もう一人の勇者   作:大和

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殺す

「……討伐完了。っと。あぁ疲れた〜。」

限界突破の疲労感が体を支配する

「……お前はのんきだな。」

「こう言ったときこそ自然体にいねぇと。それに俺も魔人1人殺しているからお互い様だろうが。それよりもメイに会いたいな。あいつ元気にしてるかな?」

「心配してたぞ。どうせまた無茶して魔人族相手に突っ込んだって言っていたけど。」

「なめんな。あんな雑魚にやられるほど柔くはねぇよ。」

「だろうな。」

そして軽く軽口を言った後

「あんがと。助かった。」

俺は少しだけ照れ隠しをしながらハジメにいう

「借りは返しに来ただけだ。」

「それでもだよ。まぁ言いたいことはたくさんあるけど一つだけ。」

俺は笑うと久しぶりに見る笑顔の友人を嬉しく思う

「久しぶり。ハジメ。生きててくれてありがとう。」

「うん。会えて嬉しいよ。球児。」

少し見合った後少し照れ臭くてお互いに笑ってしまう

すると次に近づいてきたのはうさ耳娘と金髪の少女だった

「シア、メルドの容態はどうだ?」

「危なかったです。あと少し遅ければ助かりませんでした。……指示通り〝神水〟を使って置きましたけど……良かったのですか?」

「ああ、この人には、それなりに世話になったんだ。それに、メルドが抜ける穴は、色んな意味で大きすぎる。特に、勇者パーティーの教育係に変なのがついても困るしな。まぁ、あの様子を見る限り、メルドもきちんと教育しきれていないようだが……人格者であることに違いはない。死なせるにはいろんな意味で惜しい人だ」

「……神水って本当にあったのかよ。」

俺は図書館で伝わる伝記を読んでいたときに聞いたのを知っていたがまさかハジメが持っていたとは知らなかった

「……悪いな。クラスメイトを助けてもらって。」

「いえ、ハジメさんの頼みですから。」

「……ふ〜ん。まぁお礼は今度ゆっくり話せたときにハジメの昔話でも聞かせてやるよ。……こっちの世界のこととかもな。」

「いいんですか!!」

「メイも知らない俺しか知らないこともあるしな。もちろんいえる範疇のことだけど。」

「……私も聞きたい。」

「おいおい。」

「大丈夫。TPOは弁えるから。」

「……たく。」

すると諦めたようにハジメは苦笑する

すると次にきたのはシズと白崎だった

「……色々聞きたいことがあるんだけど、あんた怪我は。最後の魔法直撃してたでしょ?」

「大丈夫。殺傷能力はないけど全員を石化させる魔法だった。生憎状態異常は効かないからな。てかお前の方が怪我ひどいじゃねーか。」

両腕が別の方向に向いていることから多分両手が折れているのだろう

ポーションより、……回復魔法の方がいいな。

「悪いけど応急処置だけするぞ。たく。無茶しすぎ。」

「それを言うならあんたの方でしょ?」

「アホか。あれくらいどうってことないの。つーか、てめぇはステータス見せてただろうが。」

「そう言うことじゃないわよ!!」

すると珍しく大きな声でそして涙を浮かべるシズ

震えていて、そしてどれだけ心配してくれたのかが分かってしまう

「……悪ぃ。」

自然と出た言葉に俺は少しため息を吐く

本当に俺はこいつだけには弱い

昔からそうだった

小学3年の時に俺は一度暴行事件の被害者として上級生13人から怪我を負った経歴がある

その元になったのはこいつが虐められていたからであって、俺は実際に虐められているところをみるのは初めてのことだった

でもその瞬間に自分の中の何かが飛んで上級生数十人をに突っ込んだ

元々体術は八重樫道場で鍛えられたのもありかなりの腕前があったのも加わったのが災いし俺は受け流す行為についてはかなりの腕前があったので数人をカウンターで潰していった。

