もう一人の勇者   作:大和

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異端者

あれから三週間が経ち俺とシズは訓練に早上がりして先生の部屋で先生を待っていた

というのも俺はしばらくあっていない愛子先生に会いに行く予定だったのだがシズがついて行くということになっていた

クラスメイト数人がニヤニヤしていたので数人を磔にした後に理由を聞くとどうやら情報交換がしたいということだった。

まぁウルの街にハジメがいたこともあり多分ハジメが生きていたことは知っているが先生から見てハジメをどう思っているのかがぶっちゃけの聞いてみたいというのもあるんだけど

「「「キャ〜キュウジ様。」」」

「「「キャ〜お姉様。」」」

「「……」」

俺とシズはため息を浮かべる。シズは元々令嬢やメイドに人気なのだが、俺はダンジョンで魔人族を撃破した英雄として今や王国で知らない人がいないほどだ。

まぁそうなるとこうやってミーハーが出来るわけで

…はぁ。なんかいつも観察されているようで落ち着かない

何と言うかみられているという脅迫概念に取られて休みの中までもみられているという

さらに色仕掛けを仕掛けくるやつや貴族だったり、パーティーに参加させられたり。

まぁ面倒臭いから抜け出して外で飯を食ったり、近くの冒険者ギルドで依頼を受けてそこで飲み会をやっている現状で姫さん(リリアーナ)に迷惑をかけているらしいが知っちゃこっちゃない。

なおそうやった場合シズに連絡が行き正座で説教されるんだがじゃあ参加してもいいのかというと膨れて拗ねる。

「……はぁ。」

とはいえそうやっているのもあり、シズに話かける機会が減っている

「どうしたのよ。」

「別に。なんか落ち着かないだけ。」

「あんた甲子園でプレーしてたことがあるんだから人に見られるのは慣れているでしょ?」

「そうでもないだろ。基本ピッチャーが目立つし俺はキャッチャーで色々考えながらプレーしてたからなあんまり視線を感じることはないし。野島がイケメンピッチャーとして全国区だったしな。自然と薄くなるんだよ。ホームランが打てるバッターでもないし地道にコツコツ嫌がらせをするタイプだったから。」

「……あなたらしいわね。」

「お前は俺をなんだと思っているんだよ。」

と少し雑談をしていると小さな見知った顔がトボトボ歩きながら通り過ぎた

「先生呼び出しといて気づかないって酷くね?」

「先生……先生!」

「ほえっ!?」

奇妙な声をあげビクリと反応する先生に少し首を傾げる

なんかまたあいつが関わっているような気がする

俺は背中から落ちる汗が冷たく感じた

「八重樫さん!大久保くん!お久しぶりですね。元気でしたか?怪我はしていませんか?他の皆も無事ですか?」

沈んでいたのにこの先生は生徒の心配ばかりだな。

内心苦笑してしまうのと同時に俺は少しばかり頰を緩ませた

 

「そう、ですか……清水君が……」

可愛らしい猫脚テーブルを挟んでお茶を飲みながら互いに何があったのか情報を交換する。

「まぁ、でも生きていただけマシだと思いますよ。ハジメがいなければ……皆殺しされててもおかしくないですし。」

「そうね。清水君のことは残念です……でも、それでも先生が生きていてくれて本当よかったです。南雲君には本当に感謝ですね」

俺がフォローするとそれに乗っかる。

「そうですね。再会した当初は、私達の事も、この世界の事も全部興味がないといった素振りだったのですが……八重樫さん達を助けに行ってくれたのですね。それに小さな子の保護まで……ふふ、少しずつ昔の彼を取り戻しているのかもしれませんね。あるいは、変わったまま成長しているのか……頼もしい限りです」

すると先生の頬は何故か薄らと染まっている

「……あの、のろけるのやめてくれませんかね。砂糖吐きそうなんで。」

「の、惚気てません。」

「いや、顔を真っ赤にさせながらあいつの話になると饒舌になっても説得力ないですし。」

「やっぱり?」

「だろうな。あの天然ジゴロが。」

俺はため息を吐く

「……先生? さっき、危ない状態から助けられたと聞きましたけど、具体的にはどのように?」

「えっ!?」

「いえ、死んでいたかもしれないと言われては、やはりどうやって治したのか少し気になりまして……」

「そ、それはですね……」

「多分、神水を口に含んでからの口移しだろ。速攻性のある麻痺毒は基本痙攣からの呼吸困難が死因が多い。それなら無理やり飲ませるような方法をとるしかないだろ?」

「「……」」

俺がそういうと2人が顔を真っ赤にさせる

「えっ?それって。き、キスして。」

「キスっていうな人工呼吸術だ。……一度メイが溺れた時にやったことがあるからその時の名残だろうよ。」

「えっ?メイ?」

「あいつがハジメに惚れたのそれが原因。俺は部活で海に行けなかったけど離岸流ってやつに巻き込まれたのが原因で溺れて人工呼吸して助けたんだって。てかあいつはそういう知識どこから仕入れているのやら。」

