もう一人の勇者   作:大和

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共闘

「へ?ハジメくん?って南雲くん?えっ?なに?どういうこと?」

「いや。ハジメだろ。しかし派手な登場方法だなぁ。」

「……何で香織も球児もあれが南雲くんって分かるの!!」

いや、何でって言われても分かるものは分かるし

「いや、落ち着けよ八重樫。お前の売りは冷静沈着さだろ?」

「そうだなシズ。お茶でも飲んでゆっくりしてろ」

「無償にあんたたちを殴りたいんだけど。」

少しイラっときているシズに苦笑しそうやって軽口を言い合う。

というのも

こいつかなり強いぞ。

力の差がかなりあることは見ただけで分かるし何よりも

視線が全く魔族から離れてないし

「……やっぱかなわねぇやお前には。」

「あっ?」

「別に。とりあえずそこにいる2人下ろしてやれよ。」

「……2人?」

するとハジメも気配に気づいたのか落下してきた金髪の女の子をお姫様抱っこで受け止めると恭しく脇に降ろし、ついで飛び降りてきたウサミミ少女も同じように抱きとめて脇に降ろす。

「あれ?メイは?」

「上で待たせてる。あいつ戦闘あんまり強くないからな。」

「……そっか。よかった。」

俺は少しだけ頰を緩む

そっかメイも生きているのか

「……あんがと。あいつも助けてくれて。」

「……その話は後でいいか?」

「別にいい。どっちみち借りはかなり作ってあるんだ。日本に帰ってからゆっくり聞かせてもらうさ。」

俺はそうやってわらうと

「な、南雲ぉ! おまっ! 余波でぶっ飛ばされただろ! ていうか今の何だよ! いきなり迷宮の地面ぶち抜くとか……」

「えっ?遠藤いたの?……気配感知に引っかからなかったんだけど。」

俺がそういうと全員が少し遠藤に引いているけど

「重吾! 健太郎! 助けを呼んできたぞ!」

〝助けを呼んできた〟その言葉に反応して、魔人族の女もようやく我を取り戻した。そして、改めて俺とハジメと二人の少女を凝視する。だが、そんな周囲の者達の視線などはお構いなしといった様子で、ハジメは少し面倒臭そうな表情をしながら、2人の少女に手早く指示を出した。

「ユエ、悪いがあそこで固まっている奴等の守りを頼む。シア、向こうで倒れている騎士甲冑の男、容態を見てやってくれ」

「ん……任せて」

「了解ですぅ!」

あぁ、あの人たちもいたのか

俺は少しため息を吐くと

「そこの赤毛の女。今すぐ去るなら追いはしない。死にたくなければ、さっさと消えろ」

「……何だって?」

ハジメが魔人族の女性に忠告する

「魔法陣のモンスターは全員殺したし、もう一人の魔人族も殺したからな。てめぇに援護はねぇぞ。」

「……あんた。」

「戦場での判断は迅速にな。死にたくなければ消えろと言ったんだ。わかったか?」

改めて、聞き間違いではないとわかり、魔人族の女はスっと表情を消すと「殺れ」と俺たちを指差し魔物に命令を下した。

「……はぁ、めんど。せめて経験値にはなってくれよ。限界突破。」

すると俺は虹色のオーラを纏いそして全ステータスを3倍に上げる

「後ろは任せろ。いらないかもしれないけど。」

「まぁ頼むわ」

「……魔力撃。」

俺は有無を言わせず剣撃を放つ

相変わらずの威力で放たれる剣撃は周辺の隠れているモンスターを殺していく

「……左。」

「分かっているさ。」

ハジメは左側から襲いかかってきたキメラを意にも介さず左手の義手で鷲掴みにすると苦もなく宙に持ち上げた。

「……うわぁ。えげつな。」

「おいおい、何だ? この半端な固有魔法は。大道芸か?」

「それ思っていても言うなよ。勇者(笑)が傷つくから。」

「……お前の方が毒吐いてないか?てか、お前切れてないか?」

そんな生々しい音を立てて、地面にクレーターを作りながらキメラの頭部が粉砕される。そして、ついでにとばかりにドンナーを抜いたハジメは、一見、何もない空間に向かってレールガンを続けざまに撃ち放った。

ドパンッ! ドパンッ!