しかし近接戦では勝てないと思ったのかとあるバカがシズの顔目掛け石を投げてきたのがきっかけだった。

俺はそれをいち早く気づいたのはいいものの数人の相手をしている俺には……庇うことしかできなかった

すると運悪く頭に石が当たり、投げた石がさらにかなり大きかったのが原因だろう

頭を4針縫う大怪我を負い。さらにそれを聞きつけた両親が学校に抗議したのがきっかけで何人かの私立中学入試の推薦がなくなるなど色々あったらしい。

……その時病室で見たのと全く同じ顔をしている

自分が良かれと思ってやったことなのに結果はシズが一番傷ついている

「…いいわよ。反省しているんなら。それと……助けにきてくれてありがとう。」

すると笑顔になるシズに俺は顔を背けてしまう

……その笑顔は反則だろ

「おう。」

と至近距離からの笑顔に照れ臭くなり顔に熱がこもる

「……あの、すみませんお二人の空気の中悪いんですがハジメさんから魔力回復ポーションを。」

「……」

「……」

すると兎耳の少女が瓶を二つ取り出し持ってきてくれたらしい

俺もシズも顔を見合わせると同時に顔を熱くなっていく。

そして瓶を開け魔力回復ポーションを一気飲みする

酸っぱい味が口の中に広がると俺は少しだけ頭が冷えたように感じた

「……はぁ。はず。」

「私もよ。なんであんなことを。」

「……言うな。」

俺とシズが恥ずかしさで悶絶してしまう。

「……ふぅ、香織も雫も本当に優しいな。クラスメイトが生きていた事を泣いて喜ぶなんて……でも、南雲と大久保は無抵抗の人を殺したんだ。話し合う必要がある。もうそれくらいにして、2人から離れた方がいい」

すると天之河がそんなことを言い出す

「ちょっと、光輝!球児は、私達を助けてくれたのよ?そんな言い方はないでしょう?」

「だが、雫。彼女は既に戦意を喪失していたんだ。殺す必要はなかった。南雲達がしたことは許されることじゃない」

「あのね、光輝、いい加減にしなさいよ? 大体……」

すると騒ぎ出すクラスメイトに俺はため息をつく

「シズほっとけ。もう面倒臭い。というよりさっさと地上に行ってメイに会いたい。」

「……ん。その男の言うとうり……くだらない連中。ハジメ、もう行こう?」

「あー、うん、そうだな。」

「てかそこの男っていうな。球児だ。大久保球児。……確かユエだっけ?」

「うん。よろしく。球児。」

「よろしくな。」

めんどくさいものは無視に限る

「待ってくれ。こっちの話は終わっていない。南雲の本音を聞かないと仲間として認められない。それに、君は誰なんだ? 助けてくれた事には感謝するけど、初対面の相手にくだらないんて……失礼だろ? 一体、何がくだらないって言うんだい?」

「……はぁ。」

俺はため息を吐く

いかにも面倒臭いんだけど

「天之河。存在自体が色んな意味で冗談みたいなお前を、いちいち構ってやる義理も義務もないが、それだとお前はしつこく絡んできそうだから、少しだけ指摘させてもらう」

「指摘だって? 俺が、間違っているとでも言う気か? 俺は、人として当たり前の事を言っているだけだ」

「……本当ここまで行くと病気だろ。」

俺は聞こえない声でボソッと呟いてしまう

するとユエという少女は頷くとため息を吐く

「誤魔化すなよ」

「いきなり何を……」

「お前は、俺があの女を殺したから怒っているんじゃない。人死にを見るのが嫌だっただけだ。だが、自分達を殺しかけ、騎士団員を殺害したあの女を殺した事自体を責めるのは、流石に、お門違いだと分かっている。だから、無抵抗の相手を殺したと論点をズラしたんだろ? 見たくないものを見させられた、自分が出来なかった事をあっさりやってのけられた……その八つ当たりをしているだけだ。さも、正しいことを言っている風を装ってな。タチが悪いのは、お前自身にその自覚がないこと。相変わらずだな。その息をするように自然なご都合解釈」

「ち、違う! 勝手なこと言うな! お前が、無抵抗の人を殺したのは事実だろうが!」

「敵を殺す、それの何が悪い?」

「なっ!? 何がって、人殺しだぞ! 悪いに決まってるだろ!」

「はぁ、お前と議論するつもりはないから、もうこれで終いな?――――俺は、敵対した者には一切容赦するつもりはない。敵対した時点で、明確な理由でもない限り、必ず殺す。そこに善悪だの抵抗の有無だのは関係ない。甘さを見せた瞬間、死ぬということは嫌ってくらい理解したからな。これは、俺が奈落の底で培った価値観であり、他人に強制するつもりはない。が、それを気に食わないと言って俺の前に立ちはだかるなら……」

ハジメが一瞬で距離を詰めて光輝の額に銃口を押し付ける。同時に、ハジメからすごいプレッシャーが放たれ俺も少し驚いてしまう。

威圧かそれ系統か?

