もう一人の勇者 作:大和
俺と白崎、姫さん、ユエ、シアの5人は夜陰に紛れて王宮の隠し通路を進んでいた。
「むぅ。」
「おい。文句があるんならあいつに言え。あいつが俺に作戦を考えろって言ったんだ。悪いけど作戦には従ってもらうぞ。」
というのも一応先生の安全を確保するため救出後の預け先である天之河達が洗脳の類を受けていないか、彼等が安全と言えるかの確認が必要だった。
「……たく。メイ。そっちは。」
”異常ないよ。作戦は順調に進行中”
「了解。」
そんな俺達が、隠し通路を通って出た場所は、何処かの客室だった。振り返ればアンティークの物置が静かに元の位置に戻り何事もなかったかのように鎮座し直す。
「ここは一階の本館か。」
「この時間なら、皆さん自室で就寝中でしょう。……取り敢えず、雫の部屋に向かおうと思います」
「……そうだな。」
そこで勇者の天之河がでないのはどうなんだろうと思いながらも俺はため息を吐くと
索敵が一番高い俺が前を出ると部屋を出る
そして小走りをしながらシズの部屋に向かう途中に
そのことが起こった。
ズドォオオン!!
パキャァアアン!!
砲撃でも受けたかのような轟音が響き渡り、直後、ガラスが砕け散るような破砕音が王都を駆け抜ける。
「わわっ、何ですか一体!?」
「これはっ……まさか!?」
すると姫さんが外を見ると
「そんな……大結界が……砕かれた?」
「なっ。」
俺は絶句してしまう。大結界はかなりの強度を誇るらしい
するともう一度砲撃の音が聞こえると今度は俺でも分かる結界の壊れる音がなり響く
「第二結界も……どうして……こんなに脆くなっているのです? これでは、直ぐに……」
「……内通者や裏切りだろうな。多分俺たち勇者パーティーに裏切り物がいた。」
「えっ?」
「そうじゃねーとさすがにこれはないだろ?実際裏切った奴が1人いたわけだし、何かしらの連絡手段はあるんだろうな。メイ。」
〝聞こえるかの? 妾じゃ、状況説明は必要かの?〟
それぞれの念話石が輝き、そこから声が響いている。王都に残してきたティオの声だ。口振りから、何が起きているのか大体のところを把握しているらしい。
”ん……お願いティオ〟
〝心得た。王都の南方一キロメートル程の位置に魔人族と魔物の大軍じゃ。あの時の白竜もおるぞ。結界を破壊したのはアヤツのブレスじゃ。しかし、主の魔人族は姿が見えんの〟
「まさか本当に敵軍が? そんな、一体どうやってこんなところまで……」
「……神託魔法か?それも空間操作系の。っておいユエ。」
すると勝手に行動し始めるユエに注意をうだなす
「……ここで別れる。貴女は先に行って」
「なっ、ここで? 一体何を……」
一刻も早くシズ達と合流し態勢を整える必要があるのに何を言い出すのかと姫さんは訝しそうに眉をしかめた。ユエは、窓を開けると瞳を剣呑に細めて一段低い声で端的に理由を述べる。
「……白竜使いの魔人族はハジメを傷つけた。……泣くまでボコる」
あぁ、これキレているなぁ
俺はそんなことを思うと
「お、怒ってますね、ユエさん……」
「……シアは? もう忘れた?」
「まさか。泣いて謝ってもボコり続けます」
ユエの発する怒気に思わずツッコミを入れるシアだったが、続くユエの言葉に無表情になると、ユエより過激な事を言い出した。普段から明るく笑顔の絶えないシアだけに、無表情での暴行宣言は非常に迫力がある
「そういうわけで、香織さん、リリィさん。私とユエさんは、ちょっと調子に乗っているトカゲとその飼い主を躾してくるので、ここで失礼します」
「……ん、あと邪魔するならその他大勢も」
そう言うや否や、ユエとシアの二人は、俺達の制止の声も聞かずに窓から王都へ向かって飛び出して行ってしまった。
開けっぱなし窓から夜風と喧騒が入り込んでくる。しばらく、互いに無言のまま佇む俺たちだったが、やがて何事もなかったように二人して進み始めた。
「……南雲さん……愛されていますね……」
「うん……狂的……じゃなかった。強敵なんだ」
「香織……死なない程度に頑張って下さいね。応援しています」
「うん。ありがとう、リリィ……」
こりゃ作戦変更か
「メイ。」
”大丈夫。あの2人には後からお話するから”
あっ。メイもキレているぽいな
白崎がかなり怯えているし
「とりあえずあのバカ2人が勝手に行動したから俺たちはとりあえずシズと勇者(笑)の元に向かう」
”了解。勇者(笑)達のところに行く最中に魔人族が出たらついでに倒して行ってね?」
「了解。」
「なんか大久保くん、メイちゃんコンビニ行ってくる感じで魔人殺そうって言ってない?」
「雑魚に構う暇はない。」
”そうそう。”
「2人もそういえばそっち側だったね。」
「「あいつらと一緒にするな(しないで)」」
といい俺たちはシズ達の方へ進み出したのであった