俺は苦笑してしまうがそんなん待った無しで2人が悶絶している

まぁシズはウブだしなぁ

俺はゴホンと咳払いすると先ほどのやり取りなど何もなかったように話を続けた。

「それで、先生。陛下への報告の場で何があったのか? 随分と深刻そうだが」

愛子はハッとすると共に、苦虫を噛み潰したような表情で憤りと不信感をあらわにした。

「……正式に、南雲君が異端者認定を受けました」

「!? それは! ……どういうことですか? いえ、何となく予想は出来ますが……それは余りに浅慮な決定では?」

「いや、今までが遅かったくらいだろうな。てか俺が受けなかったのが幸いだろうな。」

事実俺は最近教会に反抗的な行動を取っているしな

「全くその通りです。しかも、いくら教会に従わない大きな力とはいえ、結果的にウルの町を救っている上、私がいくら抗議をしてもまるで取り合ってもらえませんでした。南雲君は、こういう事態も予想して、ウルの町で唯でさえ高い〝豊穣の女神〟の名声を更に格上げしたのに、です。護衛隊の人に聞きましたが〝豊穣の女神〟の名と〝女神の剣〟の名は、既に、相当な広がりを見せているそうです。今、彼を異端者認定することは、自分達を救った〝豊穣の女神〟そのものを否定するに等しい行為です。私の抗議をそう簡単に無視することなど出来ないはずなのです。でも、彼等は、強硬に決定を下しました。明らかにおかしいです……今、思えば、イシュタルさん達はともかく、陛下達王国側の人達の様子が少しおかしかったような……」

「……それは、気になりますね。彼等が何を考えているのか……でも、取り敢えず考えないといけないのは、唯でさえ強い南雲君に〝誰を〟差し向けるつもりなのか? という点ではないでしょうか」

「……そうですね。おそらくは……」

「ええ。私達でしょう……まっぴらゴメンですよ? 私は、まだ死にたくありません。南雲君と敵対するとか……想像するのも嫌です」

「……」

なんとなく2人の話をきいているとなんか引っかかることがある

「でも、最近俺たちは姫さんと会うことは多いけど姫さんはいつも通りつーか。様子はおかしくはないよな?」

「えっ?えぇそうね。リリィはそういえばあまり変わったところがないと思う。」

「……ちょっと姫さんに今日会ってくるか。晩飯時に少し陛下の変わったところとかを聞き出すことが重要だと思うし。ちょっと色々聞いてみたいこともある。」

「リリィに?」

「あぁ、一応俺なら一応ゆっくり会って話してみたいって言われているからな。その時に聞き出すことは可能だろうしな。シズも来るか?」

「……それなんですけど、明日にできませんか?南雲君は、自分が話しても信じないどころか、天之河君辺りから反感を買うだろうと予想して、私にだけ話してくれたことがあります」

「話……ですか?」

「はい。教会が祀る神様の事と、南雲君達の旅の目的です。証拠は何もない話ですが……とても大事な話なので、今晩……いえ、夕方、全員が揃ったら先生からお話したいと思います」

「それは……いえ、分かりました。なんなら今から全員招集しますか?」

「いえ、あまり教会側には知られたくない話なので、自然に皆が集まるとき、夕食の席で話したいと思います。久しぶりに生徒達と水入らずで、といえば私達だけで話せるでしょう」

「なるほど……分かりました。では、夕食の時に」

と締めくくろうとしたら

「俺はシズから聞くから別にいいや。多分全員集まっていると逆に目をつけられるだろうし。まぁ俺たちと行動しないって聞いた時に大体あいつの行動原理は分かるし。」

実際俺は予想はしていて、ハジメの行動の時にほぼ確信に変わった

多分帰れる方法に近いものを見つけたんだと。

「一応間違っていたらまずいからシズに聞くけどでも王宮の様子も少し気になるしここは別れて調査した方がいいんじゃないですか?」

「……私としては大久保くんとも話したいんですが。」

「ここで話せるし、ハジメのことならシズ通して教えることはできるけど。」

「そう……って違いますから!!南雲くんのことをもっと知りたいとか。そういうことじゃなくて。」

「……先生隠せてないです。」

俺たちはそんなことを話しながら比較的楽しく話すことができた

 