俺は脳内で考えいうのをやめる

本当規格外だなお前

「例え、元クラスメイトでも躊躇いなく殺す」

「お、おまえ……」

「勘違いするなよ? 俺は、戻って来たわけじゃないし、まして、お前等の仲間でもない。白崎と球児に義理を果たしに来ただけ。ここを出たらお別れだ。俺には俺の道がある」

まぁだろうな

俺は黙って聞いていると

「球児も殺したんだよね?」

「うん。まぁな。襲ってきて流石に助けるって選択肢はねぇよ。……まぁさすがにこいつみたいに何も思わないことはないけど、それももう覚悟してたからな。」

「……そう。」

するとシズは俺の手を掴んでくる

「シズ?」

俺が聞いてもシズは何も答えない

何も答えない分ずっと手を握っている

……結局地上に着くまでシズは一言も話さずずっと俺の手を握りしめたままだった

 

俺たちが地上に出ると

「パパぁー!! おかえりなのー!!」

「球児!!」

【オルクス大迷宮】の入場ゲートがある広場に、そんな幼女と懐かしい元気な声が響き渡る。

そしてとことこと歩いていきそのままの勢いでハジメと俺に飛びつく。

少し変わっているところもあるがこっちはほとんど見た目を声もほとんど変わっていない

「メイ。久しぶり。」

「会いたかったよ。」

すると俺に抱きつきわんわん泣き始めるメイに俺は少し笑顔が溢れる

でもメイよりも衝撃がでかかったのはそっちだ

さすがに驚いたが俺は冷静になりさすがに四ヶ月で子供ができるのはできないと判断し直す

「ミュウ、迎えに来たのか? ティオはどうした?」

「うん。ティオお姉ちゃんが、そろそろパパが帰ってくるかもって。だから迎えに来たの。ティオお姉ちゃんは……」

「妾は、ここじゃよ」

人混みをかき分けて、妙齢の黒髪金眼の美女が現れる。多分ティオという人だろうけど。

こいつ本当にハーレム人生満喫してやがるな

「おいおい、ティオ。こんな場所でミュウから離れるなよ」

「目の届く所にはおったよ。ただ、ちょっと不埒な輩がいての。凄惨な光景はミュウには見せられんじゃろ」

「なるほど。それならしゃあないか……で? その自殺志願者は何処だ?」

「いや、ご主人様よ。妾がきっちり締めておいたから落ち着くのじゃ」

「……チッ、まぁいいだろう」

「……ホントに子離れ出来るのかの?」

「こいつは甘やかすと決めたらとことん甘やかすから子離れできないと思うぞ。」

「ふむ。やはりか。」

「おいこら球児余計なことをいうな。」

俺はそんなことをいうと

「ハジメくん!どういうことなの!? 本当にハジメくんの子なの!? 誰に産ませたの!?メイちゃん!?ユエさん!?シアさん!?それとも、そっちの黒髪の人!?まさか、他にもいるの!?一体、何人孕ませたの!?答えて!ハジメくん!」

「「……」」

白崎が壊れた

ハジメの襟首を掴みガクガクと揺さぶりながら錯乱する白崎を見ている。ハジメは誤解だと言いながら引き離そうとするが、白崎は、何処からそんな力が出ているのかとツッコミたくなるくらいガッチリ掴んで離さない。

「香織、落ち着きなさい! 彼の子なわけないでしょ!」

とシズが羽交い締めにしても聞こえていないらしい

「……カオスだなぁ。」

「そうですね。」

と遠い目をしながら俺とシアと呼ばれるウサ耳娘は遠い目をしてしまった。

 

「……やっぱりオカン。」

「ちょっと球児後から覚えてなさい。香織大丈夫だからね。よしよし。」

「うぅ、もうお嫁に行けない。」

と俺たちは冒険者ギルドでハジメたちが報告している間2人をからかいつつ俺は百合百合した姿を見ていた

「はぁ、しかし人生面白いなぁまさかハジメがハーレムしているとは思いもしてなかった。もともと女たらしのそしつがあるとは思っていたけど。」

「本当ね。」

とため息を吐くが

「んで、白崎はどうするんだ?」

「……えっ?」

「ついていくのか。ついていかないのか。俺とシズは一度王宮に戻ろうと思っているんだけど。」

「……それは。」

「……ぶっちゃけ時間はないぞ。多分あいつらはすぐにでも国から出るつもりだし。」

すると俺の言葉に白崎も分かっているのか少し沈むが

「……やっぱり球児は行かないの?」

するとメイが少し落ち込んでいる。

「というより役たたずじゃないのか?」

「ううん。というよりも私たち前衛で耐久力があるのはティオだけだから。耐久がある球児が行くのなら多分ハジメは連れて行くと思う。」

あぁなるほど。

ついでに今のステータスを見た瞬間ハジメが

「なんでやねん。」

と突っ込んだのが驚いたのが特徴だった

なお防御を固めるともっと防御力が高くなると言ったら遠い目をしていたことからかなりショックを受けていたのだが

 

ついでにメイは

 

速水芽衣 17歳 女 レベル???

