もう一人の勇者   作:大和

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プロローグ

すばん。とミットの心地いい音が聞こえ俺は声を出す

「ナイスボール。瀬川。ラスト一球。」

キャッチャーミットをかぶる俺にとって最後の夏が控えているので俺はただミットを動かさず。ただ一点だけを見る

そして構えたコースに一直線で投げられるボールに俺は心地よさを感じボールの感触が伝わる

「オッケー。今日の朝練はここまで。上がっていいぞ。」

「すいません。大久保先輩。付き合わせてしまって。」

というのも放課後の練習では俺たちの学年が使ってしまい

「いいってそれよりもお前もうちょっと体重増やせ。これからも夏になると試合も増えるんだから。」

俺がそういうそしてブラシを取り出したところで

「あっ。先輩。片付けなら僕達がやりますよ。」

「へ?」

「僕達の練習に付き合ってもらっているお礼だと思ってください。」

「先輩はいいですから。」

「でも悪いし。」

俺はためらうけど俺は整備用のブラシを取られる。

「それに速水先輩怒ってましたよ。今日ノースローだったんですよね?」

「げっ。そうだったけ?」

ノースローデーと呼ばれる練習をランニングとストレッチだけにして疲労を抜くためのものなのだが、完全に忘れていた。

というのも去年野球部は甲子園に出場し、ベスト8、今年の春は選抜優勝という好成績を起こしたのがきっかけだった

俺ともう一人に一年生隣のクラスの野島で一年バッテリーで出場したのだが野島が少し肩に違和感を感じ秋大会に休むということがあり、俺と野島が注目選手ということで特別扱いすることになったのだ

