バカ達と双子と学園生活 Take2   作:天星

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19 逃走

「ここに居るのは分かってるのよ!! さっさと出てきなさいっ!!」

 

 とうとう小山さんがやってきた。雄二が言っていたように先生から代表である雄二の居場所を聞いたんだろう。

 扉が開く直前に御空さんがまたトランプタワーを崩したけど……

 

「……また崩すとは良い度胸ね……どう責任とってくれるワケ!?」

「そんなの知らないわ。盗撮犯をかくまっている方が悪いのよ!!」

「…………はぁ、盗撮犯をかくまっているっていうのは同意しかねるけど、戦争中の代表をかくまっているっていう意味では反論できないわね。

 坂本くん。こんなもんで良いでしょ?」

「ああ。十分過ぎるくらいだ」

 

 御空さんに呼ばれた雄二が前に進み出る。僕達もそれに習って姿を現した。

 開け放たれた扉の向こうには沢山の生徒の姿が、そして立会いの教師の姿が見える。

 それに対してこちらは5人しか居ない。うわー、もうおしまいだー。

 

「ようやく姿を現したわね。さぁ、観念しなさい!

 先生! フィールドの作成をお願いします!」

「承認します!」

試獣召喚(サモン)!!」

 

 展開されたフィールドは部屋全体を覆っている。

 このフィールドがある限り僕達は逃げられない。もうだめだー。

 

「なぁ小山、知ってるか? 召喚獣ってのはフィールドの科目の点数を参照して強さが決定される」

「はぁ? 何を今更当たり前の事を」

「じゃあ、複数のフィールドが重なった場合、どうなるか知ってるか?」

「…………? そう言えば聞いたことが無いわ。どうなるって言うのよ」

「それはな……こうなるんだよ!! 起動(アウェイクン)!!」

 

 雄二が白銀の腕輪を起動する。この腕輪の効果は召喚フィールドの作成。

 先ほど雄二が投げかけた質問の答えが、今目の前に現れた。

 

パリィィン!!

 

「なっ!? フィールドが消えた!?」

「これが答え、『干渉』だ。

 干渉を起こしたフィールドは互いに消滅するのさ。

 さぁ行くぞお前たち!!」

「「「「うん!/うむ/(コクリ)/おう!」」」」

 

 そして、僕達は予定通りに窓から部屋を脱出した。

 さぁ、追いかけっこの始まりだよ!

 

「あ、こら! 待ちなさいっ!!」

「待てと言われて待つバカが明久以外に居るか!」

「待って雄二! 僕でも待たないよ!?」

「だから待たないって言ってるだろうが!!」

「いや、そう言う意味じゃないよね!?」

 

 なんだか納得できないやりとりだけど、そんな事を気にしていたら小山さんに捕まって補習室送りにされるだけだ。ここは大人になって雄二の発言を聞き流してやるとしよう。

 

「雄二、次の予定は追いかけっこで良いんだよね?」

「ああ。あっちの方の準備が整うまでひたすら時間稼ぎだ。

 連中は女子の集まりだからな。しかも体育会系のEクラスならまだしも相手は頭脳派寄りのCクラスだ。足と体力で俺たちに敵うはずも無い」

「それでも挟み撃ちとかされたら足もクソも無いと思うが」

「それも問題ない。挟み撃ちや待ち伏せが自由にできるほど教師の数は多くない。フィールドが無ければ俺たちを止める事は不可能だ。

 よっぽど狙いを絞って仕掛ければ不可能ではないが、そこまで完璧に読みきれるとは思えん。

 そして、もし完璧に読みきったとしてもAクラスの誰かが連絡してくれる手筈だ。回避は容易い!」

「よくできておるのぅ……これもこの場所ならではの戦術なのじゃな」

 

 現在時刻は……戦争開始から15分くらいかな。剣の補充試験がそろそろ終わったはずだ。

 雄二の計画の達成まではまだ時間がかかりそうだ。Fクラスらしく全力で駆け回るとしよう。

 

 

 

 

 

 

「という訳で、これが坂本くんの作戦よ」

 

 補充試験が終わった僕の所に『戦争が始まった』という情報と『代表様からの手紙』が飛び込んできた。

 急いで書いたらしい。やや汚い字で書かれた手紙を読み、念のためもう一回読んでから丁寧に破いてポケットに仕舞った。

 

「……あいつの頭の中は一体全体どうなってるんだ?」

「いや、私に訊かれても」

「ごもっとも。準備は進んでるのか?」

「当然。Cクラスに見つからないように移動しましょ」

「りょーかい。良いルートを案内してくれ」

「はいはい。この貸しは高く付くわよ」

「じゃあ別に要らん。Cクラスが勝っても良いのならな」

「チッ、ダメだったか。いやまぁ、ダメだろうとは思ってたけど」

「貴様の事だ。A-Cクラス間協定で『3ヶ月ほどAクラスの許可無く戦争を仕掛けない』くらいは盛り込むだろ。

 そして、違反者を放置するほど生温い性格でもない。

 Aクラスから試召戦争を仕掛けても良いが、無傷では済まないからできれば避けたい。これ幸いにとFクラスを利用するだろう」

「完璧な回答ね。じゃ、案内するから着いてきなさい」

「まぁ待て。

 おい貴様!」

「……へっ? 私ですか?」

「ああ。貴様はどうする気だ?」

「…………私は……」






「私も活躍している戦争序盤の風景だったわね!」

「トランプタワーを積んでは崩す……セルフ賽の河原だな」

「そんな嫌な例えしないでも……」

「どっかの国の穴を掘って埋めさせる拷問とどっちが近いか考えたらそっちだったんで」

「どっちにしても嫌な例えじゃないのよ!?」

「まぁどっちでも良い。
 今回の戦争は特殊な環境を存分に生かした戦争になっているようだ。
 合宿に来ているのは2年生だから単純計算で教師の数は1/3。詰み回避に役立っている。
 相手が女子だけだからこそ体力勝負で大いに勝ち目がある。
 それ以外にも……今後をお楽しみにといった所か」

「では、次回もお楽しみに」
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