もう一人の勇者   作:大和

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すぐに再開

あれからおよそ3日後

「何でこんなトラブルばっかり起こるんだろうな。」

俺たちは商人の護衛を引き受けたんだがその途中に100人規模の大規模の盗賊に俺はため息を吐きそうになる。気配感知で早めに気づいたのもあり、すぐに対応していたんだがそれでも未だ苦戦することになっている

「姫さん後どれだけ結界持つか?」

「後20分くらいです。」

俺は軽く舌打ちしてしまう

一緒に来た冒険者も戦ってくれてはいるのだが矢は結界、魔法は俺が食らっているが人数の差がやはりきつい

「魔力撃。」

刀ではなく普通のアーティファクトを使い数人が血飛沫が舞う

「……ちっ、範囲魔法があれば。もうちょい楽なんだけどなぁ」

「キャっ。」

すると冒険者の1人がついに致命的な傷を負うことになってしまう

「大久保さん。」

「了解。」

と俺は限界突破を使おうとした矢先だった

一台の車が盗賊の後衛に向かって突っ込んだ

 

「「「……」」」

 

俺も冒険者もそして盗賊も意味が分からずただ呆気にとられる

そしてその車から1人が降りてくるとそこには白崎が降りてくる

……あっチャンス

「魔力撃。」

すると一瞬数十人の首が舞い悲鳴が舞い起こる

「助けに来たよ大久保くん。」

「悪い助かる。白崎は姫さんの方に向かって魔力回復してくれ。」

「えっ?リリィがいるの?」

「緊急事態でお前らを探しに来たんだよ。結構ガチで教会側が動き出した。」

俺がそういうと驚いたようにしていたが

「どこ?」

「馬車の中だ。」

すると馬車に向かっていく白崎に俺は少し笑ってしまう

……さて回復役がいることだし

少しばかり暴れるか

 

 

そして10分もしないうちに最後の首刈りを終えたところで

「おう。また会ったな。」

白髮義眼のハジメに俺は手を上げる

「三週間ぶりだけど、お前王宮にいるんじゃなかったのか?」

「悪いけどお前の指名手配よりも面倒な案件が王宮であったし、これで俺もそれともう一人連れがいるんだけどそいつによるとお前にも関係あることだったから伝えに来たんだよ。」

「……どういうことだ?」

「馬車の中で今は白崎と話しているはずだ。多分忘れているとは思うんだけど、重要参考人だから聞いてやってほしい。」

俺がそういうとするとフードを被った姫さんと白崎が出てくる

「姫さん白崎と話はついたか?」

「えぇ。ありがとうございます。大久保さん。」

「……南雲さん……ですね? お久しぶりです。雫達から貴方の生存は聞いていました。貴方の生き抜く強さに心から敬意を。本当によかった。……貴方がいない間の香織は見ていられませんでしたよ?」

「もうっ、リリィ! 今は、そんな事いいでしょ!」

「ふふ、香織の一大告白の話も雫から聞いていますよ? あとで詳しく聞かせて下さいね?それと大久保さんの話も。」

「姫さんその話は後だ。てか、やっぱり忘れていたか。」

「へ?」

すると姫さんはキョトンとしているが

「……悪い誰だ?」

「へ?」

すると姫さんがそんな声を上げるが

「姫さん当たり前だろ。何度もお前を見た人ならともかくハジメはほとんどあんたと話したことはないんだ。しかもほとんど必死で生き抜いてきたのに王女の名前はさすがに覚えられないだろうよ。」

「……ぐすっ、忘れられるって結構心に来るものなのですね、ぐすっ」

「……そういったところはまだ子供なんだな。ほら顔あげろ。」

俺はタオルを使い姫さんの涙を拭いていく

「お久しぶりですな、息災……どころか随分とご活躍のようで」

「栄養ドリンクの人……」

「は? 何です? 栄養ドリンク? 確かに、我が商会でも扱っていますが……代名詞になるほど有名では……」

「あ~、いや、何でもない。確か、モットーで良かったよな?」

「ええ、覚えていて下さって嬉しい限りです。ユンケル商会のモットーです。危ないところを助けて頂くのは、これで二度目ですな。貴方とは何かと縁がある」

どうやらハジメは商人の方とは会ったことがあるらしい

「たった一回会っただけの人は覚えているのに……私は……王女なのに……」

「あ〜もう。姫さん落ち込むな。」

「……球児。なんでそんなオカンみたいになっているの?」

「誰のせいだ。誰の。」

メイの言葉に俺はため息を吐き、そして姫さんをなだめる

苦労人と笑っているハジメは後から締めると

「申し訳ありません。商人様。彼等の時間は、私が頂きたいのです。ホルアドまでの同乗を許して頂いたにもかかわらず身勝手とは分かっているのですが……」

「おや、もうホルアドまで行かなくても宜しいので?」

「はい、ここまでで結構です。もちろん、ホルアドまでの料金を支払わせて頂きます」

「悪い。俺からもお礼を言わせてもらう。……ありがとう。」

俺と姫さんが頭を下げると

「そうですか……いえ、お役に立てたなら何より。お金は結構ですよ」

「えっ? いえ、そういうわけには……」

「…やっぱ気づいていたのか。後払いって聞いた時多分そういうことじゃないのかって思ったけど。」

俺がそういうとモットーと呼ばれた商人は笑う

「二度と、こういう事をなさるとは思いませんが……一応、忠告を。普通、乗合馬車にしろ、同乗にしろ料金は先払いです。それを出発前に請求されないというのは、相手は何か良からぬ事を企んでいるか、または、お金を受け取れない相手という事です。今回は、後者ですな」

