……さて、結論から言おう。清水はアッサリ捕まった。
ここまでアッサリ終わるとか……オレは勿論驚いてるが、一番驚いてるのは作戦を立案・実行した副代表に違い無い。
副代表がやった事は凄く単純だ。
・女性でかつ地位の高い高橋先生を呼ぶ。
・事情を説明してから女子更衣室へと向かう。
・「ヒャッハー! 今ならカメラを仕掛けても疑いはあいつらに飛ぶぜ! ヤリ放題だぁ!!」と叫ぶ。
・何かノコノコやってきた清水を引っ捕らえる。
……以上である。
こんな風に速攻で終わる条件は以下の通り。
・犯人があの騒動の後、すぐに本命のカメラとマイクを仕掛けるというリスキーな真似をする。
・丁度いま、マイクで音声を拾っている。
・ホイホイと罠に嵌るほど犯人がアホである。
「……僕、お前の事は結構頭が良いんだなって思ってたんだぞ?
意図した事かはしらんが、ここに来て即座に濡れ衣着せるとか、結構やるなって思ってたんだぞ?」
「フン!! 豚野郎に褒められても嬉しくもなんともないですわ!!」
「いや、褒めてない褒めてない。そう思ってたのは過去の話だ。
こんな見え見えの罠に即座に飛びかかるとか……一体何を考えてるんだ?」
「たとえ罠だったとしても……お姉様の女神の如く慎ましやかな肢体を男子に晒すなど以ての外っ!!」
「……その島田への過剰な愛だけは世界一なんだろうなぁ……それじゃあ鉄人先生、宜しくお願いします」
「ああ。タップリ指導をしてやるとしよう」
何はともあれ、これにて解決か。
カメラを仕掛けられたのは最速でも今日の午後、そして更衣室の利用者はまだ居なかったはずだ。
学園側の要望通り、犯罪は未遂の状態で防がれたってわけだ。
「……あっ、そうだ。先生、ちょっと待ってください。
清水、写真を使って明久を脅迫していたのは貴様か?」
「ギクッ! な、なな何の事かサッパリ分かりません!」
そうだった。それもあった。
明らかにしらばっくれてるように聞こえるんだが……証拠も無いんだよな。
この学園の2年生には盗撮スキル持ちが2人居る。未知の3人目が居てもなんら不思議ではない。
さて、副代表はどうやって口を割らせるのか。
「……そうか。貴様が脅迫犯だったら話は早かったんだがなぁ……
もし、万が一、貴様が脅迫犯だったら、この件を島田に黙っていてやる代わりに明久の脅迫を止めろと言えば何もかもが丸く収まってた」
「フン、残念でしたわね!」
「ああ残念だ。黙っている意味が無くなるから島田にだけはサッサと伝えるとしよう。えっと、携帯はこの辺に……」
「脅迫したのは美春ですっ! 申し訳ありませんでしたっ!!」
すげぇ、一瞬で解決しやがった。
清水がチョロかったと言うより、副代表が弱点をしっかりと押さえているからこその芸当だろう。
「ホントかぁ? 島田に黙ってほしくて嘘言ってるわけじゃないだろうな?」
「ほ、本当です! ほら、写真も……あった。これです!」
「……明久、確認してくれ」
「うわぁ……確かに僕が受け取った写真と同じだよ」
「確定だな。
清水、貴様がこの写真をバラ撒くのは勝手だが……そうした場合にどうなるかは、もう説明する必要は無いな?」
「はい……ですからこの件はお姉様には……」
「ああ。僕達がバラした事が発覚したら遠慮なくバラ撒くと良い。
別ルート……例えば学園側から暴露された場合には自重して欲しいんだが……それを止める事は僕にはできんな。
本当は今のうちにデータを消せって言いたいけど、コピーなんていくらでも作れるしな」
脅迫しあう状態にする事で一応解決か。あんまり褒められた解決方法ではなさそうだけど、脅迫の元データを完全に抹消するのが不可能に近い以上は仕方ないのか。
……あれ? でもこれだと『盗撮犯は清水だ!』って暴露する事はできないのか。
女子たちにまた詰め寄られたら場合にも言う事はできない。一応、学校側から『犯人はオレ達ではない』と言ってもらう事は可能だがそれでも具体的な犯人の名は出せない、と言うか出さない。学園側は穏便に解決したい、と言うかしたので。
大丈夫か? あいつらちゃんと納得してくれるのか?
「どした? 宮霧」
「……いや、何でもない。なるようになるだろ」
「少々短いが、この辺でキリが良いな」
「わ~、アッサリ片付いたわね」
「筆者はたまにこういう事やるよなぁ……既に用意してあるシチュエーションを無視してフラットな状態に戻す。
既に建設されてる建物を爆破して一旦更地にしてから作り直す的な」
「……それ、二次創作の意味ある? ってふと思ったけど、あくまでも一部を更地にしてるだけね」
「筆者が使いたいのは『女子が濡れ衣を着せてきた』という状況。
原作ではそこに『犯人探し』という目的があったが……それを消し飛ばして自由に設定できるようにしたわけだな」
「ホントヒドい状況ね……しかも女子たちに真犯人を伝えない為の理由付けまでさり気なくされてるし」
「相互脅迫の状況は狙って作ったと言うより自然とそうなってただけなんだけどな。
コレの良い所は限られた少数に伝えるだけなら何ら問題ないという事だ。島田の耳にさえ入らなければセーフだからな」
「はぁ……キミらしいと言うか何というか……一応訊くけど、キミならこれ以上状況を悪化させる事を防ぐくらいできるよね?」
「まぁ、な」
「……本編の私は今後どう動くのやら。
では、次回もお楽しみに!」