バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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09 明久と女子と

  ……翌日(合宿2日目)……

 

 昨日は色々とあったが、そんな事はお構い無しに予定通りの合宿が始まった。

 

「……雄二、一緒に勉強できて嬉しい」

「待て翔子、一緒に勉強するのは構わんが当然のように膝の上に乗ろうとするな。

 さっきからクラスの連中の視線が痛い」

 

 ……こんな感じで、本日の予定はAクラスとFクラスの2クラス合同の自習だ。

 

「副代表~、アレは止めなくて良いのか?」

「どっちの話だ? 代表たちか、あるいはクラスの連中か」

「どっちもだ。何か問題が起こったら今後の指揮に差し障るだろ」

「まぁそうなんだが……霧島の行動に干渉するのは結構な手間だし、クラス全員に干渉するのも数が多いんで面倒だ。

 勉強自体は雄二の戦力アップにも繋がるし、行き過ぎた行動は雄二自身に何とかしてもらおう」

「戦力アップねぇ……オレも勉強するかな」

 

 (多分)Fクラス一向上心のある男、宮霧の台詞である。

 やる気のある教師役を付けてやれれば結構な成績の向上が見込めるかもしれんが……誰か居ないかな?

 と言うか、この場面でクラス副代表としてやるべき事はクラスの連中の底上げだな。話が分かる連中を纏めて、適当なAクラス生徒を言いくるめてこき使わせてもらうとしよう。

 

「明久~、康太~、秀吉~」

 

 適当に呼びかけると呼ばれた3名が、そしてプラス3名がやってきた。

 

「どうしたのじゃ?」

「下らない事だったら斬るわよ?」

 

 秀吉と、当然のように着いてきた光が、

 

「…………」

「一体どうしたのカナ?」

 

 康太と、何故か一緒に居る工藤が、

 

「どうしたの剣?」

「勉強の邪魔はしないで欲しいんだけど」

 

 明久と、何故か一緒に居る木下姉が。

 

「…………おかしいな。呼んだ人数の倍来たぞ?

 何で来た……いや、違うな。お前たち一体何してたんだ?」

 

 恐らくはそれぞれの組で一緒に何かしてたから一緒に来たんだろうと推測してみた。

 姉さんはまぁ良いとして、他2名は一体全体何をしていたのか。

 

「今は自習時間なんだから。勉強を教えてたに決まってるでしょ」

「ボクも似たような感じカナ。

 土屋くんの得意科目は保健体育だからネ。どっちの方が上か勝負してたんだよ」

「……アタシもそんな感じよ」

 

 驚いた事に僕が手を回すまでもなく勉強していたらしい。康太は得意分野よりも苦手分野をもうちょい頑張ってほしい気もするが、勉強をしていた事は確かだ。

 

「……すまん、勉強しろよ~って言おうと思ってただけだ。既にやってるなら構わん。邪魔して悪かった」

「まったくもう……行くわよ、秀吉くん」

 

 光に続いて工藤も木下姉もそれぞれのパートナーと一緒に元の場所へと戻って行った。

 

「う~む……色んな意味で意外だったな」

「チクショウッ、あのリア充どもめっ!」

「リア充って……いや間違っちゃいないんだろうが……貴様も微妙にFクラスっぽい所があるんだな」

「いやいや、年頃の男子なら彼女の1つや2つ欲しがるもんだろ。副代表はどうなんだ」

「居たらそれはそれで面白そうだが……僕に付いてこれそうな奴がそもそも居ないんでな」

「……コレ、どうツッコミを入れれば良いん?」

「さぁ?」

「……とにかく、勉強頑張ろう。Fクラスに居たら出会いも無いし」

「女子は一応居るが」

「『一応』って付けてる時点でオレがどう答えるかも分かりきってるだろ?」

「まぁな」

 

 誰だって冤罪を吹っかけてきて拷問するような女子を彼女にしたいとは思わない。

 あいつらの将来が少々心配だが、自業自得だな。巻き返せるのか、それともこのまま終わるのかはあいつら次第だ。

 

