もう一人の勇者 作:大和
宿屋に戻りみんながぐっすり眠った後の夜中
俺は夜の散歩というなの鍛錬ということで俺は街から出て、魔物相手に軽く刀を振っていた
いつもなら屋台や冒険者で賑わっているのだが夜中ではそんなに多くはないのであまり外にも出る人がいない
また魔物は夜が一番活発なためちょうどいいストレスの発散とレベリングになるのだ
俺は昼間に睡眠をとったからか知らないが早く起きそして剣を振る
刀とは面白いもので剣道と違い正しい振り方でないとその効果は正常には発動しない
その一つの原因に刃が片面しかないことが原因なのだが
この何がただ硬くて切れるだけだよ。歴とした国宝級じゃねーか。
俺の武器は魔力を流し込むことによって切れ味の増加と火のエンチャントがつき、尚且つ一番やばいのは
これ魔力の流れさえちゃんとすれば刃を無限に伸ばすことができ
「旋空。」
俺は切り捨てる一瞬だけ魔力を込めると射程が50mにもなり、敵を一閃しながら地面がえぐれる。
「……こりゃチーターだろ。」
俺は剣をしまうとため息を吐く
そして街に帰ると未だに薄暗い明かりが照らしている
「ん?」
「……」
そうして街の中に入ると見られたポニーテールの少女が何かぶつぶつ話しながらすれ違う
珍しいな。何か考え事か?
怖がっているわけでもないし、長年見ているけど初めて見るような感じだな
「お〜いシズ何しているんだ。」
「ひゃ。」
と俺が声をかけると刀を構え俺の方に向けてくる
「おいおい。俺だっつーの。」
「……あっ。ごめんなさい。急に話掛けられたから。」
「いや思いっきりすれ違ったんだけど……というよりもブツブツなにか呟いていたし。そっち街の外に繋がるから危ないぞ。いくら勇者パーティーとはいえ紙耐久のお前なら結構体力削れるだろうし。」
「紙耐久ってあなたからみれば確かに紙耐久だけど。」
「お前紙耐久が通じる時点で結構なオタクまじっていると思うんだが。まぁいいや悩みがあるんなら聞いてやるけど。」
「……」
するとジト目で俺の方を見てくると
「……はぁ。」
「おい何でため息をつく。」
「……何でもないわよ。ただ少し香織と南雲くんのことを光輝と話してきただけ。」
あぁ、なるほどだからか
「聞いてもいいか?」
「えぇ。」
するとシズは少しずつ話していく。
というのも多分だけどいつもの愚痴とは違いどこか本当に心配し、そして少し悲しそうに天之河のことを思うようになった
「……やっぱり、天之河も白崎のことを好きだったんだな。まぁ嫉妬する気は分かるし、ハジメを憎む気持ちも分かるけど、まぁ俺も結構経験あるなぁ。そういう嫉妬は。」
「嫉妬?」
「あぁ、やっぱり好きな人に頼られるだったり、見てもらうって結構嬉しいんだよ。俺はずっと初恋が続いているんだけど。それでもやっぱり気持ちに気付いたのは嫉妬からだったし。好きな人にやっぱり相手にないとか身近な人が恋人同士になっているとやっぱり思うところがあるんだと思う。」
実際俺がシズに恋心を抱いていたことに気づいたのはシズが虐められ始めた時に俺ではなく、最初に天之河に頼ったということだった。その当時は今のポニーテールも、クラスの二大女神と呼ばれるほどの認識はなかった
まぁ、当時はショートカットで地味な子というよりも男の子と勘違いされることも多々あったのだ
俺は昔からシズは女友達として可愛い動物やぬいぐるみを集めていたことも知っていたし、剣を握っている時にかっこいいと思えるほどでいつしか意識はしていたのだ
それと天之河と初めて剣を打ち合ったのもこの時だった。
というものの表の剣道場にでることはあまりなかったので同学年の人としては強いと思う程度でぶっちゃけ俺よりは弱かったしあまり気にはしてなかった。
でもシズが困ったとき頼ったのは天之河だった
そして、それを知った時の俺は、メイ曰くかなり辛そうだったということだった。
胸が苦しく、初めて知った時は泣いたり、剣道もシズがいない時間に取り組んだり、なるべく会わないようにしていた
野球を始めたのもこの時で、醜い自分を、悔しい自分を変えたかったんだと思う