天職 弓手

 

筋力 3230

体力 3240

耐性 3730

敏捷 3280

魔力 5380

魔防 2350

 

技能 弓術 短剣術 魔法弓生成(麻痺・毒・石化・即死) 罠感知 製薬 家事・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]・風爪・夜目・遠見・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・気配遮断[+幻踏]・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・恐慌耐性・全属性耐性・先読・金剛・豪腕・威圧・念話・追跡・高速魔力回復・魔力変換[+体力][+治癒力]・限界突破・生成魔法・重力魔法・言語理解

となっている

どうやら迷宮時に食べるものが魔物しかなかったらしく神水を使用しながら毒を分解しメイは少食なのもあり余りハジメのようにステータスは増えてないらしい。

即死スキルとか怖いんだけど

「……う〜ん。やっぱ俺はいいかな。俺は王宮内にいた方が多分何かとハジメにとっては利益が多いだろうし。」

「えっ?王宮に戻るの?」

「あぁ、魔人族討伐という大きなことを成し遂げたからしばらくは王宮や教会も手出しはできないだろうしな。」

するとシズが首をブンブン首を横に振る

「お前どうした?」

「な、なんでもないわよ!!バカ。」

「何で罵倒されたんだよ。」

よく分かんねぇなこいつ

「まぁ、でも答えは出たぽいな。」

「うん。」

するといい顔をしている白崎がいる

よかった。自爆をしてまでもやったかいがあった。それよりも

「……いいのか?」

俺はメイに聞いてみるとメイは頷く

「私は時間があったからね。それにライバルがいても……一番は私だから。」

すると余裕の笑みで白崎を見る。

「……メイってこんな子だっけ?」

「……俺が知っている限りでは違うんだけど。まぁ強くはなっているよな。」

俺は少し遠い目をしてしまう

……なんか色々ツッコミどころがあるんだけど基本は無視するのが一番いいしな

すると冒険者ギルドからハジメが出てくると俺とシズは軽く押し出す

頑張れよ。

こいつがどんだけ想っていたのも知っている

だから少しだけ応援くらいさせてくれ

例えそれがどんなに辛い道でも

「ハジメくん、私もハジメくんに付いて行かせてくれないかな? ……ううん、絶対、付いて行くから、よろしくね?」

「………………は?」

目が点になるハジメに俺は少し笑ってしまう。案外あいつの驚いた顔は初めて見るかもしれない

「……お前にそんな資格はない」

「資格って何かな? ハジメくんをどれだけ想っているかってこと? だったら、誰にも負けないよ?」

白崎は揺るぎない眼差しを向け両手を胸の前で組み頬を真っ赤に染めて、深呼吸を一回すると、震えそうになる声を必死に抑えながらはっきりと……告げた。

「貴方が好きです」

「……白崎」

覚悟を決めた言葉に、純粋な瞳がハジメを捉える

「俺には惚れている女がいる。白崎の想いには応えられない。だから、連れては行かない」

はっきり返答したハジメに、白崎は、一瞬泣きそうになりながら唇を噛んで俯くものの、しかし、一拍後には、零れ落ちそうだった涙を引っ込め目に力を宿して顔を上げた。そして、わかっているとでも言うようにコクリと頷いた。

「……うん、わかってる。メイさんとユエさんのことだよね?」

「ああ、だから……」

「でも、それは傍にいられない理由にはならないと思うんだ」

「なに?」

「だって、シアさんも、少し微妙だけどティオさんもハジメくんのこと好きだよね? 特に、シアさんはかなり真剣だと思う。違う?」

「……それは……」

「ハジメくんに特別な人がいるのに、それでも諦めずにハジメくんの傍にいて、ハジメくんもそれを許してる。なら、そこに私がいても問題ないよね? だって、ハジメくんを想う気持ちは……誰にも負けてないから」