「それは、まさか……」

「どのような事情かは存じませんが、貴女様ともあろうお方が、英雄どもと忍ばなければならない程の重大事なのでしょう。そんな危急の時に、役の一つにも立てないなら、今後は商人どころか、胸を張ってこの国の人間を名乗れますまい」

彼が最初から自分の正体に気がついていたと悟る。そして、気が付いていながら、敢えて知らないふりをして姫さんの力になろうとしてくれていたのだ。

「ならば尚更、感謝の印にお受け取り下さい。貴方方のおかげで、私は、王都を出ることが出来たのです」

「ふむ。……突然ですが、商人にとって、もっとも仕入れ難く、同時に喉から手が出るほど欲しいものが何かご存知ですか?」

「え? ……いいえ、わかりません」

「それはですな、〝信頼〟です」

「信頼?」

「ええ、商売は信頼が無くては始まりませんし、続きません。そして、儲かりません。逆にそれさえあれば、大抵の状況は何とかなるものです。さてさて、果たして貴女様にとって、我がユンケル商会は信頼に値するものでしたかな? もしそうだというのなら、既に、これ以上ない報酬を受け取っていることになりますが……」

本当うまい言い回しだと俺は少し感心してしまう。これでは無理に金銭を渡せば、貴方を信頼していないというのと同義だ。お礼をしたい気持ちと反してしまう。

「……それじゃあ俺個人で、友達を救ってくれたお礼ってことでこの剣を渡すってことはダメか?」

「はい?」

するとモットーという商人はキョトンとしてしまう

「生憎俺は王国というわけではなく、姫さんの友達ってことでついて来たんだ。さすがに危険を冒してまであんたは俺たちを運んできてくれた。この剣は俺が昔使っていた剣だ。だから思い出だってあるけど、その剣を友好と信頼の証として受け取ってくれると嬉しいんだが。」

「……そう言われては断れませんな。しかし、武具は。」

「昔のって言っているだろ?」

俺はもう一つの鞘を見せるとにこりと笑う

姫さんもそれを見てフードを取ると

「貴方方は真に信頼に値する商会です。ハイリヒ王国王女リリアーナは、貴方方の厚意と献身を決して忘れません。ありがとう……」

「勿体無いお言葉です」

姫さんに王女としての言葉を賜ったモットーは、部下共々、その場に傅き深々と頭を垂れた。

その後、俺たちとハジメ達をその場に残し、モットー達は予定通りホルアドへと続く街道を進んでいった。去り際に、ハジメが異端者認定を受けている事を知っている口振りで、何やら王都の雰囲気が悪いと忠告までしてくれたモットーに、ハジメもアンカジ公国が完全に回復したという情報を提供しておいた。それだけで、ハジメが異端者認定を受けた理由やら何やらを色々推測したようで、その上で「今後も縁があれば是非ご贔屓に」と言ってのけるモットーは本当に生粋の商人だ

「んじゃとりあえず姫さん説明を頼む。」

俺たちは魔力駆動四輪という車に近い車内で俺がそう告げる

重苦しい雰囲気の中、姫さんはことを告げた

「愛子さんが……攫われました」

そしてハジメの目が見開くそして説明すると

「あとは知っての通り、ユンケル商会の隊商にお願いして便乗させてもらいました。まさか、最初から気づかれているとは思いもしませんでしたし、その途中で賊の襲撃に遭い、それを香織達に助けられるとは夢にも思いませんでしたが……少し前までなら〝神のご加護だ〟と思うところです。……しかし……私は……今は……教会が怖い……一体、何が起きているのでしょう。……あの銀髪の修道女は……お父様達は……」

自分の体を抱きしめて恐怖に震える姫さんは、才媛と言われる王女というより、ただの女の子にしか見えなかった。だが、無理もないことだ。自分の親しい人達が、知らぬうちに変貌し、奪われていくのだから。

「一応姫さんを連れ出してきたけど、多分俺の感知も全くの無反応だったことを考えると俺よりも多分強い。それも神側の可能性が高い。だから救援を求めに王宮を抜け出してきたんだけど。」

問題はハジメに先生を助けに行くかどうかなんだけど

と俺は心配している中でその心配は奇遇だった

「取り敢えず、先生を助けに行かねぇとな」

「まぁ元はお前のせいだけど。」

「お前容赦ないな。」

「事実だし、お前も理解しているんだろ?」

「……まぁそうだが。」

「んまぁ、よろしく。」

「私も力になるよ!!少しばかりだけど愛ちゃんにはお世話になったし。久しぶりにお兄ちゃんとコンビ組めるし。」

「ん。こっちもよろしく頼む。」

「んじゃ作戦はいつも通り球児が決めろよ。念話石渡しとくから」

「どうやって使うんだよ。」

そうしながらも俺たちは作戦会議を行っていく

真剣にそして先生の救出に向けた作戦が始まろうとしていた

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