「……特に天之河はずっと同じグループでそれも告白されたり、ずっと幼い時から一緒にいたから尚更憎いって思っているんだろうな。そういった意味でも俺の昔と今のあいつはそっくりなんだよ。俺が皇帝に言っただろ?『あいつはただの子供だ。理想とか正義とかそういう類のものを何の疑いもなく信じている口で、実力とカリスマがあるからタチが悪い。自分の理想で周りを殺すタイプだ。』って。」
「……私から見たらそう思わないけど。」
「そりゃ、お前は外面しか知らなかったし、小学校のとき少し付き合い悪い時もなるべく悟られないようにしてたからな。……だからだろうなぁ。だからあの時俺は自分が嫌いだった。」
頼ってもらえなかったことから目を逸らし、ただ友達が傷ついているのに何もできない無力な俺が大嫌いだった。
「……なんかだからかばうわけじゃないし余計な御世話かもしれないけどあいつの気持ちが分からないわけでもないかな。多分、あいつ今自分が無力っていうのを再認識していると思うぞ。まぁ、それからどうするのかはあいつ次第だけど、できればちゃんと地に足をつけて……少しずつ成長してほしいな。失敗や悔しさだって成長する一つのタネだ。いつかは育ち大きくなっていく。」
俺だってそうやって一つずつ成長してきた
野球も絶対に勝てる勝負なんてない
中学はいいとこ県大会で敗退するようなチームだったし、高校に行って選抜優勝なんてできたのも奇跡みたいなもんだろう
「……あなたそれ慰めているの?」
「慰めているって思うか?ただの理想だよ。現実じゃない。ただこうやって雑談した方がいいってこと。あいつがどうなるかはあいつ次第だし俺には関係ないことだろ?理想を話すことしかできないさ。」
するとキョトンとしてそしてため息を吐くシズ
「球児らしいっていえば球児らしいわね。」
呆れたようにこちらを見ている
「……球児はこれからどうするの?」
「ん?」
「しばらく王宮で過ごすんでしょ?」
「別にお前らと変わんねーよ。訓練して飯を食ってねるだけだろ。俺は教会の動きを監視するだけだし。」
「教会?なんで?」
「……元々教会を監視するために俺は一応王宮側にとどまっているんだよ。多分ハジメの一件で教会は確実に動く。たとえ俺を利用してでもな。」
そういうと
「もしかして。」
「あぁ、俺も少し動き始めようと思う。悪いけど俺はこの世界がどうなってもいい。……一応この世界で信用できるこっちの世界のやつは姫さんくらいだからな。」
「姫さんってあぁリリィのこと?」
「あいつ面白いしな。いじりがいあるし、なにより……一番俺たちのことを心配してくれているしな。あいつも俺らより年下なのに大人だよなぁ。」
「……何よ。私が子供みたいじゃない。」
「子供だよ。」
俺は断言する
「俺もお前も。子供だよ。怖くて少しも前に進めないただの子供だ。白崎みたいに動くわけでも、……ハジメみたいに変わったりもしない。ただ臆病で……このままでいいって思ってしまう。」
多分お互いの気持ちも知っている
俺がシズをどう思っているのかシズは知っているようはずだ
シズが俺のことをどう思っているのか俺は知っているように
「そうね。」
「否定しないんだな。」
「否定しても隠せる気がしないわよ。」
「それもそうか。」
俺は少しシズに苦笑してしまう
そしてそれがお互いに変わろうとしていることも
「月が綺麗ですね。」
「地球じゃないけどね。」
「ムードもお前が望む展開でもないけどな。」
だけど
「好きだ。」
俺は直球に突っ込む
「俺は雫のことが好きです。俺と付き合ってくれませんか。」
「……」
怖くてずっと言えなかった
そして今も昔も変わらずに怖いのは変わらない
でも、あいつが力を振り絞ったんだ
俺だって少しくらいおこぼれを残してくれてもいいだろ
シズは涙を流しそして首を縦に動かす
そして抱きついてくるシズに俺は何も言わず抱きしめる
俺たちは一歩関係を変化させた
ここからは一気に展開が変わっていきますので原作との変更点が多数存在します