……うん。やっぱりお前かっこいいよ本当に。

「……なら付いて来るといい。そこで教えてあげる。私とお前の差を」

「お前じゃなくて、香織だよ」

「……なら、私はユエでいい。香織の挑戦、受けて立つ」

「ふふ、ユエ。負けても泣かないでね?」

「……ふ、ふふふふふ」

「あは、あははははは」

「……女って怖いなぁ。」

俺はポツリ呟く

多分男子全員の気持ちを代弁しているだろう

しかし意義を唱える奴がいるのは目に見えていた

「ま、待て! 待ってくれ! 意味がわからない。香織が南雲を好き? 付いていく? えっ? どういう事なんだ? なんで、いきなりそんな話しになる? 南雲! お前、いったい香織に何をしたんだ!」

「……何でやねん」

天之河の言葉にハジメが突っ込む。俺はシズの方を見るとため息をついていた

本当お疲れ様です

「光輝。南雲君が何かするわけないでしょ? 冷静に考えなさい。あんたは気がついてなかったみたいだけど、香織は、もうずっと前から彼を想っているのよ。それこそ、日本にいるときからね。どうして香織が、あんなに頻繁に話しかけていたと思うのよ」

「雫……何を言っているんだ……あれは、香織が優しいから、南雲が一人でいるのを可哀想に思ってしてたことだろ? 協調性もやる気もない、オタクな南雲を香織が好きになるわけないじゃないか。」

あいつ本気で言っていることがわかると俺は頭を抱える

「……はぁ、頭がいたい。」

「……こっちも頭がいたいわ。」

俺とシズが頭を抱えるとハジメから同情の目が向けられる

「白崎。」

俺は呆れた様子で天之河を指差す。

すると苦笑し

「光輝くん、みんな、ごめんね。自分勝手だってわかってるけど……私、どうしてもハジメくんと行きたいの。だから、パーティーは抜ける。本当にごめんなさい」

すると女子はエールを、男子の一部も香織の心情は察していたので、気にするなと苦笑いしながら手を振った。

しかしこれを認められないのがこのバカだ

「嘘だろ? だって、おかしいじゃないか。香織は、ずっと俺の傍にいたし……これからも同じだろ? 香織は、俺の幼馴染で……だから……俺と一緒にいるのが当然だ。そうだろ、香織」

「えっと……光輝くん。確かに私達は幼馴染だけど……だからってずっと一緒にいるわけじゃないよ? それこそ、当然だと思うのだけど……」

「そうよ、光輝。香織は、別にあんたのものじゃないんだから、何をどうしようと決めるのは香織自身よ。いい加減にしなさい」

さすがオカンと思いながら見ていると

すると、メイがこっそりミュウちゃんを連れてどこかに行こうとしていた。

……うん。さすがに子供がこんな醜い争いを見せたらいけないだろうし

するとメイと目があうと俺は見逃すからさっさと行けと小さなジェスチャーを送る

これを貸しを返したことにしてもらおう

「香織。行ってはダメだ。これは、香織のために言っているんだ。見てくれ、あの南雲を。女の子を何人も侍らして、あんな小さな子まで……しかも兎人族の女の子は奴隷の首輪まで付けさせられている。黒髪の女性もさっき南雲の事を『ご主人様』って呼んでいた。きっと、そう呼ぶように強制されたんだ。南雲は、女性をコレクションか何かと勘違いしている。最低だ。人だって簡単に殺せるし、強力な武器を持っているのに、仲間である俺達に協力しようともしない。香織、あいつに付いて行っても不幸になるだけだ。だから、ここに残った方がいい。いや、残るんだ。例え恨まれても、君のために俺は君を止めるぞ。絶対に行かせはしない!」

