バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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15 宣戦布告

  ……時は少し遡る……

 

「……雄二、一緒に勉強できて嬉しい」

「その台詞、一昨日も聞いたな……」

 

 剣が自主的に静かな補習室に赴いて補充試験を受けている間、俺たちは予定通りに自習をしている。

 今日は完全に自由な自習なので翔子は当然のように俺の所に来たというわけだ。

 他の男子からの視線が痛いんで離れて欲しいんだが……翔子からの指導自体は非常に有益なもんだから悩ましい。

 

「……今年は無理だけど、来年は一緒のクラスで勉強したい」

「振り分け試験で途中退席でもする気か? ああいや、そもそもバッくれれば良いだけの話か」

「……違う。私は雄二にAクラスに来てもらいたい」

「ハッ、何言ってやがる。無理に決まってんだろ」

「…………じゃあ、今日は本気で行かせてもらう。そうすれば少しは希望が出てくるから」

「えっ?」

「今日の勉強で総合科目の点数を1000点上げてもらう。まずは現代文から。次は英語をやる」

「ちょっ、まっ、翔子ぉお!?」

 

 

 

 

 

 

 霧島さんが燃えていて、それとは対象的に雄二が虚ろな目をしている。

 そんな彼らと同じ部屋で僕達も勉強していた。

 

「あっちは賑やかだねぇ~」

「そうね。だからと言って誤魔化されないわよ?

 昨日やる予定だった課題が全然終わってないように見えるけど?」

「うぐっ! い、いや、やろうとは思ったんだよ? 思ったんだけど……」

「思うだけでやらなきゃ意味が無いでしょ。サボって遊んでたの?」

「いやいや、そんなのは剣だけだよ!

 やろうとは思ったんだけど……1問も解けなかったんだよ!!」

「…………一応努力はしたのね。結果には結びついていないみたいだけど」

「うぐぐ……」

 

 僕は僕で優子さん……木下優子さんと一緒に勉強している。

 さっきから僕が一方的に教えてもらってるだけなんだけど……彼女自身の勉強は大丈夫なんだろうか?

 

「で、どこがどう分からなかったの?」

「えっと、この辺の問題文の意味が……」

「あ~……確かにここは紛らわしいわね。1つ前の問題と一緒に考えてみるとよく分かるわ」

「う~ん、うーん、うぅ~ん……? あっ、コレがこうなってああなってああなるんだね! よく分かったよ!」

「……多分そういう事よ」

「そういう事なら話は簡単だね! これの答えは……ルート16だ!!」

「……惜しいわね。不正解よ」

「そ、そんな! くっ、かくなる上は僕のプロブレムブレイカーで……」

「鉛筆転がして解答しようとしたらそれをヘシ折るからそのつもりで」

「八方塞がりじゃないか! どうすれば良いんだ!!」

「普通に問題を解きなさい。

 一応さっきの答えで間違ってはいないのよ。間違ってるけど」

「どっちなの!?」

 

 優子さんの証言は明らかにムジュンしている! 異議ありだよ!!

 

「……吉井くん、ルートの意味は理解してる?」

「勿論! 何かこう……カーブを描いてる図形だよ!」

「そこから理解できてなかったのね……

 いい? ルート……平方根っていうのは『自乗したらその数になる』っていう意味よ。

 一応訊くけど、自乗の意味は分かる?」

「勿論! 遠慮する事だよね!」

「それは自重よ。確かに字面は似ているけども」

 

 あれ? おかしいな……

 

「ふぅ……それじゃあ問題。ここに正方形があります」

「うん」

「これの面積は16cm^2です。一辺の長さはいくらでしょうか?」

「え~っと…………4?」

「はい正解。これがルートの意味。

 同じ数を掛け合わせた時の値が16だから元の値はいったいいくらなのかっていう事ね。

 今回はイメージしやすいように面積に置き換えてみたけど、ちゃんと覚えられそう?」

「そういう事か! 分かった……気がする」

「宜しい。じゃあさっきの問題の答えは?」

「ルート16! ……っていうのは4なのか。答えは4だね」

「完璧な答えね。それじゃあ次の問題に行きましょう」

「うっ……あの、休憩とかは……」

「そんな余裕がある訳が無いでしょう。ただでさえ遅れてるのに」

「うぐっ……」

 

 優子さんはその名前に反して結構厳しい。

 いや、これも優子さんなりの優しさなんだろう。優子さんが優しくなかったらきっととっくに見捨てられてるから。

 

 そんな事を考えながら次の問題に進もうとしたその時、部屋の扉が勢いよく開かれた。

 

「Fクラスの代表は居る!?」

 

 そんな声を上げながら入ってきたのはCクラスの代表である小山さんだ。

 昨日と一昨日の襲撃が失敗した恨みを晴らしにきたのだろうか? 先生も居るからすぐに鎮圧されそうだけど。

 

「……何の用だ小山。俺は今非常に忙しいんだが」

「そんな事は関係ないわ。

 私はCクラス代表としてFクラスに宣戦布告するっ! これで先生に余計な手出しはさせないわ!!」

「…………はあっっ!?」

 

 雄二が心の底から驚いたような声を聞いたのは久しぶりだな~。

 そんな事を呑気に考えていて、数秒後には状況を飲み込めた僕が同じような声を発したのだった。






「ザ・宣戦布告、Fクラスサイドだ」

「意外な事に勉強ははかどってたみたいね。
 ……何か虚ろな目をしていた代表が居た気がするけど」

「きっと気のせいだろ。ほら、アレだ。あまりの嬉しさでイカレてたんだろ」

「それはそれで危ないような……」

「……明久の勉強風景は相変わらずのようだな。
 明久の奴、捨てられないと良いが」

「さ、流石に勉強できなさ過ぎて捨てられるって事は…………う~ん…………」

「有り得ちゃうのがなぁ……まぁ、きっと木下姉が何とかしてくれるさ!」


「では、次回もお楽しみに!」
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