なので監督は俺と野島にストレッチの日を決めていたのだが

……忘れてたよすっかり。

「悪い。ちょっと片付けお願いしていいか?今度焼肉奢るから。」

「えっ?いいんですか?」

「食べ放題にしろよ。来月の小遣い全部まで使う羽目になるんだから。」

そして急いで部室に向かう

というのも俺と速水芽衣ことメイは幼馴染で、かなり古い付き合いがあり、親友と呼べる仲でもある。

そして急いで部室から出ると俺は急いで教室へと向かう。

やばいやばい。

さっさと機嫌取らないと監督に告げ口される。

てか試合があった次の日は休みって監督に言われていたんだった。

正直根っからの野球人間だけあってこういうことを覚えるのは苦手で結構問題児として通っている

一番は去年の文化祭の日程をすっかり忘れ通常事業だと思ったのをクラス全員から大笑いされたり、メイとの約束を忘れていたり色々散々のことにあった

そして着替え終わり消臭スプレーをかけると俺は全力疾走で走る。

キャッチャーとはいえ俺は結構足が速いのもあり、一番バッターを任されるほどであった。

そしてドアを思っ切り開けるとそこには俺のもう一人の幼馴染とも言える南雲がいつも通りの5人に囲まれているのが問題なのだ

始業前ギリギリの野球部の俺にとってその風景はもう見あきている

「おはよう。ハジメとメイ。」

「あっ。おはよう。球児。」

「……おはよう。」

と相変わらずご立腹のメイとポニーテールをした女子がこっちに気付く

「あらおはよう。今日も部活?」

「八重樫おはようさん。そっちは朝練ないんだっけ?」

「ないわよ。しかしそっちも練習試合明けで今日は休みって言ってなかった?」

「忘れて一年の練習付き合っていたんだよ。あいつら今年にベンチ入りは難しそうだけど結構才能あるからつい。」

「あっ。一年生の相手をしてたの?」

するとメイがちょっと悪そうに顔を背ける。

「そうだぞ。一応キャッチャーで30球ほどブルペンに入っただけ。アップもキャッチボールとランニングくらいだったし。」

「……はぁ、それで整備は。」

「一年全員に焼肉一回で手を打った。」

「……今度私もだすよ。うぅ、欲しい漫画あったのに。」

と少し涙目になっている

「また、漫画買うの?」

「お前はもう少しお金の使い方考えような。」

「いや、ゲームをかなり買っている球児には言われたくないと思うんだけど。前もアドベンチャーゲームの復刻版買っていたよね?」

「……いやだってストーリーがみしろ先生だぞ。買うに決まっているんだろ。」

「……僕も次貸して。」

「了解。まぁストーリーに春ちゃんルートと秋ちゃんルートが追加されたくらいだったし。ロリっ子と巨乳が好きなハジメには結構好みだと思うぞ。」

「ロリコンじゃないから。」

「相変わらず仲いいね。」

すると学年一可愛いと噂の白崎が話しかけてくるが

「いや、この雰囲気だったら八重樫の胃痛がマッハで進んでいくからな。お前とそこの……えっとてがわだっけ?」

「天之河だよ。」

「悪い悪い。武道をやっているにも関わらず相変わらず嫉妬で弱いものいじめをしている雑魚には興味なくて。」

すると顔が青くなり目を逸らす。

俺がどういう意味を言っているのかはこの3人、八重樫と天乃河しかしらないのだろう

俺も土日の部活動終わりやノースローデーに未だに剣道、いや、俺と八重樫には剣道だけではなく、本当の剣術という型のないこと上級教わっていることが多いのだ

「あぁ。そうだ今日丁度道場いく日だったし、久しぶりに手合わせでもするか?全国レベルなんだし最近練習試合で練習休みがちだったから十分相手になるだろ。素振りだけは毎日欠かしてないけど」

「……やめておくよ。さすがに負けるってわかっていて挑むほど馬鹿ではないんだし。」

「あっそ。ならさっさと失せろ。」

俺は少し呆れたように突き放す。

「……はぁ。せめてもうちょっと穏便に済ませなさいよ。」

「あぁいう自分の話していることが全て正しいみたいな奴は突きはねるのが一番くるだろ。てかあいつ全くこりねぇな。」

と俺と八重樫は少し苦笑を帯びながらため息を吐く。

というのも今有名なグループというのは二つ存在しており、天之川達が貫くリア充組と、俺と八重樫、白崎が形成しているグループである。というのも最初は俺とハジメ、メイで形成していたのがいつの間にか八重樫と白崎が入ってきて、そして谷口が入った

天之川は多分白崎狙いだろうけど、影のリーダーと呼ばれているだけあってこのクラスでの発言権はかなり強い。

「正義感が強すぎるのよ。自分に酔っているって感じだし。」

「お前も辛辣だな。」

「まぁ悪気があるわけじゃないけどね。」

「本当に悪気がないから問題なんだよ。」

俺はさらにため息を吐く

「はい。席について出席とるわよ。」

と愛子先生と呼ばれるドジっ子先生が入ってきて今日も日常が始まった

 

「んで、あそこでコンボ決められて負けた。」

「メイちゃんにまた負けたんだ。」

と俺とハジメでゆっくり飯を食べている。これは俺とハジメの日常であって、そして唯一あらゆる視線から離れる唯一のやすらぎの時である

というのもメイは読書モデル、八重樫は剣道部のホープ、白崎は学校一の美女として通っているからな。

野球部としても同じことで世間の評価は俺よりもエースの野島の方が注目を浴びていて、俺はそのキャッチャーとしての認識を浴びている。

といっても世間の評価だけだが

「……そういえば今日の放課後結局剣道に行かないの?」

「兵庫の方のスカウトが会いたいって言ってきているんだよ。だから今日は挨拶回りかな。」

「……凄いね。球児は。」

「凄くねぇよ。たく。過大評価すぎなんだよ。」

俺はため息を吐くと苦笑するハジメ。

俺から見たら弱さを受け止めていてそれに立ち向かっているお前の方がすげぇと思う

弱いからこそ俺は強さを求めた

だから俺はこいつを尊敬しているのだ。

まぁ気づいてないだろうけど。それでも俺にとってこいつは憧れでもあるのだ

とそう思った矢先だった

下に円環幾何学模様の魔方陣が急に描かれ始める

俺たちは下を見ながら硬直してしまう

「皆教室から出て。」

という愛子先生の声も虚しく魔方陣の輝きがカッと光り俺たちはその世界から消えたのであった

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