もう一人の勇者 作:大和
「まったくもう、ホントにもうっ! ですよっ!」
「ハジメくん……少し自重しようね?」
「ふふふ、流石、ご主人様よ、ほんの少し目を離した隙に止めを刺すとは……」
王宮内の食堂にて、夕食をつつきながらシア達のどこか責めるような声が響く。それを向けられている俺たちは、如何にも他人事といった様子で目の前の王宮料理に舌鼓を打っていた。
「あいつら何があったんだ。」
「さぁ?」
「分かりません。」
俺、シズ、姫さんが食堂に入るといつのまにか揃っていたハジメたちに手を振ると俺たちはその隣に座る
と俺とシズは姫さんの愚痴に付き合うってことになっていたんだが
「……それでなんで私ばっかり。」
そして10分後かなりストレスが溜まっていたのか王宮料理を丁寧に食べながらも乱雑な口調で愚痴をこぼす姫さんの姿があった
さすがに王女ということがあり口調とかも丁寧な口調でいたんだがさすがに限界がきたらしく俺たちの方に目線が集まる
姫さんも苦労しているんだよなぁ
俺とシズが遠い目になりながら姫さんの話を聞いていると
不意に堂へ集団がやってきた。光輝達を含むクラスメイトだ。どうやら、愛子も含めて全員いるらしい。
「それでなんですが。」
「姫さん一応クラスのやつきたから抑えて。」
「えっ?あっお疲れ様でした皆様。」
そして光輝たちの方に礼をする姫さんにさすがに苦笑する
「リリィも今日はこっちなんだ。」
「雫さんと球児さんに誘われたんですよ。」
「明日からの予定を確認するためなんだけどな。」
「あっそうなのか。」
さらっと嘘をつく俺と姫さんにハジメたちのパーティーもさすがに驚きを隠せないらしくポカーンとしている
「でも、最近大久保とリリィよく一緒にいるよな。」
「一応護衛ってことになっているからな。騎士団が団長決めとかでゴタゴタしていたぶん騎士団から頼まれたんだよ。もちろんシズから許可はもらっているからな。」
「……そういうところは律儀だよね。」
「うっせ。ずっと長い間片想いしてきてやっと付き合えるようになったんだよ。こんなことで嫌われたらかなり凹むんだから。」
「まぁ、小学生のころからずっと雫ちゃんのこと好きだからね。」
「ちょ、メイ!!」
さすがにメイの告発に俺は顔を真っ赤にしてしまう
「……えっ?まじ?」
「そうなの?」
「……一応語弊があることはあるけど、好きな気持ちを気づいたのは小学校です。」
「……」
「うわぁ、意外な一面を見ちゃったよ。鈴。」
「…お前すごいな。」
……公開処刑もいいとこだろ。
「恋愛ごとになったら球児はかなり苦労しているからな。」
「だまれドンファン。お前いつか後ろから刺されるぞ。」
「それは球児が言えたことじゃないだろ。」
「えっ?なんで。俺みたいな奴好きになるくらいの物好きはこいつくらいだろ?」
「ちょっとどういう意味よ。」
シズがそういうけど
「いや、恥ずかしいんだけど元々はシズの理想の人物を目指してきたから。少し感性がずれている自覚があって。」
「……自覚あったんだ。」
「あるに決まっているだろうが。」
「ちょっと待って香織。球児。それ私が普通の人を好きになれないって遠回しに言ってない。」
「「……」」
「ちょっと2人ともなんで黙るのよ。」
「いや。だって俺かなり腹黒いし、結構ゲスいし。」
「あのね。そういうことする時の球児は誰かを守る時でしょう?」
「……」
俺はキョトンとしてしまう
「それに私のことだって昔から助けてくれるし、さっきも早く抜け出してリリィの書類をやっていたんでしょ?メイちゃんに聞いたわ。」
「…そうなんですか?」
ジト目に俺はさすがに耐えきれず頷く。
メイに姫さんを休ませるようにするために頼み込み女子会という名の親睦会をしていたもらっていたのだが
「……昔から球児は気を使いすぎなのよ。」
「いや、それお前にだけは言われたくないから。」
俺はジト目でシズのほうを見るとすると視線がこちらに向けている
「……なんだよ。」
耐えきれずに俺はクラスメイトの方に向けると
「いや、なんつーか。」
「……甘々だよう。」
「いいなぁ、雫ちゃん。」
「「……」」
俺とシズは意味が分からず首を傾げる
「まぁ、誰がとは言わないけど球児も結構女たらしのそしつがあるからな。」
「……そうね。」
「マジか。」
ちょっとそれはそれで結構くるものがあるんだけど
「でも大久保くんって少し面倒見はいいよね?外面は光輝くんよりも人気あるし。」
「内面で全部台無しにしているけどな。」
「でも大久保、鈴のこととかも気にかけているだろ?よく鈴のことを気に留めてたし。」
「へ?」
すると意外だったのか谷口は驚いたように俺を見る
天之河を少し睨み俺は諦めたように呟く
「悪いかよ。一応結構クラスじゃ交流が多かったし、異世界に来てからはあまり話さなかったけど。それでも仲がよかったやつのことは気になるだろ。」
「……」
するとキョトンとする谷口。すると少し笑い
「ありがとう。大久保くん。」
「ん。」
はぁ、もう今日公開処刑ばっかりじゃねーか。
そんなことと思いながら王宮での食事は賑やかに、そして久しぶりにクラスメイトの笑顔が溢れただけよかったとしかいいようがないか