……これはひどい

「……なんつーか。お前の幼馴染いろんな意味で終わっているな。」

「今日だけは否定できないわ。」

ここまで行くともう末期だろう。ちょうど必要魔力も回復したし

「…スリープ。」

俺は魔法を唱えそしてガタンと反応し落ちていく

「……見苦しかったから眠らせたぞ。魔力回復するまで時間かかったけど。後はなんとかするよ。」

「あぁ。後は八重樫でも任せたら。」

「えっ?私?」

「……困ったときのシズって謎のクラスの暗黙あったしな。」

俺は苦笑する

「そういえば白崎。こいつ起きる前にさっさと荷造りして出立準備しろ。俺魔力に関してはもうないから。」

「えっ。うん。」

「それと白崎を止める行為は禁止するから。……ハジメを敵に回したら王国や帝国でさえ多分終わるし。」

「……おい。お前。」

「事実だろ。お前今ステータス見ないでもかなりの実力だって分かるし最低でも人類トップお前だ。……絶対敵に回さないようにしないと命が何個あってもたりねぇよ。」

事実多分人類で軍隊を率いても今のハジメには叶わない。

それほどまでに差があることは感じていた

「後何というか……いろいろごめんなさい。それと、改めて礼をいうわ。ありがとう。助けてくれたことも、生きて香織に会いに来てくれたことも……」

「それについてはこっちからもお礼を言わせてもらう。さすがに天之河に関しては。思ったより痛かった。」

「……お前ら苦労しているんだな。」

同情したように俺たちをみる

「そっちは随分と変わったわね。あんなに女の子侍らせて、おまけに娘まで……日本にいた頃のあなたからは想像出来ないわ……」

「惚れているのは二人なんだがなぁ……」

「……私が言える義理じゃないし、勝手な言い分だとは分かっているけど……出来るだけ香織のことも見てあげて。お願いよ」

「……」

するとあんまり聞いてなさそうなハジメにたいし

「〝白髪眼帯の処刑人〟なんてどうだ?」

俺は少しニヤリと笑いシズにふる

「……なに?」

「それとも、〝破壊巡回〟と書いて〝アウトブレイク〟と読む、なんてどう?」

「ちょっと待て、お前ら、一体何を……」

「他にも〝漆黒の暴虐〟とか〝紅き雷の錬成師〟なんてのもあるわよ?」

「お、おま、お前ら、まさか……」

俺とシズは笑いニヤニヤと笑う。ストレスの発散場所としてちょうどいいだろうな

「ふふふ、今の私は〝神の使徒〟で勇者パーティーの一員。私の発言は、それはもうよく広がるのよ。ご近所の主婦ネットワーク並みにね。さぁ、南雲君、あなたはどんな二つ名がお望みかしら……随分と、名を付けやすそうな見た目になったことだし、盛大に広めてあげるわよ?」

「まて、ちょっと、まて! なぜ、お前がそんなダメージの与え方を知っている!?」

「俺の幼馴染だぞ。最近じゃ純愛小説もライトノベルででてくるし漫画とかアニメとか白崎の後追いもあり俺よりもぶっちゃけハマっているんじゃないかと思われるくらいこいつもそういうの読むぞ。」

「あなたほどではないけど。でも……知識だけなら相応に身につけてしまったわ。確か、今の南雲君みたいな人を〝ちゅうに……〟」

「やめろぉー! やめてくれぇ!」

「あ、あら、想像以上に効果てきめん……自覚があるのね」

「こ、この悪魔めぇ……」

「……自分で振っといてなんだけど、これお前に関しては効果抜群だな。」

既に、生まれたての小鹿のようにガクブルしながら膝を突いているハジメ。

「ふふ、じゃあ、香織のことお願いね?」

「……」

「ふぅ、破滅挽歌、復活災厄……」

「わかった! わかったから、そんなイタすぎる二つ名を付けないでくれ」

俺のつぶやきにハジメが慌て始める

「香織のことお願いね?」

「……少なくとも、邪険にはしないと約束する」

「これくらいでいいだろ。」

「ええ、それでも十分よ。これ以上、追い詰めると発狂しそうだし……約束破ったら、この世界でも日本でも、あなたを題材にした小説とか出すから覚悟してね?」

「おまえら、ホントはラスボスだろ? そうなんだろ?」

「一緒にするな。てかシズは容赦なさすぎるだろ。」

さすがに俺でさえ引いてしまう、これかなりのオーバーキルだな

「そういえばお前らにはこれ渡しとく。」

すると二つの鞘に入っている剣を渡される

一つは赤色の、もう一つは黒塗りの鞘に入った剣を手渡しされる

この重さは

「刀か。」

「あぁ。お前剣をふると多少違和感があるとか言っていただろ?」

「……覚えていたのかよ。」

こいつが落ちる前昼飯を一緒に食べている時に呟いた言葉だ

俺は鞘から抜く軽く一回振る。

するとやはりこっちの方が手に馴染む

「世界一硬い鉱石を圧縮して作ったから頑丈さは折り紙付きだし、切れ味は素人が適当に振っても鋼鉄を切り裂けるレベルだ。扱いは……八重樫や球児にいうことじゃないだろうが、気を付けてくれ」

「……こんなすごいもの……流石、錬成師というわけね。ありがとう。遠慮なく受け取っておくわ」

「同じくいい刀だな。あんがと。」

その後白崎が戻ってくると俺とシズに挨拶を言ってハジメパーティーはホルアドの街を後にした

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