夕飯を早めに食い終わり、シズを通して姫さんに事情を話すことにより少しばかり王宮の先生の部屋を借りることになっていた

あいつおせぇな。

そう思いながらしばらく待っていると

すると数分後気配が急に現れるとドアが開く

「大久保さん。大変です。」

すると息を吐きどうやら本当に大変なことが起こったのか息バテをしていた

「どうした?そんなに焦って。」

「愛子さんが攫われました。」

「……は?」

俺は少し呆気にとられてしまう

すると姫さんは少しずつ話しかけてくれた

姫さんの話を要約するとこうだ。

最近、王宮内の空気が何処かおかしく、姫さんはずっと違和感を覚えていたらしい。

国王は、今まで以上に聖教教会に傾倒し、時折、熱に浮かされたように〝エヒト様〟を崇め、それに感化されたのか宰相や他の重鎮達も巻き込まれるように信仰心を強めていった。

違和感はそれだけにとどまらなかった。妙に覇気がない、もっと言えば生気のない騎士や兵士達が増えていったのだ。顔なじみの騎士に具合でも悪いのかと尋ねても、受け答えはきちんとするものの、どこか機械的というか、以前のような快活さが感じられず、まるで病気でも患っているかのようだった。

そのことを、騎士の中でもっとも信頼を寄せるメルドに相談しようにも、少し前から姿が見えず、時折、光輝達の訓練に顔を見せては忙しそうにして直ぐに何処かへ行ってしまう。結局、姫さんは一度もメルドを捕まえることが出来なかった。

有り得ない決議に、当然、姫さんは国王に猛抗議をしたが、何を言ってもハジメを神敵とする考えを変える気はないようだった。まるで、強迫観念に囚われているかのように頑なだった。むしろ、抗議する姫さんに対して、信仰心が足りない等と言い始め、次第に、娘ではなく敵を見るような目で見始めたのだ。

恐ろしくなった姫さんは、咄嗟に理解した振りをして逃げ出したらしい。そして、王宮の異変について相談するべく、悄然と出て行った愛子を追いかけ自らの懸念を伝えた。そしてシズから頼まれた俺にその情報を伝えるところだったらしい

姫さんは、夕刻になり俺のいる部屋に向かおうとしたのだが、その途中、廊下の曲がり角の向こうから先生と何者かが言い争うのを耳にした。何事かと壁から覗き見れば、先生が銀髪の教会修道服を着た女に気絶させられ担がれているところだった。

姫さんは、その銀髪の女に底知れぬ恐怖を感じ、咄嗟にすぐ近くの客室に入り込むと、王族のみが知る隠し通路に入り込み息を潜めた。

銀髪の女が探しに来たが、結局、隠し通路自体に気配隠蔽のアーティファクトが使用されていたこともあり気がつかなかったようで、姫さんを見つけることなく去っていった。姫さんは、銀髪の女が異変の黒幕か、少なくとも黒幕と繋がっていると考え、そのことを誰かに伝えなければと立ち上がった。

「……やってくれたな。」

俺は軽く舌打ちをしてしまう

「教会側がからんでいることは確かだろうし。多分神の使徒って奴なんだろうな。教会からの妨害はなんかしらあるとは考えていたけど。」

さすがに強行突破は考えてなかった。

俺はさすがに悔しさで歯を組み立てる

それでも脳を働かせ策を錬る

「姫さんなるべくこの部屋を荒らしてくれ。」

「えっ?」

「いいから。」

そして近くのあった紙に魔法を使い文字を書いていく

……頼む気づいてくれ。

俺は手紙に姫さんをエリセンまで護衛しに行くと書きそれを魔法の便箋で止め枕の下に隠す

「これくらいでいいですか?」

「あぁ。悪い姫さんちょっと失礼。」

「えっ?」

俺は姫さんを抱えると

「ちょ、ちょっと大久保さん。」

「悪いけど文句は後だ。出口はどこだ?悪いけどすぐにでるぞ。護衛は俺がやるからすぐに白崎のところに向かう。」

「えっ?香織さんのところですか?」

「あぁ、生憎タイミングがいいのもあって多分俺がノーガードで多分あいつらのところにたどり着ける。多分俺が王都から離れるのは都合がいいからな。」

「どういう。」

「とりあえず時間がないから急ぐぞ。」

「このベットの下に一つ隠し通路があります。」

「了解。これは国王もあっち側だ。……なるべく味方は多い方がいいしな。とりあえず彼奴らは迷宮をめぐる旅をしているはずだしとりあえずホルアドから、近いの大迷宮ってどこだっけ?」

「グリューエン大火山ですね。」

「了解。んじゃ行くか。」

俺はベットを持ち上げ小さな隠し穴に入ると全速力で走り出す

抱えている姫さんがひぃーと言っているが完全に無視だ

目的地はハジメのところまでの俺たちの旅が始まった

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