントではあるんだが……」

「…………では、また5分後に会いましょう」
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