「……いや、待てよ? そうだ、姫路に頼んでみるか」

「何を?」

「貴様の教師役。勉強したいんだろ?」

「いやまぁそうだけど……昨日散々揉めた後なのに教えを乞うのか? 気まずくないか?」

「今日の朝に僕達が冤罪だったというのは先生から発表されている。

 詫びる好機を与えてやるという事であれば互いの利害は一致するだろう」

「一理あるけどなぁ……」

「とりあえず話すだけ話してみるとしよう。自習したいなら止めとくが」

「……いや、頼む」

「おーけー。で、姫路はどこに……」

 

 姫路の外見は色々と目立つので立ち上がって探せばすぐに分かるだろう。

 そう思って辺りを見回した丁度その時、こんな声が聞こえてきた。

 

 

「いい加減にしなさいっ!!」

 

 

 

 

  ……遡る事数分……

 

「予想以上にボロボロね……吉井くん、キミはこの1年間一体何をしてたの?」

「あ、アハハハハ……」

「笑い事じゃないわよ。世の中勉強が全てとは言わないけど、いくら何でもこれは酷すぎる。もしこれが改善できなかったら……」

「……で、できなかったら?」

「……アタシが悩む事になるわ。どう別れ話を切り出そうかと」

「精一杯頑張ります! だから見捨てないで下さい!!」

「吉井くんの努力次第ね。死ぬ気で頑張りなさい」

 

 元々、如月ハイランドでアタシは吉井くんに『勉強を教える』と約束していた。

 この学力強化合宿は丁度いい機会だったので方針を立てる為にもまずは教科書の問題を適当に解かせてみた。

 その結果が……冒頭の会話に繋がる。

 

「日本史だけは結構できてるみたいね。社会科は後で大丈夫か。

 どの科目からやる?」

「う~ん……それじゃあ、数学?」

「分かったわ。三角関数……いや、もうちょっと前から……」

 

 吉井くんの成績は実は1年生だと言われても信じられなくもない状態だ。

 1年生の範囲を最初からじっくりやっていく感じで大丈夫だと思う。アタシも復習のつもりで頑張りましょう。

 

 そうして、いざ始めようとした時、声がかけられた。

 

「吉井くん、一体何をしているんですか?」

 

 昨日冤罪を吹っかけてきておいて、特に謝ってもいない(らしい)、姫路さんから。

 

「え? 何って……勉強だけど……」

「そうじゃなくて、どうして木下さんと一緒に勉強しているんですか?

 まさか、何か弱味を握って脅してるんじゃ……ダメですよ吉井くん!」

 

 何か勝手にとんでもない事を言い出した。

 彼女にとっての吉井くんはそんな事をしでかすような人間なんだろうか?

 

「いや、そんな事はしてないけど……」

「木下さんも我慢しないで言ってください! 必ず何とかしてみせますから!」

「……アタシは、脅されてなんか居ない。これで良い?」

「そんなハズはありません! あっ、本人の前だと言えませんよね。ちょっと、こっちに来てください!」

「あ、あなたねぇ……」

 

 おかしい、姫路さんはここまで愚かな人間だっただろうか?

 行動に移す前にまずは人の話を聞いてほしい。会話が成立してないから。

 

「ほら、早く……」

「ちょっ、腕掴まないで、ああもう、いい加減にしなさいっ!!」






「姫路さん……」

「こんくらいの事はしでかすだろうなと考えながら書いてたようだ。
 全く、こんな地雷女と付き合おうとするのはよっぽどの変人だけだな!」

「……心の底から同意しておくわ。特に後半部分」

「……さて、今回は真っ当に合宿編だ。
 宮霧の今後の成長に期待したい」

「今は亡き三宮くんを除けば一番向上心があるもんね」

「あいつは決して死んでは……いや、何でもない」

「他のメインメンバー達もしっかり勉強してるみたいだし、真っ当な成果が見込めそう。
 ……くそっ、リア充どもめ!」

「貴様なら彼氏の1人や2人余裕で作れそうな気もするが」

「……ある意味キミと同じね。私を打ち負かせるくらいじゃないとすぐ破局しそう」

「悩ましい問題だな……」


「では、次回もお楽しみに!」
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