乾いた破裂音を響かせながら、二条の閃光が空を切り裂き目標を違わず問答無用に貫く。すると、空間が一瞬揺ぎ、そこから頭部を爆散させたキメラと心臓を撃ち抜かれたブルタールモドキが現れ、僅かな停滞のあとぐらりと揺れて地面に崩れ落ちた。

俺は単純作業で遠くにいる敵も近くにいる敵も切り捨てていく

もはや魔物たちは蹂躙されるしかないのであった

そして

「……こんだけ?つまんねーの。経験値稼ぎにもなりやしない。」

魔物はすでに全滅し後は魔人族1人だけになっていた

「ホントに……なんなのさ」

力なく、そんなことを呟いたのは魔人族の女に俺はため息を吐く

「あんたたちから襲って来てそれも大切な人に手をかけたんだ。本当ならもっと絶望を与えたいんだけど……ここでてめぇは殺す。」

そして剣を構えた瞬間俺とハジメに向かって最後の奥義とばかりと魔法を放つ

悪あがきといえる魔法だが

「アラウンドカバー。」

と俺が唱えるとハジメの方へ向かっていた魔法が俺にターゲットを変え襲いかかってくる

「ガーディアン。」

「球児!!」

そんな声が聞こえるが俺は痛みやどこか傷ついたようにも見せず何も変化なく立っていた

「はは……既に詰みだったわけだ」

「その通り」

そしてハジメは魔人族の女の目の前、通路の奥に十字架が浮遊しておりその暗い銃口を標的へと向けていた。乾いた笑いと共に、ずっと前、きっとハジメに攻撃を仕掛けてしまった時から既にチェックメイトをかけられていたことに今更ながらに気がつき、思わず乾いた笑い声を上げる魔人族の女。そんな彼女に背後から憎たらしいほど平静な声がかかる。

「……この化け物達め。上級魔法が意味をなさないなんて、あんた、本当に人間?」

「実は、自分でも結構疑わしいんだ。だが、化け物というのも存外悪くないもんだぞ?」

「俺はとっくに人間をやめている自覚はあるけど、さすがに化け物扱いは結構くるものがあるなぁ。」

俺は剣をハジメはドンナーの銃口をスっと魔人族の女に照準する

「さて、普通はこういう時、何か言い遺すことは? と聞くんだろうが……生憎、お前の遺言なんぞ聞く気はない。それより、魔人族がこんな場所で何をしていたのか……それと、あの魔物を何処で手に入れたのか……吐いてもらおうか?」

「あたしが話すと思うのかい? 人間族の有利になるかもしれないのに? バカにされたもんだね」

嘲笑するように鼻を鳴らした魔人族の女に、ハジメは冷めた眼差しを返した。そして、何の躊躇いもなくドンナーを発砲し魔人族の女の両足を撃ち抜いた。

「あがぁあ!!」

悲鳴を上げて崩れ落ちる魔人族の女。魔物が息絶え静寂が戻った部屋に悲鳴が響き渡る。情け容赦ないハジメの行為に、背後でクラスメイト達が息を呑むのがわかった。

「人間族だの魔人族だの、お前等の世界の事情なんざ知ったことか。俺は人間族として聞いているんじゃない。俺が知りたいから聞いているんだ。さっさと答えろ」

「……」

痛みに歯を食いしばりながらも、ハジメを睨みつける魔人族の女。その瞳を見て、話すことはないだろうと悟ったハジメは、勝手に推測を話し始めた。

「ま、大体の予想はつく。ここに来たのは、〝本当の大迷宮〟を攻略するためだろ?」

魔人族の女が、ハジメの言葉に眉をピクリと動かした。その様子をつぶさに観察しながらハジメが言葉を続ける。

「あの魔物達は、神代魔法の産物……図星みたいだな。なるほど、魔人族側の変化は大迷宮攻略によって魔物の使役に関する神代魔法を手に入れたからか……とすると、魔人族側は勇者達の調査・勧誘と並行して大迷宮攻略に動いているわけか……」

「どうして……まさか……」

俺はその話を聞きながら少し違和感を覚える

「なるほどね。あの方と同じなら……化け物じみた強さも頷ける……もう、いいだろ? ひと思いに殺りなよ。あたしは、捕虜になるつもりはないからね……」

「あの方……ね。魔物は攻略者からの賜り物ってわけか……」

「……多分使役じゃないな。作り出しているっていうのが正解じゃないか?」

「……どういうことだ?」

「魔人族の操っているモンスターって魔石の大きさが結構幅があるんだよ。俺は魔力感知でそこを狙って切り捨てているんだけど時々魔石がないモンスターが存在している。こんなに高レベルモンスターがだぞ?」

基本回収素材に魔石を集めることが多いのだが

「それに魔石が小さすぎるっていうのもあるしな。」

「なるほど。」

そうやって考察を話すと

「いつか、あたしの恋人があんたらを殺すよ」

負け惜しみだろうかそんなことを言い出す魔人族に

「俺は大切な奴を守る為なら国でも神でも容赦なく潰す。」

「敵だと言うなら神だって殺す。その神に踊らされてる程度の奴じゃあ、俺には届かない」

すると偶然にも一致する

そしてハジメが引き金を引くという瞬間、大声で制止がかかる。

「待て! 待つんだ、南雲! 彼女はもう戦えないんだぞ! 殺す必要はないだろ!」

すると一瞬時が止まるが

「俺がやろうか?」

「いや。いい。」

ハジメは首を横にふると引き金を引いた。

ドパンッ!

乾いた破裂音が室内に木霊する。解き放たれた殺意は、狙い違わず魔人族の女の額を撃ち抜き、彼女を一瞬で絶命させた。

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